
総合評価
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シリーズの感想 フォスフォフィライトがとにかく救われて欲しい漫画。変容して行く様子が後半は痛々しい。 最終巻で出てきた兄機がかっこよく見える。 むしろ他の宝石たちが憎らしくなる謎。(1万年遊んでたからね) 心が抉られる漫画だけどなぜかたまに読みたくなる……
0投稿日: 2025.10.15
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『宝石の国』 アニメと漫画の両方を体験。 アニメは「モノノ怪」を観たときと似た感動があった。 ただの映像作品ではなく、色彩・質感・構図そのものがアートで、観ているだけで美術館にいるような感覚になる。 一方で漫画はまるで哲学書。 フォスが「祈る人」になり、宝石たちが月人になっていく展開は、宗教や思想そのものを象徴しているようで、重さに心が折れそうになり、読むペースが落ちた。 ただ、そのしんどさも含めて、強烈に印象に残る読書体験だった。 アニメ=アーティスティックな体験 漫画=思想・哲学的な体験 同じ作品でもまったく違う角度から味わえる、稀有な作品。
1投稿日: 2025.09.14
powered by ブクログはじめてこの物語の1巻目を読んだのは、いつだったろうか。 その時は、この物語がどう進んでいくのか、予想もつかないながらも面白かった。 そして、この完結巻を読んだ時。やっぱりこの物語を読んでいて良かった、と素直に思った。 美しく、静かで、優しい物語だった。 この物語は、きっと私の大切な物語になるだろう。
19投稿日: 2025.06.15
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☆完(13巻、108話) 〜1-3巻〜 ・博物誌の仕事を請け負うフォス ・シンシャのしごとを探す ・カタツムリことアドミラビリスと接触 ・両脚を失うがアゲートにより復元 ・アンタークとの冬の見回り ・両腕を失い合金に 〜4-7巻〜 ・大型犬型月人襲来 ・先生を疑い始める ・月人との会話を試みる ・ゴーストと組む ・ゴーストは生まれ変わりカンゴームに ・頭部が奪われラスピラズリの頭部が装着 ・ラピスの頭脳を借り月人と月へ 〜8-11巻〜 ・月人エクメアが歓迎 ・先生の正体は壊れた機械 ・フォスは地球へ行き宝石の何人かを連れ帰る ・カンゴームはエクメアに心酔 ・単身地球へ ・祈ってもらうよう頼むが粉々に ・200年後先生により復元 ・再び月へ戻るが狂気じみていた 〜12巻から〜 ・フォスが地球の宝石たちを次々と破壊 ・月では宝石を月人化する装置完成 ・ついに金剛と接触 ・右目を自身に移植 ・フォスが金剛の力を移行するまで1万年 ・1万年後フォスは月人をすべて無に帰す ・金剛の兄と鉱石たちとの生活が始まる ・太陽が地球に迫る ・鉱石は開花し宇宙船となる ・フォスを残し金剛兄は宇宙へ [総評] 2度目の方がおもしろい 中盤からの展開がすごい 最後は訳分からん
0投稿日: 2025.06.04
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鬱作品と言われた理由がわかった…でもよかった ・作品 みんなが混ざり合って一つになったり 孤独な人が全てを壊しちゃったり いっぺんも人間を残したくないという神フォスの意思 そういう価値観は現代の資本主義社会とは全く正反対 だからこそフォスの帰結が人間の否定だったのかもしれない ・シンシャ でも本当は多くの人に愛されて特別になりたかったフォス 一方、愛されたい気持ちが自覚できてるシンシャ だからシンシャは幸福の中でもフォスに想いを馳せてたのか ・カンゴーム シンシャは「特別な」ヒメと仲良くやっていた ヒメはたった一人にたっぷり愛されて 無も何も怖くなさそう フォスはヒメのようになれないからブスと呼んだのか 羨ましかったのか まあ寂しかったのもあるだろうが しかしフォスはたった一人との愛を探すことでは満足できなかったのかもしれない ・フォス それぞれが好きなように生きる フォスも好きなように生きたが、 多分自分で何をしたいのか自覚できなかったフォスが 辛かったのはそういうこと 何を望んでるかわからないまま操られてしまった
0投稿日: 2025.05.18
powered by ブクログストーリーは何が何だかという感じであんまり理解できなかったんだけれど、最終巻は今までとページの使い方とか絵が違いすぎて見惚れていた。マンガっていうより絵画とかなんかこう、読むというか見るものに近いよなって思う。上半分真っ白の見開きって見たことあったかな…って早々に思った。ただただ美しい。 詩集読んでも意味わからんから普通のを買ったんだけど、やっぱり買っておけば良かったなってちょっと後悔した。
0投稿日: 2025.04.27
powered by ブクログ・まさかこんなに規模がでかい物語になるとは。読了感が「火の鳥 宝石編」って感じだ。 ・1巻から13巻まで、市川春子先生の感性に圧倒されっぱなしだった。特に生物の捉え方。宝石が主人公な時点でだいぶ変わってるのに、最終的にはあんな風になるなんて。 ・フォスがどこまでいっちゃうんだ...と、続きがずっと気になりながら読んでたなあ。ここまで変わるとは、まったく予想できてなかったよ。 ・宝石も月人も機械も、個性豊かで愛すべき登場人物ばかりだった。バルバタさんとアメシストの関係性が個人的に好き。 ・寺に行って祈りたくなる素晴らしい作品でした。
1投稿日: 2025.04.13
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最初はどこでどんなだれがどんなふうにどうしているのかわからん、と感じ、その茫洋さが魅力だとは思った。 アニメで少なくとも色と声がつき、アクションや舞台の奥行きがわかった。 その後の展開で、もうアートの域に入っていると思っていたが、 最終巻は表現としてもその先へ行き、ほとんど漫画でしか、いや紙の上に走る線と、塗られた面と、塗られていない面と、あとは漫画的な吹き出しと台詞とでしか、表現できない何かに、なっていた。 アニメ2期を確信している者だが、どうやってアニメにするんだろう……アバンギャルドすぎて、できるんだろうか。 それこそ「伝説巨神イデオン 発動篇」とか、「デビルマン」原作(のラストシーンの、その後)とか、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」(シン・エヴァではなく)とか、になっちゃうんじゃないか。 アニメスタッフ、大丈夫か。 そもそも、こんな漫画を完成させてしまった、市川春子さん、大丈夫か。 ご存命なの……か? すらそもそも杞憂先走ってしまって。 読後取り乱してしまっているせい。
3投稿日: 2025.03.17
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人生が変わった、というありきたりな言葉で終わらせるには良すぎる漫画だった。12年の連載、本当に本当にお疲れ様でした。 フォスがフォスらしく終わって、きっとみんなをえがおにする彗星になって散っていったのが本当に美しくて、それを見つめるフォスの後ろ姿がほんとうに眩しかった。 フォスのその純粋さと素直さがどんどん仇になっていく。彼はあまりにも純粋すぎた。 アンタークチサイトは僕の身代わりになりました。 今日の仕事がこれだけじゃ、アンタークに報告できません アンタークとの出会いと別れでまずフォスは強くなって、そこで1度心が壊れて。 その後もラピスラズリの頭部を接合したから聡明になって、フォスだったら分からなかったであろうこともどんどん分かっていって、月に行って攫われた宝石たちの行く末を知って、どんどんフォスの中のフォスフォフィライトである部分は少なくなっていた。 金剛先生が祈れないことに苛立って、でもお互いに愛が残っていたから余計にフォスは苦しんだのかな。 金剛先生が壊れたあと金剛先生の右目を貰って、先生の記憶をすべて取り込むまでには1万年掛かる。 「良い1万年を」 という言葉で一旦1年半休載した。フォス達にとっての1万年って、わたしたち古代生物で言うところの何年に値するんだろう。すくなくともフォスが祈るためのものになるまでの1万年は、あまりにも過酷だったと思う。 ほかの宝石たちはみんな月で幸せに暮らしていたのに、フォスだけは金剛先生の記憶と祈りを引き継いで、フォスフォフィライトである部分は本当に一欠片しか残っていなくて。 フォスはあまりにも人間そのもので、でもやっぱり人間ではなかった。 フォスが祈ったことでほかの宝石たちも、月人も、みんな無の世界に行って、残ったのはフォスと石と、先生の兄機だけ。 兄機は人間じゃないからずーっとフォスを見ていてくれた。果てしない海の中で。あのあまりにも濃すぎる時間を、全部。 兄機のFUNKYさ、本当に救われた。そこまでずーっと悶々とした薄暗い気持ちで読んでいたから。 兄機がフォスフォフィライトの部分を無の世界に一緒に連れて行ってくれたこと、本当に本当にたった1人のフォスの理解者だなと思った。フォスを唯一愛してくれた人。 あけがたいろの花が咲いた。 シンシャだったのかな、あれは。フォスとシンシャはもはや腐れ縁みたいなものだよね、シンシャに楽しくて2人でしかできない仕事を見つけるって約束したから。
3投稿日: 2024.12.12
powered by ブクログスケールと叙情、詩と死は同時に表現できることを示した、人類の表現を一歩進めた作品と言っても過言ではないだろう。
4投稿日: 2024.12.12
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人類浄化装置生成のため、生贄になったフォス。 星の寿命が尽きる日まで、永過ぎる余生が孤独じゃなくて良かった。 人類の終焉から新たな生命体の誕生、星を渡る播種船。 壮大な物語でした。
1投稿日: 2024.12.10
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全巻読んだ フォス… 仲間のために、自分を認めて欲しくてやってきたのにね シンシャにはもう少し寄り添ってほしかったかなあ 規模がデカすぎてそもそも幸せって何よって思った 三つ巴だけど、恨みあってるとかじゃないのがリアル ずっと若くいたい、今の感覚持ったまま絵とか上達したいと願うけど、終わりがあることって幸せなのかもな
0投稿日: 2024.12.06
powered by ブクログフォスはどこまで小さくなるんだろう(限界はあるんだろうけど)、どこまで小さくなってもそこにフォスが存在するのなら、それはもう永遠なんじゃなかろうか、とも思ってしまう。 小さくなって、本来の純粋なものだけが残る。 長い永い時の果てに、望むところに行き着けられるといい。
9投稿日: 2024.12.05
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「宝石の国」 市川春子 全13巻。完結済みです。 正直絵柄が個人的な好みから外れていたのでどうかな…と思っていたのですが(本当すみません)、 テーマがどうしても気になり、結局手を出してしまった 舞台設定は、 地球では人間や主だった生物が死滅している遠い未来。 人間の代わりに宝石の身体を持つ人間のような形の生命体が28人、 それらを束ねる「先生」と呼ばれる僧侶のような格好の男、 その宝石たちをを何らかの意図を持って攫って行こうとする、月からの来襲者である月人とのバトルが繰り広げられます。 読了して思ったことは、 主人公は宝石人なので主人公サイドでのストーリー展開がメインだけれども、 深刻で切羽詰まった精神状態なのは圧倒的に月人の方で、テーマ的に重い部分が多いのは月サイドだったなぁ、ということ。 このテーマで13巻でまとめるのは結構キツキツで、 こんなに駆け足なのは出版社の都合があったんじゃないかと勘繰ってしまうほどでした。 あと、宝石人は完全なる不死とまではいかないものの、 負傷してもある程度の再生は可能なので、 生命に対する価値観が読み手のこちらとだいぶ乖離している点や、 持ち合わせている感情が繊細でない分、 キャラに感情移入できるまでに多少時間がかかりました。 でも、こういう命を持って生まれてきた生命というのは、 生きている期間が長すぎるがために「生」の価値が薄くなってしまうのも当然で、ある意味仕方のないことかもしれません。 月人においては宝石人よりも遥か昔から存在し、こちらもほぼ不死であるため、 描写はささっと済まされてしまっていますが、 それでも垣間見えるどうしようもない閉塞感と倦怠感。 解放され無に還りたい、それだけを拠り所に、 能天気そうな日常を送りつつも心の奥に仕舞い込んで目を逸らしていた、この必死の想いが同情すべきものであり、哀れでもありました。 個人的には月人サイドのストーリーが提供されているものの5倍はあっても良かったかな、と思います。 あまりにも重いテーマを抱えているのに、これだけの描写では材料不足で、作品としては非常にもったいない、と感じました。 結末としてはハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、受け手の価値観によってどちらとも取れるかと思います。 私としてはバッドエンド寄りです。 主人公は再生過程で他の鉱物を取り込んで混ざり物になっていくうちに、結局オリジナルの人格や思考がどんどんなくなっていくし、 一番心を通わせたかった相手には拒絶され、 全員がいなくなった地球に何万年も孤独に耐えなければならず、 地球消滅とともに彼も消滅していくその瞬間に、 彼に寄り添ってくれるべき相手が誰もいないというのはあまりに可哀想すぎました。 せめて幻でもいいから誰かに迎えにきて欲しかった。 これは主人公の晩年(?)に出てくるポッと出のキャラたちではあまりに役割不足で、 「先生」の兄が多少良い仕事してますが、 そもそもこの「兄」はそれまでほとんど登場してきていないので、急にこういう良い事されてもなかなか感情が追いつかなかったです。 あと、バトルシーンが多いのですが、 擬音が少ないせいか、とても静かというか、スローで見ているような錯覚を覚えました。 それはそれで味があり、こういう描き方もあるのかーと新たな発見ではありましたが、 そもそもキャラの顔のパーツの描きわけが私には区別がつきにくく、これ誰だっけ?となることが多かったようにも思います。 とはいえ、テーマとしては秀逸で、スピンオフが出たらかなり奥深いものになるのではないかと。 前述のように、テーマが壮大なわりにストーリーが短いので、 それを基にしつつ自分で脳内補完で楽しめる、という側面はかなりありそうです。 それを始めから意図して作られた作品であったとするなれば、これはもうものすごい作品であると思います。
0投稿日: 2024.11.29
powered by ブクログこんなにハッピーでもバッドでもないエンディングってあるんだあ……!と思った。こんなに何も感想を抱けない終わり方は初めてです。良かったとか悪かったという話ではなく、意識が高尚すぎて理解が追いつかない。そもそも宝石だから我々ニンゲン的な考え方ではなかったし、フォスは更に神になったから余計に「何考えてるのか分からない」状態に。 ただ「みんな幸せになって欲しかった」というのと、「特別な存在になりたかった」のは一貫してたのかなと。 こんなに読者を置き去りにする漫画初めて!!
0投稿日: 2024.11.27
powered by ブクログ一気に読みたかったのに一気に読めなかった作品 リアルタイムでも読んでたので単行本はスラスラ読めると思ってたのに…与えられる感情がドデカすぎて処理できなくなってしまった フォスは幸せだったのかなぁ そうであってほしいな
1投稿日: 2024.11.23
powered by ブクログフォスフォフィライトの無垢。シンシャの孤独。ダイヤモンドの苦悩。ルチルの執着。ユークレースの公平。イエローダイヤモンドの疲労。アンタークチサイトの忠誠。カンゴームの献身。ラピスラズリの知性。どれも遠い夢のように思う。途方も無い時間が彼等を無にして人間の居ない時代が訪れる。働くこと。祈ること。そして遊ぶこと。この物語の居場所を私の中に作るために一巻から読み返したい。
4投稿日: 2024.11.22
powered by ブクログ最終巻。 登場人物紹介にフォスしかいないのが寂しすぎる・・・。 みんないなくなってしまったけど石くんや兄機たちのおかげで、 消滅直前までフォスが孤独じゃなかったことは救いかな。 この作品のおかげで存在を知ったフォスフォフィライトという、 希少で壊れやすい緑色の宝石のことは一生忘れないと思います。 特装版のおまけは兄機の詩集でした。
3投稿日: 2024.11.21
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紙の特装版。 漫画は連載時、読んでた。 詩集は装丁にこだわりを感じる 99話 始まりフォス以外誰もいない長い時間が過ぎました。 人間を内包していない新しい岩石生命体と出会います。 その石はひとつも不満はないと言います。 「僕にひとつも不満はないよ。 君にとって完璧ではないかもしれないけど。 僕は自分が良いと自信があるよ」 フォス「私は誰からも愛されたいという望みがあった。 しかし、望みの正体は知ろうともしなかった。 満たされるはずがない。すべてをなくしてしまった」 100話 調和フォスは石のそばにいます。 石は不思議なうたをうたっています。 ほかの2つの石とも出会い、 3つの石が歌っているのを聞いていたフォスは溶けて形がなくなってしまいました。 101話 残余フォスは「あまりに幸福で溶けてなくなりたくなった」そうです。 フォスは自分のインクルージョン内に微かな人間の残存を感じ、 それにこれ以上、他種族を苦しめないように願います。石がなにか見つけたというので、みんなで行ってみると 目玉から黒い触手が生えた生き物がいました。 そして言いました。 『におうな、人間の匂いだ』 102話 兄目玉は金剛の兄機でした。 フォスの祈りを見学していたそうです。 石たちに「人間は悪影響を与えたやつら、 そいつらを僕とこいつで絶滅させた」と教えます。 フォスは自分のインクルージョン内に人間があるから 人間の完全なる根絶のために自分を消したいため、 兄機に「私を消す方法を知らないか」と聞きました。 103話 無垢兄機のはフォスの存在を消す方法は知らないと言いながらも 分析はしてくれました。 結果、フォスの中に人間はいませんでした。流氷(兄機は人類滅亡後、流氷になっていました。)のとき フォスの腕を取ったのは月人に 「胸の辺りはフォスの本来の純粋な部分があるから取るな」 と言われたからでした。 「人間がいるというのは杞憂だけど、お前は神様だから 杞憂が現実になって、人間を創っちゃうかも。 リラックスが必要」 と言いました。 アユム博士の話になり 石たちと兄機に博士の話を聴いてほしいとフォスが話し出します。 104 千年かけて人間のお話をした 兄機が隕石をぶつけたのはママをいじめる上司にぶつけるためだった石が「人間は何を幸せと思ってたの?」 フォス「それは人間にもわからなかったと思います」 兄機「それよりも不満があった という方が正しいな」石は何を幸せと思うか聞かれて 「みんなの幸せ ここのみんなも かつていたみんなも この先のみんなも やさしい子もやさしくできなかった子も 善い人間も悪い人間も みんな幸せはだとうれしいな」 と答える石たちにはやっぱり人間の影響なんか受けつけてない別れの日 祈りのとき 私もありがとうと応えればよかった一万年過ぎ まもなく水星が太陽に飲み込まれることに気がつく 105 太陽が膨張して水星を飲み込み、地上の気温が大幅に上昇しているようだ。 フォスも兄機も太陽をどうにもできない。兄機「何事もなく終われて幸せかもな」 石たちも、また会えるよ。きれいだねぇ と言っている兄機が持っていたものに亀裂が入っていて、 それが開くと月人の乗り物のようだった。 逃げるための乗り物だった。フォスははじめ、 一時的にほかの星に逃げてもいずれは恒星が膨張し、 宇宙が終わりに追いつかれるとしぶるが、 石ころが歌のアイデアがあるから もう少し時間をもらえたら、とってもうれしいな といい、納得する石ころたち、兄機も全員で乗り込むフォス「私は残ります 橋を燃やさなければなりません」 106 フォスは自分が人間と新たな無機生命体の狭間の存在であり、 人間の兆しを有しているという自覚から、 自分がそこに残ることで、 人間の根絶という仕事を完成させると言います。 兄機は「僕の理解じゃ弟(金剛)と月の役人は 仕事を捨てて、この船で逃げろってお前に言ってるぜ」 と言いました。 フォスは、人間の本性は善。 ゆえに、弱く甘く憂鬱が長引くので、 すべての憂いを断つために私ごと燃やし尽くすのが、 自分の仕事であり、必ず完成させたい。 石たちにも止められますが、決意は変わりません。 そして、フォスを残したまま、 フォスの意思で船は出発しました。 フォスは自分の中の人間に 「あなたはこわがりですものね。でも大丈夫 最期まで私が一緒です。」 と話しかけました。 地上はマグマにようなものに、飲み込まれていきます。兄機は、もうできることはない。 神に説得も強制も無理だといいます。 石たちのひとつが 「彼も君も間違っていない」 そして、兄機は自分の審判を信じ、 触手を伸ばして、降りてきて、 人間のいないとこに連れてくぜ!と フォスの胸の部分をひっぱり出しました。 それは宝石の欠片のようでした。 「あなたを信じます」とフォス。 残されたフォスのカラダはマグマに飲み込まれていきました。 107 兄機はフォスの「人間のいないところ」を持ち帰りました。 それは宝石のように見えます。 細かく砕けてしまいました。 地上に残ったフォスは 仕事をやり遂げたことに満足して、 消滅しました。兄機と石たちは太陽系の最期を見届け 祈ります。 フォスの「人間のいないところ」は 一番小さい弟だとみんながいいました。 兄機のミスで、 その辺の星に不時着することになりました。 そこは美しい花が咲き乱れるところでした。 108 その辺の星は美しい花が咲き乱れる惑星でした。 フォスと石ころたちと兄機が 新しい星にたどり着いてから、 長い長いときが経ちました。 フォスの「人間のいないところ」は 言葉を話すようになっています。 兄機のは実はフォスのことを 月人たちに頼まれていた。 仕事を成し遂げてほっとしてる、とフォスに伝えました。 兄機にとってここは楽園です。 兄機のは動きが鈍くなっています。 「僕が動けなくなったら ママに会えるように祈ってくれよ」と言いました。 フォスは「やりかたしならいけど いっしょうけんめいやるよ」と答えます。フォスはみんなのところに遊びに行きました。 兄機は動かなくなりました。 フォスはみんなと咲いた花を見ています。 近づきすぎて落ちて当たって砕けてしまいました。 砕けて小さくなったフォスは とっても軽くなり、 破片は新しい宇宙を見に行きました。 『大きなきれいな彗星になってる』 と石が言います。 フォスは「だれかのきぶんを あかるくしてるといいな」 と言いました。そして大きな彗星の下には300歳くらいの フォスのような後ろ姿がありました。残ったフォスはまだまだ元気に遊びます。
0投稿日: 2024.11.21
