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「暮し」のファシズム ――戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってきた
「暮し」のファシズム ――戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってきた
大塚英志/筑摩書房
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総合評価

9件)
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    「下意上達」の仕組みを大上段から作り上げる、というのは誠に見事な作戦であると思う。 内容としては後書きに書いてあるコンセプトを理解すれば十分と思った。「ていねいなくらし」というワードがそのまま戦時下に出てきた訳ではない。論拠としては不十分に感じるが、説としては面白い。

    2
    投稿日: 2025.09.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「戦争は『新しい生活様式』の顔をしてやってくる」 戦時プロパガンダと言えば「ぜいたくは敵だ!」「欲しがりません勝つまでは」「進め一億火の玉だ」などのスローガンが思い浮かぶ。今見ると、上から押しつけられる強い言葉にとても違和感を感じる。 しかし、なぜ戦時下の国民がその様な言葉を(なぜか)すんなり受け入れて、出征する我が子を「お国のために」と見送り、見送られる男子も「お国のために死んできます」と出発し、生きて帰ると非国民となじられる、というおかしな思想になったのか。 他の戦争関連の書籍や番組などで、決して受け入れているわけではないけれどそうするしかない状況があったと理解したけれど、何故そのような空気になったのかは常々疑問だった。天皇が神だいう時代だとしてもそのような理不尽をすんなり受け入れるものなのか? 「暮しのファシズム」では、生活のベース(家庭)に戦時プロパガンダが忍び込む様子が解説されている。 戦争へ行く男子だけではなく、そのベースになる家庭を守る女子にも巧妙なプロパガンダがされていたことがわかる。 「ていねいなくらし」「断捨離」「節約」「工夫」現在も使われているこれらの言葉が、「新しいくらしの提唱」の顔をして、戦争に向かう、または戦時下の人々をまるでそれが正しいかの様にコントロールしていたことに驚く。今もあまりにも使われている言葉だし、それの何が悪いのか分からず、しばらく混乱しながら読んだ。 「暮しの手帖」「婦人之友」など今もある雑誌で、婦人向けに柔らかい女性の言葉で「賢い女性」のあり方を説き、戦時下の生活をまるで自分達がそれを賢く楽しんでいるかのように滑り込ませていったのがわかる。 現代の雑誌でも「賢いOLの1ヶ月の着回し」だの「出来る女はメイクが〇〇」みたいな見出しが踊り、流行りのメイクや服を着てるけれど、それと変わらない。誰かが作った流行りが人を動かすと共にそれが一つの思想になる。 少し前に読んだ「この世界の片隅に」では主人公のすずさんが、確かに着物を国民服(もんぺ)に作り変えていた。様々な生活の工夫も自ら楽しんでいるように見えた。 服に関して言えば、確か明治以降洋装文化は発展して大正モダンなどファッション面でも様々な華やかな装いが流行っていたはずなのが、戦時下で世の中が一気にもんぺになる。(すずさんは広島の田舎暮らしなので当てはまらないかもしれない)何故この様なことが可能だったのだろう? 婦人紙だけではなく、小説や漫画などの娯楽の世界でも、戦時下の全体主義的思想を、まるで自分達が進んで行っているかの様に思わせるとても巧妙な思想の統制があった。「上意下達」ではなく「下意上達」に成功していた。 現在、SNSなど人々が触れるメディアが散在して、情報チャンネルが増えれば偏らなくなるのかと思ったら全くそうではなく、まことしやかな噂やデマも多く、鵜呑みにして他者を攻撃する様子も見られる。逆にSNSで暴かれることも増えた。噂だと思っていたエプスタイン島での小児性的虐待の話は事実だという話であった。(文書の真偽はまだ不明) 世界も国内もとても不安定な世の中で「まるで自分達の意思の様に」動かされていることがあるのではないか?この選択をした意思はどこからきたものなのか?と問いながら、メディアの大きな声に注意深く精査しながら過ごしていきたいと思った。

    1
    投稿日: 2025.08.31
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    朝ドラを観ていると高い確率で戦争期が描かれる。家庭や生活のなかに忍びこんでくるファシズムが「節約」「知恵」といった言葉でカモフラージュされているのは興味深いと思った。

    0
    投稿日: 2024.06.22
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    戦争は必ず大衆への洗脳から始まる。現在議論されている「専守防衛」や「防衛力強化」にしてもしかり。人に流されて問題の本質を見誤ると道を間違う。

    1
    投稿日: 2022.12.18
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    炊事や衣服、4コマ漫画などの気楽な娯楽からも翼賛を染み渡らせる工夫があったことを丁寧に分析。花森安治って朝ドラに出てきてたよね?レベルの知識だったため、本書で彼の才能が翼賛にも大活躍だったと知り驚いた。 確かに、コロナ禍、そして今のロシアのウクライナへの一方的な攻撃がある現在、憲法改正、”新しい生活様式”など、またファシズムを下が上に求めてしまっている気配を感じる。束ねられないように注意だ。

    1
    投稿日: 2022.05.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朝日新聞の書評欄で知って、面白そうだなと思って読んでみた。 コロナ禍の「新しい生活様式」が、1940年第二次近衛内閣における新体制下の「生活」と類似していることに対する危惧を記した書。 正直、そんなことは思ってもみなかった。 花森安治、太宰治、長谷川町子、林芙美子。そんな人達が翼賛体制に協力していた。著者は花森安治に特に厳しい。 生活の中の、自発的なファシズムへの協力を生み出したのは「女文字」で書かれたプロパガンダ。一見そうとは見えない柔らかな表現、生活に根ざした対象も戦時体制を支える礎となる。 組体操など、体育の授業や体育教師への嫌悪感は、僕なりの正鵠を得た認識だった。 こんまり的ミニマリズムも戦時下の精神が大元だったというのも面白かった。

    3
    投稿日: 2022.01.03
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    6月23日新着図書:【「新しい生活様式」という名前で日常の暮らしがいろいろ制限されています。緊急事態条項が憲法に創設された時の自由と安全を考える参考になるかな。】 タイトル:「暮し」のファシズム : 戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってきた 請求記号:210.7:Ot URL:https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/BB28184698

    0
    投稿日: 2021.06.24
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    あとがきの最後に ー戦争はかつて「日常」や「生活」の顔をしてやって来たのである この一言は 今のこのコロナ禍であるからこそ 真に迫ってくる 何もしらないことは罪である そんな今だからこそ 自分の耳で聴いて 自分の目で見て 自分の頭で考えて 自分の言葉で語ること の 当り前さ、大切さを 改めて思う

    2
    投稿日: 2021.06.09
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    最近叫ばれている「新しい生活様式」によく似た、戦時下の「新生活体制」について、さまざまな資料から読み解いていった本。 あとがきで、「新生活体制」と「新しい生活様式」の比較が丁寧になされている。特に政治家の言葉の引用による説明は納得である。 「このようにコロナ禍は、注意しないと不用意に「戦時下」を引き寄せてしまう。(p339)」 必要だと迫られて、何か大きな動きに絡め取られていないか。なかなか、その渦の中にいる時には気付きにくいかもしれない。 私たちができるのは、何かおかしいと思ったことを忘れずに、できれば言葉にすることだろうか。

    4
    投稿日: 2021.05.01