
総合評価
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powered by ブクログ2代にわたり女性がネグレクトであり その子供が置き去りにされ命を失う その背景にあった物語を母、娘、その子供の 視点で各章に描かれる どこにでもいる普通の人かもしれないが 経験してきたことが普通かと言われれば YESともいえないかと 幼い命をなんとか救えなかったのかと それ以前に母、娘をもまた救えなかったのかと 実際にあった事件が元になっているということで さらに痛ましく感じました
19投稿日: 2026.02.23
powered by ブクログ実話が元になっているということに興味をそそられ読んでみました。虐待は連鎖するのか…それを問う作品。歪な関係が重なり合い、辛く苦しくなります。ラストはどう解釈したらいいのか…?
0投稿日: 2026.02.14
powered by ブクログ一度入った暗闇から抜け出せないまま読了する非常に苦しい一冊でした。我が子を殺めた張本人が悪いのは当然であるがたったその1人にすべての罪と責任を背負わせることが本当に適当なのか、決してそうは思いません。 機能不全状態に陥り、SOSを発信することが出来ない家庭に対しどう助けを提供することができるのか。残された時間は本当にないのだと改めて痛感させられました。
0投稿日: 2026.01.12
powered by ブクログ三世代の女性がそれぞれ同程度の熱量で描かれているので彼女たちを比較しやすく、虐待や離婚など一言で説明される出来事にも種類があることが分かりやすい。 この作品に登場する男性の多くは妻が問題を抱え始めると逃げる傾向にある。
0投稿日: 2025.12.18
powered by ブクログひたすら苦しい読書体験だった。 機能不全家族の中で育った人間が背負う傷が、どれほど深く、どれほど長く人生に影を落とすのか。 心から信頼できる存在を知らないまま、癒されない過去を抱えて、むしろ自分を粗末に扱う道を選んでしまう不幸の連鎖に、何度も息が詰まった。 幸福な瞬間にさえ、気づけばかすかな翳りが忍び寄ってきて 「おまえは、そこにいて良い人間なのか」と囁く声がする。 この本のテーマになっている兄妹を放置して死なせた事件のように、理解できない出来事の裏側にあるかもしれないこれまた想像もつかないような地獄の存在について、何度も考えさせられた。
13投稿日: 2025.12.16
powered by ブクログ母親の生育環境のトラウマに多くの記述が割かれ、 愛していた子供が、やがて自分の中で自身の人生の邪魔をする存在に変わるまでの心理描写がなかった。
0投稿日: 2025.11.11
powered by ブクログ読んでいて本当に辛かった、、、、 読んだことを後悔したけど目を逸らしてもいけない内容だなと思って頑張って読んだ、、 本の内容にあるほどの暴力的なことはされていないけど、今思うと(当時もだけど)そこまでする?というくらいの大人の本気の力での殴る蹴る等は子供の頃に自分自身が経験あったからそれを思い出して嫌な気分になった。怒られて躾の意味での暴力なのでそこは理解してるけど。 多分ふつう、の家庭だったらここまで力づくでの殴打とか恐ろしい母の形相とか見ないんじゃないかなって思う、、今の友達の話とか聞く限りは、、 当時からストレス発散も兼ねてるだろ、っておもってたからそれが思い出されるのが精神的にちょっときた。 そうされるほどの悪態をわたしもしでかしていたのは事実なので責められないけど。普段の生活で思い出すことなんて全くないのでこの本のせいで?と言ったら言葉が悪いけど気分は悪くなった。 虐待は連鎖する、みたいなことを書かれていたし、私もそれはそうだと感じるけど まさにその負の連鎖が体現されていておぞましいと思った。 ひどく暴力的な父から逃げられない母の様子とかがもう怖くてしょうがなかった。 グロい本とかも結構読んできたけどちがう怖さとグロさで精神的に辛くなる。たぶんこういう家庭での暴力とかのほうがリアルに感じられるからなのかなと思う。 実際に起きてしまった事件を元にしていたみたいで、なおのことフィクションとして読めなくてただただしんどいという感想しか出てこない、、 蓮音も琴音もそれぞれ本当に辛い環境で幼少期からずっと過ごしてきたから可哀想だった、 産まれてくる環境は選べないからどうしようもないけど残酷だなと思った、、 琴音が自分の父が暴力的だったのに自分の夫も暴力的な人を選ぶなんてどうしてだろうと不思議だった。 こう思ったっていう感想だけじゃなくてそれぞれの環境についても書きたいけどそれを文字にするのさえ辛くてむり。 もう次はしばらくは穏やかな気持ちになれる本を読みたい。 でもこの本でこうやって問題提起して考えさせる話を作った作者さんは本当にすごいと思った。
3投稿日: 2025.09.20
powered by ブクログ映画「子宮に沈める」を観て、さらに事件のことが気になり、調べてみると若い頃に夢中で読んでいた山田詠美さんがまさかの執筆! 一気に読み上げました。さすが詠美さんでした。 抜け出せない不幸不運のループ。主人公とその母をかわいそうと思うなら、きっと危害を与えた人たちもまたかわいそうな人たちということになるだろうか。 そして、今まで考えてもいなかった「小さきものたち」目線でのこの事件のこと。確かに、子どもたちはママを大好きなまま逝ってしまったのだろう。さらに辛い切ない気持ちになりました。 不自由なく子育てのできている自分の環境に感謝。子どもには、たくさん愛情を注ごうと思いました。ありがたいことに、それができるのだから。
1投稿日: 2025.09.15
powered by ブクログ読み終わってしばらく経っても、ざわざわした気持ちが残り続ける。 山田詠美さんの人間の心の機微を描く文章力がすごい。 親や、周囲の人から子供時代に受けるもの。 それは人格形成に大きな影響を及ぼすはずだけれど自分では決して選べない。 蓮音が1人でも信頼できる人と出会えていれば、ここまで最悪な事態にはなっていなかっただろう・・と思うと悲しくてたまらない。
1投稿日: 2025.09.07
powered by ブクログ何がきっかけだったのか、誰が一番悪いのか……そんなふうに一言で片付けられる話ではない。 小さな選択が積み重なり、結果として大きな事件になってしまったのだと思う。 その「小さな選択」をより良い方向へ導くには、やはり良い人との関わりが欠かせないのではないだろうか。 けれど、その「良い人との出会い」自体が、生まれ育った環境によって大きく左右されてしまうのかもしれない。 では、自分を俯瞰できる力さえあれば、どんな環境にあっても正しい選択ができるのだろうか。 一見、遠い話のように感じられるけれど、決して他人事ではない。 むしろ他人事で終わらせてしまう社会であってほしくない。 もちろん自分に何ができるかと問われれば、簡単に答えられるものではない。それでも、考え続けずにはいられない。 このような事件が繰り返されない社会になることを願うばかりだ。
21投稿日: 2025.08.23
powered by ブクログ考えさせられた本だった。もちろん1番の被害者は罪のない子供たちなんだけど、はすねも琴音もそれぞれ被害者で救いの手がうまく差し伸べられなかったんだと思うと苦しい。
0投稿日: 2025.05.02
powered by ブクログ2025.4.5 大阪であった二児遺棄事件がモデル。 真夏の暑い部屋に閉じ込めてドアもテープで塞ぎ、餓死させてしまった我が子を確認しても遊びに出かける精神… 普通なら考えられないけど養育環境が悪いこと、周りに助けてくれる人がいなかったことで本人はどうすればいいか分からなかったんだろうな。 困っている人をピックアップできる社会制度が整ってほしい。
0投稿日: 2025.04.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
実話かなと思って読んでいたら、フィクションだった。 なぜ、餓死させてしまう程放っておけたのかと思っていたが、育つ環境が悪かったり、物を知らなかったりすると、そういう状況に追い込まれる事もあるのかもしれない。せっかく幸せになれそうでも、自分から意地を張って遠ざけてしまうのはどうしてなんだろう。
5投稿日: 2025.03.26
powered by ブクログなかなか読むことができずにいた小説。 読み始めたら、思っていたよりそれぞれの視点から描写されていて… それがどれもとても辛く、でも何とか希望が見えないかずっと探りながら読み終えた気がします。 今でも続く事故や事件… ニュースなどで結果しか知ることがないけれど、その背景をたどるときっと語り尽くせない苦しみや物語があるのだろうな。 けれど、やはり何があってもこどもが犠牲になってはいけないと強く想う…
1投稿日: 2025.03.23
powered by ブクログ辛くて辛くて少しずつしか読み進められない。ようやく読め終えることができた。よかった。この本を読めば、努力が足りないとか自己責任だとかはとても口にできない。
1投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログつらい。何度も読むのを中断した。 「つみびと」だらけの中で唯一の光である小さき者たち。そして自分の母を思い出して初めて可哀想だと思った。 私は絶対に自分を生き抜く。母のようにはならない。 そう言い聞かせて自分を奮い立たせる蓮音に自分を重ねてしまった。
0投稿日: 2025.03.09
powered by ブクログ登場人物が入れ替わり立ち替わりそれぞれのエピソードを細切れに語る体裁だが、これが割とわかりにくく、なかなか話の大筋が掴めなかった。 このおぞましい、でもどの親でも犯す可能性は十分にありうるあの事件を題材にするにはかなり冒険なのではないかと思う。 ルポタージュであれば、すんなり頭に入るが、あの事件を題材にした小説となると、どうしても最初から最後まである種の嫌悪感が拭いきれなかった。
0投稿日: 2025.03.09
powered by ブクログずっと心に引っかかっていた事件だったので。 フィクションなので実際のところは分からないけど、社会って残酷だなぁと思う。 子供が被害者にならないように、誰しもが助け合える社会になることを祈って。
0投稿日: 2025.03.01
powered by ブクログ彼女がしたことは犯罪で許される事ではないのだけれど、幼少期から環境に恵まれていたら…と思ってしまう。 ただ幸せになりたかったはずなのだけれど、周りを取り巻く環境や生い立ちがあまりにもそれを阻んでしまっていて、なんとも言えない気持ちになる。 「幸せ」という言葉がとても切なく儚く感じた。
0投稿日: 2025.02.28
powered by ブクログ読み切れた… 誰かに傷つけられた時その悲しみや苛立ちは、自分が気付かない内に違う他者を傷つけている時がある。 負の感情は嫌な連鎖をしてしまうからまずは自分が関わる人に優しく(難しい場合は最低限大人の対応)していきたい。 自分が誰かに傷つけられても他者に連鎖させない。
0投稿日: 2025.02.26
powered by ブクログ“鬼母”と呼ばれた蓮音、蓮音の母親 琴音、蓮音の子どもモモタとモネの3つの視点で語られる、ネグレクトを題材にした物語。まさか実際の事件をもとにしていたとは。 モモがどんどん弱っていく様を見るのはつらかった。 まさに虐待の連鎖、なんだけど、それは「血」なのか「環境」なのか…蓮音が生まれ育った地は閉鎖的な土地なのだろう、「血縁」が重視され過ぎている点も悲しい。
0投稿日: 2025.02.08
powered by ブクログ二人の幼い子どもを放置して死なせてしまった母は鬼畜と呼ばれた、でも・・・その母は不幸な生い立ちであった。ネグレクト・虐待は連鎖する。だからといって仕方ないとはならない。やっぱり今回の小説(事件)に出てくる母蓮音には同情できない。琴音から蓮音へと続く不幸の連鎖は確かに気の毒だし、その影響は計り知れないとは思うけど、蓮音の身勝手さに読んでてイライラした。子どもたちがただただ可哀想。やるせないです。
0投稿日: 2024.12.16
powered by ブクログ身を置く環境は大事だと思った 琴音も蓮音も、音吉や笹谷も、 それぞれ育った環境が分岐点になっているのだろうが、 みんな素直で真面目な人という印象を受けた 蓮音だけが鬼と呼ばれ非難され重い刑を受けたが、 「つみびと」は決して蓮音だけじゃないよね、と思った 育児放棄や赤ちゃんの遺体遺棄事件で逮捕される女性達が頭をよぎった 「逃げる」と「放り出す」は似て非なるものだと気付いた 色々な視点から糸を撚り合わせるように話が進んでいき、とても惹き込まれた 山田詠美って後味の悪い気持ちになると思ってばかりいたけど、 それと同時に読みやすいんだなと思った
2投稿日: 2024.10.31
powered by ブクログ2010年7月、大阪で実際に起きた二児置き去り死事件をモチーフにしたフィクション。 23歳の蓮音(はすね)は、 幼い二人の子ら(4歳と3歳)を狭いマンションの一室に置き去りにして、自分は遊び呆けていた。そして真夏の灼熱地獄の中、幼い子供たちは、餓えと渇きで死んでいった。 テレビのニュースやワイドショーでは「ネグレクト」だ、「鬼母」だと連日とりあげられ、世の中から糾弾され、また蓮音の周りの関係者たちも執拗に問い詰め苦しめられる。 なぜ蓮音は愛していたはずの幼な子二人をマンションに置き去りにしたのか。 この悲惨な出来事はなぜ起きてしまったのか。何が蓮音をこうさせたのか、、、。 蓮音の家族に長年続いた育児放棄や暴力の連鎖が悪い方悪い方に向かって奈落の底に堕ちていく様が深く掘り下げられる。 生い立ちや境遇のせいだけではない何かがあるんだろうと想像力を働かせながら読むけど正直、胸糞悪くてなかなか読み進まなかった。しかも文章がびっしりで、その上時系列が突然変わったり、琴音と蓮音で紛らわしい母娘の名前に頭がこんがらがった。 本当に罪深いのは誰なのか、と言われてもね。 男たちがクズすぎるし、依存する女たちもクズだし。 ただ、マスコミ報道などを鵜呑みにして母親だけを悪者にしてはいけないと思った。 (昨今のいろんな事件についても) 巻末に掲載されている、精神科医で作家の春日武彦さんとの対談がとても興味深かった。 2024/10/4読了
0投稿日: 2024.10.30
powered by ブクログ「子宮に沈める」を見る勇気がなかったので、こちらを手に取った。つらいことしか書かれていないのだが、スルスル読めてしまうので、さすが山田詠美と思う。登場人物たちのバックボーンを物凄く丁寧に掘り下げている。 モモとモネっちは100%被害者だ。何せ、たった4歳と3歳の子供で、無条件に愛されて護られるべき存在なのだから。でもそれは、琴音と蓮音が子供だった時もそうだったはずなのだ。 彼女たちは生き延びて大人になったけど、体は大人でも抱えているものは子供の頃から変わっていなくて、傷は癒えず、癒し方も分からず、癒す場所もない。 蓮音がしたことは絶対に許されないけれど、そこに至る全てが理不尽だとも思った。 なんかこう、大なり小なり、嫌な現実から目を背けてみたものの、もう一度直視するには背ける前にみつめた何倍もの勇気と気力が必要になる、あの感覚。蓮音の焦りみたいなものが、なんとなく想像できてしまうのが、また辛かった。
0投稿日: 2024.10.05
powered by ブクログ実際の事件に基づいた作品だからリアリティーに溢れていて、そうだろうなというような憶測の通りに苦しい展開が丁寧に狂わずに続く。 読みたい、読んで何かしたくなる作品でも光もない。それがただただ事実が故、もどかしい気持ちでいっぱいになる。
1投稿日: 2024.07.19
powered by ブクログ実在の事件を基にした作品。幼子2人を放置して死に至らしめた主人公の生い立ち。母のネグレクト。悲惨だけど、恋の描写は甘くて山田詠美の作品だということを思い出す。 母子手帳をもらった帰り一気読みした。
1投稿日: 2024.07.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
大阪で起こった二児餓死事件を題材にした小説。 子どもを置いて帰らず、死なせてしまった母親の蓮音の生い立ちとその母である琴音の生い立ちと、死んでしまった子どもたちの様子とが繰り返しで語られる構成。 蓮音の母である琴音は幼い時に、継父に性的虐待を受けていた。 その後、結婚して子どもを蓮音の他に2人産むが、子どもたちを置いて家を出る。 そして長女だった蓮音は妹たちの世話をした。 その後、蓮音も結婚して子ども2人を授かるが、結婚生活は上手く行かず離婚となる。 蓮音は誰にも頼れず、なんとか子どもたちとの生活も試みていたが、力尽きたというか、母親の前に女が優先されたように見える。 もう少しどうにかならなかったのか… いつでも、人間としてのプライドが邪魔をしているような気がする。 仕方ないのか… 色々と複雑になるが、子どもだけはなんとか助けて欲しかった。 2024.6.24
2投稿日: 2024.06.24
powered by ブクログ極上の読書体験。 自分が経験できない体験を、なんの代償も無しに味わえるのが読書の醍醐味なのだとしたら、最上級。 しかし、面白かったといえば、否。 内容にあまりにも救いが無い。どう足掻いても。 〈小さきものたち〉の段が丁寧語で表現されているのは、子供が自分の感情を言語化出来ない様子を第三者視点で語らせてるようでもあり、あどけなさやいたいけなさを表しているようであり、健気。 田舎の嫌な部分を濾し出したような、『少年のアビス』にも通ずる絶望感。閉鎖環境での救いの無さ。情報の秘匿など不可能。外に出たがる者と内に留まる者。 境遇・環境・教養・教育。学歴の違いが生み出した悲劇と、そう簡単に片付けてはいけないが、登場する人物に圧倒的に足りないのは、他人に対する想像力。持ってるのは森永さんくらい。 私も、想像力を養い続ける為に本を読む。 幸も不幸も自分次第。
10投稿日: 2024.05.31
powered by ブクログ2010年に大阪で起きたネグレクトによる二児餓死事件をもとにした小説。 母親、祖母、子供たちの視点から繰り返し語られるので、それぞれの事情やその時の気持ちがすれ違う様子がわかり、苦しく、読むのが辛かったです。 今もどこかで助けを求められない母親や虐待に苦しんでいても声をあげられない子供達がいるかと思うと本当に辛いです。 母親一人が処罰され責められるけれど、一人の問題ではないということを理解し、助けを求めたり助けやすい社会の仕組みがもっとできることを願うばかりです。 家庭のことだから介入が難しいことも想像できるので、そのためにはどうすればいいのだろう。 この事件から12年経つけれど、同様のネグレクトや虐待による死亡事件は無くならないのが悲しいです。
3投稿日: 2024.03.20
powered by ブクログ辛い時、周りを見渡せば助けてくれる人はたくさんいるのに、 当の本人はそれに気付かない。気付けない。 何とか自分の心を保とうと、妄想や逃避してしまう。 とても身に覚えのある状況で苦しくなった。
2投稿日: 2024.01.21
powered by ブクログお正月に読む本ではありませんでした。 どこからがフィクションなのか分かりませんが、これが現実の話だとしたら救いがありません。母も子も、余りにも可哀想すぎます。不幸な生い立ちがまた不幸を呼ぶだけではないのは母の兄を見れば分かりますが、そこから抜け出すのは相当の覚悟と運も必要。そして、一旦落ち始めると止められるのは最初のうちだけ、直ぐに勢いが付きそうなると這い上がるのはもう難しい。このような境遇から救うために社会保障や福祉とかってあるのではないのでしょうか。
6投稿日: 2024.01.03
powered by ブクログ珍しく文庫を待たずにハードカバーで購入したもの。山田詠美のファンだけど、これは良い意味で山田詠美らしくない作品。でも、山田詠美にしか書けなかったとも思う。 それだけ大切に、出来るだけ事実に基づいて書かれたのかと推測した。女性として、母として生きることの難しさ、子育てが容易に女性を孤立させてしまう怖さ、母親を愛を求める子どもの純朴さ。 彼女は十字架を背負って生きていく。少しでもその重荷を一緒に背負ってくれる人たちに出会えるよう祈るばかり。
0投稿日: 2023.09.25
powered by ブクログ実際にあった悲しい事件をもとにしたものなので、分かってはいたけれど一切救いはなくて読後感は辛い思いになった。 地獄の歯車には抗えないものなのかな、人間って。大小なりとも皆あるんじゃないかな、負の歯車が。どこかしら錆びてたり、軋んでたり。でもきっとこの人たちの歯車はもうどうしようもなく壊れ切っていて回るたびに阿鼻叫喚を轟かせてたはずなのに。色々と深く考えてしまう、否応なしに考えさせられてしまう。
10投稿日: 2023.09.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
大阪で起こった幼児二人を部屋に置き去りにしたまま若い母親が放置して餓死した事件ーー ここから構想を得たフィクション作品、だが重すぎる。 事件を起こしたのは娘 蓮音。 厳格で真面目な父、でも家庭より自身の立場や理想を優先する。 母の琴音は小さい子どもを置いて逃げた。 父は仕事はすれども家のことはなにもしない。親の代わりに、小学生のころから幼い子二人の世話をした。 歪みはじめる蓮音。自分を自分で大切にできない。 母親 琴音。彼女もまた愛のない家庭だった。 つねに暴力をふるう父親。それを耐える母、怒る兄、怯える自分… やっと父親から解放されて現れた継父から性的虐待… 守ってくれるはずの母親も壊れていき、琴音の精神が蝕まれていく。精神病院にもかかったがあまりにも深い傷は人格すら壊していく。 そういう彼女が家庭から、子育てから逃げてしまうのも仕方のないことと思えてくる。 この本は幼児置き去り事件にとどまらず、蓮音の幼少期〜事件に至るまでの経緯、そして母 琴音の子ども時代〜結婚、家庭、家を出てからの生活、と二人の母娘の人生がつづられている。 しかも交互に語られる話が、しだいにどちらのことが区別がつかなくなっていく。 「母親不適合」と世間から烙印をおされる琴音だが、彼女なりにどうすればよかったのかを何度も自身に問いかける。 自分が逃げたから、自分が置いて行ったから 琴音は何回も心の中でつぶやく 「虐待は連鎖する」と。 では、虐待された自分が娘のまえから消えたのに、なぜ娘は虐待するのか? 置いて行った娘と縁がきれたのに、なぜ? 遠目に一度見た娘家族は幸せそうに見えたのに、なぜ? そんな琴音に声をかける音吉の容赦ない言葉が刺さる。 「そもそも置いて出て行ったあなたは言える立場にない」 完全に遮断してしまうほどの強い言葉… でも琴音はそうしないと精神がまた壊れてしまう。 子どものころに音吉のような、理解ある大人がいて受け止めてくれたなら、なにかが変わっていたかもしれない。いや、変わっていてほしい。 救いのない話で苦しい、、 2010年の事件からすでに10年以上。 いまだに育児や家事は女性の側に負担を強いられている。 母子で孤立している女性の叫びは届かない。 衝撃的な内容だが、学校教育で教えるべきことだと思う。 子どもを産み育てるには覚悟がいることを。 途中で放棄はできない。放棄した行く末のことを。
3投稿日: 2023.08.29
powered by ブクログ大阪二児餓死事件を元にした小説。マンションに残された子供達のパートは読んでいてなんともたまらない気持ちになった。母親を鬼母と責めるだけではこの事件から何の教訓も得られないと思い知らされる。
1投稿日: 2023.08.16
powered by ブクログ賢者の愛を読んだ時のことを思い出した。 山田詠美は、感情の憎悪の部分を細かく描写するのが上手いなあと過去にも思ったんだっけ。 一応フィクションだそうだが、数年前に取り立たされた事故(事件)だったし どこかで聞いた犯人の生い立ちだったし、 なんなら東京の足◯とか兵庫の尼◯とかでよく見聞きするような生々しい内容だった。 生い立ちが凄惨だった場合、そこから打破するのって難しい。親を反面教師に強い気持ちで勉学に励めればいいけど(琴音の兄、勝みたいに) どうしても負の連鎖は続くし、多くの人は脱却する術を知らない。「人生こんなもんだ」って嘆きながら同じような境遇の人と結婚して他の世界を知らないまま親になり、子どもにも伝播していくんだと思う。 一言で言えば親ガチャの末端。 幼児を育てる親として、身につまされる思いで読んだ。
1投稿日: 2023.08.10
powered by ブクログ購入済み 2023.07.26.読了 前々から山田詠美さんの作品を読もう読もうと思いつつ今回に至ってしまいました。 初の山田詠美。 毎日のように起こる猟奇的殺人や子供が被害者となる事件。そして終結しない戦争。世界的な熱波、酷暑。人間の頭はどうかなってしまったのか? この作品の題材となった事件はよく覚えている。真夏の灼熱のマンションの一室に幼い兄妹が置き去りにされ飢えと渇きで亡くなった。母親はホストに狂い、遊び呆けていたという。 なんと残酷で救いのない事件であることか?こんな無責任な母親が居てよいものか?鬼畜だ!悪魔だ!と毎日のように報道されていた。 しかし 幼い、手放しでかわいい我が子をなんの事情もなく、邪魔だからという理由で置き去りにできる母親などいるものだろうか? 子供は母親ひとりでは産むことはできない。必ず父親が存在するし、他の血縁者もゼロではないはず。なぜ救えなかったのか?という思いが拭えない。 そこにはこんなストーリーがあったのではないか?という山田氏の見解としての本作。 心の病を抱えた母親たちが受け継いでしまった負の連鎖。ネグレクト、児童虐待がもたらす選択肢のない子供たちの人生について綴られる。
0投稿日: 2023.07.07
powered by ブクログヨハネによる福音の「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい」を思う。 13年前、マンションに置き去りにされ、餓死した子どもたちがモチーフの物語。子どもたちの母・蓮音、母の母・琴音、そして子ども、語り手をかえながら、その日に至るまでが描かれるのだけれど、蓮音と琴音の物語は、どちらのそれを読んでいるのか曖昧になるくらい、ふしあわせの質が似ている。ぞんざいに扱われ、それを受け入れざるをえない暮らしからくるもの。蓮音が「つみびと」になり、琴音がならずに済んだのは、誰と出会えたのか、という違いだけ。 子どもたちの命を消したのは、決して蓮音1人じゃない。 これは小説だからもちろんフィクションなんだけど、罪の背後に導いてくれる。
1投稿日: 2023.06.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
大阪二児置き去り死事件に着想を得て書かれた作品。置き去りにした女性は風俗店で働き、遊び歩いていたという設定。もう一人の主人公は女性の母で、女性が子供の頃に家族を捨てていた。この母は虐待を受けて育ち、精神を病んでいた。母の不遇な身の上が娘にも連鎖し、結果として置き去り死につながった。二人は合わせ鏡のように似ているのだ。 あくまでも小説だが、陰惨な事件がなぜ起きるかという問いの、ひとつの回答として納得感のある作品になっていると思った。 しかし、大変しんどい読書であった。内容が不幸に満ちているからというより、すべてのキャラが山田詠美がしゃべっているようにしか思えず、余白が感じられず息が詰まった。 わざとやっているのだろうが、母と娘が口調までも似すぎていてキャラが立っていない。女は蓮っ葉で内面は純情な愛されたがり。また山田得意のこのキャラかと思ってしまった。 幼くして死んだ子供も、全然子供のリアリティがない。説明のため作者に喋らされてる。 もう少し慎重に、気持ちに迫って書いても良かったのではと思う。 大御所が馴れた筆で怒涛のごとく書いた、という読後感であった。
1投稿日: 2023.06.16
powered by ブクログ誰を視点にするかで評価が変わってくる作品。母なのか、子なのか、そのまた子なのか。誰でもいいのなら他の人の行動が理解できないのだろう。血が連鎖しているとはいえ、全くの別人なのだから。 ってのは建前で、伸夫がキモすぎた。
2投稿日: 2023.06.08
powered by ブクログ2023/04/13読了 良かった。が、、引っ張られる。数日間抑うつっぽくなり気持ちが晴れなかった。それほど文章表現が優れているんだろうなぁ 人に会う日は読まない方がいいと思う
1投稿日: 2023.04.13
powered by ブクログ【大阪2児餓死事件】(Wikipedia) 大阪2児餓死事件とは、2010年7月30日に発生した大阪府・大阪市西区のマンションで2児(3歳女児と1歳9カ月男児)が母親の育児放棄によって餓死した事件。 本作品は、この事件を基に描かれたフィクションである。 タイトルは『つみびと』 表紙に大きくそう書かれたひらがなの隣に、英語で『sinners』と並ぶ。 日本語のタイトルだけでは伝わりきれないものが、英語に含まれている。 そう、複数形になっているのだ。 2児のいる部屋に粘着テープを張り、夏の暑い中50日子どもを放置し、餓死させた母親は、懲役30年という有期刑の中で最長の刑に処された。これだけ見ると、つみびとは2児の母親なのかもしれない。 しかし、本当にそうだろうか。本当に、彼女だけが悪いのだろうか。 そう思いながら、必死に読む、読む、読む、読む。 胸の奥のほうで流れている血液が、切り裂けた表面からずっと、とろとろと、まるで止め方を知らないように流れ続けていくような、そんな読書の時間を過ごした。 つみびとは誰か。誰と誰なのか。誰と誰と誰が、彼女だけをつみびとに仕立てあげたのか。なぜ彼女以外は、つみびととして裁かれないのか。なぜ彼女だけが、ぜんぶの罪を被ることになったのか。 事件の全容はたぶん、『ルポ 虐待:大阪二児置き去り死事件(杉山春)』に描かれているのだろう。あくまでこの作品は、実際の事件を基にした、フィクションである。 読みながら時々分からなくなる。これは、2児の母親である蓮音の章なのか、蓮音の母・琴音の章なのか。 しかし、それは入念に仕込まれていた。 二人が育った環境は、あまりに酷似していたのだ。 「虐待の連鎖」という言葉は、好きじゃない。 だけど、蓮音も琴音も、父親からの暴力というものに、親和性があった。 重なり合っていた二人の物語が、ページを重ねていくにつれ、気付かされること。 それぞれの見ていた景色が、異なってくる。 琴音から見た夫(隆史)の描写に、暴力はそれほどないものの、蓮音から見た父(隆史)の描写には、暴力が溢れている。 いったい、つみびととは誰なのか。 家の中で暴力を振るい、権力を行使し、その家族が病んでいくことは、何らかの罪に問われないのだろうか。 何がその人を、暴力に搔き立てるのか。 巻末の、著者である山田詠美さんと精神科医で作家の春日武彦さんの対談によると、人間が不幸になる理由として、以下の二つがあげられるそうだ。 ①大間違いな工夫(本質的な問題を見ないようにして、日常を過ごすために気持ちを工夫する) ②痛々しい見当違い(なんでも自分のせいだと思い込む) 蓮音だけではない。彼女が生まれ育った家族、母である琴音が育った家族、そこで日々隠されてきた罪が雪だるま式に膨らんでいった結果が、この事件だ。 P93「困っているのは父じゃない。私たちなんだ。そう訴えたいのだが言葉にならない」 P123「一度で良いから、こう慰められたかったよ。お前だけが悪いんじゃない、と」 P322「結局、普通ではない自分自身に我慢がならず、罰を与えようと行動に移してしまう」 P345「ただ、なりふりかまわず叫べばよかったではないか。助けて!と。でも出来なかった。だって、幼いころから助けを求めたことがないのだもの。彼女のその声は、いつも封じられてきた」 子どもたちは、いつだって助けを求めてる。 その声に、耳を傾けることができるか否かだ。 その人が、子どもの声に耳を傾けきれなかったら、その人は、別の人に助けを求めてほしい。 この「助けを求める」を、適切な助けをしてくれる人のところまで、運ばなくちゃいけない。 直接的な援助をできない大人にできることは、これだけだ。 この作品は、一人で懲役30年という処罰を一身で背負うことになった蓮音の、罰に至るまでの物語であり、蓮音をとりまく、彼女のSOSに手を差し伸べなかった大人の、大きな罪の物語である。 最後にもう一度問いたい。 つみびととは、いったい誰なのか。 そして、わたしのような児童福祉に関わる専門家は、どうしたらこのような事件を防げるのか。 対談P422「援助者としては『どうしようもないから見守っていた』、しかし傍から見れば、『放置していただけ』」 児童福祉問わず、対人援助をしていると誰もが経験する、こういった「どうしようもない」ケース。支援者は自身の何もできなさに落ち込み、自分を責め、心を病むことだってある。 これに対する春日武彦さんの言葉は、全対人援助業務をしている人の救いになるだろう。 今月の残りの有給休暇:あと8日
61投稿日: 2023.04.06
powered by ブクログ血か、連鎖か、環境か。 体の奥底に固く積み重なってきたものを、一枚一枚針で突っつくようにしてめくってゆく。 どうして自分はこうなってしまったのだろう。 助けを求めるというのはそう簡単ではなかった。わかっているのに止められない。 吹き出す痛み、苦しみ、叫ぶ声。当事者では、あるいは当事者であればこそ、表現しきれないようなこの渦巻く感情を、それでも説明の付かないもどかしさごと作者は言葉にしてみせる。 二人の子どもたちの本当のところの声、それが聞けたなら、そしてそれを蓮音に伝えられたなら、と思う。
2投稿日: 2023.03.27
powered by ブクログもっと周りが手を差し伸べられていたら…。いや、その手に気付けなかっただけなのかもしれない。気付こうとしなかったのか。やっと気付けた母のように娘もいつか救われるかもしれない。生きていれば。小さき者たちにはその日はやってこないけど。こんな過去があったらそうなるか…と同情しそうになる度、小さき者たちの叫びがどんな過去があってもそうなってはいけなかったことを思い出させる。
2投稿日: 2023.03.26
powered by ブクログ読了した。 もう少し、事実を知らなきゃコメントできない。と思う。 どの立場で考えるか、とても、とても慎重になるノンフィクションストーリー?だった。
0投稿日: 2023.03.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ほぼノンフィクションのお話だったんですね。 母の琴音、娘の蓮音、小さきもの(蓮音の子供、被害者)のそれぞれの視点で描かれています。 琴音と蓮音がたまにごちゃごちゃになって少し読むのに苦労しましたが、後半からはサクサク読めました。どの立場でも絶望的に酷くて読むのが辛かった。特にモモとモネに関しては何でこんなに純粋で幼気な子供が…と胸が痛みます。蓮音だって十分に子供を愛していて、宝物とか大好きとか言ってるのにどうしてああなってしまったのか。もちろんモネとモモが一番可哀想なのですが、蓮音も辛い。小さい時から頑張りすぎていた。ちゃんと愛情を受けていなかった。自分自身を大切にできていなかった。現実逃避するしかどうしようもなかったんだなと悲しくなりました。殺したのはもちろん許せない事ですが、そうならない社会であってほしいと切に願う作品でした。
2投稿日: 2023.03.04
powered by ブクログ実際にあった大阪二児餓死事件を題材にした作品で、 当時かなりセンセーショナルで忘れられない事件。 山田詠美さんがこの事件を『つみびと』という作品にしていることを最近知り、読んでみた。 亡くなった子供の視点、事件の犯人である母親の視点、そして犯人を育てた母親の視点の3つの立場が 順番に繰り返される構成で この事件を客観的に多角的に捉える事ができる作品。 あなたが同じ環境だった場合、どこまでその抱えている問題をクリアしていけますか? という世の中に一石を投じたい著者の強い気持ちを 感じた作品でした。 同じ事件を題材にした映画『子宮に沈める』も 見ておいてほしい。特に、子供をこれから持つ 若い世代の方に。
0投稿日: 2023.01.13
powered by ブクログわたしは子供がいないし、子供が欲しいと全く思わないから感情移入が苦手なジャンルの話だった。でも、子供たちは本当に可哀想。 言葉足らずながらも母に気に入られようと必死に話しかける5歳の子の言動には涙がこらえられない。 そもそもこの本は、虐待や子育て福祉、教育の欠如に興味があるから読んだ。 あと山田詠美さんの他の作品が好きだったから。山田詠美さんが得意とする、恋愛関係や性生活に現れるひとの欲望や心持ちの汚らしさ、稚拙さ、愚劣さの表現を各所に感じる。
2投稿日: 2022.12.29
powered by ブクログ傷つき続けた子どもたちの物語。 誰か助けてと、 読みながらずっと思った。 * 学生時代以来、 とても久しぶり読んだ山田詠美は、 読みやすさと説得力を強化していた。 専門家として日常的出会う、 傷ついた心を、 ここまで表現してくれてありがとうとさえ思った。 だからこそ巻末の、 対談の不思議な軽さが棘のように残る。 あと、 PTSDと診断してあげて・・・。
1投稿日: 2022.12.16
powered by ブクログ2010年に大阪で起きた、幼い二児が自宅で餓死した事件をモチーフにした作品。 最近もちょくちょく子供への虐待のニュースが報道されているせいか、この事件の記憶自体ほとんど残っていなかったんだけど、逮捕されたシングルマザーの母親が子供たちを置き去りにして遊びまわっていたことが報道され、当時ワイドショーを中心に世間は非難一色になったようだ。作品の読了後に事件のアーカイブ記事をいくつか読んだけど、さすがにこれは糾弾されて当然の所業だわと思った。 しかし一方で、この母親がなぜこのような悲惨な事件を引き起こすに至ったかについては、テレビ等では突っ込んだ考察はあまりなされなかったらしい。それならばと著者は小説という形式で、想像力を駆使してこの母親の転落の軌跡を描いてみたということのようだ。 事件を起こした母親と祖母にあたる女性、そして置き去りにされて死につつある子供の計3人の視点で物語は進んでいく。 ページ数以上の重厚さがあり、ノンフィクションの形式では絶対に描けなかったであろう生々しさが伝わってきた。特に子供視点のパートは、あまりの痛々しさに読み進めるのがつらかったほど。 ただ、幼少期のトラウマが原因で数年後に大きな事件として結実するというのは、小説としてはちょっとパターン化しているかなというのは気になったところではある。実際はどうだったのだろうか。 基本的に細かいところまでがっちりみっちり描写してある作品は、その密度に反比例して読者の頭の中で想像する余地が無くなることが多く、個人的にはあまり好きではないのだけれど、この作品に限っていうと、第三者が目を逸らしたくなるような現実の酷い事件にきちんと読者を対峙させてこそ見えてくるものがある、という著者の意図が感じられ、読み進めるのは大変だったけど、これはこれでありなのかなと思った。
1投稿日: 2022.10.16
powered by ブクログ2児置き去り事件から山田詠美が想像した、あり得そうな話。 事件だけ見ると、母親を鬼だとか言いたくなるかもしれないけど、そこに至った経緯を想像してみようよというメッセージのように感じた。 いつも登場するような、ちょっと痛い上から目線のおばさんは、ほぼ出てこない。どうしてそうなった?をどんどん追い求めていくような、そんな構成。 それなりの水準以上の家庭に育った人たちには、あまり実感出来なくて気分が悪くなるだろうなぁとも感じた。どうしてそう転ぶのかって共感できないだろうなぁ。 でも、現実問題こんな世界に生きてる人たちはいっぱいいる。そして思考回路も、そういう人たちのそれ。よくここまで表現したなぁと思う。 ただ、そういう風に育った人たちには、そんな語彙力はつかないよとは思った。まぁ山田詠美の小説なので、登場人物から語彙力取っちゃったら山田詠美じゃ無くなっちゃうけど。 男性側の視点もあると面白かったなぁ。 札幌市の図書館
2投稿日: 2022.09.04
powered by ブクログ面白いか面白くないかで言ったら面白くない。ネグレクトで子を死なせてしまう母は、その母にネグレクトされていて、家族を知らずに育った。じゃあ仕方ないねとはならないし、でもだからといって何ができるのかといえば何もなく。救いがないといえば救いがない。シングルマザーだからとか、虐待は連鎖するとか、そんな安易で簡単な言葉ではすませることはできない。ただ、どんなであれ事情は少なからずある。それが納得できなくても。
4投稿日: 2022.09.03
powered by ブクログ2児置き去り事件をモチーフとした小説。 「つみびと」というタイトルだが、つみは個人に紐づくものではないと感じた。 罪の元となるウイルスが人に感染する中で変異していき、環境により様々な罪として発症するように見えた。 第三者が介入することで、この元となるウイルスを駆除したり、発症しない環境を整えられたら、このような悲劇は起こらなかったかもしれない。 山田詠美さんの他作「マグネット」を再読したくなった。「マグネット」では、罪と罰が等価ではない事が書かれていたが、罪を負うまでの経緯にも着目したい。
1投稿日: 2022.08.23
powered by ブクログこれは小説だが、育児放棄(ネグレクト)で二人の子供が亡くなった実際の事件をもとにしている。どうしてこのような事件が起きてしまったのか、母である蓮音とその母の琴音の生い立ち、それに並行して、真夏の室内に置き去りにされた幼い子たちが死に至るまでの思いを代弁するような描写が優しく、読んでいて何ともやり切れない気持ちになった。 蓮音は幼い頃、母琴音が家を出てしまい、幼い弟妹の世話を強いられる。好きな男性と幸せな家庭を築くが、それは長くは続かない。 蓮音はどうすれば良かったか。周囲に助けを求めれば良かったのに、と言うのは簡単だが、なぜ母親だけが当たり前のように育児の一切を追わなければならなかったのか。蓮音の夫も父も蓮音の意思を尊重したといえばそうだが、あまりに無責任に思える。 琴音の人生もまた壮絶である。義父に性的虐待を受け、やがて精神を病んでいく。生き延びるため何度か「逃げる」という選択をするが、後に彼女を受け入れてくれる存在に支えられ、再生していく。 ラストでは、罪を犯した娘から逃げずに向き合おうとする。 逃げても逃げても最後は自分の背負ったものと向き合うことでしか、変わらない。でも、琴音の兄や信次郎さんのような存在が琴音を回復させ、さらに蓮音の再起をも想起させる希望が見える結末が良かった。
4投稿日: 2022.06.25
powered by ブクログ胸が苦しくなる小説。誰でも、幼い子供がアパートの部屋に置き去りにされ亡くなるというニュースを耳にすると、亡くなった子供の冥福を祈ると共に、その子供の親の身勝手さに強烈に腹が立つだろう。その親自身も幼少期にネグレクトの被害者だったとしても子供をこんな形で死なせた言い訳にはならない、多くの人がそう思うだろうし私も同感。 でもこの本で、登場人物それぞれの心の叫びを知ると、私たち外野の怒りの矛先は親だけに向けるべきではないのかもとも思えてくる。
1投稿日: 2022.05.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「坂の途中の家」は辛すぎて読めなかった。なのに本作はさらっと読めてしまった。なんか、本人たちがずっとあきらめてるというか、最後の会話も「なんやそれ」が読了後の感想でした。 母と娘、周りの環境が最悪やったのは不幸やけどあまりに自分勝手。殺された子どもの回想が切なすぎる。ここで私がママの悪口言うと桃はかばうのかな。
1投稿日: 2022.05.20
powered by ブクログ2010年に起きた「大阪2児放置餓死事件」がモチーフとなった物語。 この事件は記憶には残っていたものの、詳細を知らなかったので読み終えたあとに少し調べた。事件を起こした若い母親については、生い立ちや職業など、かなり事実と近づけて書かれていることが分かった。 親子関係の問題は連鎖する、とはよく言われる。必ずしもそうではないけれど、虐待を受けて育った人間がまたその子を虐待してしまう確率が、そうでない人と比べると高めになるという意味で。 物語は、事件(自宅に子どもを残したまま放置して餓死させた)を起こした20代である若い母親の蓮音と、その母親である40代の琴音の語りが中心になって進んでいく。そしてその合間に、犠牲となった2児の描写が挟まれる。 蓮音は複雑な家庭環境で育っているのだけど、その母である琴音もまた、幼い頃から家庭内で苦痛を受けて育っている。あくまでも小説なのでその親子関係までが事実をモデルにしているのかは分からないけれど、こういう連鎖はきっと現実にも…というか、身の回りにもたくさんあるのだと思う。 逃げた琴音と、逃げられなかった蓮音の対比。 そして結果的には逃げてしまった蓮音と、逃げることをやめた琴音の対比。 そしていちばん罪深いのはその「母親たち」ではなくて、それを周りで見ているだけだった「父親たち」なのかもしれないとも思った。 鈍感で人の気持ちを解ろうともしない父親たちの姿が、恐らくは極端な姿で描かれている。善良そうに見せて実は不干渉な人間が、いちばん罪深いのかもしれない。 「生きたいのに生きられなかった人」や「子どもが欲しいのに授かれなかった人」の叫びも端々に感じる。世の中はつくづく不平等だと思う。 事実がモチーフだと知っているだけに読んでいて苦しい物語だったけれど、山田詠美さん特有の文章の美しさも感じられて、とても読み応えがあった。
5投稿日: 2022.05.18
powered by ブクログ暴力、虐待、ネグレスト、親から十分な愛情を与えられずに育つと、自己中心的な行動をとる大人になるの?この行動の結果がどうなるのか想像力に乏しくなるの?とても、重たい内容でした。読み終わってホッとしながらも疲れがどっとくる。途中で投げ出すことのできない本でした。
1投稿日: 2022.05.15
powered by ブクログ山田詠美さんの「書く力」にただただ感心するばかり。これを小説にした意図が見えない、という感想も散見されるが、ひとまずは、この重たい事件を、複数視点から、このボリューム感で書ききったという点が賞賛されるべきだと思う。最後の対談でご本人もおっしゃるように「いちいち言わなきゃわかんない」一つ一つの出来事、心情を。 読んでいておぞましい気持ちのする箇所が多々。と同時に、どこか他人事で、自分の身には決して起こらない出来事であるかのように傍観している自分に何よりもゾッとする。誰もがみな最初から自身の不幸を願うことなんてなくて、むしろ幸せになりたくて、それは自分も例外ではない…それなのに、物語の主人公たちはどうしてか気付いた時には奈落の底へ転落している。彼らと自分とを断絶された存在として捉えてはいけないと感じる。
2投稿日: 2022.05.08
powered by ブクログ蓮音は、やはり解離性障害だったんでしょう。小さいころから、過酷な環境に自分を合わせるしか術がなく、心の中の自我を奥に奥に追いやることで、なんとか耐えてきた・・・なんて思ったところで何の意味もないかもしれないけど。 巻末の対談の中で、作者が『でも、間違いちゃいけないのは、「親がああだから、どうせあの家はこどもも・・・」っていう安易な偏見でものを言うこと。そういうステレオタイプな意見を聞くと私のセンサーが反応してしまうんです。』と言われたことに対して、精神科医の対談者が『確かにその通りなんだけれど。でも、見ていると、じたばたしているのに、やっぱりいつの間にか親の生き方を反復しちゃうケースが多いんですよね。』と述べられています。その後、精神科の先生は、ご専門の経験上、このように事件化された案件の場合、周囲の援助者の心にも深く影響が及ぶ話をされていて、端から見ていると、もちろんそれが事件化された結果を事後に見ているので、誰かが止められたのではないかと言いたくなりますが、実際は『公式に「どうしようもない」ことが確定することで、援助者の迷いが払拭されるし、責任もシェアしてもらえる。』というのが現実なんでしょうね。 やはり対談の中で『「被害者意識」。蓮音が、四歳の息子の桃太に、「モモも、ママの邪魔すんの!?」って言う。あれは決定的な一言だよね。全員、自分が被害者だと思っている。被害者意識って、とんでもないことをするときのゴーサインになるから。怖いものです。』というくだりは私もプーチンも同感です。 「親がああだから、あの家の子どもも」という安易な偏見はいけないと思います。きっと、そうじゃなく育った子どももいるでしょうから。でも、「ああいうことをしてしまった人の親は、やはりああなんだ」ということは成立すると思います。 とか言っている自分は、今更ながら子どもにとってどんな親だったんだろうか、そして、子どもたちはどんな親になっているんだろうか、ちょっと不安にはなりますが・・・ 余談ですが、本書を読む直前に、川上未映子さんの「夏物語」を読んでおりまして、実はこの2冊、どんな内容かも確かめもせずに同時に購入したのですが、偶然この2冊の内容が、方向性は全然違うのですが、人の親としての責任について考えさせられるお話で、同時期に出会うことができたよかったなと思っています。 「夏物語」はけっこうきつい環境で育った主人公の夏子が未婚ですが自分の子どもがほしいと思い、人工授精で子どもを授かるというお話なのですが、もちろんこんな単純なお話ではなく、いろいろな経緯があってのことで、とてもいい小説だったので、ぜひ読んでみてください。
1投稿日: 2022.04.16
powered by ブクログ一気に読むとかなり疲れるが1日でも空けるともう読めなくなりそうで息継ぎしながら読み切った。 主に3人の目線がかわるがわる描かれていくが、息子・桃太の章では突如として「ですます調」になる。母・蓮音と過ごす哀しい日々が子どもの目線を通すとおとぎ話のようなきらきらしたもののように思える。 蓮音のしたことは赦されない償いきれない罪。 しかし罪を犯した人物は蓮音だけではない。
0投稿日: 2022.04.14
powered by ブクログ難解な文章でもなく、何なら非常に読みやすいのにページを捲るのが辛かった。ネグレクトを題材にした話は多いが、そこに田舎の疎外感、女同士の争い等、目も当てられないくらい酷い展開が加わる。でも決して他人事ではないと思った。
2投稿日: 2022.03.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
山田詠美作品を初めて読んだ。 この作者は、「ちょっと大人びた女子高生か、女子大生が読む作品」というイメージで、私が読むにはちょっと遅すぎかな?とは思っていた。 が、そうでもなかった。 作者が芯を持って描きたいものを描いたのだと思う。 その筆力は間違いない。 が、長い。長すぎる。 この長さを持たないと描ききれなかったのかもしれない。 だったら、もっと他に書き方があったと思う。 力量のある作者でなければ、はっきりと「駄作」と言ったと思う。 それでも最後まで読みきれたのは、先に述べた通り作者が描きたいものを信念を持って書き切っているからだろう。 頑張って読み切った人は、巻末にある対談まで読んでほしい。
0投稿日: 2022.02.27
powered by ブクログネグレクトの本人周りの感覚を含めた ストーリー 何が悪いのか ネグレクト自体も悪いが周りの援助も十分に得れずに助けの求めどころが分からなかった主人公を見ていると本当に本人だけがダメなのか。 色々も考えさせる物語。 もちろんネグレクトはダメだし 親としての責任がない ただ本当に当事者だけが悪いのか
0投稿日: 2022.02.09
powered by ブクログ電車の中で幼い女の子と母親のやりとりを見て、大阪で起きた二児置き去り事件を思い出した。 すごくこの事件が気になって、事件をモチーフに書かれた本書を衝動的に購入。 モチーフというだけなので、フィクションですし、事件のことを深く知りたい方には向かないかもしれません。 親子3代にわたるストーリーは簡単に変えられるものではなく、根深い。 不幸を生まないためには、産まないことなのかも、という結論に至りました。 心に残った言葉、 『人にニ種類あるんじゃないかって思うのよ。親にしてもらえなかったことは自分の子にもしてやれないってタイプと、親にしてもらえなかったからこそ、その分、自分の子にはしてやろうと思うタイプと』 親にしてもらえなかったことをしてあげるには、親以外の別の人間との信頼できる関係構築が必要なわけで。それもできない人はしてあげたくてもしてあげられないという状況があると思うのです。 虐待の連鎖について深く考えさせられる作品です。
1投稿日: 2022.02.06
powered by ブクログ山田詠美さんの筆力に脱帽。 二児置き去り事件を題材に書かれた小説。 小説だから描ける、子どもたちの視点。 さまざまな人物の心の中。 行間に頼らず細部まで描き尽くしてある。 ワイドショーのコメンテーターの話を聞いたり、ニュースアプリのコメントを読んだりしている暇があるなら、この小説を読め! そう思ってしまう作品。 精神科医 春日武彦さんとの対談も読み応えあります。
2投稿日: 2022.01.28
powered by ブクログ文庫王国の斎藤美奈子チョイスから。”彼女は頭が~”より上位で、かつ同系統と言われると、それを読まない手はないですわな。読み終えて、もちろん刺さるものは大いにあったんだけど、自分的には姫野作品に軍配。亡くなった子、その親、さらにその親世代まで、3世代のそれぞれを視点人物に、各人の心情を綴っていく書き方は有効で、読者は必然的に、独りよがりにならない考察を促される。でもどうしても、一番立場が弱く、声も上げられないところに感情移入してしまいますわな。そういう、自らの思考回路のクセとも向き合わされる一冊。
1投稿日: 2022.01.27
powered by ブクログ主要人物たちは十分に尊厳を奪われ過ぎていて、センセーショナルな報道には映らないその深刻さを改めて意識する。読みながら、誰かに手を掛けられることの大きさ、一人では取り返せない過去のことを考えた。
0投稿日: 2022.01.13
powered by ブクログ登場人物の視点ごとに語られ章立てがされている構成だが途中までなかなか読みづらかった。途中からは慣れた。 個人的には好きなジャンルで重々しい小説だった。自分が琴音や蓮音の立場だったら、逃げることに抗えたか、他者に頼ることができたか、わからない。 私たちの誰もが「そちら側」へ転げ落ちる可能性を持っているのであるということ。 こういった物語を読むと、どうしても「背負わされる」のは女性側であるということ、そして辛く苦しい人生を歩まなければならないのが子どもたちであるということに苦しさを感じる。 最後の精神科医の先生との対談がめちゃくちゃ勉強になった。
1投稿日: 2022.01.09
powered by ブクログ親と子、家族の病理、世代を超えた不幸の連鎖。 子供を家に放置して死なせてしまうという、テーマ性の強いストーリーの割に、何をすべきだったのか、何が原因なのか、何を取り扱いたかったかが見えにくい作品だった。 また4歳の桃太の心情表現はあまりにも大人び過ぎていて、大人の作者のストーリーラインに使われている感がぬぐえない。
2投稿日: 2021.12.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
どんなに言葉を連ねても、感想を上手く言い表せない。なので一番印象に残った場面を。 母の琴音の家出の度に、幼い弟妹の世話や家事を必死に背負うまだ小学校低学年の蓮音に実質仕事だけの父親がかけた「がんばろう!一緒にこの試練を乗り越えよう!」の言葉が怖すぎる。一見協力的で前向きな言葉だが、既に身の丈以上に無理をして頑張っている子供になんて酷な言葉だろう。 誰にも頑張りを認められないまま大人になった蓮音の自業自得が招いた結果の事件ではあるが、彼女をそこまで追い込んだ周囲の人間たちの名もなき罪の数々に悶々としてしまった。 モチーフになった大阪二児置き去り死事件が起きた当時30代でまだ独身だった自分は、非難や腹立たしさよりもまず先に20代前半という若さで幼い二児を一人で育てていくという途方もない責任感の重圧さに震えたのを思い出した。
2投稿日: 2021.12.03
powered by ブクログ誰がそもそも諸悪の根源だったのか、わからずじまいだった。虐待の連鎖って、こういうことなんだなと思わされる作品。 琴音も蓮音も、こどもを全く大切に思ってないわけじゃないからこそ自分にこどもを育てることができるのか不安になった。 みんな自分なりにこどもを愛して、大切にしていて。なのに上手くいかなくて、周りに責められて。こどもを捨てたことに変わりはないけれど、どうしても同情のようなものをしてしまう。 でも、所詮自分のような俗に言う『普通』の家庭で育った自分に蓮音や琴音、さらにその母たちの苦悩を本当の意味でわかる日なんてこないのではないか。
0投稿日: 2021.11.01
powered by ブクログ2010年に起きた大阪二児餓死事件を題材とした小説。 事件を起こしたのは若いシングルマザーである蓮音たが、そこに行き着くまでに彼女はどんな人生を辿ってきたのか、母親の琴音の生い立ちや、育児放棄された二児の語りを交えながら掘り下げていく。 奇しくも親ガチャなどという言葉が聞こえてくる昨今、生まれた家や育った町、出会った人々、そのどこにも彼女たちの手をとって正しい方向へ導いてくれるものがなかったことに胸が痛む。 読むのもつらいシーンばかりだか、琴音が兄の助けを得てどうにか健康な心を取り戻していく過程に救われた。
0投稿日: 2021.10.17
powered by ブクログ山田詠美渾身の一作であることが端々から伝わってくる一方で、この物語の意味を捉えかねる。”誰も知らない””フロリダ•プロジェクト”など虐待/ネグレクトを描いた映画はたくさんあるし、追い詰められる母子の困窮も、”きみはいい子””明日の食卓”など多々ある。そのどれかでみたことのある内容が続き、この物語が”連鎖してしまう虐待の病理”の新たな面を描き出せたか、というと若干疑問ではある。 それでも、”幸せ”ということの意味についての思索と、「人には人の数だけ人生がありそれは本来他人がジャッジできる類のものではない」という畏怖にも似た感覚に貫かれた本作は、安易な共感も断罪も許さぬ険しさを兼ね備えており、非常に信頼できる小説だと思う。 それは、この物語をフィクションとして描くことの意味に極めて自覚的であることにもよるのだが。 しかし、やはり常に最悪なのは男たちだなと改めて。暴力、性虐待、マッチョ信仰、エリート思想、、、 この物語の部外者でいる人間は本来おらず、もしそのつもりでいる人間がいるならその人間はただ無邪気なだけである。この物語の桃太以上に。
5投稿日: 2021.10.10
powered by ブクログこの事件を起こした蓮音というシングルマザーに1番同情しました。 (人に2種類あるんじゃないかと思うのよ。親にしてもらえなかったことが自分の子にもしてやれないってタイプと、親にしてもらえなかったからこそ、その分、自分の子にはしてやろうと思うタイプと。蓮音は後者で、必死になっていたつもりが失敗してしまったのではないか?) 蓮音の母、琴音は蓮音と幼い弟妹を捨てた酷い母親でした。そして、その琴音の母も酷い母親でした。不幸の連鎖ですね。 私は個人的に、酷い母親の元に生まれることは最大の不幸だと思っています。あんな母親には絶対にならない!と思っても、愛情の地盤が子供に育ってないから、どうしても不幸を繰り返してしまいがちになります。 負の連鎖を止めるにはどうしたらいいのでしょうね?みんな、幸せを願っているのに。
6投稿日: 2021.10.07
powered by ブクログ映画「子宮に沈める」が衝撃的過ぎて、母親を描いた物語を読みたいと思った。 身体を傷つけると罰せられるのに、心を傷つけるのは許される。 奪うことは罰せられるのに、搾取することは許される。 そんな社会の中で、みんなが裁かれない罪を犯しつづけた結果、1番弱い命が奪われた事件なのだと感じる。 小説としては、母が3人出てきて視点が頻繁にかわるので、最初は結構読みにくい。 作ってる側もそれがわかってるのか冒頭に家系図をつけてくれてて助かりました。 この事件に対して強い興味のある人は、あくまでもフィクションとして読めないと割とイライラしそうな内容、文章です。
0投稿日: 2021.09.25
powered by ブクログ灼熱の夏、彼女はなぜ幼な子二人を置き去りにしたのか。追い詰められた母親、痛ましいネグレクト死。圧巻の筆致で事件の深層を探る、迫真の長編小説。
0投稿日: 2021.09.10
