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無垢の領域(新潮文庫)
無垢の領域(新潮文庫)
桜木紫乃/新潮社
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総合評価

28件)
3.5
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8
3
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    このレビューはネタバレを含みます。

    心の機微を描いているのだろうシーン(特に男女関係)の意味がいまいち読み取れず・・・。そこがこの著者の良いところなのだろうけど、自分が鈍感ゆえにピンとこない部分が多かったかな。

    0
    投稿日: 2025.08.27
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    星☆4つも付けるつもりで読んではいなかった。 登場人物たちはみんな鬱々としてるし、純香という子を登場させる理由もわからず。話の展開も遅いし。 ところが純香の事件から様相は一変し、衝撃の結末へ。 それからは私が読み流していた、伏線となっている箇所を探してページを行ったり来たり。 純香が字を書くシーンをやっとのことで探し当てたら、そのページには、本に付いてる紐状のしおりが挟んであった。 前の読者さん(私はブックオフで買ったので)からの、この箇所覚えておいて!というメッセージのようで、なんだか嬉しかった。

    0
    投稿日: 2025.07.17
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    釧路の冷涼で湿度の高い風が吹いてくるような、侘しさと隣り合わせな作品、沈鬱な空気に纏われていた。なかなか世間に認められない書家とその妻、知恵遅れの妹を任されることになった図書館長と、彼と人生を歩みたいが一方通行の幼なじみ。 気持ちを真っ直ぐに伝えるのは、年相応の発達が滞ったその妹ばかりで、みなが自身の心にも向き合うことを避け、自身を見限り、自分にも相手にも期待はせず、飄々と生きている。書家の痴呆の母が、ときおり正気になって彼らの置かれている状況を冷徹に眺めているようであるのも気味が悪く、そして悲しい。 ひとくちに人間模様といっても、掴みようがなく謎のままで、そして相容れない部分が大きく広がったまま永遠に穏やかには収束しないというのが、人生なんだろうか。 憂いが霧のように残った。

    8
    投稿日: 2025.04.26
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    違う人間の価値観で作られる違う人生が混ざり合う物語。 小説は1つの事件に全員が巻き込まれる形式が多いけど、この作品はそれぞれに事件がある中で全員がゆるく絡み合い、人生、という感じがした。 自分の卑屈さを紛らわすために、より惨めになりたい気持ち。 自分の冷たさに気づかないように傷を求める気持ち。 自分の狡さを隠すために、相手に委ねる気持ち。 人間の汚い感情が丁寧に描写されていて、そこに存在する無垢が強調されていた。

    1
    投稿日: 2024.07.24
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    純香の周りの人間……嫌な奴ばっかりやん……。 誰も救われない、ただひたすらに後味の悪い物語。 並のイヤミスじゃないよ、コレ(笑)……重っっ。 嫌な奴という共通項が有るだけで個性の無い登場人物に感情移入も出来なかった。 物語としても、なんだか平坦で書いてある物をただ読まされているだけといった印象……。んで、……解決編の無いぬるくどんよりとした後味……。 なんだ?なんだ?何が言いたい? ミステリとしても最後の盗作のくだりもほぼ予想つくし……ちょっと色々と中途半端な内容で消化不良。

    0
    投稿日: 2024.01.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    寝たきりの母親を持つ芽の出ない書道家である秋津龍生と高校の養護教員の妻、怜子。 発達障害の妹純香を引き取り一緒に暮らす民営図書館館長、林原信輝。その交際相手の里奈。 純香が秋津の前に現れたことにより、自分の足りないところがあぶり出され、しかし純香の才能に惚れ込み書道教室の助手にする。 自分の稼ぎで夫、義母の生活を賄う怜子は、純香を口実に信輝に惹かれていく。が、もともと執着しない性質の怜子は一度きりで終わる。 信輝と曖昧な関係を続ける里奈。 里奈も、純香を挟み信輝との関係に悩み… 最後は純香が書道教室の中学生に、橋から突き落とされて亡くなり全てが終わる。 そして書道大会の大賞を射止める秋津龍生の作品は、純香の作品(盗作?)だった。 書に押す雅印は、寝たきりの母親の作品。 最後まで、母親が詐病である理由は明かされなかった。それを何年も続け、医者も欺くということが可能かについては、少し疑問。 でも大好きな桜木紫乃作品なので、余韻がとても心地良い。 何度も図書館で借りて読んでいるが、そろそろ購入しようかな。 自分の置かれている状況、年齢によって、感じ方が違う。 本当にいい作品です。

    1
    投稿日: 2023.03.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    生活能力には欠けるけれど書道の天才である林原純香が、民間に運営を委託されその館長となっている兄の元にやってきて起こす、周りへの人々の心のさざ波をえぐり出した問題作。書道家の秋津龍生はなかなか書道界で力を認められず、妻であり養護教員の怜子に経済的に支えられていたが、純香の件で林原館長に相談を受けてから男女の関係を持つ。秋津は純香の天才さに衝撃を受けつつ、そばに置くことを望んで自分の書道教室の教師として迎え入れる。林原館長には純香も馴染んでいる里奈という彼女がいるが結婚までは考えていない。秋津の母は、もうろくしているのか正気なのか定かではない状況。こうした人たちが抱える静かな嫉妬と羨望を、林原純香はそれぞれに気づかせていく。無垢である恐ろしさはそこにある。そして純香の急死。そこで人々の心のさざ波は薄らいでいく。 章ごとに主人公が違ったりして話の深みに入りにくいが、読み進めていくとざわざわとした心持ちになっていくところがこの小説の怖いところか。一度読んだだけでは、その深みに存在する「何か」を読み取るのは難しいかも知れない。自分も、その「何か」を探りあぐねて読み終わった。ジャンル的にはサスペンスらしいが、この作家の作品としては必ずしも成功作とは言えないのかも知れない。

    0
    投稿日: 2022.07.24
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    桜木紫乃にはまりつつある。 中年の男女がメールの行間を読んだり嫉妬したり絶望してたり、じめっとしてるけどリアルな人間模様の作品。このまま終わっていくと思ったら、中盤とラストで2段階の衝撃にやられた。秋津のその後が知りたいような知りたくないような。 発達障害で、若く純真無垢な純香を介して、周りの大人たちが欲望や嫉妬でそれぞれ破滅していくようなぞくっとする一冊だった。

    0
    投稿日: 2022.01.24
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    北海道の地方を舞台に鬱屈した想いを抱えた三者三様な登場人物による愛憎劇とでも言おうか 主要登場人物3人誰もが煮え切らず共感はしにくいが、ストーリーとしては読ませる

    0
    投稿日: 2021.11.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    手本どおりの書道の作品をかける適応障害の純香が生きていればあの書は彼女の名前で応募したのかなと思った!親の過剰な期待で生きる世界が狭まる。沢山の親子の形が書かれている!

    0
    投稿日: 2021.07.13
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    大人はみんな生きづらさを抱えながら生きていて、 幸か不幸かの線引きもできない。 親子も夫婦もきょうだいも、煩わしいと思っても簡単には捨てられないし縁を切れない。 自分の生きる道を探りながら、選んでいく。それが正解かどうかは分からないけど。 すっきり読み終える本ではなくて、生きていくことの"グレーさ"を感じさせられる物語。

    3
    投稿日: 2020.11.12
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    結末は終わりではなく、始まりである。 思えば、この作品においてはすべてがそうかもしれない。 何かが終わること、それは取りも直さず、何かの始まりとまったくの同義なのだ。 全体の作りとしては、上質な、けれどももどかしい、大人の恋愛である。 大人の恋愛と本来は相反するプラトニックな愛と交流が(途中までは)描かれている。それを浮き彫りにしているのが不倫という道ならぬ恋と、母親の介護、日の目を見ない才能という生々しいものだ。 終盤に入って、物語は急展開を迎えるが、それはそれまでにたくさんあったわだかまりの、一つの出口の塊なのかもしれない。 心理戦(といってよいのか、わからないが、幾人ものモノローグが語ること)が多く、12回の連続ドラマにしたらもしかしたら物足りないかもしれない。けれどもだからこその重厚な物語の造形であるように感じる。 桜木紫乃さんは生身の人間を描くのが上手だ。 それもある程度、自分自身に諦めているような、自分の弱さを知っている、けれども懸命に毎日を生きている、どうにかして前に進んでいる、どうしようもない人を描くのが上手だ。 角度によっては、誰もがそういう弱さや生々しさを抱えている。それを教えてくれる。 絶対的な悪なんてどこにもいないのと同じように、絶対的な善なんてものも、やっぱりない。 人は思惑を持って生きている。その思惑に自分を染めている人もいれば、その思惑に辟易し、けれどもそれにすがって生きていくしかない人もいる。 そしてやはり、道東に行きたい。

    3
    投稿日: 2020.06.29
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    今回学びました。桜木さんの本は、続けて読むものではないと。舞台は北海道、子どものいない夫婦、夫は甲斐性なしで妻が生計を立てる.....って、この間読んだ本と同じ設定や。ストーリーの大きな核は、子供の心まま成長できない天才書道家女子・純香なのだけど、彼女以外の登場人物が全てイヤだなぁ。各々の言動・心理描写が地味ーにイヤらしい。そしてラストにかけてがちょっとわかりづらくて、ネタバレサイト見たところ、ゾッとさせられた。心に墨汁を垂らされて、その染みがこすっても取れないような、そんな後味の書道にまつわる物語。

    1
    投稿日: 2019.02.19
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    本のタイトルにピッタリの話。無垢の領域がひたひたと広がり周りを侵食していく。桜木紫乃さんの人の心の動きを丁寧に書いてるところが好き。しかし呆けてる事を装いながら生活するほどの念、欲望って末恐ろしいわ。。

    1
    投稿日: 2018.11.29
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    主人公は誰だったのかよく分からない話。 書道家の彼だったのか、その妻だったのか。 それとも図書館館長の彼か。 それぞれの感情と思惑が絡み合い誰も得しない人間関係だったな、と。 書道家の彼は最期報われたのかと思いきや、全然そうじゃないという。これから先、書道家として生きていくには何とも酷な最後。幕切れだった。 芸術の才能は遺伝子で受け継げないのか? 母から娘へつながるが母から息子ヘつながっていない。 才能が有りすぎる母親を持つ子供と言うのはある意味とても不幸。

    1
    投稿日: 2018.08.19
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    うーん...。純花という無垢の存在によって、大人たちの本音、生きづらさ、哀しさ三者三様が浮き上がる、というのは面白くて、途中までは展開が気になって読み進めた。けど、結末がなあ...。何も解決しないままフェードアウトで読後感が悪い。

    1
    投稿日: 2018.06.08
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    桜木さんの作品を順不同で読んできて13作目。 心理サスペンスとあるように、書道家夫妻と図書館長のこれでもかと心情を掘り下げ描いており、作品としては相変わらず筆力にぐいぐい引き込まれ面白い。 でも好きじゃない。 でもこの三人が気持ちに蓋して取り繕って生きてるようで、自分は嫌いなんだろうと思う。 そして、登場する母親の全てが受け入れられない。子より自らの芸の力がそんなに大事なのか? 一人も希望が見える人が居ない悲しいお話…

    1
    投稿日: 2018.05.25
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    一気に読みました。 主人公は、いったい誰だったんだろうか? それほどに、そのぞれの登場人物の心の動きが描かれています。 読了後の不思議な感覚をまたこの小説でも感じました。

    1
    投稿日: 2017.07.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なぜ純香を死なせてしまったのか?正直納得がいかない。 秋津夫婦と信輝の心理描写は多いのだけれど展開がなく、話の全体的な盛り上がりにも欠けているので退屈に感じてしまった。 伶子と信輝が不倫関係に陥ってあれやこれや…というある意味分かりやすいドラマを想像していたらそんなこともなく、介護疲れの秋津が母を殺めるでもなく… ラストはつまり秋津は純香の贋作をしていたということなのか?ちょっとよく理解できず…

    1
    投稿日: 2017.06.21
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    純香と龍生の母、それぞれの家庭が持つ闇の部分をうまく表現している。 最後がすごい純香からの龍生へのプレゼント! こんな展開があるなんて!!! 桜木紫乃のすごさを見た。

    1
    投稿日: 2017.05.16
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    書道を生業とする秋津龍生とその妻の伶子、図書館長の林原信輝とその妹純香らによる物語。桜木紫乃の描く北海道は相変わらず鉛色の空が支配している。色々と気になる伏線はあるのだが、物騒な終わりかたにならなかったのは良かったような、消化不良なような。読み終わって、いい意味でモヤモヤが続いている。

    1
    投稿日: 2017.02.18
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    釧路で図書館長を務める林原。野心的な書道家秋津とその妻であり養護教諭の伶子。三人の男女の間に林原の妹・純香が現れ、その無垢な存在が彼らの心の奥に隠していたものを剥き出しにする。 どんよりとした暗い雲を抱えたような登場人物たち。結論を常に後回しにした行く末のような気がする。ちょっとしたエピソードに出てくる、妊娠した女子高生の自分で生きていこうという強い気持ちが、若さなのか性格なのか。

    1
    投稿日: 2016.09.09
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    2013年に刊行された単行本の文庫化。  指定管理者の職員で市立図書館館長となった林原信輝、その妹で知的障害を負い一緒に暮らし始めた純香、純香の書の才能に嫉妬する書家秋津、秋津の妻で夫と認知症を装う義母を養う養護教諭の怜子、林原の中学の同級生で恋人のように兄妹に心を寄せる里奈。  純香はその「無垢の領域」で、彼らが互いの関係に屈託を抱えていることを明らかにしてゆくが、冬の川に落ちて死んでしまう。  行き先の見えない恋愛物語?は最後の3ページでいきなりミステリーになってしまう。  いつもながら作者が淡々と綴る女性の心情表現には、はっとして心に残る言葉がおおい。

    1
    投稿日: 2016.08.29
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    桜木さんらしい抑えた筆致は林原兄妹と秋津夫妻が出会ったことで、何かしら不幸なことが起こることを最初から予感させる。信輝、伶子、龍生の悩み揺れる心理描写に、いつ不幸が起こるのかと身構えながら読んでいる部分がありました。若干引っ張りすぎで冗長かなとも思えますが、1か所だけ純香の視点を入れたのは効果的だったと思う。彼女の才能が明らかになった時点でオチは予測できたけど、これから先、どうするのかなと余韻を持たせる終わり方だった。

    1
    投稿日: 2016.05.30
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    書道教室を開きながら書家として名を上げる日を切望する秋津と、そんな彼と認知症の義母の生活を養護教諭の仕事で支える伶子。 危うい均衡の上に成り立っていた夫婦の生活に、林原と純香という兄妹が静かな波を起こす…。 全体的にどんよりとした、閉塞感が漂う作品だ。登場人物たちの機微があまりに繊細過ぎて、一読しただけでは単なる息苦しい物語という印象に終わってしまう。 かといってすぐに読みかえすのも少ししんどい。しばらくしたら再読したい。

    1
    投稿日: 2016.04.24
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    大人の男と女、ある時は自ら共鳴し、そしてある時はすれ違う。そんなどうしようもない、滑稽ですらある交わりが一人の純粋無垢な女性を媒介にして饒舌に語られる。ちょっとした心の揺らぎや迷いを掬い上げる言葉の数々が鋭く迫ってくる。

    1
    投稿日: 2016.04.17
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    覚悟はしていたけど、 重く苦しく悲しかった それでも、桜木さんの小説は 読もうと思わせてくれる力強さがある 純香を思う、気持ちや葛藤 寝たきりの母親と息子の静かな駆け引き なみだがとまらなくなりながらも ゾッと背筋が寒くなったりして 人の心の奥底のこわさが辛かった

    1
    投稿日: 2016.02.08
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    桜木紫乃の作品は初作から全て読み続けているが、この作品だけは気に入らない。そういう結末だろうと途中で予測出来るし、もっと燃えるような男女の関係と人間関係の機微が描かれるものかと期待したのだが、見事に裏切られた。 まったく普通の通俗小説というレベル。一体、どうしたんだろう。

    1
    投稿日: 2016.01.29