Reader Store
ひきこもり図書館
ひきこもり図書館
頭木弘樹/毎日新聞出版
作品詳細ページへ戻る

総合評価

47件)
3.7
7
15
13
2
0
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    2025.11.14 読了。 文学というのはどこか精神的な異常を感じさせる。 だから文学者には多分かなり精神異常者がいたと思われる。 引きこもりに関する文学をまとめてみた、という内容の本でした。

    0
    投稿日: 2025.11.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    萩原朔太郎のものぐさニート具合に共感しつつあまりにもカスでは?と思い調べてみたら親が開業医の実家太し君だった。55歳で生涯を終えるまで殆ど働かずに親からの仕送りで暮らしあまつさえ子供もこさえていたという奔放さ。親からは毎月60円ほどの仕送りを受けていたそうで、現代の貨幣価値でいうと27~45万円ということ。詩の才能は別として、社会的には紛うことなきクズでは…?このことが知れただけでも面白かった。 そして何よりもハン・ガンの短編が圧倒的。根本的な動物としての命を描いているようで、とても美しかった。菜食主義者の元となる作品なんだそう。暴力からの離脱を感じる。 萩尾望都の漫画の感覚遮断実験が今でもJAXAで行われていることに驚き。

    7
    投稿日: 2025.11.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    タイトルに惹かれて読んでみたが、なるほどコロナ禍のステイホーム時代に生まれた本だったのか。 ジャンルもいろいろでSFが多めだったけど、おもしろかった。

    0
    投稿日: 2025.10.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    コロナ禍が生んだ本だろう。 SFが多いため星新一が好きな人にはおすすめ(星新一も出てくる)。 短編集で有名な作者、普段読まない海外ジャンルや古い文学まで網羅している。個人的には『フランケンシュタインの方程式』が一番面白かった。

    0
    投稿日: 2025.10.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ちょっとずつ、ちょっとずつ読んでたら、最初の方の話を忘れてしまった。それでも面白く読めるのはアンソロジーのいいとこなのかも。一口にひきこもりと言ってもいろいろあるのね。

    1
    投稿日: 2025.09.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    “世の中でいちばん善良な顔をしてバスの後ろの座席で身をすくめていても、お母さん、握りこぶしでガラス窓をたたき割りたかったのです。”(p.169『私の女の実』ハン・ガン)

    0
    投稿日: 2025.08.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「ひきこもる」ことをテーマに集められたアンソロジー短編集。 ひきこもるとは言っても自分の意志で外に出ないだけでなく、閉じ込められたり、療養で致し方なくという話もありますが、それらの状況での心理変化や出来事が意外で面白かったです。 アンソロジーはいろんな作家や作品と新しく出会うきっかけになっていいですね。初読の作家さんばかりでした。一編収録されている萩尾望都さんの漫画が傑作。

    16
    投稿日: 2025.07.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    アンソロジーなので疲れていたり体調がすぐれなかったりが続いていたけれど休み休み読むのにぴったりな本でした。星新一さんとハン・ガンさんの作品が印象的だった。特に星新一さんの著書がもっと読みたくなりました。

    0
    投稿日: 2025.06.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    保育者が日々のいろいろを考える時によんで欲しい本 教育・保育論集で図書館が紹介した本です。 ーーーーーーーーーーー 駅前キャンパス 配架場所コード:駅前書架 分類記号:908 著者記号:Ka ーーーーーーーーーーー

    0
    投稿日: 2025.02.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    2025/2/23 読了 色んなパターンのひきこもりが紹介されていた。 一番印象に残ったのは、他人から避けるためにひきこもりしたけど、いざ他人がいなくなると、、 というストーリー、星新一の凍った時間がむしろ怖かった

    0
    投稿日: 2025.02.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    自分の引きこもり時代を、生々しく想起させるものだった。 かなり前のことで今は働きながら生活しているためすっかり忘れていたが、 そうだった。 引きこもりって、安寧の世界なのよ。 外は自分にとって不都合な現実がたくさんあって、 引きこもっているうちは見ないでいられる。 ネットとかもあるからそんなに孤独ではないし、 何より都合のいいことだけ考えていられる。 今では成り立ってないし、おかしな状態だったなーと思うけど、この本ん読んでその感じ本当に思い出した。 ハンガンの作品が気になって何となく手に取った作品だったが、 私にとっては思いがけず人生の忘れものに出会った感覚で、今に感謝することができるギフトとなった。

    1
    投稿日: 2025.02.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    2025.4 すごく良かった。 ハンガンの『私の女の実』目当てで読んだけど他のお話も良かったし、何より編集者の方のコメントやあとがきが良かった。なぜ"ひきこもり図書館"というタイトルなのかも説明されていた。とても丁寧なお仕事だなと思った。愛が込められた本だった。 私の女の実は読んで泣いてしまった。 === P169 故郷でも不幸、故郷ではないところでも不幸なら、私はどこへ行くべきだったのでしょう。 私は一度も仕合せだったことがありません。どんなしぶとい霊魂が私の首を、私の手足を締めつけ、私を追いかけてきたのでしょうか。痛ければ泣き、つねられれば叫ぶ子供のように、私はいつもひたすら、逃げ出したかったのです。泣きだしたかったのです。世の中でいちばん善良な顔をしてバスの後ろの座席で身をすくめていても、お母さん、握りこぶしでガラス窓をたたき割りたかったのです。私の手から流れる血を貪欲にしゃぶりたかったのです。何が私をあんなにも苦しめたのでしょう、何から逃げようとして、私は地球の反対側まで行こうとしたのでしょう。なぜ行けなかったのでしょう、愚かにも。なぜひらひらと飛び立って、このぞっとするような血を入れ替えることができなかったのでしょう。

    1
    投稿日: 2025.02.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    カフカ「ひきこもり名言集」、ハン・ガン「私の女の実」、ロバート•シェクリイ「静かな水のほとりで」が良かったです。特にハン・ガン「私の女の実」が衝撃的でした。色んなひきこもりがあって、そのスケールは思っていたより遥かに大きかったです。

    21
    投稿日: 2024.12.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ひきこもりという状態をいろんな解釈をしつつ、その閉塞・孤独・静寂・不安な心境を描く。 梶尾真治の「フランケンシュタインの方程式」、ハン・ガンの「私の女の実」などはSF、ホラーに近い話にも思えたけど、萩尾望都「スロー・ダウン」はわかる気がした。 ずっと読んできて巻末の「ショーシャンクの空に」の台詞には刺さった。 269冊目読了。

    2
    投稿日: 2024.12.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    アンソロジーだったからこそ 出会えた物語りや作家さんがある ひとりでいたくてひきこもっているのに ひとりじゃないんだと安心してしまうような 不思議なお話たちでした 引きこもってる人にはもちろんですが 引きこもりが理解できない人にも ぜひ読んでほしい作品です

    98
    投稿日: 2024.11.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    どの作品も素敵で大満足した。 古い作品から新しい作品、漫画までこの1冊で読めてしまうのだからお得すぎる。 カフカの引きこもり願望は愛おしい。 萩原朔太郎の「死なない蛸」には胸が痛くなった。 梶尾真治のSFは面白くて他の作品も読みたくなった。

    3
    投稿日: 2024.11.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    (2024/10/29 2.5h) p.216  「「ひきこもり図書館」は、現実に建てたとしても、ひきこもっている人は家から出ないわけで、訪れる人はあまりいないかもしれません。 そこで、本で作ってみました。ひきこもっていても手にとれるように。」 あとがきから引用 わたしは引きこもりです。 とはいえ、図書館へ本を借りに出かけられるくらいの引きこもりです。中高と不登校で、そこからいまは無職で、家族以外とは接点がなく、断続的に6年間ほどは社会的な引きこもりといえます。 編者は13年もの間の引きこもりであったと言います。難病のためとあるので、理由なく引きこもるわたしとは質のまったく違う引きこもりと思います。 ただ、本書に集められた作品はどれも共感できるものばかり。 編者が偏りのないようにと注釈しながらも、SF 作品が多く集められたのは、引きこもりというもの自体が浮世離れしたものであるからか。 今年2024年ノーベル文学賞に輝いたハン・ガンの短編は、ノワールの重みが感じられます。韓国だからと一括りにするのは浅ましいかもしれませんが、映画作品にもみられるような特有のじっとりした雰囲気が印象的でした。 斎藤真理子が訳出書き下ろしというのも豪華で素敵ですね。 特に好きな作品は、 ・星新一「凍った時間」 ・梶尾真治「フランケンシュタインの方程式」 ・ハン・ガン「私の女の実」

    1
    投稿日: 2024.10.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ひきこもり図書館…。 なんとも興味深いタイトル。 今まで読んでいない作品と出会うことができました。 中でも梶尾真治さんの「フランケンシュタインの方程式」はおもしろさもあるけど、ゾッとします。 ノーベル文学賞受賞されたハン・ガンさんの「私の女の実」なぜか亡くなった母とのことが思い出されました。 実は長男、ここ数年引きこもっているせいか、親子の物語を読んだりして、私自身が何かしらの救いを求めていたり、子供を理解したい、という思いにかられています。 編者頭木さんのあとがきと作品解説。寄り添うような優しい語り口。読んでいて、息子の気持ちに私も少し、近づけた、かな? そして、これからも自由に、作品を楽しんで読んでいこうと思います。

    0
    投稿日: 2024.10.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    こないだ読んだ村井理子さんの本で知った本。面白かった。難病で13年間引きこもり生活を送ったという頭木弘樹さんが編んだアンソロジー。散文詩から昔話からSFから漫画まで、いろいろあって面白かった。特に桃太郎にいろいろなバージョンがあるというのも初めて知った。口伝の昔話なんだからそりゃそうか。それにしても鬼退治に行く前で終わるとは。梶尾真治「フランケンシュタインの方程式」、ハン・ガン「私の女の実」が特に印象的。カフカのひきこもり名言集も良かった。私も今、憧れのひきこもり、ニート生活だもんなぁ。

    2
    投稿日: 2024.07.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    仕事も散々な状態でコロナになり鬱々としていて引きこもりたいと思って手に取った本。 病床生活からの一発見 萩原朔太郎作 何よりも良いことは病気が一切を諦めさせてくれることだ。•••健康の時、私は絶えず退屈している。なすべき仕事を控えて、しかもそれに手がつかないから退屈するのだ。ところが病気をしてから、この不断の退屈感が消えてしまった。

    4
    投稿日: 2024.04.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ⁡⁡悲喜交々⁡ ⁡⁡ ⁡ってな事で、頭木弘樹 編の『ひきこもり図書館 部屋から出られない人のための12の物語』 ⁡ ⁡◎萩原朔太郎「死なない蛸」 ◎フランツ・カフカ「ひきこもり名言集」 ◎立石憲利「桃太郎――岡山県新見市」 ◎星新一「凍った時間」 ◎エドガー・アラン・ポー「赤い死の仮面」 ◎萩原朔太郎「病床生活からの一発見」 ◎梶尾真治「フランケンシュタインの方程式」 ◎宇野浩二「屋根裏の法学士」 ◎ハン・ガン「私の女の実」 ◎ロバート・シェクリイ「静かな水のほとりで」 ◎萩尾望都「スロー・ダウン」 ◎頭木弘樹「ひきこもらなかったせいで、ひどいめにあう話」⁡ ⁡⁡ ⁡ハン・ガンさんの私の女の実が良かったな。 うん、良かった ⁡⁡ ⁡あとのやつは、ぼやぁ~と読んどったんでうる覚え ⁡⁡ ⁡星さんのやつじゃったかな、ひきこもりって1人じゃ出来ないんよね。⁡ ⁡⁡衣食住どれも他の誰かがサポートしないと出来ないって。 ⁡ ⁡ある日突然人類が自分1人になったら、それはもうひきこもれない。⁡ ⁡全て自分で何とかせんといけん世界になる。⁡ ⁡1人の世界に成りたいのを望んでたけど実際そうなったらどうなんじゃろね ⁡⁡ ひきこもりの感情がわしには分からんから、何とも言えんけど ⁡⁡ ⁡もし、わしがひきこもりになったら周りのサポートに感謝しながらひきこもろう ⁡⁡ ⁡2022年46冊目

    0
    投稿日: 2024.02.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    今、外に出るのが億劫なので「部屋から出られない人のための」という副題に惹かれて手に取った。ひきこもりの経験もあるが、編者の方のように長くはないせいか、あまり響かなかった、それとも今、私の心が何かを受け取る余裕がないのかもしれない 『雨月物語』の「吉備津の釜」が面白かったので、『雨月物語』を読んでみたいなあと思った

    1
    投稿日: 2023.09.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    目次 ・死なない蛸 萩原朔太郎 ・ひきこもり名言集 フランツ・カフカ ・桃太郎 岡山県新見市 立石憲宗・編著 ・凍った時間 星新一 ・赤い死の仮面 エドガー・アラン・ポー ・病床生活からの一発見 萩原朔太郎 ・フランケンシュタインの方程式 梶尾真治 ・屋根裏の法学士 宇野浩二 ・私の女の実 ハン・ガン ・静かな水のほとりで ロバート・シェクリイ ・スロー・ダウン 萩尾望都 ・ひきこもらなかったせいで、ひどいめにあう話 頭木弘樹 部屋から出たくない人ではなく、出られない人のためのアンソロジー。 書かれているのは、なんらかの状況に閉じ込められて出ることができない人、または蛸。 『死なない蛸』は見開き2ページのほんの短い小説なのだけど、それを読んでいるときに、ふと子どもの頃によく歌っていた「ひとくい土人のサムサム」って歌を思い出した。 いろいろと今の時代にはアウトの曲ですが、谷川俊太郎の詩と寂しいメロディーがそうさせたのかしら。 『赤い死の仮面』は、死に至る感染症から逃れるために引きこもる話。 あら、最近の出来事みたいじゃない? なんて思って読んでいたけれど、現実よりはるかに怖い顚末でした。 『フランケンシュタインの方程式』は、あらすじを見て、これは『冷たい方程式』の系列の話だなとすぐに分かったので、自分なりにフランケンシュタインをイメージしてストーリーを予想しました。 結論としては、私のは『フランケンシュタイン』ではなく『占星術殺人事件の方程式』でした。 あはは。 タイトルがネタバレなのに、「そうきたか」というところに落とすのは、さすがプロ。 『屋根裏の法学士』ってタイトル見て、江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』のオマージュかと思ったら、乱歩の方が宇野浩二のファンだったのね。 で、この主人公って、中二病じゃん。 大正時代にもいたのね、こういう人。 一番閉塞感が強く感じられたのが『私の女の実』。 夫は妻の身体に痣が出来ていることに気づきもしなかった。 病院に付添うこともなかった。 自由にここではないどこかへ行きたかった妻を縛り付けているという自覚もなかった。 結局どこへも行けなかった妻は、ようやく夫に優しく世話をされるようになる。 それは解放?復讐?それとも…。 家族との縁が薄かった夫が最後に感じたのは喜び?悲しみ? いかようにも読める、懐の深い小説でした。 『スロー・ダウン』 深い孤独と現実感の喪失。 体験したことないはずなのに、すっと心になじんでいくような気がするのは、絵の力なのだろうか。 私は耐性がある方だと思うけど、実際被験したらどうなるのかなあ。 考えると、怖い。

    1
    投稿日: 2023.03.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「ひきこもり」という言葉から一般的に想像するのとは違う、入院や宇宙船内での生活を含めた「社会から遮断された生活」をしている人々の話。 「部屋から出られない人のための12の物語」という副題がついていますが、病気や宇宙船内、そして自らの意志によるひきこもりであれば本も読めると思いますが、育児中に外に出られなかったときは、本を読む余裕なんてなかったなあ、と思います。 病気も私の場合は目だったので、やはり本は読めませんでしたが。 元教え子を訪ねて韓国(ソウル)に行ったとき、教え子家族が住んでいる高層マンション群に泊めてもらったので、韓国文学の「私の女の実」の妻の気持ちが一番理解できた気がします。 また、「鬼退治に行かない桃太郎」も面白く、 紹介されていた『桃太郎話 みんな違って面白い』を読んでみたいです。 SFはやや苦手ですが、「フランケンシュタインの方程式」は面白かった! 萩尾望都の「スロー・ダウン」。「手の感覚」は私には理解できませんが、「感覚遮断実験」は興味深い。 日本に住んでいると、ほぼ日の出から一日が始まりますが、緯度の高い地域で、まだ暗いうちから学校が始まったり、まだ明るいのに寝る時間だったり、不思議な気持ちを味わったこともあります。それはじきに慣れましたが、閉じ込められた真っ白な空間だったらどうでしょう。 いろいろなジャンル、しかも時代や国の異なる話がつまっているので、普段なら手を出さないような話もとりあえず読んでみることができたのはよかったと思います。

    1
    投稿日: 2022.12.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ひきこもりのアンソロジー。 ひきこもりを否定することはない。 なんらかの事情があるのだから…。 出たくなければ出なくてもいいじゃないか、と思うほうである。 自分もいつ、突然に引きこもるかもしれないわけで。 それは、わからない。 ひきこもらずに一生を終えるかもしれないし…。 どうなるかはわからない。 たとえば、萩原朔太郎の「死なない蛸」は、存在しないものと思われると悲しいが、魂はある。 たしかにそこに居る、自分がわかってれば良いじゃないかと思わせる。 想像以上のかなり上をいくのが、ハン・ガンの「私の実」である。植物で活きた心地になるならばそれを完成形というのだろうか。 萩尾望都の「スロー・ダウン」は、感覚遮断実験を描いているが、特に手の感覚の凄さをあらわしている。 誰かの手に触れることですべての機能が目覚めるかのような…。 意識しなくとも握るという感覚は、ずっと残るのだろうか。 とても不思議な感覚で読み終えた。

    32
    投稿日: 2022.12.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    私は高校中退後に数年間ひきこもり状態でいたことがあり、その時は本当に最悪だった。 人間不信に加え、大学で何か学びたいわけでもなく、かといって、やりたい仕事もなく、ただ推理ものやファンタジー小説を読んでいただけの日々に、これも生きているということになるのだろうかと、思ったものだ。 そんな事があったもので、もしその時に本書を読んでいれば、果たしてどうなっていたのかということに興味を持ち、本書を読んでみたわけなのだが、まず惹き付けられたのは、カフカの「ひきこもり名言集」と、宇野浩二の「屋根裏の法学士」だった。 ただ、カフカは正直ざっくりし過ぎた表現が響かなかったが、宇野浩二は良かった(両者の共通点は、ひきこもりに正しいも間違いもないということ。まあ本人の責任は伴うが)。 読んでいて、思わず想像してしまう、そのダラダラ感と太々しさ。けれども、おそらくそれは彼自身の虚構と精一杯の見栄であり、本音は切ないものも秘めていたのだろうなと感じさせる、その心情に胸が締め付けられて、大正7年当時に書かれたというのも、とても励みになった。 また、萩原朔太郎の作品が二点収録されていたことも印象的で、「死なない蛸」は、彼自身、周りから謂れのない距離を置かれていたことに対する、存在価値の普遍性を吐露したように感じさせ、「病床生活からの一発見」は、正岡子規の無味平坦な歌への理解にも共感したが、それ以上に、侮辱された一婦人の為に腹を立て、悲しくなって泣いたエピソードに彼の優しい人柄を感じさせ、昔読んだ、鯨統一郎の「月に吠えろ!」を思い出した。 そして、星新一の「凍った時間」は、ムントの無表情な表情の奥に垣間見える、心と涙に胸を打たれ、見た目だけで判断される悲しみは、まるで障がい者に対するそれのようにも思われ、梶尾真治の「フランケンシュタインの方程式」は、一転してコントを観ているような面白さが印象深いが、所々のブラックな味付けで軽い内容にはしておらず、ポーの「赤い死の仮面」(品川亮の新訳)は、自分の事だけ考えていると、こうした報いを受けるといった教訓ものっぽく見えたのが、ポーの作品にしては意外に感じられた。 それから、ハン・ガンの「私の女の実」は、『ここではないどこかへ』ということの、夢と現実の辛さを思い起こさせる一方で、一欠片の自由も感じさせた、私にはとても沁みる内容で、このアンソロジーの為に初訳してくださった、斎藤真理子さんには感謝しないといけない。 最後に、まさかここで初読みできるとは思わなかった、萩尾望都の漫画、「スロー・ダウン」。 そこには極限状況に置かれた者しか分からないような、確かな真実の在処を教えてくれた気もしたが、それとは別に、ここでの『手』の存在には、おそらく当時の私にとっても、誰かに差し伸べて欲しかったと思わずにはいられなかった、確かな真実の訪れのようにも感じられた。

    35
    投稿日: 2022.11.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    私が想像していた「ひきこもり」とはだいぶ違い、「ひきこもり」の範囲内が広い。 宇宙船の中や、実験室の中など、引きこもらずにはいられない状況も含まれている。 「私の女の実」は読んでいて意味がよく分からず、解説を読んでやっと納得出来た。その上でやっと、こういう意味でのひきこもりなのかと。 ぶっ飛んだSFもあり、まぁ楽しめたけど、このタイトルは何となく違う気がした。

    1
    投稿日: 2022.03.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    【収録作品】ひきこもっている間に忘れられる-散文詩 「死なない蛸」 萩原 朔太郎/ひきこもり願望-ドイツ文学「ひきこもり名言集」 フランツ・カフカ(Kafka,Franz)  選訳/頭木 弘樹 /鬼退治に行かない桃太郎- 昔話「桃太郎 岡山県新見市」 編著/立石 憲利/差別によるひきこもり-ショートショート「凍った時間」 星 新一/感染を避けるためのひきこもり-アメリカ文学「赤い死の仮面 The Masque of the Red Death」 エドガー・アラン・ポー(Poe,Edgar Allan) 新訳/品川 亮/ひきこもりによる物の見え方・感じ方の変化-エッセイ 「病床生活からの一発見」 萩原 朔太郎/部屋から出られない苦しみ-日本SF小説「フランケンシュタインの方程式」 梶尾 真治/ニートのつぶやき-大正文学「屋根裏の法学士」 宇野 浩二/ひきこもりと植物-韓国文学「私の女の実 내 여자의 열매 」 ハン ガン (韓 江)  初訳/斎藤 真理子/究極の孤独-アメリカSF小説「静かな水のほとりで Beside Still Waters」 ロバート・シェクリイ (Sheckley,Robert) 新訳/品川 亮/ひきこもり実験の結果-漫画「スロー・ダウン」 萩尾 望都/番外編「ひきこもらなかったせいで、ひどいめにあう話」 頭木 弘樹

    8
    投稿日: 2022.02.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ロバート・シェクリイの名があったので手に取ったが、「人間の手のまだ触れない」で読んでいた作品だった。 編集者の頭木弘樹氏の解説で、このコロナ禍、「絶望図書館」の次はこの「閉じこもり図書館」です、とあり、閉じ込められた状態、の作品を氏の観点で集めたのだった。氏自身、大学生の時に難病になり寝たきりになったとある。氏の小説観は、まずは自分にひきよせて読むこと、自分にとってどういう風に読めるか、そこが肝心なのだという。 「凍った時間」星新一 (「ちぐはぐな部品」所収) 工場で事故にあい、脳以外は機械になったムント。ロボットは全部が機械だが、ムントのようなのはサイボーグなのだという。顔はプラスチック、声も合成、人々の好奇の目に耐えられず地下で暮らしている。ある日電話も不通、TVも映らなくなり地上に出ると、革命軍が反乱を起こし、人々は一定時間気を失っている。目にさらされなくなったムントは久しぶりに外の空気を吸うが・・ 最初から最後まで悲しい空気、っていうのは星新一にはめずらしい。 「フランケンシュタインの方程式」梶尾真治 (「地球はプレイン・ヨーグルト」所収) 二人乗り宇宙船で火星へ荷物を運んでいるが、酸素ボンベが故障し、1人分の空気しかなくなった。そこでとった方法とは・・ 二人の会話で、自分達の状態を古典SFの「冷たい方程式」のケースだとあり、ほかに「解けない方程式」、「たぬきの方程式」、「破砕の方程式」もあるんですよ、というのが出てくる。「破砕の方程式」は読んでいた。ここがちょっとおもしろかった。 「スロー・ダウン」萩尾望都 (「半神」所収) 何十年振りかで読む萩尾望都。ひとりで密閉空間にいる、という実験をしている青年。 「静かな水のほとりで」ロバート・シェクリイ(アメージング1953.11月号 「人間の手のまだ触れない」に収録されていた。) 閉じこもりというと、すぐ回りに人がいるのに自分ひとりだけ狭い空間に、というのを想像するが、これは、ある星に男とロボットだけ、男はロボットに会話を教え、長い年月を暮らす。宇宙空間の、この星に1人なのだ。 ほかにポー「赤い死の仮面」、宇野浩二「屋根裏の法学士」(「中学世界」大正7年10月)など 2021.2.5発行 図書館 「冷たい方程式」トム・ゴドウィン(アスタウンディング1954 ) 「解けない方程式」石原藤夫(SFM1968年4月号掲載、『画像文明』(ハヤカワ文庫)に収録) 「たぬきの方程式」(筒井康隆 SFM1970年2月号掲載、『国境線は遠かった』(ハヤカワ文庫/集英社文庫)に収録) 「破砕の方程式」アーサー・C・クラーク (1949年Thrilling Wonder Stories誌に掲載、SFM1977年3月号『前哨』(ハヤカワ文庫)、『太陽系オデッセイ』(新潮文庫)に収録。前者の訳題は『破断の限界』、後者の訳題は『ひずみの限界』、1994年映画版『スペース・トラップ』公開) 頭木さんのブログ https://ameblo.jp/kafka-kashiragi/

    5
    投稿日: 2022.02.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    12編のアンソロジー。しかも、内容は、ひきこもり。 館長(編者)のいうことには、自身の引きこもり生活、コロナによる生活の変化など、そういった好む好まざるに関わらず、狭い世界に閉じこもる生活を否定も肯定もせず、その中で起きる心の変化を自分に引き寄せて読んで欲しい、とのこと。 私自身はスポットライトの当たる場に出たこともあるし、良くも悪くも目立つらしい(友人、同期曰く)。 しかし、内向的な性格で、趣味といえば、読書(漫画や雑誌含む)、美術鑑賞で、1人でいる時間が至福。 だからコロナで外に出られないことの何がそんなに苦痛なのかよくわからなかった。 なんだったら今まで、「友達多くてスポーツ大好き」みたいなのがいいみたいな風潮に違和感を覚え、なんでそいつらばっか持て囃されるんだ畜生めざまみろと、隠キャまっしぐらだった。 さて、本書では萩尾望都「スロー・ダウン」、エドガー・アラン・ポーの「赤い死の仮面」、星新一の「凍った時間」シュクリィの「静かな水のほとりで」ハン・ガン「私の女の実」が印象に残る。 最初の三つは言わずもがなの面白さ。 ポーの物語は、迫り来る死の恐怖を描いており、これぞ、といった感じ。 感染症の恐怖というのは、人類が恐れる数少ない恐怖、しかし逃れる術がない恐怖。 まさに、今にふさわしい。 ハン・ガンは、韓国の作家。 韓国文学はこれまで児童書数冊しか読んでこなかったので、新しい世界だ。 「静かな水のほとりで」は、藤子・F・不二雄の短編を思い起こさせる、物悲しい物語だ。

    6
    投稿日: 2022.01.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ひきこもるとは、いったいどういうことなのか? 究極のステイホーム・ストーリーズが‼️部屋の中で、何が起きるのか? ひきこもっている間に、人はどう変わってしまうのか? 「ひきこもり」をテーマにした斬新なアンソロジーが誕生しました。編者は、『絶望名人カフカの人生論』『絶望名言』『食べることと出すこと』などで知られる頭木弘樹。病のため、十三年間のひきこもり生活を送った編者ならではの視点で選ばれた必読の名作群【目次】 ◎萩原朔太郎「死なない蛸」/◎フランツ・カフカ「ひきこもり名言集」/◎立石憲利「桃太郎――岡山県新見市」/◎星新一「凍った時間」/◎エドガー・アラン・ポー「赤い死の仮面」/◎萩原朔太郎「病床生活からの一発見」/◎梶尾真治「フランケンシュタインの方程式」/◎宇野浩二「屋根裏の法学士」/◎ハン・ガン「私の女の実」/◎ロバート・シェクリイ「静かな水のほとりで」/◎萩尾望都「スロー・ダウン」/◎頭木弘樹「ひきこもらなかったせいで、ひどいめにあう話」(上田秋成「吉備津の釜」)/あとがきと作品解説

    0
    投稿日: 2021.12.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    ひきこもり図書館館長さんの言葉が穏やかで心地良い。 先月読んだハン・ガンの『菜食主義者』の種子となる短編、『私の女の実』が収録されていた。このアンソロジーのために初めて和訳されたのだそうだ。 (以下、ハン・ガンの『私の女の実』と『菜食主義者』のネタバレ感想である。) 『菜食主義者』では、植物になれない苦しさや痛さが最後まで貫かれていたから、『私の女の実』では生き生きとした植物になれてよかったと思った。 でも、先に書かれたのは『私の女の実』なんだよな。 夫とどこかで通じ合うことができ、植物になりたいという願望が叶った作品を書き終えた後に、夫と完膚なきまでに断絶し、植物になれるはずもなく終わっていく作品を書くというのは、作家の情動や表現欲のエネルギーがいかほどか、切実さがいかほどかということを感じさせる。何かを削るようにして書いていることが分かる。

    1
    投稿日: 2021.10.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    引きこもり経験者の編者が引きこもりをテーマに編んだアンソロ。12編。 普段はなかなか読まないタイプの話が読めるのが楽しいよね。 おもしろかったのは「凍った時間」と「フランケンシュタインの方程式」かな。 星新一先生の「凍った時間」は星新一らしさ全開で好き。ラストの報われない感じもいい。 「フランケンシュタインの方程式」はバカミスならぬバカSF(そんなのないかな)でものすっごく軽くて読みやすい。もうね、酸素ボンベが味噌になっていた時点で笑っちゃった。笑いごとじゃないけど。 でも、印象に残ったのは「私の女の実」この話、すっごい印象に残る。読んでいるときもイライラするし、読後感もよくないんだけど、なんかいつまでも棘が刺さっている感じ。 再読していいなぁっと思ったのは「静かな水のほとりで」かな。自分の生活スペースに名前つけて、ロボットにも名前つけて、三人(?)でのんびり過ごす毎日。うん。なんか、主人公はきっと最後まで幸せだったんじゃないかなぁと思う。

    4
    投稿日: 2021.09.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    タイトルだけで買った本 装幀もキリッとしてて好み アンソロジーって読んだことなかったかも どのお話もよかった ハンガンの話とシェクリィの話が特によい 実はどっちも読んだことなかったので 読めてよかった ドタバタしてるのもあれば シーンとしてるのもあるし バラエティーに富んでてうまく集めたなぁ 己の本の読み方に足りなさを感じて ちょっとしょんぼりしたりもした よかったよーって 人にオススメするほどではないので 星は4つにギリギリ届かない3つ そっと隠しときたい本みたいな… そんな感じ

    1
    投稿日: 2021.08.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    編者 頭木弘樹(かしらぎひろき) 大学三年の時に難病に罹り十三年間ひきこもり生活を送られた編者が、ひきこもることで気づくことを描いた文学を編纂 編訳書『絶望名人カフカの人生論』 アンソロジー本『絶望図書館』 を読了していた 収録作品 萩原朔太郎 死なない蛸 フランツ・カフカ ひきこもり名言集 立石憲利編著 桃太郎(鬼退治に行かない) 星新一 凍った時間 エドガー・アラン・ポー 赤い死の仮面(既読) 萩原朔太郎 病床生活からの一発見 梶尾真治 フランケンシュタインの方程式 宇野浩二(大正文学) 屋根裏の法学士 ハン・ガン 私の女の実 ロバート・シェクリイ(アメリカSF小説) 静かな水のほとりで 萩尾望都(漫画) スロー・ダウン 頭木弘樹 ひきこもらなかったせいで、ひどいめにあう話(雨月物語 吉備津の釜)

    0
    投稿日: 2021.07.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    13年間のひきこもり経験のある著者の選ぶ「部屋から出られない人のための」アンソロジー。私はひきこもるタイプではないけど、今までにない視点で物語を読むことができて、とっても満足です。 引き篭もり止めたら、こんな楽しいことがあるよ、というような物語は12のうちひとつもありません。引き篭もるとこんな新しい発見があるよ、という話がほとんどです。ひきこもり部外者には、ひきこもりたちの声にならない声の代弁を聴いた気になります。朔太郎やカフカや星新一やポーや萩尾望都が、代弁をやってくれている。 私としては、岡山在住の日本民話の会会長立石憲利さんが採取した「鬼退治に行かない桃太郎」がお気に入り。完全岡山弁で、みんな意味わからんところもあるじゃろうけど、とっても身近じゃった。 萩尾望都の「スローダウン」(1985.1発表)。一度読んだはずなのに、ひきこもり漫画として紹介されると、おゝそういう見方もあるのか!と発見。その見方から見ても物凄く秀逸な作品なんだとビックリしました。五感全ての感覚を遮断した部屋で暫く過ごさせる実験。それをやると、「現実感覚」が変化していく、と頭木さんは言います。そういう時にふっと現れた「人の手」が特別なものになるという。頭木さんは、「どうしてあの感覚がわかるのか」「天才恐るべし」と書いています。「一度きりの大泉の話」を読んだ今、なんとなくわかる気がするのです。 「小説を読んで、心に残るフレーズがひとつでもあれば、それはもう読む価値はあった」と頭木さんはいいます。大きく肯首します。アンソロジーというものは、それを手助けする格好の方法だろう、と思います。頭木さんが多くのアンソロジーを編んでいるのはそういうことなのでしょう。 本書は、ひきこもりの方も読めるように、本と電子版同時発行だそうです。

    48
    投稿日: 2021.06.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ひとりなら僕だっていきてゆけます。 床の上に寝ればベッドから転ぶ心配はありません。 う~ん。まぁそうだよね。 水族館の地下の水槽で暮らす忘れられた蛸。飢え渇望して我が身を食らう。 なくなっても生きている・・萩原朔太郎

    0
    投稿日: 2021.06.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「ひきこもる」をテーマにしたアンソロジー。小説、エッセイ、漫画。洋の東西、時代も様々。ひきこもらざるを得ない昨今、読んでみた。小説は、SFというかショートショート的なものが多かった。引きこもって一人で読むと、ちょっと怖いかも。

    4
    投稿日: 2021.05.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    昨年最初の緊急事態宣言になった時、まっさきに思い出したのは『赤い死の仮面』だった。 一番強烈と感じたのは『死なない蛸』かなあ。 『フランケンシュタインの方程式』は悩めるテーマなのに、ユーモアSF的な語り口が楽しい。元ネタ?の『冷たい方程式』も読んでみたくなった。 『私の女の実』はやはり『菜食主義者』を思い出してつらくもなった。 『静かな水のほとりで』はアイディアとしてはさほど突出とも思われないのに、妙に印象に残って後をひく。

    2
    投稿日: 2021.04.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    自らも13年間ひきこもりだったという頭木弘樹さんが編集したひきこもりがテーマの世界初かもしれないアンソロジー。 全部面白かったです。 萩原朔太郎の『死なない蛸』は水族館の水槽の中で誰からも存在を忘れ去られた蛸を描いた散文詩。 そして頭木さんといったら忘れちゃならないカフカのひきこもりに関する名言集。カフカ自身はひきこもり状態にはならなかったようだが、ひきこもりチックな願望が見て取れる。 岡山県の方言が珍しい’鬼退治に行かない’『桃太郎』。『桃太郎』はいろんなバージョンがあるらしい。 星新一の『凍った時間』。高度なサイボーグであるムント。自分の姿が嫌で人々の視線を避け、ひきこもっていたがーーー。さすがのキレ。 ポーの『赤い死の仮面』。疫病に侵された世界から逃げるように城に閉じこもった城主と千の人々。ケレン味がある。 SFコメディの梶尾真治『フランケンシュタインの方程式』。宇宙船の中、酸素は一人分。乗員は二名。 再度登場の萩原朔太郎のエッセイ『病床生活からの一発見』。朔太郎版・病気になってから気づいたこと。 大正時代のニートが主人公の『屋根裏の法学士』宇野浩二。 日本でも人気の韓国作家ハン・ガン『私の女の実』。これはこのアンソロジーが初訳だそう。訳者は斎藤真理子さん。妻の体に表れた緑の痣。その痣はどんどん大きくなりーーー。 安部公房が褒めていたというロバート・シェクリイの『静かな水のほとりで』。宇宙の果てのある男とロボットと‘マーサ’の話。 萩尾望都の漫画『スロー・ダウン』。青年は実験に参加している。何もない部屋でずっと過ごすという実験をーーー。 番外編にひきこもらなかったせいでひどいめにあう話。これは『雨月物語』から一編。 ラストはあとがきと作品解説。 頭木さんの選書センスに参りました。 各作品前の頭木さんの前口上も上手く、その作品にスウッっと入って行ける。 ひきこもったことのある方には共感を、そうでないかたには発見を届けてくれる、かもしれない。

    49
    投稿日: 2021.04.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    カフカに親近感。絶望名人読んでみようかな。 <収録作品> 死なない蛸/萩原朔太郎 ひきこもり名言集/フランツ・カフカ 桃太郎/立石憲利(編著) 凍った時間/星新一 赤い死の仮面/エドガー・アラン・ポー 病床生活からの一発見/萩原朔太郎 フランケンシュタインの方程式/梶尾真治 屋根裏の法学士/宇野浩二 私の女の実/ハン・ガン 静かな水のほとりで/ロバート・シェクリィ スロー・ダウン/萩尾望都 ひきこもらなかったせいで、ひどいめにあう話/頭木弘樹

    3
    投稿日: 2021.04.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    とりとめのない精神論。人間って生き物は、昔から変わらないんだ。結論なってない。いろんな意味で無限∞。

    0
    投稿日: 2021.03.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ひきこもりがテーマのアンソロ 引きこもりって暗くて重いイメージだったけど、 コロナ禍で引きこもってみて、意外と楽しいことに気づいた。 このアンソロもいろんな引きこもりがあって、 このコロナ禍でいろんな人がいろんな引きこもりをしているんだ、私のひきこもりはわたしの引きこもりでいいんだと思いました。 まだまだ大変な世の中ですが、 辛いのはわたしだけじゃない、って心強いことだと思うのでもう少しみんなでがんばろって思いました

    1
    投稿日: 2021.03.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ひきこもりがテーマに編まれた12の物語。「凍った時間」はさすが星新一、久しぶりに読んだけど鋭い所を最後にえぐってくる所が気持ちよかった。「フランケンシュタインの方程式」はずっと気になってた疑問が最後に(笑)ハン・ガンの「私の女の実」は知ってると思ったら「菜食主義」のあとがきで読んでたからだった…ただ悲しいとか腹立たしいで終わらないのは最後の夫の行動なのかな。「静かな水のほとりで」がとても気に入ったのに、絶版が多いとの事で残念すぎる。何処かで探したいものです。新しい出会いがたくさん生まれた素敵な本でした。

    3
    投稿日: 2021.03.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    編者の頭木さんのアンソロジーは小説だけではなく詩や漫画が入っていてジャンルレスなところが好き。 今回の「ひきこもり」アンソロジーには、なんと私の大好きな詩人萩原朔太郎の作品が二つも入っている!(詩と随筆) うれしい。 「死なない蛸」は子供のころに読んで強烈な印象を残した名詩。筑摩書房の『変身ものがたり』というアンソロジーにも収録されているし、いろいろな見方ができそう。自分は幻想実を味わいつつも、閉じ込められ忘れられたものの恨みは永久に滅びない……という教訓的な読み方をしていた。 知らない作品の中で印象的だったのは ロバート・シェイクリイ「静かな水のほとりで」 梶尾真治「フランケンシュタインの方程式」 どちらもSFだけど、味わいはかなり違う。上は静謐で下はドタバタ。 しんみりするのは上。 人間の勝手さにひどいなぁ、となるのが下。 なんだか、この感じわかる、となったのは ハン・ガン「私の女の実」 現実的な希望を叶え得なかった女性が人外のものへ変わっていく、といっても恐怖的小説なイメージではなく、もっと静かな……という像は私の頭の中にもあって、ああ、ここに具体化された作品があった、という気持ち。

    2
    投稿日: 2021.03.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    頭木弘樹さん編の短編集。切り口がさえていて、とてもおもしろく読んだ。 ウロボロスを超えた?萩原朔太郎「死なない蛸」怖。 カフカ「ひきこもり名言集」ここまでひきこもりで、結婚を考える恋人がいたっていうのがある意味すごいよ、カフカ。 三年寝太郎のような「桃太郎」立石憲利 こんなバージョンあるんだねえ。おもしろい。 星新一「凍った時間」は初めて読んだ。それとも忘れてたのか? 世界を救ったのにせつない。 ポーの「赤い死の仮面」は、コロナの状況下で読むと、慄然となる。翻訳も抜群の冴え。 梶尾真治「フランケンシュタインの方程式」は、「冷たい方程式」の笑える悲惨版。 宇野浩二「屋根裏の法学士」はまさにひきこもりニートの話でたいへん身につまされる。 ハン・ガン「私の女の実」植物になる話って、ほかにも読んだことある気がするけど、そのなかでも異常に生々しい。 シェクリイ「静かな水のほとりで」小惑星でロボットと「ふたり」淡々と日々を送る人の話。ロボットに少しずつ言葉をおしえて、少しずつ会話が成立していき、でもやがて人は老い、ロボットも老朽化し……。しんとした美しさがしみて涙した。これがいちばん好きだったかな。 萩尾望都「スロー・ダウン」感覚遮断実験の話。すべての感覚を遮断したとき人はどうなるのかという話をとてもリアルに。 上田秋成「吉備津の釜」これも読んだことがあるような気がするけど思いだせない。こわー。髪だけってのが生々しくておそろしい。 巻末の頭木さんの解説もよいです。

    5
    投稿日: 2021.02.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    梶尾真治作品が含まれるアンソロジーということで購入した。特に「ひきこもり」に興味がある訳ではない。ただ、昨今のコロナ禍に伴って外出自粛を余儀なくされる中、実際の現状には所謂ひきこもりに共通する面もあり、作品の幾つかには共感できるものもある。やはり、今の自分はひきこもりなのだろうか。まあ、現在のひきこもりレベルは人に迷惑をかけるものでは無いので良しとしよう。 梶尾作品は有名な「フランケンシュタインの方程式」が収録、その他には星新一「凍った時間」、萩尾望都「スロー・ダウン」が収録されている。 その他で気になったのは、韓国女流作家のハン・ガン「私の女の実」、立石憲利「桃太郎」、ポー「赤い死の仮面」。 物理的に一つの空間に閉じこもる、閉じ込められる、自ら周りに隔壁を作る、いろいろなひきこもり方があるが、鬱屈した気持ちを自力で昇華できる力を持つ人であれば、一時的なひきこもりなら脱却できるだろう。本書はファンタジー的要素を持つ作品が殆どなので、ひきこもりの具体的解消に対しては何ら助けにはならない話ばかりだ。

    1
    投稿日: 2021.02.16