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科学を生きる
科学を生きる
湯川秀樹、池内了/河出書房新社
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総合評価

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  • 湯川秀樹に騙された…

    と、この前、放送大学のテレビ番組で偉い教授が研究を始めたきっかけを冗談めかして言われていました。 この本も湯川の教養と平和に関する愛が感じられました。当時のバグウォッシュ会議のメンバーで、大日本帝国の栄光を知る人間としての米国との関係の相克は見えかくれがしますが、全体として平和主義国家の擁護者として、次代に平和の種子をまき、新しい時代の日本の国力を理性ある人々に説くことに成功した稀有の物理学者が書いた熟達のエッセイだと感じました。 しかし、F作戦については、初耳でした。 戦争というのはやるからには勝たねばならないわけです。開戦した後に秘密兵器をねだるとは…。しかし、正邪はともかく、それに応じられる国が勝つわけです。湯川先生も日本を救えなかった科学者の責任と、戦争に反対できなかった科学者としての責任を感じるところがあったのでしょう。 今や、当時の平和主義を貫いておられるのは益川先生くらいしかおられません。現代の日本は大日本帝国当時の国力もないし、経済力が世界第二位だったころの経済的、技術的優位もありません。よい意味で湯川秀樹の平和主義に騙されたいものです。F作戦に参加した科学者が、という矛盾はあります。ですが、それは1941年に決まってしまっていることです。靖国参拝や中国非難はかっこよいかもしれませんが、日本国民は諸国民の信義によって生存を保持しようと決意しているのです。さあ、今日も頑張らねば!

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    投稿日: 2019.02.03
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    「直感的に把握するということは、各部分をばらばらなものとしてではなく、全体として、あるまとまりを持ったものとして摑むことであります。[…]それがある図形として認識されるのは、人間の持つ直観の能力によるといってもよいでしょう。」(127頁) 「自然は曲線を創り人間は直線を創る。[…] 自然の創造物である人間の肉体もまた複雑微妙な曲線から構成されている。併し人間の精神は帰って自然の奥深く探求することによって、その曲線的な外貌の中に潜む直線的な骨格を発見した。実際今日知られている自然法則の殆ど全部は、何等かの意味において直線的なものである。しかし更に奥深く進めば再び直線的でない自然の真髄に触れるのではなかろうか。」(157-158頁) 「詩と科学、遠いようで近い。近いようで遠い。[…] ごみごみした実験室の片隅で、科学者はときどき思いがけなく詩を発見するのである。しろうと目にはちっとも面白くない数式の中に、専門家は目に見える花よりもずっと美しい自然の姿を、ありありとみとめるのである。」(159-160頁)

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    投稿日: 2016.08.05
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    “物理学界の詩人”とうたわれ、平易な言葉で自然の姿から現代物理学の物質観までを詩情豊かに綴った湯川秀樹。「詩と科学」「思考とイメージ」など文人の素質にあふれた魅力を堪能できる28篇を収録。

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    投稿日: 2015.05.19