
総合評価
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powered by ブクログ未開、古代ギリシア、中世ヨーロッパ、近代ヨーロッパそれぞれの労働観をできるだけ共時的に切り取って提示した一冊。具に労働史を記述するのではなく、あくまでも労働観(本書では労働表象)を抽出することに注力しているから、コンパクトに収まっている。選ばれた対象が4つしかなく、ヨーロッパに偏っているけれども、現代の労働観を相対化するには十分な気もする。本書で述べられた労働観の変遷を簡潔に言うと、古代〜中世では、労働=必然性の連関に位置付けられた不自由なものであるため、労働は蔑視されていたが、近代では労働が肯定されるようになった。筆者は近代の労働肯定の行き過ぎに危惧を示しており、最後には、地球全体が労働者=奴隷であり、人間は一度も奴隷制を解体したことがない、という刺激的な主張で締められる。
8投稿日: 2026.01.27
powered by ブクログ一昔前の西洋におけるキリスト教のように、今の私たちは“仕事”を絶対善と捉えているのではないでしょうか。 歴史的にはそれは決して当たり前なことではなく、むしろ特殊な時代であることを、今村仁司さんの『仕事』という本が教えてくれます。 1988年に書かれた本ですが、その視点は鋭く、令和を生きる私たちにも深く刺さる内容です。 今村さんは、当時の社会を“回復不可能な「労働主義」の過剰展開”と述べています。経済だけでなく、政治や文化、学問さえもが労働に合流する。その流れは間違いなく現代にもつながっています。 そこから抜け出す鍵となるのは、「余暇(余裕)」と「遊戯性(遊び)」。 それでも忙しい日常を手放せない私たちは、一体どうしたらよいのか。 学問や文化、芸術を労働化することなく、一つのあり方として許容できる社会に向けて、 私は暮らしの中心に読書を据えて、その道を探り続けます。
0投稿日: 2026.01.13
powered by ブクログ自分にとっては少し難しい内容だったが、労働の尊厳を殊更に主張し、労働社会を促進するという意味においては資本主義も社会主義も同じであるという視点がとても面白かった。古代に見られるような、人間が生きるために必要不可欠な仕事が蔑視されるという状況は、現代の倫理観では受け入れ難いが、今もエッセンシャルワーカーこそ低賃金で働くことを余儀なくされ、見下されるという状況に重なりを感じる。自由で民主的とも表現されてしまうような古代ギリシア社会も、この労働の差別ゆえに奴隷制を必要としていたという事実を知ると、極一部の選ばれた市民だけが自由を謳歌していただけに過ぎない。そして万人が労働者となった現代は万人が労働の奴隷となった社会である。しかしこれから先AI搭載ロボットという奴隷を万人が手に入れられるようになれば、また古代の労働観に立ち返るという方法によって人間が労働から解放される時がくるのかなと想像した。
1投稿日: 2024.09.25
powered by ブクログ3割方理解できたかどうか。だいたい、働くとか労働とか、仕事、活動、行為とか哲学的なことばの意味がしっくりしていないので、ふわっとしか頭に入らない。僕の問題意識は二つある。定年退職後、自分は何をして生きていくか。そして、無職になった長男に、どうやって働くことを勧めていくか。食べていく、動物として生きていくために稼がなければならない。しかし、仮にベーシックインカムがあったとして、働かなくても食べていけるとすれば、それでも賃金労働をしようとするのか。余暇を楽しみ、少しは贅沢をしたいと思えば、いくらか余分な収入は必要である。月7万円では海外旅行は難しいだろう。生きていくだけならばなんとかなっても、2万円もするクラシックのコンサートは聴きに行けない。鴨川の床で懐石料理はいただけない。経済的には余裕が欲しいから収入はあった方が良い。しかし、働くのはお金のためだけではない。地域の活動なども含めてボランティア活動なりなんなり、そういう活動をすることに人はやりがいを感じることができる。人から認められたり、感謝されたりすればなおのことである。賃金労働をするのは食べていくためである。それは必要最低限に抑えて、後は自分の趣味の活動に時間を費やすという人もいるだろう。それはそれでよい。だが、収入を伴う労働と自分の趣味の活動とが重なり合う方が自分にとっては魅力的に感じられる。そういうことができないか。職住一致で人が出会える本屋ができればと考えていた時期もあったが、そういうものがあちこちででき始めており、遅きに失してしまった気もする。それにリスクを負うのも望むところではない。何ができるか、模索する日々である。息子のことはどうか、悩ましい。僕の父は、50年間大工をしていた。「家が建っていく様子を見るのが楽しくて仕方ない」と孫たちに言っていた。幸せな人生だったのだと思う。解説で鷲田先生も書いているが、今村先生が、現在のブルシットジョブが幅を利かせる状況を見てどう考えるか、そこを聞いてみたかった。
1投稿日: 2024.08.31
