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オリヴァー・ツイスト(新潮文庫)
オリヴァー・ツイスト(新潮文庫)
チャールズ・ディケンズ、加賀山卓朗/新潮社
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総合評価

28件)
3.7
4
8
9
1
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    このレビューはネタバレを含みます。

    孤児オリバー・ツイストは子どもだが、生い立ちのせいか、不遇な扱いを受けていた。実の親を亡くした彼は救貧院に預けられたが、お代わりを求めたことで追い出されてしまい、その後、フェイギンというユダヤ人に出会い、そのユダヤ人の仲間たちともに、悪事に加担したこともあった。そんな彼は、ブラウンローという紳士に出会い、彼との出会いから、オリバーの人生は一変する。このように、本作は、オリバーと関わった人たちの環境、社会に焦点を当てており、当時のイギリスの、特に貧困層の立場を詳細に描かれている。また、後半では、モンクスという青年の謎を追い、なぜ彼が執拗にオリバーを狙っているのかというサスペンス要素満載の話が展開される。

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    投稿日: 2025.07.05
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    1034 645P チャールズ・ディケンズ (1812-1870)英国ポーツマス郊外の下級官吏の家に生れる。家が貧しかったため十歳から働きに出されるが、独学で勉強を続け新聞記者となる。二十四歳のときに短編集『ボズのスケッチ集』で作家としてスタートし、『オリヴァー・ツイスト』(1837-1839)でその文名を高める。他にも自伝的作品『デイヴィッド・コパフィールド』(1849-1850)など数々の名作を生んだイギリスの国民的作家。 オリバー・ツイスト (光文社古典新訳文庫) by ディケンズ、唐戸 信嘉  ノアは慈善学校の生徒で救貧院の孤児ではなかった。私生児でもなく、ちゃんと両親もいた。両親はすぐそばに住んでいた。母親は洗濯女で、父親はのんだくれの下級兵士だった。兵士といってもすでに退役しており、片足が義足で、日割りにすると二ペンス半と少しの恩給をもらって暮らしていた。もうずいぶんと長いこと、近所の店の小僧たちは往来でノアを見かけると、「半ズボン(3)」とか「慈善学校」とか不名誉なあだ名で彼を呼んだ。ノアはじっとこらえて彼らを無視した。だが幸運にも、とうとう名なしの孤児――どんなに卑しい者でも、後ろ指をさすことのできる人物――が彼の前に現れた。彼の鬱憤は利息つきでオリバーにぶつけられることになった。これは、よくよく考えてみるに値する事例である。なぜなら、ノアという人物を観察すると、人間の本性の瞠目すべき特徴が明らかになるからである。王侯貴族であろうと下劣な慈善学校の少年であろうと、愛すべきこうした性格は、身分に関係なく育まれるのだ。 バンブル氏がこのように話すと、オリバーはまた自分の母親が悪くいわれていることを聞きつけ、ほかの一切の物音を消し去るほど激しく扉を蹴りはじめた。と、そこへ、サワベリー氏が帰宅した。夫人たちは、彼の憤怒を誘うような尾ひれをつけてオリバーの不祥事を報告した。彼はただちにゴミ置場の扉を開け、生意気な弟子の首根っこをつかみ、オリバーを引きずり出した。  すぐわきの一里塚には大文字で「ロンドンまで百十キロ」と記されていた。その地名は彼の心に、かつてない、さまざまな連想を呼び起こした。ロンドン! あの偉大なる大都市ロンドン! そこへ行けば誰も――あのバンブル氏でも――もはや自分を見つけることなどできまい! 救貧院の老人たちがよくこんなことをいっていた。気骨のある若者ならロンドンで食うに困ることはない。田舎者には思いもよらぬ生活の手立てがいくらでもあるものだと。助けてくれる者がなければ、行き倒れて死ぬほかない自分のような宿無しの少年にとって、ロンドンこそ目指すべき場所に違いない。このような考えが脳裏をよぎり、オリバーはすぐに立ち上がってまた歩き出した。 その部屋は壁も天井も、古さと汚れのために真っ黒だった。暖炉の前に 樅 の木でできたテーブルが据えてあり、その上にジンジャーエールの空壜にさしたロウソク、何個かの錫のマグ、パンやバターや皿などが置かれていた。紐で暖炉の上に固定され、火にかけられたフライパンの中では、ソーセージが焼けていた。そして手に大きなフォークを持った、年老いた皺だらけのユダヤ人が、そのフライパンの前に立っていた。卑しい、ぞっとする顔立ちは、もじゃもじゃの赤毛によって隠されていた。彼は油で汚れたフランネルのガウンを着て、喉元を大きくはだけ、フライパンと、大量の絹のハンカチがぶら下がっている物干し竿の両方に注意を向けているようだった。年代物の麻袋で作った粗末なベッドが所狭しと並び、四、五人の少年たちがテーブルを囲んで座っていた。彼らはドジャーと同い年ぐらいに見えたが、大人びた様子で、陶器製の長いパイプをくゆらし、酒を飲んでいた。ドジャーがユダヤ人に何事か耳打ちすると、少年たちは彼のそばへ寄り集まった。そしてふり返ってオリバーにニヤニヤと笑いかけた。ユダヤ人も同じように、フォークを手にしたままオリバーのほうを向いて笑った。  このゲームが何回もくり返されたころ、若い女二人が少年たちを訪ねてやって来た。一人はベットといい、もう一人はナンシーといった。二人とも豊かな髪をしていたが、結い方はいい加減で、靴も靴下も薄汚れていた。美人とはいいかねたが、厚化粧をしたその顔はたくましく、威勢のいい感じがした。二人は少しも飾らず人当たりがよかったので、オリバーは実に感じのよいお姉さんだと思った。実際二人はその通りの人物だった。 「多分そうでしょう」オリバーは答えた。「天国はずいぶんと遠くにあって、そこでみんな幸せに暮らしているから、哀れな子供の枕元までわざわざやって来るはずはありません。でも、僕が病気だと母さんが知ったら、きっと天国にいても心配してくれると思います。母さんだって死ぬ前、とても重い病気だったんです。でも、天国にいると、僕のことなど少しも知りようがないかもしれません」オリバーはちょっと黙ってから、そうつけ加えた。「僕が苦しんでいるのを知ったら、母さんも悲しい気分になると思います。夢の中に出てくる母さんは、いつも優しくて幸せそうですけど」 オリバー・ツイスト (光文社古典新訳文庫) by ディケンズ、唐戸 信嘉  ノアは慈善学校の生徒で救貧院の孤児ではなかった。私生児でもなく、ちゃんと両親もいた。両親はすぐそばに住んでいた。母親は洗濯女で、父親はのんだくれの下級兵士だった。兵士といってもすでに退役しており、片足が義足で、日割りにすると二ペンス半と少しの恩給をもらって暮らしていた。もうずいぶんと長いこと、近所の店の小僧たちは往来でノアを見かけると、「半ズボン(3)」とか「慈善学校」とか不名誉なあだ名で彼を呼んだ。ノアはじっとこらえて彼らを無視した。だが幸運にも、とうとう名なしの孤児――どんなに卑しい者でも、後ろ指をさすことのできる人物――が彼の前に現れた。彼の鬱憤は利息つきでオリバーにぶつけられることになった。これは、よくよく考えてみるに値する事例である。なぜなら、ノアという人物を観察すると、人間の本性の瞠目すべき特徴が明らかになるからである。王侯貴族であろうと下劣な慈善学校の少年であろうと、愛すべきこうした性格は、身分に関係なく育まれるのだ。 バンブル氏がこのように話すと、オリバーはまた自分の母親が悪くいわれていることを聞きつけ、ほかの一切の物音を消し去るほど激しく扉を蹴りはじめた。と、そこへ、サワベリー氏が帰宅した。夫人たちは、彼の憤怒を誘うような尾ひれをつけてオリバーの不祥事を報告した。彼はただちにゴミ置場の扉を開け、生意気な弟子の首根っこをつかみ、オリバーを引きずり出した。  すぐわきの一里塚には大文字で「ロンドンまで百十キロ」と記されていた。その地名は彼の心に、かつてない、さまざまな連想を呼び起こした。ロンドン! あの偉大なる大都市ロンドン! そこへ行けば誰も――あのバンブル氏でも――もはや自分を見つけることなどできまい! 救貧院の老人たちがよくこんなことをいっていた。気骨のある若者ならロンドンで食うに困ることはない。田舎者には思いもよらぬ生活の手立てがいくらでもあるものだと。助けてくれる者がなければ、行き倒れて死ぬほかない自分のような宿無しの少年にとって、ロンドンこそ目指すべき場所に違いない。このような考えが脳裏をよぎり、オリバーはすぐに立ち上がってまた歩き出した。  その部屋は壁も天井も、古さと汚れのために真っ黒だった。暖炉の前に 樅 の木でできたテーブルが据えてあり、その上にジンジャーエールの空壜にさしたロウソク、何個かの錫のマグ、パンやバターや皿などが置かれていた。紐で暖炉の上に固定され、火にかけられたフライパンの中では、ソーセージが焼けていた。そして手に大きなフォークを持った、年老いた皺だらけのユダヤ人が、そのフライパンの前に立っていた。卑しい、ぞっとする顔立ちは、もじゃもじゃの赤毛によって隠されていた。彼は油で汚れたフランネルのガウンを着て、喉元を大きくはだけ、フライパンと、大量の絹のハンカチがぶら下がっている物干し竿の両方に注意を向けているようだった。年代物の麻袋で作った粗末なベッドが所狭しと並び、四、五人の少年たちがテーブルを囲んで座っていた。彼らはドジャーと同い年ぐらいに見えたが、大人びた様子で、陶器製の長いパイプをくゆらし、酒を飲んでいた。ドジャーがユダヤ人に何事か耳打ちすると、少年たちは彼のそばへ寄り集まった。そしてふり返ってオリバーにニヤニヤと笑いかけた。ユダヤ人も同じように、フォークを手にしたままオリバーのほうを向いて笑った。  このゲームが何回もくり返されたころ、若い女二人が少年たちを訪ねてやって来た。一人はベットといい、もう一人はナンシーといった。二人とも豊かな髪をしていたが、結い方はいい加減で、靴も靴下も薄汚れていた。美人とはいいかねたが、厚化粧をしたその顔はたくましく、威勢のいい感じがした。二人は少しも飾らず人当たりがよかったので、オリバーは実に感じのよいお姉さんだと思った。実際二人はその通りの人物だった。 「多分そうでしょう」オリバーは答えた。「天国はずいぶんと遠くにあって、そこでみんな幸せに暮らしているから、哀れな子供の枕元までわざわざやって来るはずはありません。でも、僕が病気だと母さんが知ったら、きっと天国にいても心配してくれると思います。母さんだって死ぬ前、とても重い病気だったんです。でも、天国にいると、僕のことなど少しも知りようがないかもしれません」オリバーはちょっと黙ってから、そうつけ加えた。「僕が苦しんでいるのを知ったら、母さんも悲しい気分になると思います。夢の中に出てくる母さんは、いつも優しくて幸せそうですけど」 婦人の名誉のためにいっておくが、彼女は行かないとはっきり断りはしなかった。ただ、警察に行くのは「どうしても気がすすまない」と確固たる意志を示し、丁寧にやんわりと拒絶したにすぎない。こうした礼儀正しさは、にべもなく断って仲間を傷つけたくないという、生来の育ちの良さに由来するものであった。 恐怖に耐え切れず、オリバーは本を閉じるとわきへ押しやった。それからひざまずいて、自分がそのような罪を犯さぬようにと神に祈り、もし自分がおぞましい犯罪に手を染める運命ならば、今すぐこの命を終わらせてくださいと願った。やがてオリバーは落ち着きを取り戻し、低いきれぎれの声で、この窮地からお救いください、家族にも友人にも愛されたことのない孤児を憐れんでくださるならば、どうか今こそ、邪悪な犯罪を前にして孤立無援でいる自分をお助けください、と嘆願した。 医者はカーテンを戻しながらため息をついた。「悪はどんな人間にも宿る。美しい風貌の奥に、悪徳が宿ることだってある」 朝の散歩がもはや一人きりでなくなったことは、注目すべき変化だった。オリバー自身もそう感じていた。ハリー・メイリーは――花束を抱えて帰宅するオリバーと出会ったとき以来――すっかり花に夢中になり、花の生け方にもなみなみならぬセンスを発揮し、年若い友人をすっかり引き離していた。けれども、こうした点で遅れをとったにせよ、一番いい花がどこに咲いているかを心得ているのはオリバーだった。二人は毎朝一緒に野辺を駆けまわり、とびきり美しく咲いた花々を持ち帰った。今では若い婦人の寝室の窓は開け放たれていた。ローズは豊かな夏の香りを部屋に入れることを好み、その爽やかな香りは彼女の回復を助けた。格子窓のすぐ裏には、丁寧に作られた小さな花束がいつも花瓶に生けてあった。その花瓶に生けられた花束は――水は頻繁に取り替えられていたが――枯れても決して捨てられることがない事実に、オリバーは気づいた。ロスバーン医師が朝の散歩に出かけようと庭を横切るとき、決まってその部屋の窓辺を見上げ、意味ありげにうんうんとうなずくことにもオリバーは気づいていた。そうこうしているあいだに日々は飛ぶように過ぎ、ローズはぐんぐん回復していった。 「上等なウサギのパイだぞ、ビル」チャーリーは肉入りパイを相手に見せていった。「ウサギは美味いぜ。手脚もやわらかいしな。口の中で骨が溶けるほどだ。口からつまみ出す手間もいらない。それから、一ポンド七シリング六ペンスする緑茶を二百グラムだ。濃いの何のって。沸騰した湯に入れればティーポットの蓋がぶっ飛ぶほどだぜ。あとは、精製してない砂糖を七百グラム。アフリカの連中にはこういう上等な砂糖は作れまいよ。一キロもあるパンを二個、極上のバターを五百グラム、グロスター・チーズ一切れ。お終いは、とびきり上等の酒だ!」 「心配するな、チャーリー」慰めるようにフェイギンはいった。「あいつは有名になる。そりゃあ間違いのないところだ。あいつの賢さが知れ渡るときがきっと来るよ。自分でそれを証明するだろうし、旧友や恩師の顔に泥をぬることはあるまい。それにあいつはまだ若い! あの年齢で流刑になるなんて勲章ものさ!」

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    投稿日: 2024.10.11
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    『オリヴァー・ツイスト』は単に「小説として面白かったね」で終わらずに、社会そのものに強い影響を与えました。なんと、実際に多くの人がこの作品を読んで社会改善を唱え、制度も改革されていったのです。 こうした「善を呼び覚ます小説の影響力」。 これはものすごいことであります。 ドストエフスキーが多くの人、特に子どもたちにディケンズの小説を勧めるのはこういうところにもその理由があるのかもしれません。 ディケンズの代表作『オリヴァー・ツイスト』、読みやすく物語展開も目まぐるしい面白い作品でした。

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    投稿日: 2024.08.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ディケンズの皮肉とユーモアがすごい。とてつもなく悲惨な状況をブラックユーモアに包んで描くので、くすっと笑えます。ですがその分、後でじわじわとそのつらい状況が身に迫ってくるような感覚がありました。 間接的に描くことで、より考えさせられるという感じでしょうか。スイカに塩をふると、より甘さを感じるのと同じようなものかと。 オリバー自身は特に機転を利かせたり、成長したり、そういう活躍の場面はありません。ですが、オリバーはかわいすぎる。孫を見るような感じで彼が運命に翻弄されるのを見守ってしまいます。 モンクスの正体が明かされた場面は、かなり拍子抜け。正体は絶対にハリーの方がよかったでしょう。いや、おそらくディケンズ自身も最初はそういう想定でいたと思います。だってローズはハリーに相談しなかったじゃないですか。 なんか最後の方がグダグダになって、後付け感が半端ないです。いや、本当にナンシーがああなるまではとても面白かったです。そこまではわくわく感がたまらなかったです。ですがそれ以降のご都合主義・予定調和な感じが鼻につきます。 面白かったのは面白かったですが、風呂敷のたたみ方に失敗したような感じは受けました。ただ二都物語でも感じましたが、ディケンズの描写力のすごさは、間違いないです。

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    投稿日: 2024.07.23
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    作家 小川洋子さんが出演されていたFMの番組で取り上げられたのを機に、いまさらながら読んでみようかと購入したのが数年前。熟成期間をへて、ようやく読み終えた。 文学史上ではもちろんよく知られている作者チャールズ・ディケンズであるが、私はこの『オリヴァー・ツイスト』が初めて。この作者、作品初め、著名な古典とも言える作品はあまり読んでいない。お恥ずかしい。 孤児として生まれたオリヴァーの数奇な運命の物語には読み進めるうちに引き込まれ、久々に小説を読む楽しみを味わえた。 それとともに、現在のパレスチナの悲惨な状況をもたらしている遠因でもある、イギリス(おそらく当時のヨーロッパ)におけるユダヤ人への差別意識がはっきりと描かれていて、知ることができたのは大きな収穫であった。

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    投稿日: 2024.06.13
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    あまりに悲惨なオリヴァーの人生に、涙なしには読めない。 とにかく、この子には幸せになってほしいと願いながら読み進めた。 翻訳ものにありがちな読みづらさはあるけれど(作者が伝記を書いている、という体で書いているのも、日本の小説にはあまりないので違和感がある)、物語が山あり谷ありで最後まで読み通せた。 途中でつらさからやめたくなることもあったが、なんとか最後まで読み終えることをおすすめしたい。

    5
    投稿日: 2024.06.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    まず内容の前に、読み手としての率直な意見を言うなら、翻訳がイマイチだと思った。ほかの訳者のバージョンを機会があればぜひ読んでみたい。それくらいストーリーがすんなり頭に入って来ず、何度も読み返す、考えなければならない箇所がところどころあった。私の脳みそが足りないせいかもしれませんが。。 フェイギン、は「ユダヤ人」である必要があったのか。オリバーは結局立派な血筋の人間だったから、品があって美しく幸せになるべきだったのか? ここのところが、やっぱり当時の社会の刷り込みがディケンズにもあったと思う。 それでも、弱者に寄り添い、正しく清い心の持ち主は幸せであるべきだ、というメッセージは受け取れた。ナンシーは本当にかわいそう。 地位や名誉のために、正しいことなのに、それができない社会は悪だ、それは正しいと思った。 ただ、最後の一段落が腑に落ちなかった、というか意味が分からなかった(-_-;)

    0
    投稿日: 2024.05.01
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    オリヴァーからしたらハッピーエンドでも、ナンシーからしたらバッドエンド。小説でプラマイゼロにするの描くとかすごすぎ!

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    投稿日: 2024.02.04
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    あまりにも暗い展開で読むのが辛くなり中断していたもののようやく読了。しかし暗いよね…、他作品一周したらまた読み返したい。

    0
    投稿日: 2024.01.27
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    いわずとしれたディケンズ初期代表作。運命に翻弄される孤児オリヴァーの波瀾万丈な少年時代、そして出生の秘密。 何度も映像化されていて見たことはないのだが、救貧院で薄粥のお代わりを求めるシーンが有名らしい。読んでみるとこれはひどい。貧民救済施設といえど、人を人間扱いしていないじゃないか!以下、当時の貧困層と弱者虐待の実態、低俗な人間の醜さが描かれ、作者ディケンズの痛烈な皮肉と風刺の切れ味がすさまじいほどに冴える。そのなかで前半はオリヴァーの逆境と克服が繰り返されるスリリングな展開が続き、先が気になって仕方なかった。 次第に集まってくる多くの登場人物たちの個性や配置が魅力的かつ巧妙だ。特に窃盗団たちの描かれ方は本作最大の特徴ともいえ、犯罪小説的な側面もある。善人と悪人がはっきりしていて、それぞれの人間性の程度にふさわしい結末が用意されているので、非常に健全なカタルシスが得られた。ただ、その意味では境界線にいる、とある少女だけは別で、ラストの文章など作者も特別な目線を捧げているのが印象的だった。 主人公オリヴァーは純粋無垢な少年だが、ひたすら運命に翻弄されるだけで、そこから特に成長するというわけではない。加えてあまりに都合の良すぎる巡り合わせが続いたり、後半はオリヴァーを置き去りにした展開になるなど、本作にはいくつかの欠点も見受けられる。しかし、そんなことは気にしなくてもいいじゃない、と言いたくなるほどのエネルギーとスピード感に満ちた大作なのは確かだ。700ページオーバー、面白いので一気に読めます!

    10
    投稿日: 2023.09.17
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    一部の登場人物を整理し切れず読み進めてしまった。。 善良な人物より悪党寄りの人間の方がドラマがあるのでもっとゆっくり読めばよかったと少し後悔。

    0
    投稿日: 2023.05.31
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    ホームズの時代の貧困について、小説を読みたくなり、ギッシング『無階級の人々』に続き読んでみました。 貧困は悪いことなのだと納得しました。 この本の解説はG.K.チェスタトンが書いていて、ディケンズについて理解が深まります。

    0
    投稿日: 2023.01.04
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    イギリス文学の傑作、ディケンズ読むならこれ! みたいな話を聞いたので読みました。 確かに面白い。しかもエンタメ作品として。 タイトルはオリヴァー・ツイストだが、オリヴァー以外の登場人物にもポンポン視点が移る群像劇。恩田陸並みに登場人物がたくさん出てくるのでメモ必須。 文章はとにかく皮肉まみれで思わずニヤリとさせられる表現が多い。キャラはみんな個性が尖っていて特に悪人の描写が上手い。 文学的にどうこうは置いといて、ヴィクトリア朝イギリスの風俗小説として、メロドラマとしてなどの俗っぽい楽しみ方もできることは特筆すべきである。 ただし、ストーリーの構成がガタガタで最後の方などオリヴァーが出てこなくなるので、その点はマイナス。

    1
    投稿日: 2022.08.28
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    あ〜面白かった〜と声が出てしまうような読後感。小説を読むことの原初的な喜びを思い出させてくれる作家。

    1
    投稿日: 2022.04.14
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    もともとこの夏はディケンズ作品を読もうと思っていたが、ちょうど来月からオーブでこの作品のミュージカル版が上演されるとのことで、一作目は『オリヴァー・ツイスト』にした。 700ページ越えだから早々に挫折するかと思っていたけど、2日で終わった笑 先の展開が気になるように伏線をはるディケンズの手腕を感じましたね…。 酷い場面や恐ろしい場面、血生臭い場面と、安心してほっとできる幸福な場面が交互に描かれて、ある種のスリリングさがあった。 救貧法や新救貧法についても後から調べて勉強になりました。 オリヴァーを中心とした周囲の様々な階級、職業、地位の人々の描写を通して、新救貧法という制度が社会に何をしていたかを露わにするような作品。 実際、この作品が為政者を動かす世論づくりに貢献したという。 エンタメ小説っぽい展開なんだけど、社会批判的視点も含まれているという大衆受けとのバランスがちょうど良かったのかなと。シンプルにオリヴァーが可哀想でこれ以上酷い目に遭わせないで!って思うもん。オリヴァーの描写は当時の子ども観らしく純粋ではあるものの、お母さんを侮辱されたら(責められたほどではないけど)暴力も振るうし、At the Back of the North Windのダイヤモンドよりは全然ましだったかな。 反対に、邪悪または愚かな人々の描写一言一句に大袈裟な皮肉が込められていて面白かった。ただし、偏見が色濃いユダヤ人のフェイギンの描写が舞台版でどう描かれているか気になる。 ちなみに教区吏のバンブル氏は「尊大な下っ端役人」という意味で普通名詞bumbleになっているとか。 女性の描写も結構興味深かった。親切で心の美しいお嬢さん、生まれ落ちた環境のために悪の中で生きざるを得なかったがいまだ優しさや情など女心のようなものを持つナンシー、バンブル氏を尻に敷く抜け目のない夫人などなど… ヴィクトリア時代の小説の女性も家庭の天使って感じのが多いけど、バンブル氏の夫人はかなり痛快だった。 あとフェイギンの一味の中でも、ナンシーや、少年(名前ど忘れした)は改心の余地があるように描かれていたが、ナンシーはサイクスを愛したがために自ら囚われたまま結局殺されることとなり、まだ若い少年は抜け出すことができたというのも興味深いと思った。 まだチケット取ってないけど、ミュージカル版観たいなと思う。

    2
    投稿日: 2021.08.16
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    役者あとがきにある通り、人物が生き生きとしている。 オリヴァーや女性たちが受ける扱いは本当にひどかった。この時代では当たり前のことだったのかと思うと、現代に生まれた幸せを感じる。

    1
    投稿日: 2021.01.26
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    なろう小説で、無職転生に代表される幼少期スタート系小説が好きな方は、読んで面白いと思います。はい、私の事ですね。 ガス灯、ガルバニ電池、蒸気機関、、、情報量と描写力は、流石ディケンズ!

    0
    投稿日: 2021.01.11
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    The 世界名作劇場。 700ページを経て、オリヴァー少年は幸せになりました。 めでたしめでたし。

    0
    投稿日: 2020.11.27
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    誕生の直後に孤児となり、オリヴァー・ツイストと名づけられた少年の物語。前半は救貧院における強欲な管理人による劣悪な生活や奉公先でのイジメ、ロンドンでの怪しい仲間たちとの出会いなど、つぎつぎと降りかかりる不幸と環境の変化に少年が耐える展開が繰り返されるが、後半は一転して風向きが変わり、さらに終盤は少年の出生の秘密へと焦点が移る。 本文中に「この伝記は~」といった表現が何度か登場しているが、本作で描かれるのはオリヴァー誕生から十二歳頃までであり、肝心のオリヴァー自身が成長するわけではなく、とりわけ後半以降は神輿に近い存在となっており、とうてい伝記モノとしての体裁はなしていない。ストーリー展開についても、終了時点では最重要となる人物が、物語前半の段階では伏線すらも張られていないなど、行き当たりばったりな印象は拭えない。このようなちぐはぐの原因については、1837~39年にわたって月刊連載の形式で発表された点を考慮すれば得心がいく。20代で本作を生み出した作者は、出生に秘密をもつ少年が波乱万丈を経て成功を納める伝記風の小説という大まかな構想をもとに連載を開始し、掲載後の読者の反応を受けて読者の好みに合わせて当初の構想から逸脱していったのではないだろうか。まさしく現代において、週刊少年漫画誌で連載を受け持つこととなった新人漫画家のようにである。 全体を通しての感想としては、700ページ超と一冊の小説としては長い紙数となっているが、本格的にストーリーが面白く感じるようになったのは500ページあたりからだった。そこまで読み進めてはっきり好感を持てなければ、普通は作品としての評価も決して高くないはずなのだが、通読した時点で満足させられてしまっていたのは終盤の追い上げも含めて、作者の腕力によってねじ伏せられたと思わざるをえない。 作品の具体的な魅力として、悪玉たちについての描写が第一に挙げられる。登場人物が明確に善悪二分される本作において、フェイギンやサイクスといった悪党たちこそ人間としての奥行をもって描かれており、とりわけ終盤の悪党たちの末路は、情景と彼らの心理があいまって、本書最大の見せ場となっている。そして、ただひとり善悪に分類できない少女が、架け橋として重要な役割を果たしている。

    7
    投稿日: 2020.10.08
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    ジェイン・オースティンを読む合間に、別の本を読んでみようと思って、同じく英国の代表的作家であるディケンズを読んでみた。 話はそれるが、サマセット・モームの「世界の十大小説」(1954年)の国別構成は、英4、仏3、露2、米1となっていて、作家とタイトルを挙げると、 イギリス  フィールディング 「トム・ジョーンズ」 1749年  オースティン 「高慢と偏見」 1813年  エミリー・ブロンテ 「嵐が丘」 1847年      ディケンズ 「デビッド・コパーフィールド」 1850年   フランス  スタンダール 「赤と黒」 1830年  バルザック 「ゴリオ爺さん」 1835年  フローベール 「ボヴァリー婦人」 1856年 ロシア  トルストイ 「戦争と平和」 1869年  ドストエフスキー 「カラマーゾフの兄弟」 1879年 アメリカ  メルヴィル 「白鯨」 1851年   と錚々たる作品が並ぶ。 英国人のモームだけに、イギリスが多いの当然だろうが、「トム・ジョーンズ」は英文学の研究者以外には、あまりなじみのない作家ではなかろうか。 その代わりにだれを入れたらよいか、モームに合わせて1800年代の作家と作品で考えてみたが、「モンテ・クリスト伯」のアレクサント゛ル・デュマか、「レ・ミゼラブル」のヴィクトル・ユーゴーが思い浮かんだ。 ディケンズが入っているなら、この二人でもいいのではないか。 とちらか一人を選ぶのが難しいというなら、「嵐が丘」ただ一作のエミリー・ブロンテをはずして、デュマとユーゴー両人とも入れてもおかしくないと思うのだが、そうすると英2、仏5になってモームとしては承服し難いだろうから、やっぱりこういう結果にしかならないのかもしれない。 ドイツがないのが意外なのだが、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」は1774年だし、トーマス・マンの登場は1900年以降なので、うまくいかない。あとはスペインのセルバンテスだが、「ドン・キホーテ」は意外と古く、1600年初頭だ。 というわけで、このラインナップ、「トム・ジョーンズ」を除けば誰もが知っている名作中の名作なので、できれば20代のうちに一度は読んでおくべき作品群だ。 それで本作品の「オリバー・ツイスト」なのだが、これまで読んできたオースティンの作品にくらべると、さほど面白くない。オースティンばかりでなく、デュマの作品よりも劣ると思う。面白くさせようさせようという意図が目立ちすぎて、逆に面白くない。 ディケンズの他の作品に較べてデキが良くないだけなのかもしれないが、そういえば過去に読んだ「デビッド・コパーフィールド」や「大いなる遺産」もそれほど面白くはなかった。それからすると、モームの自国びいきがなかったら、はたして十大小説のラインナップに名を連ねることができるのだろうか、そんな気もしてくる。 とはいえ、オーウェルはじめ、イギリス人のディケンズに対する評価はきわめて高いので、こちらの読解力不足もあるのだろう。 でも、その真価と魅力がわかりずらい作家だ。 そう思うのは私だけだろうか。

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    投稿日: 2020.08.09
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    オリヴァーがほんとにほんとにひどい目にあい続けて最後の最後まで生き延びれるか気が気じゃなかった。こういうハラハラドキドキするの久しぶりだからか、なんていうか年取って親目線で見てしまうからなのか、長い物語に耐性がなくなったのか、とにかく胃がキリキリして「はやく終わって泣」って思ってた…。 なんといっても強盗グループのキャラクターたちの個性豊かさと魅力的なこと!むしろ善人たちの方が凡庸な描かれ方な気がする。悪を絶対悪として描くのではなく、ナンシーみたいに環境によってそうならざるを得なかったような人を描けるのすごいなぁ。サイクスにしろフェイギンにしろ、別に悪いことをすることが好きなんじゃなくて彼らにとっては生まれたときからもうその道しか知らなかったんだろうなぁと思わせる。モンクスはそうでもないけど。 あと暴力描写や恐怖描写の容赦のなさ。子どものとき読んでたら震え上がってただろうね…ナンシーの殺され方…そしてサイクスの最期…グロい…映画化ではどうなってるんだろう。 オリヴァーくんかわいいの伝わってくる。ローズさんも素敵だし、いい人サイドの安心感半端ない。てかこんなに頼もしくてかっこいい大人がいてほしい。小さいオリヴァーを守るためにみんなで知恵と力を出し合って協力する姿。こんな大人になりたい。 あ〜面白かったなぁ!しかし自分にはこんなすごい小説1000年かかっても書けなさそう…ディケンズすごい…

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    投稿日: 2020.04.16
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    子供の頃に手にとっていたら夢中になったかもしれない。 ストーリーとしては、善玉はとことん善良で、悪玉は救いようもなく邪悪な定型的なメロドラマ。 ただ、社会の最下層で押し潰されそうになっている人々の悲嘆や、それにも負けずずる賢く立ち回る悪人たちの描写が奮っている。あまり当時のイギリスの世相に詳しくないけど、かなり風刺も入っているのかな?と思わせた。

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    投稿日: 2020.01.13
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    イギリスが舞台の作品を読みたいと思い、手にした一冊。 『小公女』と似た筋書きですが、理不尽さや汚い部分の描写の細かさが比ではないと感じました。 また、それだけに当時がいかに持たない人にとって理不尽で、汚かったかを物語っていました。

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    投稿日: 2019.05.06
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    主人公オリヴァーが後半ほとんど姿を見せないが、登場人物の面々は個性的。バンブルは滑稽な道化師的役回り。悪人フェイギンもユニークだが、彼を指すにユダヤ人が代名詞的にやたらと強調されている。シェークスピアの「ベニスの商人」もしかり、英国でのかつてのユダヤ人の差別的な位置づけが窺える。2019.4.2

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    投稿日: 2019.04.02
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    イギリス文学をかじろうと邪な気持ちで手にとってみた。 19世紀の中旬の刊行。著者は、貧困階級を主人公とし、弱者の視点で社会を風刺したチャールズ・ディケンズ。 孤児として生まれた主人公が、泥棒集団の仲間に入れられるものの、泥棒は失敗に終わり誤認逮捕された主人公は上流者階級に引き取られる。泥棒集団は彼の口から内実がバレることを恐れ主人公を捕らえようとする。 往時のイギリス社会の貧富の差が垣間見える作品。イギリス社会は決して裕福さだけで語られるものではない。話が冗長に感じられるのは、自分の忍耐力が減ってきたからだと思う。反省。

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    投稿日: 2019.03.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

     いろいろな側面のある小説である。はじめは俗物のこき下ろしと飢えと暴力を描く孤児小説だけど、オリヴァーがロンドンにでてからは犯罪社会小説になり、フェイギンとサイクスという二人の悪党が子どもや女性を支配していくようすが描かれている。元気な子どものスリたちは生命力にあふれていて、悪役の魅力がある。ローズとハリーの間は障害をのりこえようとする恋愛ストーリーだし、ローズとナンシーの間は『レ・ミゼラブル』のコゼットとエポニーヌみたいしだし、殺人が起こってからはドストエフスキーの『罪と罰』みたいで、トラウマになりそうな心理小説である。ちなみに、ドストエフスキーはディケンズの愛読者だったそうだ。最後はすこし急いでまとめたという感じがのこるが、とてもおもしろいと思う。 ディケンズは文豪とか言われるし、この小説は社会改良とむすびつけて語られるが、そう簡単にこうすればいいといったりはしない。孤児の成長小説ともいわれるようだが、主人公のオリヴァーがぜんぜん成長しないというのはすでに指摘されていることのようである。   全体としてみると、この本のディケンズは落語家みたいな作家じゃないかなと思う。「酒を飲みながら葬式の話をするのが大好き」という貧民のパワーを、いろんなもんと混ぜあわせて、世の中に対する文句をぶつけて、言いたいことをいって、おもしろいエンターテインメントを書いたんじゃないかと思う。オリヴァーはその中心にあって、かれをいじめたり、かばったりする人が物語をつくるという感じである。『三国志』の劉備とか、もともと語り物であった文芸作品のなかには、こういう空白みたいな主人公がいることがある。悪漢のうち、サイクスはどちらかというと単純なヤクザで、あんまり邪悪さは感じない。フェイギンのほうがしぶとくて邪悪である。

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    投稿日: 2018.10.03
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    孤児オリヴァー・ツイストが運命に翻弄されながらも生き抜き、幸福な生活を手に入れるまでのドラマを描くチャールズ・ディケンズの代表作であり、イギリス文学の古典。 非常に多くの人物が登場するが、そのそれぞれが強い個性を持ち合わせるあたりは人物造形に非凡な才能を発揮した著者ならでは。 そろそろクリスマスも近い。名作「クリスマス・キャロル」を読み返したくなる頃合い。

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    投稿日: 2017.12.09
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    ずっと前、大いなる遺産を最後まで読むことができなくて合わないのかなって思ったけど、オリヴァー・ツイスト物語は読みやすかったです。借り物なので、今度自分用に買います。これを機に大いなる遺産をもう一度読み直そう……。

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    投稿日: 2017.09.29