
総合評価
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powered by ブクログ突然自殺した恋人の過去を探るミステリーとも言えるのだけど、ふわふわした幻想的な世界観で満たされている物語。数学の天才であり調香師であったルーキーの過去と苦悩、それを探す涼子の旅。数学的な明瞭さと文学的な曖昧さが融合して美しい物語が生み出された。
0投稿日: 2025.10.10
powered by ブクログ母と子の少し歪んだ関係って、どこにでもあるよね。 母ってどうしてもどこか気持ち悪さを孕んだ存在だと思う。 小川洋子さんの紡ぐ文章は、どこかひんやりとしていて、静かで、落ち着く。情が熱すぎず、それがとても心地いい。と、どの作品を読んでも感じます。 心が疲れた時によく効きます。
0投稿日: 2025.07.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
結論とか答えみたいなものはこの物語の中に明確に描かれておらず、すでに亡くなった人の足跡を辿る道のりは奇妙さと焦燥感があるのだけど、不思議と満足感を味わえる。 自分から傷つきに行ったり泥を被ることで、受ける傷の深さを想定の範囲内で済ませようとする人の繊細さ、優しさ、弱さ、強さを考えてしまう。
1投稿日: 2025.01.31
powered by ブクログ自分が生きていた破片を ひとつずつ拾ってくれる人がいる 遺された私たちはふとした香りで 悲しさを思い出すけれど それもまた日常になる
1投稿日: 2024.11.11
powered by ブクログ涼子の恋人、香水の調香師弘之が自殺した。なぜ?彼の全く知らなかった一面が次々と明らかになっていく。涼子は弘之の面影を求めて迷宮の街プラハへ。 弘之の過去と涼子の今が重なり、弘之が残した『匂いのイメージの言葉』と出会う。 弘之の死の原因は解らない、ただ生きにくい人だったことはわかる。 涼子は弘之の過去を訪ねることで、救われたのだろうか。 臭覚で感じる香りを言葉で表現する。それを読者が香りとして感じるには、言葉が示す香りをイメージできなければならない。言葉から臭覚を呼び起こそうとし、知ってる何かに当てはめようとする。 言葉で五感を刺激し、言葉で静寂を感じる小川洋子さんの世界、好きだなぁ。
5投稿日: 2024.09.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
何が面白かったかとか、 どこが良かったのかとか、 言葉にするのはとても難しいけど、 読んでいてただただ心地良かったです。 敢えて言うなら文章が心地良い。言葉選びとかリズムが好きです。 最愛の人を突然失った女性のお話。 調香師の彼からオリジナルの香水をプレゼントされた翌日に彼は自殺… それだけでもかなりの喪失感なのに、彼が死んでから彼に関する新事実がどんどん明らかになっていくので、物理的にそばに居ないという喪失感に加えて心の中にあった彼がどんどん崩れていく様な精神的な喪失感が積み重なっていきます。 彼が死んで"私の中の彼"を大事に手で包んでそれを拠り所に自分を支えたいのに、どんどん指の間からこぼれてしまって気付いたら手の中には最後にもらった香水しか残っていなかった…そんな感じ。 ルーキーの自殺の原因が結局分からないこともそうだけど、これだけの存在感がありながらルーキーの「人となり」というか「本質」というかルーキーという人が最後まで掴めません。周りにいる人はみんなルーキーに吸い寄せられるように惹かれながら、ルーキーを理解していた人はいなかったんでしょうねきっと。 香りって本当に過去の記憶を呼び起こします。 安心するにおい。 元気になるにおい。 泣きそうになるにおい。 良いにおいとはちょっと違う、自分だけの好きなにおい。
0投稿日: 2024.04.27
powered by ブクログ亡くなった恋人の軌跡を辿る旅に出る主人公の話。 全体的な雰囲気は暗く美しいと感じました。香りは記憶を呼び覚ますと聞いたことがあるのでルーキーの自死は決めてからは主人公に忘れないでほしいと願い記憶の泉として送ったのかなと感じました。 母が精神疾患患っていることもあり遺伝的な要素は少なからず受け継いでるルーキーは分類癖や数学の突出した才能などもあることから診断されるだろう障害的をもってそうだなと思いました。 それは世間からは表彰される内容だったり周りは喜ぶところなのでしょうが、当の本人は申し訳なさそうにしているところから主人公しかわからない苦しは計り知れないな、と。 主人公は知れば知るほど新事実が出てきて少なからずショックうけても良さそうだけど、納得いくまで行動して結果を静かに受け止めてて意味凄いなと感じました。得るものはあったのかな。とは思いますけど。 アキラはどうしてあんな優秀な兄弟いるのに捻くれてないんだろう。アキラは強いなと思いました。
3投稿日: 2024.02.01
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とても静かな最後になって、この作品にふさわしい終わり方をしたなと思う まだ悲しさと静けさが漂っているかのような不思議な感覚が無くならない 結局ルーキーがなぜ自殺したのか、履歴書に嘘を書いたのか、関わった全ての人に異なった情報を与え続けたのか、答えは分からなかった。 ただ目の前に彼が息をして言葉を操って確かに存在していたことだけが事実、死んでしまった人の事で新しくわかることなんてそうそうないし真実は分からないことの具現化みたいな小説だったな 今現実に起こっていること、目に見えているもの、それだけがリアルでそれだけが思い出になる 死んでしまって過ぎた過去の中で生きていた人間はもう「記憶」の中にしか存在しないものになってしまう、それ以上でもそれ以下でもない ただ、今までが嘘みたいに " そうであった、そうだったと思う、きっとそうだった " に変わってゆくだけなんだろうなと思った 記憶は書き換えられていくし人によって濃度も記憶する種類も異なる、一度過去になってしまったら最後 突然薄っぺらい写真のように紙のように平面になるだけ、それが記憶 人は死んだら最後、なにも残らず更新されずその瞬間で全ての時が止まるのだと改めて実感した 周りの人間しかり、死んだ人間しかり ただそこにはちゃんと一人の人生があって思いがあって記憶がある、生活があった環境があった好きなことがあった その全てが文字通り「凍りついた」ものになるの興味深かったな いつか私もそうなるんだし 人間、人生、不条理、冷淡、事実、って感じだった 私はこれから、これを超える作品に出会えるかな
2投稿日: 2024.01.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
主人公の夫が序盤から自殺してしまうが、亡くなった夫に対する悲しみや愛がひしひしと伝わる。読み進めていくうち胸が締め付けられる。さすが小川洋子さん!といった作品だと思う。
0投稿日: 2023.12.03
powered by ブクログ恋人が自殺をした。エタノールを飲んだ自殺だった。彼は調香師だった。彼は私に似合う香水を作ってくれた。それをくれた大切な次の日に死ぬはずなんてない。なのに死んでしまった。 …死んでから、私は彼のことを何も知らなかったことに気づく。知っていた気になっていただけだった。 彼のことを知るうちに彼には弟がいて数学が得意でスケートが上手だったことを知る。そして彼は数学でプラハに行っていたことから私もプラハを訪れ生前の彼の姿を探すことにする。
0投稿日: 2023.04.14
powered by ブクログ調香師の卵であった恋人の弘之が、“記憶の泉”と名付けられた香水を残して突然亡くなる。 一緒に暮らしていたフリーライターの涼子は、どうしても彼の自殺の理由が知りたくて、幻影を追い求めるように彼の過去を辿っていく。 淡々として美しく、上品な雰囲気で、外国の映画を観ているようだった。 スケート、数学、物事を分類する能力など、静かな物語の中に隠された彼の秘密を知るたびにどきどきしてしまう。 プラハでの不思議な体験はまるでファンタジーのようで、街の風景が頭の中で映像のように映し出され、いつまでも浸っていたくなった。 優しいため息をついてしまいたくなるような、みごとな結末だった。
40投稿日: 2023.02.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
香りはどうしようもなく儚いくせに怖いくらいに記憶に残る。愛した人が去れど、その人の香りは消えない。小川洋子、好きだ…
2投稿日: 2023.02.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
結局夫がなぜ死んだのか明確な答えは記されずに終わるの、ふつうだったらそこにめっちゃモヤモヤしちゃうだけなんだけど、何故かすんなり受け入れられた。とにかくずっと漂う閉鎖的な雰囲気が大好きでラストもこれ以上はないなって思う
1投稿日: 2023.01.08
powered by ブクログある日突然恋人は命を絶った。理由が不明なその死を受け止めきれず、恋人の生きた軌跡を辿る主人公の物語。 恋人そっくりな弟や母親から、自分より前の恋人(元カノ的な何か)から、そして異国の街で、その記憶や記録の断片を辿って恋人の過去を構築していく。結局のところその理由は不透明なまま、でもなんとなく美しい感じで物語が終わる。 不穏な湿度を含んだ母親とのやり取りにぞわぞわし、終盤に至ってはもはや自分が何を読んでいるのか分からなくなってくるあの感じ、読んでいると引き込まれ現実世界をちゃんと忘れることができて、結構好きだった。
1投稿日: 2022.09.16
powered by ブクログたまにはこの様な物語もいいではないか。 ある日突然恋人を失い、その生きていた証を訪ねていく物語。 生前の彼のことを、実は何も知らなかった自分に少なからずショックを受けながらも、彼の弟と共に軌跡を追い彼の実家で過ごす。そして異国の地へ向かい、そこで出会うガイドと共に。 彼が存在していた記憶を思い出し、考え、それにどっぷり浸かりながら、いない事実を受け入れていく様がよく書かれていて、ページをめくる手がとまらなかった。 少しは楽になれただろうか?時間が解決とは良い言葉だが、どっぷり浸って溺れながら、でもゆっくり浮かんで生きていくのも悪くないと思った。 無性に好きな人に会いたくなった。
19投稿日: 2022.07.17
powered by ブクログなぜ、夫は死んでしまったか?謎を解くために旅をするけど謎は簡単にはとけなくて・・・。主人公と一緒にチェコを旅している気分になりました。(チェコに行ったことはないのだけど。)
1投稿日: 2022.04.08
powered by ブクログ小川氏の作品にしては輪郭がはっきりしていた様に感じた。 しかし透明感のあるゼリーにコクのあるバターを包んでる感じはしっかりある。
1投稿日: 2022.02.23
powered by ブクログ香りが記憶を表す、洗練されたお話。 数学、スケート、香水瓶の棚、どれにおいても綻びのない綺麗な完璧さをもっており、ただただ美しかった。 どうして彼が間違いを選んだのか、最後まで語られることはないが、それすらも神秘的と言わざるを得ない物語。
1投稿日: 2022.02.23
powered by ブクログ死者の記憶を辿る過程で現実と空想の曖昧な境目を往来する涼子。夫の過去や死の輪郭が少しずつ明確に認識されていく一方で、その中身は何処まで行ってもぼやけたまま。予め用意された”間違い”へと突き進む彼の姿は理解はできても共感はできず、その掴みどころの無さに儚さ/畏ろしさのような物を感じた。 ”過去は損なわれず記憶は保存される”という幸福な事実に縋り付くようにして読み終えた、静謐な語り口で紡がれる喪失と救済の物語。
1投稿日: 2022.02.07
powered by ブクログ烏兎の庭 第七部 2.13.22 http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto07/doc/kaori.html
0投稿日: 2022.02.04
powered by ブクログ★3.5、が相も変わらず全く覚えていない再読のおまけで★4。 本作が発表された年を考えると、この作家の志向は既にこの時点でしっかり確立されていて、この空気を良しとするか否かで読者を選別しているようにも思われまする。 この観点で小川洋子という独自性は唯一無二なんだろうと。
0投稿日: 2021.12.30
powered by ブクログ弘之が自殺して、彼女の涼子がなぜそうなったかを探す話。 静かなんだけど、どこか息苦しさが隠れてる感じがする。
1投稿日: 2021.05.03
powered by ブクログ圧倒的な静けさ。 亡くなった恋人の記憶をたどる物語というか。 匂い、調香師、数学、プラハ、いろいろなキーワード。 個人的だけれど、チェコは行ってみたい国で、首都プラハはもちろん、”ストラホフ修道院の図書館”と言う場所は有名で、ここもぜひ訪れたい。 (写真で見たけれど、圧倒的)
1投稿日: 2021.03.14
powered by ブクログ謎解きと書かれてますが、ミステリー小説ではありません。 答えは用意されてないので、読むならそのつもりで。 突然もたらされた調香師:弘之の死。 記念日のプレゼントは「記憶の泉」と名付けられた香水。 フロッピーに残された言葉の断片から 彼の軌跡を辿る旅をする決意をするのだが・・・ 「猫を抱いて像と泳ぐ」を連想しました。 本作では、香りの表現に強く惹きつけられました。 色んな記憶を掘り起こしてくれるから、 小川作品は大好きです。
3投稿日: 2021.02.07
powered by ブクログ今でも彼の指先が、耳の後ろの小さな窪みに触れた瞬間を覚えている。まずいつもの手つきでびんの蓋を開けた。それから一滴の香水で人差し指を濡らし、もう片方の手で髪をかき上げ、私の身体で一番温かい場所に触れた―。孔雀の羽根、記憶の泉、調香師、数学の問題…いくつかのキーワードから死者をたずねる謎解きが始まる。
0投稿日: 2021.01.30
powered by ブクログ救われないって読み終わって1番に感じた。大切なものをなくしてぽっかり空いた隙間を日常生活の中で、時折感じながら今後生きていくって思ったら、凄くリアルでズシンと来て、ため息が出てしまった。
1投稿日: 2021.01.30
powered by ブクログ亡くなった彼の真実を探す旅。孔雀の羽根、記憶の泉、調香師、数学の問題…幾つかのキーワードから死者を訪ねる謎解きが始まる。 小川洋子さんの作品は、五感を研ぎ澄まして読むとより一層楽しむことができる。全ての物に対して存在を認めることが、この世界の入り口のチケットでもある。だから体調不安の時は馴染めない。
0投稿日: 2020.11.23
powered by ブクログ死んだ彼の過去を追う女のお話 彼の過去について何も知らなかった 彼の家族から知らされたことなどから 海外へまで足をのばし・・・ 今さら知ったからどうなるものでもないのだけど それでも彼のことを知りたい そして知らされる事実 とくにびっくり展開でもないですが 読んでいてこちらも彼の過去が気になっていきました
1投稿日: 2020.09.23
powered by ブクログ小川ファンなので冷静に星がつけられません。 亡くなった恋人をたどる心の旅のお話です。物語が始まった時に既に恋人は亡くなっていて不在です。不在だからこその存在感は小川さんの作風の特徴であり、一貫しているので心地よく読みました。 取り留めもないと言えば取り留めもないと思うのですが、だからこその哀しみを感じます。 恋人の仕事が調香師というのもこの物語にぴったりで、香りは目に見えないけれど香りというものの背景には必ず思い出があるのだと思う。
13投稿日: 2020.06.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
数学が得意ということ、スキーが得意ということすべてを隠して調香師となったのに、ある日突然自殺をしてしまった弘之。彼がどうして死んだのか、彼が何を見て何を思っていたのか。どんな人間だったのか。読み手の私も涼子と一緒に実態のない、微かに漂う弘之の記憶の香りを辿る。辿っていくうちに様々なことが少しずつ判明するけれど、何かが変わるでもなく物語はずっと静かだった。「孔雀の番人」という人物が中盤に登場したことで物語に非現実感がプラスされた。まるで夢の中に居るかのようで。もしかしたら夢の中なのかもしれない。この現実感と非現実感の調和が小川洋子の凄さでもある。 ジェニャックという少年もとても魅力的だった。言葉が通じなくても、言葉を超えたところで通じ合える。そんな優しさが読み手を安心させる。 孔雀の番人が言った「過去はそこなわれません」という言葉が印象に残った。誰も変えることができない個人の記憶。私の父も、私との記憶を抱えたまま死んでいったんだろうと思うとその記憶に触れないことが悲しいけれど、戻ることができないからこそ、動いていくんだと思った。
0投稿日: 2019.10.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
死んだ恋人の影を追っていく、記憶を辿る旅。 残された者の孤独と苦しみが美しい。静かな悲しみが芯から伝わって、長い走馬灯を見ているみたいだった。
2投稿日: 2019.07.30
powered by ブクログ小川洋子さんの小説で共通して言えるのが、誰もが日常で出会うふとした瞬間を的確だけどほんの少し美しく代わりに表現してくれる、そんな一文との出会いが必ずあること。物語の世界に入っているはずなのに、と同時にその一行と出会うためにページをめくっている自分がいる。 トロフィを磨く、ドライブ、お料理、、、そんな日常も小川さんらしく丁寧に細やかに一瞬も取りこぼさず描写されていて、読者としても一行も逃せない。 ノンフィクションっぽいけれど、時たまダークなファンタジーなフィクションの世界と行き来する。その揺らぎがたまらなく好き。
1投稿日: 2018.08.16
powered by ブクログ突然の恋人の自殺をキッカケに恋人の過去を辿り、改めてその思い出に浸る…それがいつもの小川洋子さんらしい優しく不思議な空気感の文章で綴られている。 弘之の世界観は予定調和的なのか?記憶の泉を作り自らの命を絶つ事で永遠に記憶として生きる、というのが究極の整理・分類なのか?逆に彼に触れた人が全て彼の世界に整理されていくのか?孔雀の番人を通じて行き来できる記憶と現実のどちらに私たちは生きているのか? 突然の死によって逆にその人の事を深く知るようになる事を通して、人と人がわかりあう事の難しさとだからこそ相手の事をあたまで理解するのではなく「匂いとして」受け入れる、そんな受け止め方もできるのかな?って思いました。
3投稿日: 2018.07.16
powered by ブクログ『匂いは過去に向いて漏れている』 小川洋子の作品を読んでいる時、私の身体は薄い膜に覆われて、現実の中に確かにいるはずなのに、ひんやりと凍りついた空気の中に閉じ込められてしまう。 寒くないのに、身体が冷え切ってしまったような感覚に陥って本を閉じては何度も腕を摩る。そしてその摩る自分の手のひらが、指先が思いのほか熱くてその生暖かさを気持ち悪いと感じてしまう。 匂いを感じている。夜の匂い。メレンゲ菓子の喉に残るような甘い香り。サボテンの花が咲いている。雨の音が一度遠ざかる。 小川洋子の作品を読むという事。それは普通の読書体験ではない。自分がどこにいるのか感じることができる。私がここにいるということがわかる。そして物語も確かにここにある。
2投稿日: 2018.05.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
自殺した調香師、弘之のこれまでの人生をたどる恋人の涼子の話。 ただただ静かな時間が流れる小説だった。引き込まれるでもなく、でも文字を目で追うのが心地良い感じがした。小川洋子さんの読んだ作品は博士の愛した数式に続いて二作目だが、どちらも愛しいという言葉がピッタリの小説だった。 調香師なんて職業があるんだ…
1投稿日: 2018.03.10
powered by ブクログ面白かったです。ひっそりと匂い立つような世界が好きです。 数式をレース編みのように感じるところや、記憶は損なわれない、というところは、小川さんの他の作品にも通じるところがあるなと思いました。 とてもひっそりと、恋人の死を受け入れる主人公が哀しくも、最後は前を向けたのかなと思います。
0投稿日: 2017.12.18
powered by ブクログ今でも彼の指先が、耳の後ろの小さな窪みに触れた瞬間を覚えている。まずいつもの手つきでびんの蓋を開けた。それから一滴の香水で人差し指を濡らし、もう片方の手で髪をかきあげ、私の身体で一番温かい場所に触れた 孔雀の羽根、記憶の泉、調香師、数学の問題 いくつかのキーワード身体死者をたずねる謎解きが始まる。
0投稿日: 2017.02.15
powered by ブクログなんと魅力的な主人公だろうか。視覚を塞ぎ、嗅覚、聴覚、触覚に生きた。 誰かが損なわれることに我慢がならず、自分を失った弘之。ルーキー。 プラハのジェニャックも魅力的。言葉を超えた世界。 最後の算数を教える場面の描写で泣いた。 自殺の理由なんて外からは分からない。それがメッセージ。 ただ彼は受け入れたんだな、死を。
1投稿日: 2017.01.24
powered by ブクログ小川洋子の小説は,常に,「死」が寄り添っている感じがする。 そもそも,主人公の存在が希薄 主人公は確かに存在するが,「死」にまつわる部分(死者に関する部分)以外はぼんやりとしていて,情景が浮かばない 何とも,不思議な感覚を与えてくれる
0投稿日: 2016.11.14
powered by ブクログよく知っていると思っていた恋人のことを、実は何も知らなかったと知ることは、どれだけ悲しいことだろうか
0投稿日: 2016.09.25
powered by ブクログ調香師の彼が自殺。その彼の弟を通じて、あるいはその彼が高校時代に数学日本代表として訪れた外国をめぐる、不思議な物語。
0投稿日: 2016.08.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「あらかじめ用意された間違いを犯すために、身代わりになった。」 「『どっちだって、大して変わりないさ。僕が行く場所はもう決まっているんだから。誰かが決めてくれているんだ。僕が生まれるずっと前にね』」 ルーキーは、“正しい答え”が見つけられない事柄に対して、“分類”ができなかった。「僕が行く場所」、つまりいつか死ぬことは、「あらかじめ用意」されていて、「もう決まっている」ことであって、ルーキーはそれをきっと“正しい答え”としたのだろう。こうやって死の動機をたった一つの“答え”として考えるのは恐らくこの小説の本意ではないのだろうが、そう感じた。 きっとルーキーの「香り」は涼子や彰や母親の中で凍りついていて、もう溶けない。
2投稿日: 2016.06.28
powered by ブクログ久しぶりに小川洋子さんの作品を読んだ。 静かで神秘的な世界観。読み終わりたくない感じ。 登場人物は個性的で情熱的なのに、冷ややかで人を寄せつけない。 夢なのか現実なのか分からなくなる。
1投稿日: 2016.06.25
powered by ブクログ今でも彼の指先が、耳の後ろの小さな窪みに触れた瞬間を覚えている。まずいつもの手つきでびんの蓋を開けた。それから一滴の香水で人差し指を濡らし、もう片方の手で髪をかき上げ、私の体で一番温かい場所に触れた・・。孔雀の羽根、記憶の泉、調香師、数字の問題・・・いくつかのキーワードから死者をたずねる謎解きが始まる。 今回も小川洋子ワールド炸裂の本を読んでしまった。途切れることのない空気と香り。おだやかな人、激しい人。夢の中なのか現実なのかあいまいな人。 面白かったです!ルーキーも彰も、こういう人大好き。
0投稿日: 2016.06.18
powered by ブクログやはり、小川洋子さんの小説は、独特な世界観だ。 現実を生きる人たちの物語なのに、どこか現実感が欠けているというか、童話めいているというか。 職場で突然自殺をしてしまった調香師の弘之。“ルーキー”と呼ばれ皆から親しまれていた彼の恋人・涼子は、弘之がなぜ死んでしまったのか、過去を辿りながら理由を探し始める。 弘之の弟・彰と風変わりな母親との短期間の共同生活、そしてプラハでの出来事。 孔雀の羽根、記憶の泉、調香師、数学の問題…いくつかのキーワードから死者をたずねる謎解きが始まる。 大筋はミステリ風だけど、結果的にはっきりと謎が解けるわけではなくて、終始ふわふわとした雰囲気。 そして静けさ。小川洋子さんの小説は、どれを読んでも静けさがある。 主人公が感情を荒立てることがなくて、どこか客観的だからだろうか。 読んでいて言い知れぬ悲しさを感じるのだけど、その静けさがとても心地好い。 エンタメ小説ではないし、ここが面白い!とも言えない種類の小説だけれども、この雰囲気にはまる人は小川洋子さんの小説を全部読んでみたいと思うはず。 私もその一人で、徐々に読んでいってる最中。 物語の中心はルーキー(弘之)なのに、彼はもう死んでいて、回想や過去の中にしか生きていない。 それなのに周りの人間たちは皆ルーキーに囚われたままで、彼の突拍子のなさや天才的なところに、いつまで経っても振り回され続けている。 人間は多面的で、“私の知らないあなた”や“あなたの知らない私”が絶対にある。どの部分が表でどの部分が裏とかではない。全部本物のその人だけど、相手によって見せる面が違うのは自然なことだ。 どれだけ親しく、近しくなっても、きっとそれは変わらない。未知な部分があるからこそ、人は人に惹かれる。 そんなことを思いながら、静かに読み終え、本を閉じた。 最後まで、静けさに満ちた小説でした。
6投稿日: 2016.06.15
powered by ブクログなぜ恋人は突然自殺したのか?その動機を明らかにするため過去を調べていく。 自分に話していたことは全て嘘であることがわかり、知らなかった顔が次々と見えてくる。 それを淡々と受け止め、心の奥を理解しようとする主人公。恋人を失った女性としてはあまりにも冷静で現実味のない対応なのと、突然ファンタジックな展開になるので最終的にどう受け止めて良いのか困る。
0投稿日: 2016.05.31
powered by ブクログ何の前触れもなく、突然エタノールを飲んで自殺してしまった、調香師の恋人の隠されていた過去が明らかになっていく。 特殊な職業、言葉数の少ない恋人、スケート、孔雀、そして数学と、小川洋子の要素たっぷりでストーリーが進行する。そしてネタばれと言われたところで、結局は解決も進展もしない。あえて言うのなら、最終的に得られたものは「洞察」と「記憶」になるんだろうなあ。 全体に、小川洋子にしては突っ込んでいる部分が少なく、お得意の数学の部分で具体的に出てくるのは1問だけ、それも割と浅めのものだ。また、過去の"弘行"が、死者とはいえ、美しすぎて人間らしさが全くないので、いまいち。 過去のストーリーと同時に進行する"現在"のチェコの部分も、完全に消化されていない。孔雀をワイルドカードにされてしまったのもちょっと不満。 とりあえず、お得意といえば、阪神タイガースでも何処かで絡めたら、もうちょっと肉がついたストーリーになったんじゃないでしょうか。 最後に、弘行がスケートの羽生選手以外イメージできなくてね。うん。
0投稿日: 2016.01.22
powered by ブクログ亡くなった恋人の調香士・弘之の過去を辿る涼子。 天才数学少年、フィギュアスケートの曲芸、乗り物恐怖症なのにチェコに行ったこたがあるという真実。 演劇部顧問、チェロ演奏の特技は嘘。 チェコを旅して、いろんな嘘と真実が一つ一つ繋がっていく。 「凍りついた香り」ってタイトルがぴったりな話だった。
2投稿日: 2015.07.29
powered by ブクログ全体的に冷ややかな雰囲気が流れている。しかし弘之の周りの人々の温かさがじんわりと伝わってくる。結局、孔雀の番人とは何だったのだろう。香りで記憶を結びつける。
0投稿日: 2015.06.17
powered by ブクログ匂いは、記憶と強く結びつくもの。香りに導かれながら、恋人の自死の秘密を探る旅。 プラハの街で迷いこんだ、水滴が滴り落ちる洞窟は、あの世とこの世のあわい。そこで静かに暮らす孔雀の番人。彼の差しだす恋人の記憶を含んだ心臓は、ミルラの香りに浸した布に包まれている…。 記憶をめぐる幻想譚。 ミルラ=樹木から分泌される樹脂。ミイラの語源になった香料。殺菌作用と防腐剤の効果を持ち、紀元前4千年から神への捧げ物として焚かれていた、再生をもたらす神聖な薬。イエス誕生のときの三人の賢者からの贈り物の一つ。
0投稿日: 2015.04.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
それほど多く読んだわけではないけれど、今まで読んだ小川さんの中ではこれが読みやすい気がする。博士の愛した数式と。 『私は見知らぬ弟に嫉妬しているのに気づいた。その場違いな感情は、私を戸惑わせ、混乱させ、打ちのめした。そして弘之を失う本当の苦しみと恐怖を、私にもたらした。~私の知らない弘之の姿を彰が語るたび、鼓動が速くなった。自分がそれを知りたがっているのか、耳を塞ぎたいと思っているのか、よく分らなかった。彼と私のどちらがたくさん弘之のことを知っているのだろうと、考えてしまった。そうするとまた、霊安室で感じた嫉ましさが湧き上がってきそうだった。もうこれ以上、混乱したくなかった。』 「なぜか分らないけど、何も教えてくれなかった~でも姉さんのことだけじゃないんだ。何の仕事をしてるとか、どんな家に住んでるとか、そういうこともよく知らなかった。信じてもらえないかもしれないけど~元々お喋りな方じゃなかったし、私生活の立ち入った話はしたくないっていう雰囲気が、どことなく漂っていたんだ。だから二人で会う時は、ほとんど僕が喋ってた。~兄貴は聞くだけ。時々くすっと笑ったり、感心したふうにうなずいたりするだけで、ただじっと耳を傾けてる。まるで聾唖者みたいにね。」 「心臓発作?」「どこか痛いの?」「血管が切れたんじゃない?」「死んじゃったの?」 みんな恐ろしい言葉を平気で口にした。 「兄貴は、数学の天才だったんだよ。」 「称賛、称賛、称賛の記録ばかりね」 「うんざりしたかい?」 「いいえ、ただ、少し頭がくらくらするだけ」 「ああ、嘘じゃないよ。ルーキーを優勝させるためだったら、僕が窒息するくらい何でもないことさ」 「ここと似た場所を、知っています。調香室です。」 「分らない。ルーキーが家出しようって言ったから、僕も付いていった。兄貴に大きな借りを作ってしまったのは事実だし、何よりどうしてあんな嘘をついたのか、理由が知りたかったからね」 『ただひとつ解せなかったのは、ルーキーが難問を解いて見せる時の、申し訳なさそうな態度でした。謙虚だとか慎み深いとかいうのとは違って、罪悪感さえ覚えているかのようでした。~実際、彼の書く数式は美しかった。』 「公式が途中で分らなくなって、~どうしようも、もうどうしようも……」 「どうしてこんなところにいるの?~びっくりしたよ。こんなところで会えると思っていなかったから。」 「誰だって構わない。とにかく、やってもいないことを、やったって嘘つくのはやめて。わざと間違えて、自分を痛め付けて、自分の記憶まで塗り替えるようなことは、やめてほしいの。そんなことをしたって、誰も救われないわ。袋小路に迷い込むだけよ。」 「どっちだって、大して変わりないさ。僕が行く場所はもう決まっているんだから。」 「嫌よ。そっちへ行っちゃ駄目。引き返して。お願いだから……」 「何をそんなに怖がっているんだい。おかしいよ。思い煩うことないんだ。安心して。大丈夫、心配しなくてもいい」
0投稿日: 2015.02.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
恋人に突然自殺されてしまった主人公。存在すら知らなかった恋人の弟と話すうちに、彼の過去をひもとく旅に出る。 哀しいね。調香師としての彼しか知らなかったのに、天才的数学者だったとか、スケート場で大人気だったとか、幼い頃のこととか、知らない事実がたくさん出てきて。しかも実弟さえ知らなかった、聾学校で働いていた事実とか。 静かな哀しみがずっと沈んでいる話だった。
0投稿日: 2014.12.16
powered by ブクログ恋人がくれた香水彼はなぜ自ら命を絶ったのか、凍りついた香りの記憶をひもといていく物語。By Saki さん
0投稿日: 2014.10.31
powered by ブクログ夫の自殺の理由を探す、嘆いているが、タフな主人公。自殺にいたった経緯は分かった。しかし夫ははたから見ると鬱のようでもあり、主人公がそれを自覚していたか不明。わかっていなかったのなら、かなり残酷だろう。把握を情緒的な思考で紛らわそうとしているようにも見える。
0投稿日: 2014.04.13
powered by ブクログ恋人が突然自殺し途方に暮れる主人公。 存在すら聞かされずにいた恋人の弟と話すうちに、 自分が聞いていた彼の過去が全くのデタラメだと判明する。 高校生の時、突然失踪した理由を探るため恋人の過去を辿り、主人公はプラハを訪れる。 ストーリーとしてはありがちなミステリになりそうなところだけど、物語の軸は謎解きではなく、主人公の恋人を浮き彫りにすることだと思う。 恋人が幼少時から天才的な数学の才能を持っている点や、恋人の母親の異様な蒐集癖など、小川洋子の物語のキーワードがてんこ盛り。 ファンタジーではないのに非現実的。湿度の高い物語である。 http://www.horizon-t.net/?p=911
0投稿日: 2014.01.15
powered by ブクログ香り、アイススケート、数学―この3つをキー・コードに静かに展開して行く物語。時間軸もまた静寂の中を透明な螺旋形を描いて行く。ある種のサスペンス仕立てであるとも言える。物語の進行に従って、次々と弘之の過去が明らかになって行くと共に、そこに新たな謎も加わって行く。数式の持つあくまでもクールで非情な美しさ―それは、氷にも静謐な香りにも通じるだろう。物語の本質はそんなところにありそうだ。そして、最大の謎はとうとう結末に至るまで明かされることはない。読者もまた、語り手の涼子とともにこの物語の迷宮の中を彷徨うのだ。
0投稿日: 2013.09.26
powered by ブクログ2012.7/26 調香師が出てくる小説。 香りを扱う仕事の難しさと楽しさを少しだけ感じとれた気がする。
0投稿日: 2013.03.09
powered by ブクログ調香師だった恋人の弘之が自殺…。それは“私”のために“記憶の泉”という香水をプレゼントしてくれた翌日だった。なぜ彼は死ななければならなかったのか。その答えを見つけるため、“私”は弘之の過去を遡る。 作者の作品にはいつも“極端”な人々が出てくる。その“極端”なところが、痛々しさであったりせつなさであったりをこちらに伝えてくる。
0投稿日: 2012.08.17
powered by ブクログこのお話しも本当にステキ。 私にしては珍しく恋愛小説!! 自殺をした彼氏。 何故 死んでしまったかの理由を探るため 昔 彼が行ったチェコへと旅立つ主人公。 淡々とした中にも不思議な雰囲気を醸し出しつつ 気付くと主人公はちゃんと彼の記憶を辿っていたんだなと。 最後は何だか切なく哀しい気持ちになりました。
0投稿日: 2012.07.20
powered by ブクログ自ら作った香水をプレゼントした翌日、何の前触れもなく命を絶った恋人。 天涯孤独と聞いていたはずが、彼の弟が現れ、いくつかの嘘が明らかになり、死者をたずねる謎解きが始まる。 調香師と聞くと、CREEDやペンハリガンの香水を生み出す職人のイメージなんやけども。弘之はスケートの名手、数学の天才…と全く違った顔も持っていて…。 殊更に感情を刺激しようとする表現はなく、淡々と透明な文体なのに時折泣きそうになる悲しい物語。
0投稿日: 2012.06.27
powered by ブクログ小川洋子さんの作品だなー。としみじみ。 綺麗で静かで染み入ってくる文章と悲しみと。 最愛の恋人が突然自殺してしまって 大切なものを何もかも失ってしまった気持ちになって どうしていいのか分からない。 少しでも繋がっていたくて 少しでも納得できる何かを確かめたくて 静かに強く哀しく足掻く。
0投稿日: 2012.05.27
powered by ブクログ正直小川洋子だなーという以上の感想は持てないんだけれど、この頃から(いやきっともっと前からだ)彼女が数学というものに高い関心を寄せていたのがよくわかる。 正しさを恐れるルーキーは、死んでしまった。それでも彼が調香師として生み出した香りは、生き残る。しかしいつしか、その香りさえも、どこかに消え失せるのだ。消えるからこそ、美しいのだ。
0投稿日: 2012.04.24
powered by ブクログ洋子さんは文章がうまい そして文が短くて読みやすい 「プラハへ亡き夫の足跡を探しに行くシーン」 洋子さんはヨーロッパへは何度も行っておられるようだけど、 今回のように、間違って、日本語が通じないながらも人柄のいい通訳さんのお世話になったことがあったのかもしれない。 そういう時の不自由さや 些細なことでも分かり合えたときのうれしさなど 実体験が元になっている? たぶん 気に入った文章(無いということが在るという表現) ・・・・・長い旅をしてきたのに、博之のいなくなった空洞は相変わらずそこにあった。じっとして動かず、息をひそめ、圧倒的な不在を水のようにたたえていた。・・・・・ この本にも分類や博物館がたびたび登場するが ヒットした博士の愛した数式を思わせる箇所を発見 ・・・・・Σ、∞、log・・・・・。広告の裏には見慣れない記号が並んでいた。 「数式ってきれいだわ。神秘的なレースの模様みたい。」・・・・・
0投稿日: 2012.03.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
しばらくご無沙汰だった小川洋子の作品。 彼女の作品は、本当に静けさで溢れている。 文体がそうさせるのだろうが、とても自然だ。 物語がしっとりと、それでいて優雅にたゆたうような感じ。 途中まで眠れない時に無音の部屋で読んだので言葉が自然と入ってきたが途中から音楽を聴いたり、電車の中で読んだら気分が削がれてしまった。 やはり、彼女の作品を読むには無音の暗闇が必要だ。 作品は、恋人の自殺を受けていろいろと細かく調べてゆく。 それまで知っていたと思っていた恋人の特技や経歴さえ知らなかった主人公が、たどってゆく。 孔雀、記憶、数学、スケート。 謎解きのような小説だった。 でも、あっさりしすぎていて後味が悪い。
0投稿日: 2011.12.22
powered by ブクログ調香師だった恋人の突然の死。主人公は彼の過去を訪ねて様々な場所をさまよう。スケート場、図書館、恋人のかつての家、そしてチェコ・・・。 回想と現在、記憶と幻想、現実と夢、その境目が分からなくなりそうな、感覚だけが研ぎ澄まされていくかのような、そんな物語。
0投稿日: 2011.11.30
powered by ブクログ「嗅ぐ」のが好きな私には、ぴったりの小説だった。 香りの表現がどれも素敵で、小説だというのにイメージがつきやすいのが不思議。
0投稿日: 2011.08.10
powered by ブクログんー。。 すごい静な作品だなぁと思いました。 穏やかにスラスラって進む感じ。 博士の愛した数式みたいに数学を扱ったところもあるけど、 あの時ほど数字の持つロマンに感動したりはしなかったなぁ。 内容と書き方の違いだとは思いますが。。 静かな大人の本ってイメージです。
0投稿日: 2011.07.14
powered by ブクログ再読。 小川洋子はじんとする。結末云々というよりは(実際この作品もうまく汲み取れない部分はあるし)、行間を読ませる作品。空気感に酔う感じかな。 ちょっとミステリー調。でも、一度や二度じゃ分からないものを感じる。解けない、というよりも、解かせない。完璧な答えは求められていない。 水溜まりに広がる丸い波のような、静謐さ。やはり、この人の言葉が好きだ。
0投稿日: 2011.06.15
powered by ブクログ亡き調香師だった彼が残した香りのイメージを辿っていく物語。香りを文学で表現するのってとっても冒険だったでしょうに、ちゃんとイメージさせてもらえます。素晴らしい。いくつか読んだ小川さんの作品は、どれも予定調和をよしとしない、”たゆたう”感が独特です。
1投稿日: 2011.05.10
powered by ブクログ何が事実で何が嘘なのか、 事実を積み上げればそれが正しくその人なのか、他人の中で形成されたイメージをその人と言って正しいのか、 主人公は、謎解きのような、証拠探しのような旅をするけれど、しかし読者には何の答えも提示されない。 掴みどころの無い作品、透明で冷たい世界の物語、その中に、ふと織り交ぜられる、血の通ったルーキーとの記憶が、ふいに温かくて胸を打つ。静かに。 美しい鼻も。優雅に動く手も。ムード、オーラとしての香りも。彼が死んだ日に凍りついてしまった全てを、ゆっくりと溶かして、再び耳の後ろに一滴。まとえるようになるまでの記録。
0投稿日: 2010.11.12
powered by ブクログ喪失を確かめていくような旅。 恋人の、自分が知らなかった面を一つひとつ知っていく旅。 相手が死んでしまってからその行程を辿るのは、 とても残酷なことなんじゃないかと感じる。 それでも、静かに確かに足を進める涼子と一緒に、 最後のページまで辿りつかずにはいられない。 ひりひりとする、その余韻は長い。
0投稿日: 2010.10.19
powered by ブクログ”記憶の泉”。主人公の女性が恋人からもらった降水の名前。 死んでしまった恋人が残したいくつかのキーワードをたどり、旅をする。 香りと記憶の結びつきが強いという話はよく聞く。 大切な思い出は、香りと一緒にしまっておきたいと思った。 これを読んで、孔雀が見たくなり、動物園まで行ったことがある。 孔雀は園内で放し飼いにされていた。きれいだったけれど、香りはわからなかった。
0投稿日: 2010.10.17
powered by ブクログ不安になる作品であった。突然、恋人が自殺し、主人公は彼の生きた軌跡を追うことにするが、それは彼女が知らない顔ばかりであった。相手によりさまざまな顔を持つがただ「ルーキー」という呼び名だけは変わらない。人の人生をもじり作った履歴書。彼はなぜ死を選んでしまったのであろか。
0投稿日: 2010.10.15
powered by ブクログ*ブログ感想あり* http://blog.livedoor.jp/marine0312/archives/51298627.html#comments
0投稿日: 2010.10.01
powered by ブクログ小川洋子さんの物語は、どこか寂しい感じがする。寂しいけど、優しくて。 つかみどころがない感じ。 私は、好き。
0投稿日: 2010.09.24
powered by ブクログ久々に小川洋子さんの本を読み、 あぁ、やっぱりこの人の作品は好きだなぁ。と思いました。 つかみ所がない感じ、 登場人物が素敵な感じ、 静かな感じときれいな感じ、 が私は好きです。
0投稿日: 2010.08.23
powered by ブクログ霧の濃い森を歩いてるような感覚。 濃密な香りはむせかえるようで、息苦しさはむしろ心地よい。 悲しみやせつなさのあまりの美しさに、うっとりしてしまう。
0投稿日: 2010.08.19
powered by ブクログおもしろみがわかりませんでした。 ルーキーが完璧すぎ。そして結局なんで死んだかわかんなかったよねぇ。
0投稿日: 2010.07.27
powered by ブクログ相変わらずに掴みどころの無い話を書かせたら随一の小川洋子さんです。 ある日ふっと死んでしまった恋人の過去を探るうちに、主人公は自分の知らない恋人の姿を見つけていく。 「数学」「香水」「孔雀」バラバラのピースがカチリとはまる時に主人公は1つの真実に突き当たる。 小川さんの書く男の人はいっつもどこか病的な欠陥を抱えている気がする。
0投稿日: 2010.04.20
powered by ブクログ今小川さんブーム 小川さんの描く男の人が好き 話し方も動きも凄く静かで 丁寧で落ち着いていて真摯 ちょっと暗いとこがあって色っぽい 今回もそんな人 ただ、もう死んじゃっていて 出てこないんだけど 小川さんの作品は 不思議の職業がおおい 今回は調香師 孔雀好きなのかな
0投稿日: 2010.03.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
~ネタバレあり?~ 突然自殺してしまった調香師の恋人。その死の真相を探っていくというどこかミステリーテイストのある作品。 …とはいえ、主人公の気持ちは・・・いやいや作品の意図は、きっとそこにはないんだろうな。 (←主人公は小さな過去の切れ端にでもしがみついていたから主人公の気持ちは十分に真相追究200%だったもん) 恋人の突然の自殺の真相を暴くというただの筋書きを求める人にはなんとも片手落ちな作品だと思う。 それに相変わらずな(ファンとしては期待を裏切らないというべき)小川洋子ワールド満載!つまりは、とにもかくにも「静謐」で芸術的な世界観の中には直接的な激情があまり見受けられないため、「恋人の死に直面してこの淡々とした時間の流れ方どうなの?」という声もあるだろうと思う。 でも私は泣いた。この小説には一切の激情はないのに。(涼子の悲しみはなぜか激情とは表わしにくい)ひたすら切なくなった。 それは弘之と一緒にいながら一緒にいなかったことに彼の死後気づく涼子の切なさであり、たくさんの人を魅了しながらも最後まで究極的に孤独だった弘之の切なさ。
0投稿日: 2010.03.01
powered by ブクログ自殺した恋人の過去を辿るという設定。 本書にも例によって天才数学少年が登場する。小川洋子って本当に数学ずきなんだなあ……。 天才でシャイな青年がはかなげに詰まった一冊。
0投稿日: 2010.01.10
powered by ブクログ古本屋で購入。 自殺した恋人の謎を追う・・ って書くとミステリーみたいだが、 ほんとにミステリーを読むみたいに、 ぐいぐい引き込まれた。 才能を持った子どもと その才能をつぶしてしまう母の物語。 せつなすぎる。 でも、どこかあたたかい。
0投稿日: 2009.11.17
powered by ブクログオチには…?と思ったり、時系列が混ざっているので読みづらくはあったけれど、久々に恋愛小説系(?)を読んで「あぁ人を好きになるって悲しいなぁ」と結構じんときてしまいました。 誰か人一人理解するのがすごく難しいんだから、誰かに誤解されたってしょうがないよね、と少し思いました。
0投稿日: 2009.08.01
powered by ブクログわたしにぴったりの香水を作ってくれた。そんな矢先に調香師の「彼」が自殺してしまう。 その後「いない」と聞かされていた彼の家族に会い、彼が勤め先に提出していた履歴書は嘘で塗り固められたものであると発覚。 さらに、実は彼にはあることにたいしてとてつもない才能があって…??! 少しでも彼の人生を知りたい…涼子の謎解きが始まる。 美しいしなやか(?)な文章。 「博士の愛した数式」をちょっと思い出させるけど、それよりも影がある感じで深い。 彼、弘之の母親が怖いよー。 最後のほうのあの事件には、ああいう理由であんなことしたのね。。。 うまく説明出来ないけど、やはり女の人が書いた文章だなぁ、と感じさせる。
0投稿日: 2009.07.21
powered by ブクログ彼女は、今プラハに向かう飛行機を待っていた・・・。 弘之の死は、いつものように彼のYシャツにアイロンをかけてる時に電話で知らされた。 寒くて窮屈な霊安室には、香水工房の玲子先生と見知らぬ青年が立っていた。 彼は、職場の香水工房で無水エタノールを飲んで自殺をした。 玲子先生に発見された死体は、今は霊安室で腐っていくとは思えないほど綺麗な死体だった。 見知らぬ青年は、弘之の弟だった。 弟から彼の知られざる過去を聞く。 そこには、彼女の知らない数学の天才児としての弘之の姿が隠されていた。 一緒に暮らしてる時には、その事をまったく知らされてなかった・・・。 今でも彼の指先が、耳の後ろの小さな窪みに触れた瞬間を覚えてる。 まずいつもの手つきでびんの蓋を開けた。 それから一滴の香水を人差し指を濡らし、もう片方の手で髪をかき上げ、私の体で一番温かい場所に触れた・・・・。 彼女の弘之をたずねる・知る謎解きの旅が始まる。 独創的な小川洋子の小説です。 何処か不思議で幻想的な世界で切ない世界の小川さんの魅力で溢れてる小説です。 これは、凄くよかったです。 たまには、小川ワールドに浸るのもいいですよね
0投稿日: 2009.04.12
powered by ブクログ今でも彼の指先が、耳の後ろの小さな窪みに触れた瞬間を覚えている。 何の前触れもなく自殺してしまった恋人。調香師だった恋人の死の理由を求め、主人公の涼子は彼の過去さがす旅に出る。 完結してしまった死。失われてしまった香りを求めるのは、どこかとても哀しいことに思われた。 今回ストーリーには惹かれなかったが、やはり小川洋子さんの世界観には圧倒されてしまう。ひそやかで、甘美で、どこまでも美しい。その世界にずっと浸っていたい、と思わずにはいられないのだ。
0投稿日: 2009.01.04
powered by ブクログ小川洋子の世界観が満載。 プラハの唐突感やスケートリンク、隠されていた相手の世界。 こんな現実感のない人とのつながり、あたしならいやだ。 けど、読んでしまう。 あいかわらずの放り投げられるような最後。 救われないエンディング。 だのに最後まで読み終えてしまう。 やっぱり他の本が読みたくなる。 なんだ、この人。 すげぇ。
0投稿日: 2008.12.27
powered by ブクログ博士〜を読んだあとだったので 特別面白いとは思わなかったけど でも、つまらないわけでもなかった。
0投稿日: 2008.10.31
powered by ブクログ恋人が死んでも淡々としている。 数学が出来て顔も良くて、スケートも抜群にうまいのに、 なぜか魅力を感じないルーキー。 完璧でなくてはいけない自分との葛藤が、 私には異質なものにみえた。
0投稿日: 2008.06.01
powered by ブクログしづかに ひそやかに 切なく 届かない 美しい物語、美しい世界。美しい文体、美しいなまえ。 文章という世界にどっぷりと浸り込むための麻薬のような何か。 好き嫌いは別れると思うが、わたしはとても好き。
0投稿日: 2008.05.28
powered by ブクログ女性向きかなあ。 香水をつけたこともなければ、花の種類も10もいえないオジサンが読むには、イメージが沸き難く、魅力半減。 結局主人公はなんで死んじゃったのか。。。謎なままというのもちょっと納得できない。 数学を美しく絡める展開は著者ならではでよい。
0投稿日: 2008.03.07
powered by ブクログ本屋でタイトルを見たときに既に感動していた。「香り」が「凍りつ」くなんて。 調香士をしていた恋人が突然の自殺を遂げる。「私」はその弟と出会い、恋人の過去をたどり、彼が残した言葉たちを追っていく。プラハまでたどり着いた「私」の語りと、そこに至るまでの経緯が時系列としては平行に語られる。 「私」の知らなかった恋人の姿が次々と語られる。それを「私」が悲壮感を持って受け入れているというわけではないが、「なぜ私には秘密にしていたのか」と思いたくなる事柄ばかり。それでも、ただただ静かに物語りは流れる。 エピローグでもまた一つ恋人の知らなかった姿が明かされるのだが、これまであまり幸福なイメージになかった恋人の過去がそこで少し変わったのが、凍り付いていたものが解けるような気分だった。
0投稿日: 2007.10.23
powered by ブクログうーーん。入り込めなかった。この作者の作品は二作目で、慣れていないから・・? はじめから終りまで漂う、多分作者独特の、静謐な、しんとした独特の空気は感じられた。でも、登場人物の描写が、あまり迫ってこなかった・・。 特に、主人公の恋人の母の描写。ステレオタイプ…というか、なんだかこういう人物を表現する時によくある典型的な描写、という枠を出ていない気がして、怖さが伝わってこない。 重要な恋人の描写についても、その独特の魅力や雰囲気が実感できない。主人公の女性にいたっては、人物像がよくわからない・・。 物語の構成の面でも、謎解きの側面は最後の最後で多少盛り上がるのみで、他は盛り上がりに欠ける印象。 もしかして、この物語はただただ、静かな、独特の空気、を描くことが目的なのかな。それならば、読む前にそういう心構えが必要かも。と思った。 誰か愛しい人を失って深い悲しみを負った経験がある者にはもしかして響く物語なのかもしれないが。
0投稿日: 2007.09.11
powered by ブクログ透明感があって静謐で、それでいてなんとも不吉な気配が漂います。「博士の愛した数式」ですらそうなので、これが小川さん色、ということなのでしょうか。
0投稿日: 2007.09.11
powered by ブクログ彼の突然の自殺。その理由を探そうとすると私の知らない彼の過去に出会う。 この作家の作品は「暖かい」気がする。読んでて落ち着く。
0投稿日: 2007.08.16
powered by ブクログ今でも彼の指先が、耳の後ろの小さな窪みに触れた瞬間を覚えている。まずいつもの手つきでびんの蓋を開けた。それから一滴の香水で人差し指を濡らし、もう片方の手で髪をかき上げ、私の身体で一番温かい場所に触れた―。プラハからウィ―ンへ。孔雀の羽根、記憶の泉、調香師、数学の問題…・いくつかのキーワードから死者を訪ねる謎解きの旅が始まる。 バリバリの小川作品という印象。「博士の〜」の前から数学がキーワードらしい。 一人称で書かれていて、主人公のモノの見方がかなり叙情的なせいで、独特の世界観が形成されている。残念だったのは、主人公が杉本女史にインタビューする場面で、杉本女史が想い出を語る口調までがえらく詩的だったこと。その語り口調は主人公のものだと思っていたのに、なぜ杉本女史まで? という気分にさせられた。(2007.03)
0投稿日: 2007.07.29
powered by ブクログいろんな謎を持つ弘之が、突然自殺した。なくてはならないものを失った涼子が少しでも最愛の人の影を追おうとする。
0投稿日: 2007.05.15
powered by ブクログ突然自殺してしまった弘之。よく考えれば、ずっと付き合ってきたのに、調香師として働いている彼しか知らないと気づく。彼の弟に会い、弘之がスケートがとても上手だったこと、そして数学の才能があったことを知る。そして、彼が子供の頃に数学コンテストで行ったという、プラハにも行ってみることにした。 ものすごく読んでいて退屈だった(^^;この作品がおもしろくないというよりも・・・自分がこの作者と合わないって感じかなぁ。。。
0投稿日: 2006.05.30
powered by ブクログやっぱり。小川洋子の世界観はいい。まさに透明で透き通っていて凍り付いて氷点下の世界観。 いつもながらストーリーは現実と幻想のはざまが曖昧でぼんやり。ちょっとスッキリしない。 ルーキーのスケートを見てみたくなる。 「岩の間からしたたり落ちる水滴。洞窟の湿った空気」 「締め切った書庫。埃を含んだ光」 「凍ったばかりの明け方の湖」 「穏やかな曲線を描く遺髪」 「古びて色の抜けた、けれどまだ十分に柔らかいビロード
0投稿日: 2006.02.28
