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あられもない祈り
あられもない祈り
島本理生/河出書房新社
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総合評価

60件)
3.3
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19
9
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    すごく好きだった。 地に足がつかないような、ファンタジーみたいな、ふわふわしたお話なのに、言葉は現実。 読むだけで心がいたむのに、もっと続いてほしいと思ってしまった。 失恋の煽りで重苦しい恋愛小説を好んで読んできた数日。 あられもない祈りを読み終わって、恋愛小説からは少し離れようと思ってしまった。西加奈子さんの解説にあるように、これ以上はないかもと感じて。

    1
    投稿日: 2026.01.08
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    登場人物の生き方が痛々し過ぎて、読み進めるのが恐かったです。自身が読む恋愛小説や恋愛漫画は、幸せと少しの苦味で構成されている話が多かったため、恋愛の辛い部分を切り取って見せる本作は、リアルな分、読んでいてきついと感じました。現実にもよくある話だと思いますが、当事者達が感じていること、行動の理由など、人物の解像度が高いため、鮮明で生々しかったです。

    22
    投稿日: 2026.01.05
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    なるほど低評価になっても仕方ない、万人受けするタイプの作品ではない。わたしには合ってた。おもしろかった。話の流れとしてはありがちかもしれないけど、ひとつひとつの紡がれる言葉が美しかった。 主人公の視点で繰り広げられる、「わたし」と「あなた」の苦しい恋愛。 西加奈子さんの解説を読んでとてもしっくり来たけど、主役であるはずの「わたし」と「あなた」の輪郭は常にぼやけていて、その他の登場人物のほうが線が濃い。でも、それこそが恋というものなんだろうなと思う。相手のことを考えて考えて、相手の存在があって初めて自分があるような、そういうものが本気の恋なのかもしれない。 だからこそ、恋が終わりを告げると途端に冷静にまわりを見れるようになる。 主人公の恋は常に苦しいけど、傍から見たらこういう女性は俗に言うメンヘラだ。自分とは考え方が違うけれど、どういう心理で恋愛をして、不安定な言動を取ってしまうのかが少しわかった。 とても似たような経験をしていた友人がいて、ずっと理解ができないと思っていたけど、恐らく本人も自分の考えていることをわかっていなかったんだろうな。だからこそ不安定だし、何より自分の中における自分の位置が低い。 どうしようもないけど、みんな幸せになって欲しいと祈るしかない。

    23
    投稿日: 2025.12.07
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    作品のテーマは「祈り」。 主人公「私」は、幼い頃に愛されなかったため、愛や安心を強く求めて生きている。 タイトルの「あられもない祈り」は、「みっともない」「ふさわしくない」「あってはならない」という意味を含む “あられもない” と、解説で西加奈子さんが語る、島本理生さんの「どうか救われますように」という祈りの気持ちが重なった言葉だと思う。 つまり、みっともなくても、ふさわしくなくても、許されないことであっても、どうか救われますようにという意味になると解釈。 作中には、多方面に向けた 救いの言葉 もある。ここでは書かないが手に取って、その祈りを受け取ってほしい。 あなたにとって、どうか救われる言葉が見つかりますように。

    1
    投稿日: 2025.11.24
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    心だけでなく身体まで痛み出す。ただ浮気しているだけの風景が、なぜか名場面に見え出したり。逃げる私が逃げるあなたを追う物語。お互い向き合わずに逃げてしまうから分かりあえない。人は持っていないものを、補いながら恋愛をするが、これは真逆の恋愛。一度目読んだ時は不倫当事者の燃える気持ちで読めたが、二度目は過去を悔いるような気持ちで読めた。是非ニ回読んでほしい作品。一度目と二度目で感じ方が違う作品。

    1
    投稿日: 2025.11.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    私とあなたの恋のはなし。 自分勝手、相手を想っているようでどこか遠い。彼氏に何をされるかわからないのに安心していて、あなたには、不安と緊張がつきまとう。 比喩表現が独特で読みづらさもあるけれど。 【自分が堪えれば、なんとかなるのだと思っていた。だけどそれがなんの意味もなさない出来事と、むしろ停滞するたくさんの事柄を見た。あなたは結果の末に決断を下すのではなく、決断の末に、結果を負うとした…。 私は、1から7に飛ぶことはできない、あなたは、不安と弱さ、強い分だけ脆いということを私は気がつかなかった…】

    0
    投稿日: 2025.07.08
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    島本理生さんの作品は今まで何作品も読んできたけれど、この作品はなかなか難しかったです。 出だしからして何回か読み返しました。こういう文章の書き方が島本理生さんらしいなとも思いました。 解説で西加奈子さんが「あなた」に関して「私」は数々の言葉を尽くしているのに、「あなた」はまるでぽっかりとした大きな穴のようだ、と書かれていて納得しました。顔が見えない感じがします。 周りに登場する人のほうがはっきりしている感じ。 「私」も「あなた」も苦しいのだろうけど、最後の方は「あなた」のほうが苦しいのかもしれないと思いました。

    0
    投稿日: 2025.06.15
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    同著者『ファーストラヴ』の文庫版あとがきで、 朝井リョウさんがこちらの書名を挙げていて気になり、読んでみた。 島本理生さんの恋愛の心情描写は 胸に突き刺さることがよくある。 この作品では、主人公の「わたし」は DV彼氏とは別れず、 不倫している「あなた」とも離れられず、 そこだけみると、ぜんぜん共感できないのに、 時々グサッてきて、衝撃が忘れられない。 特に96ページかな。 あとがきは西加奈子さんで、 この作品を読んでもう恋愛小説は書かないと思ったそうだ。 とにかく苦しくて、人に薦めにくいけど、 読んだことを忘れられない作品になりそう。

    0
    投稿日: 2024.07.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「出会ったとき…ちょっと堅苦しい印象を受けた」 「君が席を立って…後ろ姿が綺麗だということに気付いた」 「君が戸惑ったようにこちらを振り返った…ふっと力が抜けたように微笑んだ」 「まるで世界から救われたみたいに」 僕もこんなふうに話してみたい。 この先、望むべくもないことだけれども。 読ませるなあ、と第一印象。興味深くて、僕の好み。登場人物のイメージが、なかなか浮かんで来なかった…これは僕の責任だろう。

    0
    投稿日: 2024.03.25
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    文学的、詩的すぎる文体に読みにくさを感じながらどうにか頑張って読み切りました。 正直かなりメンタルが落ちてしまいました。。 「わたし」にはもっと自分を大切にできる恋愛をしてほしい。

    1
    投稿日: 2023.12.07
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    ねえこんな苦しいことある…?? 軽い気持ちで読み始めたら、吐きそうなくらいしんどくて、私の2023年しんどい恋愛小説大賞ぶっちぎりの第一位です。 〈私〉と〈あなた〉のおはなし。 一緒に暮らす恋人がいる〈私〉と、奥さんがいる〈あなた〉のおはなし。それだけ。 登場人物はたくさん、母や父や職場の同僚やそれこそお互いのパートナーも出てくるけれど、みんな「その他の登場人物たち」だった。 ただ、〈私〉と〈あなた〉の恋のおはなし。 自分勝手でまっすぐでどうしようもない恋のお話。 ぼんやり霞のかかったような比喩表現にぎゅっと胸を掴まれて、また苦しくなる。 これは読むタイミング、精神状態を選ぶ作品だと思う。とりあえず、今日でよかった。 またいつか、読みたい。 * ”求められなければ気が休まらないくせに、いったん始まってしまうと、あとはもうおびえを抱いて朦朧としながら早く終わることばかり考えている、セックスという行為そのものはいつだって不透明で、ただその前後にある意味ばかりを必要としていた、それを打ち砕いたのはあなただった。”p5 ”馬鹿らしいと思われるだろうし、子供だと呆れられるかもしれないけど、私はたとえ殴られたって、そばにいてほしい。それ以外に何も望まない。あなたを縛ることは、私にはできないから”p49 ”帰りの新幹線の中で、また忙しさの周辺に先の見えない不安ばかりが覆う日常に戻るのかと思ったら気が遠くなり、私はまるで学校に行きたくない子供のように泣き続けて、あなたを困らせた。薬指にしかはまらない指輪は目立ちすぎて、きっと出番がないだろうと思った。”p126 “痛い、苦しい、淋しい、そのぜんぶを正当化できない息苦しさ。巨大な罪悪感を持ちきれなくて、あなたを責めた。自業自得だと思うほど飛び出す言葉は容赦なく、自分の内側から噴き出した毒がまわって病んでいく。”p132

    0
    投稿日: 2023.11.26
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    自分にとってはすごく難しい立ち位置の本だった。ときどき打ちのめされて、総合的にはここに書かれている感情への嫌悪感のほうが勝った。

    0
    投稿日: 2023.09.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    めちゃくちゃ好き。最初はいまいちのれないな〜と思ってたけどだんだん「良いかも」と思い始め最後には「良い……」となるスルメイカのような小説だった。 正直この作品が世間で大ヒットといかなかったのは納得だけど私はめちゃくちゃ好き。解説にあったように「恋」を描いているので若干文学の香りが強いような気がするしキャラクターの濃さみたいなものとか二人の過去についてとかはあまりないので、まあ一般ウケはしなかったんだろうなと。そこまで劇的な出来事もないしね。 けど私はめちゃくちゃ好き。切なくて切なくて、島本理生さんの本を読むのはこれで五冊目だけどこの本はかなり切ない。 ままならねえ二人の切ない恋といえばナラタージュもそうなんだけど、あっちのほうが社会的な立場とかもあってわかりやすかった。この作品は本当に二人だけの世界、二人にしかわからない事情って感じで、「人間と人間」を描いてる感じで本当に好きだ。島本理生さん謹製の「自分を大事にしない女×悪い人じゃないのにどこかずるい穏やかに見えて曲者の年上男」はマジで「そうそうこの味!」って感じだった。これ食べに来てたんですよ。 登場人物が全員不器用で、普通の暮らしをしているように見えてどこか歪んでて、とにかく「人間」って感じで良かった。みんな苦しんで生きてる。なんだかうまくいかない。 結局主人公はずっと本音を言えないままだったのだと思うし、男の人の側も好きだけど弱さを抱えてて、好き同士ではあるけど本当に色々な事情がありすぎてどうしようもなかったんだと思う。本文中にあったようにまさにボタンを掛け違えたような恋だ。切ない。 いつもながら文章全体の雰囲気がおしゃれで、華美すぎないのにハッとさせられたり見惚れちゃうような地の文は最高だ。島本理生さんは地の文からセリフまで全部味わい深くて良い。世界観の統一っぷりが凄まじい。 うまく言えないがとにかくよかった!好き!! 世間での評価と自分にとっての価値は必ずしもイコールではないということをしっかり再確認できた本!!

    6
    投稿日: 2023.04.12
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    『ナラタージュ』を読もうと思ったが、あまりにも有名なので、その前に軽く読める同じ作者のものを読もうと思って借りた。 なんというか、分かりづらい小説だった。主要人物の名前が出てこなくて、俺と私だけで話が展開していく小説に苦手意識があるのだが、今回も漏れなく当てはまった。一人称が好きじゃないからかもしれない。 全体的に幸せというよりも不安定な印象を与える。主人公の煮え切らない態度が、自分にはよくわからなかった。 全体的に共感できるシーンが少なかった。あまりにも自分と主人公を重ねることができなかったからかもしれない。 面白くないわけではないが、再読しようとは思わない。特に印象に残らないが、台詞はところどころ印象的だった。 「一人で迎える夜は、世界の終わりだった。(中略)毎夜死んでいく(46頁)。」 「逃げるっていう行為は、逃げ道をなくしていくことでもある(82頁)。」 など。特に82頁の台詞には納得させられた。 が、おそらく『ナラタージュ』は読まないと思う。 総括して、最後まで何を描きたかったのかわからなかった。背景が何もわからなかった。

    1
    投稿日: 2022.12.22
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    深い海の底でそこには私とあなただけが存在しているような印象の話。 楽しい日常はなくそこにはどこまでいっても私とあなた。ずっと暗くて息苦しい。 これが不倫をしている時の心情なのか。

    0
    投稿日: 2022.08.07
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    揺れる二人、交わりそうで交わらない。うーん、焦れったい。中学生かという。 恋愛小説もここに極まれりである。 と言っても、そこは人生をこじらせてしまった大人なので、いや実に瑪瑙臭い、いや面倒くさいのだ。離れれば追いかけ、追われれば逃げる、詩的に表現するなら蜃気楼のような、とか言う説明が通用するのもバブルまで。 まぁこういう面倒くさい奴らが御託を並べるのも嫌いじゃないんだけど、イマイチ乗り切らないのは、なんかもうやりすぎて厨二病っぽくなってるからかなぁ。無念。

    0
    投稿日: 2022.07.20
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    1度目で頭に入ってこなくて2度読んだ。 常にそばに、いてほしい時にいてくれる人でないと耐えられない女性。 義理を感じて捨てきれずどっちつかずの男性。 「だから、きっとそういうことなんですよ。でも、そういうのって、なんの意味もないじゃないですか」 は前後何度読み返してもどういうことなのか分からなかった、、、けど後半になってやっと分かった。 関係が冷めていると思ってたら、お互い関心があることを出せなくなっていただけ。傍から見たら愛人。 中途半端な状態に甘えていると、決断のタイミングを逃す。 かけちがったボタンホールはなるほどと思った表現。

    3
    投稿日: 2022.06.19
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    2回目。5年くらい前に初めて読んだ時はあまりすきになれなかった。でも今読むとまずは言葉が綺麗。そして、幸せになれるはずないのに相手を求めてしまう恋の苦しさに溺れそうだった。ストーリーより空気感を味わいたい1冊です。

    0
    投稿日: 2022.01.23
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    一回読んだだけでは自分の中で整理できず、二回読んだ。やっぱりあなたと私の関係は掴みどころがなく読み終わってモヤモヤする。 西加奈子さんの解説も読みながら、2人の関係そのもののお話というよりは、余白を書き出すことで2人の関係が浮かび上がってくるような感じがしっくりきた。 自分のことを大切に出来ない、物の扱いが良くなく物持ちが悪い感じ。自分のこと、気持ちにあえて鈍感になることで自分自身の心を保っている私。同情ではなく本当にあなたの幸せを祈っていた。

    1
    投稿日: 2021.07.11
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    『私はこの小説に、作家として、ある道を閉ざされた。この小説を読んだのは、2010年の春だ。冒頭の一文で、私はもう動けなかった。 ー 西加奈子 ー』 小説の最後に〈解説〉というものがついていることがしばしばあります。小・中・高の生徒だった時代の私は、夏休みの読書感想文と言えば、作品の内容など一文も読まずに巻末の〈解説〉を適当に繋ぎ合わせて原稿用紙を埋めておしまい、私にとっての〈解説〉とは、そういった存在でした。そんな私が一年半前に読書の世界にはまり、作品の内容に魅せられ、こうやってブクログにレビューを書くようになると、〈解説〉に対する思いは大きく変化しました。”う〜ん、そんな風には読み込めなかった!凄いな、この解説の人!”、と感じるものがある一方で、”何、これ?もしかして、これでお金もらったの?”というような酷いものまで、そんな〈解説〉自体にも感想を持つようになりました。本というものには、このような〈解説〉がつき、立派な装丁がなされ、さらには広告の帯までがついてその作品を盛り上げます。私たちはそれらに魅せられて、その作品を手にすることにもなります。しかし、どこまでいっても大切なのは、やはり作品自体であることに違いはないでしょう。 小説にも色んな作品があります。本文を読み終えて、それで十分な満足感、納得感を得られれば、それが一番です。しかし、読み終えて、気持ちが収まらない、なんとか気持ちを落ち着かせたいと感じるものもあります。 島本理生さん「あられもない祈り」、この作品はそんな気持ちが収まらないと感じる小説の代表格だと思います。なんともやりきれない、息の詰まるような読書を強いられるその作品。そんな読後には、揺らぐ気持ちを収めてくれる〈解説〉が待っていました。西加奈子さんによる『私はこの小説に、作家として、ある道を閉ざされた。』から始まるその〈解説〉。これを読んで読者の私は救われた!息が詰まりそうな閉塞感の中から、私を連れ出してくれた!そんな風に感じさせてくれた西加奈子さん。超一流の作家さんはやっぱり違う、と改めて感じると同時に、私の中で、この作品自体が決着していくのも感じました。〈解説〉とペアで読むべき作品、そうでないと収まらない、息が詰まりそうな鬱屈とした感情の世界を描いたこの作品。そんな『この小説を発表する気がなかった』と、おっしゃる島本理生さん。それは、『私は、もうどうなってもいいからあなたに会いたいと思った』という『私』と『あなた』の二人の世界を狂おしく描く恋愛小説です。 『三年前の夏の日、私たちは岩場の陰で、日の入りを待っていた』という海辺、『眠たくなったかな』と、柔らかく尋ねた『あなた』に、『少しだけ』と『恥ずかしくなりながら答えた』主人公の『私』。そんな『海からの帰り、真っ暗な山奥の国道を走りながら』、『俺と付き合ってください』、と言った『あなた』。しかし『フロントガラスを見つめたまま、首を横に振った』『私』。『その後も何度か同じやりとりがくり返されたけれど』、『友人にはなれるけど付き合うことはできない』と『告げたのを最後にあなたからの連絡は途絶えた』というそれから。そして翌年のこと、『会社の給湯室を出たところでばったり会った渡部さんから、あなたが婚約したことを知らされた』『私』。結婚式に行こうと誘われて 『行ければ行きます』と答えた『私』は、その一方で『父が倒れ』たと母親から連絡を受けました。『下がることのなかった高熱は父の脳細胞をこつこつと破壊し続けた』という深刻な病状は、父親からすべてを奪います。『その直後から、電話が頻繁に鳴り始めた』と、『生活の行き詰まりを訴える母の口座に』お金を振り込む『私』。『幼い頃から、父は羽振りが良くなると若い女優を連れて旅行に出てしまい、母はそのたびに生活に困窮し』、以前から仕送りはしていたという状況。母親からの電話を切ると『大学院の研究室で、助手をしている』直樹が『実家ともめてんの』と話しかけてきました。神社の神主を継ぐのが嫌で田舎から出てきたという直樹。そんな彼と出会って『一緒に暮らし始めてしまったことを後悔』している『私』は八方塞がりの状況。そんな『家族と恋人、どちらか一方を切り捨てた時点で完璧にもう一方へ呑まれることも悟っていた』という『私』の元へ『「happy birthday」のタイトル』のメールが届きました。『色々あったけどこれからは友人として親しくできれば』という『あなた』からのメールをきっかけに食事をすることになった二人。そんな翌日、『お金を持って、逃げられたのよ』と、知り合いにお金を騙し取られ『もうみんなで死ぬしかないわね。だから、お願い、本当に今度だけだから』という母からの連絡に、またお金を振り込んだ『私』。そんなどん底の日々の中、『ひさしぶり』と『あなた』と偶然に再開した『私』に『気になって携帯に電話をしたら、異様な雰囲気の男性が出』た、『君はいったい、大丈夫なのか』と訊く『あなた』。そんな『あなた』は、『これは俺が持ってる別荘の鍵です。君が好きなときに使ってください』と、『私のジャケットのポケットに鍵と住所のメモを押し込』むのでした。すぐに『使えません』と即答した『私』。しかし『あなたの別荘は、海岸の国道沿いにある一軒家だった』と、結局、別荘を一人訪れぼんやりと佇む『私』の前に、『なにか分からないことはないかな』と『あなた』が突然現れました。そして、そんな『私』と『あなた』の二人の世界が描かれていきます。 『この小説を発表する気がなかった』と西加奈子さんに語ったという島本理生さん。そんな島本さんが世に送り出したこの作品は『「あられもない祈り」は、「私」と「あなた」の物語です』というように、『私』と『あなた』という閉じられた世界の中に、もう鬱屈と言っていいほどの『私』の悶々とした感情が描かれていきます。しかし、そんな作品からは不思議とドロドロとした印象は受けず、外の世界の風景が印象深く感じられます。まずは、このことを先に書きたいと思います。この物語で、そのような感覚を受けるのは島本さんの卓越した情景描写にあると思います。作品冒頭、海に出かけた二人の場面が描かれます。そんな二人の目の前にあるのは『やがて炎を流し込んだような海がやって来た。夕暮れに染まった海は、生々しい傷のように見ているだけで息苦しさを覚えた』という大自然の圧倒的な光景でした。『炎を流し込んだような海』という大胆なまでの表現が、二人がいる場をダイナミックに盛り上げる一方でどこか不穏な印象も抱かせます。一方で、同じ夕景でも、『あなた』の別荘での二人の前に広がる風景は印象が異なります。『輪郭の溶けていく時間帯。ブラインド越しに、細くて鋭い西日が床に差していた』という情景。そして陽が落ちていき、『私は衿元を直しながら、遠い夕暮れの空を見上げた』という眼前には『もう星がまばらに浮かんでいる。月はとても澄んだ白い光を水辺に滴らせていた』と、とても穏やかな情景が広がります。この自然の描写と『私』の心の内が絶妙にリンクして、読者は『私』の心の内が描かれずともこの自然の描写から、『私』の心の内を感じ取れるようになっていきます。上記したような光景は、いずれも開放感のある大自然の描写であり、そこに閉塞感は感じられません。また、他にも『あなたはすべてをとらえて奪うことで、初めて、私のもとに肉体を還してくれた。濡れて黒光りする石の道を、灯籠の道案内が照らしている』といったように心の内を外の世界の描写で例える表現が頻出するこの作品。この美しい描写の数々が、内へ内へと籠るこの物語が不思議と閉塞感に包まれきらない理由なのだと感じました。 そんなこの物語は、島本さんがおっしゃる通り『「私」と「あなた」の物語』、まさしく二人だけの世界の物語が描かれていきます。〈解説〉の西加奈子さんはこのことを『もちろん「私」の周囲には、恋人である男性も母親もいるし、「あなた」には婚約者が、そしてふたりには、共通の友人もいる』と、登場人物は決して二人だけではなく、描写に割かれている文章量から見ても他にも作品には欠かせない登場人物がいることを指摘されます。しかし、『この物語の中にいるのは、ふたりだけ』と言い切る西加奈子さんが言う通り、この物語の中に存在感を感じるのはあくまで『私』と『あなた』の二人だけです。そう感じるのは何故でしょうか?一つには、他の人物が『私』の人生に障害となり続ける人たちだからということはあると思います。『若い女優を連れて旅行に出』るなど自由奔放に生き、遂には病床の人となった血の繋がらない父親。『もうみんなで死ぬしかないわね』と、何かと理由をつけて娘に金を無心する母親。そして、『大声を出して手をあげたり、一番問題なのは酔った勢いでつまらないものを盗んでくる』同棲者の直樹など、『私』は、彼らに振り回される人生を送っていました。そんな中でついには『左手首に力を込めたり、振ったりするたび、縫い合わされたばかりの皮膚が包帯の下で引きつった』と、リストカットを繰り返していく『私』。『あなたに再開したのは、そんな地獄の季節の最中だった』というように『あなた』はそんな地獄にいる『私』に手を差し伸べる救い主かのように再び『私』の前に現れました。そんな『私』は、やがて『あなた』への感情が『幸福であろうと不幸であろうと、人間は慣れているものに親しみを覚え、そこに帰ろうとする』感覚であることに気づいていきます。『指揮者の一振りみたいに、すべてはあなたの言葉で始まり、あなたの言葉で終わった』、『あなたは私の中の海をさらっていってしまった。それは一生、あなたのものだ』というように、印象的な言葉で『あなた』への思いを吐露していく『私』。しかし、そんな『あなた』はすでに既婚者であり、叶うことと叶わないことがあることも『私』は気づいています。この狂おしく格闘する『私』の内面がひたすらに描かれていくこの作品は、読者自身がそんな悩みの渦中にいるような錯覚さえ受けるほどです。それは、『私』という一人称視点の物語が『あなた』と、名前を語るでもなく、ただ『あなた』という表現で、その狂おしい彼のことを呼び続けていくからだと思いました。そう、この作品は、読者の気持ちが萎えているような状態では決して読んではいけない作品、読者の気持ちまで負のスパイラルの中に巻き込んでしまいかねない、非常に危険な作品だと思いました。 島本さんは、そんな二人の物語をこんな風に語られます。『名前すら必要としない二人の、密室のような恋愛を通して、幼い頃からずっと自分を大事にできなかった主人公が、生きるための欲望を得るまでを書きたいと思いました』。結末に向かって島本さんの考える方向へと物語は希望の兆しを見せます。しかし、それは島本さんらしくはっきりと描かれるものではなく、結末に至っても物語に取り込まれそうになる感覚は十分には抜け切らずに幕を下ろします。 『読んでいて苦しい。本当に苦しい。でも逃れられない』と語る〈解説〉の西加奈子さん。私たちはリアルな毎日の中に、人それぞれに重いものを背負いながら生きています。自分の人生は自分のもの。どんなに辛くてもその現実からは逃れることはできません。一方で小説世界というものはあくまで架空の世界の物語であり、そこに登場する人物は想像上の産物に過ぎません。そのような人物がどんな苦労を、苦難の人生を送ろうがそれはフィクションです。そんな苦労や苦難を読者が背負いこむ必要は当然にありません。しかし、この作品を読んで危うくそんな主人公の苦労や苦難の人生に巻き込まれる怖さを感じました。『書いている最中、体の内側から言葉が引きずりだせれるような、どろっとした熱い感覚がまとわりついていました。読んで下さった方に、その熱が伝われば幸いです』と語る島本さんの思いが伝わり過ぎるほどに伝わってしまうのがこの作品。 ブクログのこの作品のレビューは惨憺たるものです。激しい嫌悪感を示される方のレビューをこんなにも目にした作品はあまりないのではないかと思います。それは、この作品に危うく囚われそうになった読者が必死の思いでそこから抜け出した、そして、この危険な作品に二度と近づきたくない!このレビューの荒れ様は、そんな読者の激しい嫌悪感からくるものなのかもしれません。 読者を負のスパイラルに引き摺り込む蟻地獄のような怖さを持ったこの作品。息が詰まるような鬱屈とした作品世界の中に、一方で島本さんらしい美しい表現の魅力にも囚われた、そんな作品でした。

    72
    投稿日: 2021.07.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    どうせ劣化の速度なんて微々たる差だとあきらめて、それは、そっくりそのまま、自分自身への扱い方に通じている気がした。 ぜんぶ自分が悪いだなんて、ぜんぶ自分が悪くないと言っているのと同じことだ。

    2
    投稿日: 2021.05.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    恋愛しているときの、辻褄が合わない感情と行動が溢れていて、思い出される後悔とか恐怖で読みながらじわじわと追い詰められる感じかしました。 強くなりたい、でもそのままでも受け入れられてしまう。一方、わたしの葛藤が何故か私を安心させてくれました、悩むのは私だけではないと。 「あなたが、どんなに私を追い詰めるようなことをしたって、それは追い詰められる私の問題であって、あなたのせいじゃない」 自分が感情をコントロールできていないせいだって分かっているけど、苦しいんだよって気持ちだけでも伝わってほしい。そんな自分の幼稚さを見せられてはっとさせられた一文です。

    0
    投稿日: 2021.04.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「日本は、生きている人に厳しくて、死んだ人に優しい国ですね。私、テレビのニュースを見るたびに、そう思うんです。」 こんな風に記憶が溶けてぬるく混じり合う文章が好きです どうしようもなく救われない恋の話。

    0
    投稿日: 2021.04.14
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    普段ミステリーばかり読んでる私にとって詩的な描写やもって回った言い回しに身体中がもぞもぞし身悶えしながら読みました このまま読み続けたら小っ恥ずかしさのあまり死んでしまう〜と思ったけど、案外すぐ慣れました(おい) 主人公の"私"は私と価値観や環境があまりにも違いすぎて全然共感できませんでしたが新鮮ではありました ・ それにしても、島本さんの表現力には舌を巻きました 『透き通った水の底、グロテスクな形をした珊瑚礁を色鮮やかな魚たちがすり抜けていく光景は、神様のお腹の中をこっそり覗いているようだった』 とか! いやもう、こういった描写に出会えただけでも幸せです ただ…私はやっぱりミステリー小説が好きだな…というのが素直な感想です

    1
    投稿日: 2020.11.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ずっと読んでみたかった作品。ナラタージュからイノセント。よだかの片思い、あられもない祈り。期待していただけあって思ったより、という感じだった。登場人物の中では主人公の彼氏の直樹が1番好きだった。ついこの間失ったばかりの恋の相手を思い出してか、心が痛んだ。なんて不器用なんだろう。きっと〝私〟のことを1番必要としていた相手なのだろう、あなたよりも。直樹くんが私に心中を裏切られた時、何度も連絡するたびに私を必要としていることがひしひしと伝わってきた。救われてほしい。〝あなた〟に好感は持てなかった。主人公にもあまり。なんだかなぁ。

    0
    投稿日: 2020.11.19
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    家族に恵まれず、愛着形成がなされないまま大人になってしまった「私」。自分の手首を切り、自分を大切にしてくれない相手と付き合う。交際相手も脆いところを持ち、共依存しているような関係に。 愛してくれなかった母親はお金の無心をしてくるし、義理の父親は意識がない状態、交際相手は盗難を繰り返す。 そんな「私」がよりどころとした「あなた」。 だいぶ年上で、婚約者もいる。 それでも愛し合ってしまった... という内容を考えると小説としてはありそうだなーという種類のものだけど、この小説はとにかく描写がすばらしい。 綺麗で透明な文章。ドロドロしてるのに清潔感さえ感じる。 最初の1ページから引き込まれてしまった。

    0
    投稿日: 2020.11.02
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    愛しているから、相手の幸せを祈る。 愛しているから、苦しくなる。 自分の愛が、相手の幸せにつながればいいのに。

    1
    投稿日: 2020.09.07
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    愛情を受けずに過ごしてきたことで、自分を大事にすることができない主人公。 ファーストラブと同じような世界観を感じた。 島本さんの、言葉の選び方、文章の紡ぎ方が、なんとも言えない透明感を感じさせてくれる。

    0
    投稿日: 2020.07.25
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    主人公が選ぶ答えが このラストでよかったと思う。 なんともつらくてなんともしんどくて 私には起こり得なさそうな話。

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    投稿日: 2020.07.07
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    島本理生先生の世界が好きです。 文章の柔らかさが、読んでいて心地良いです。 今回の内容は、他の作品に比べてぼんやりとしていて掴みにくい感じがしました…。 また新しく数冊購入したので、読むのが楽しみです。

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    投稿日: 2020.06.25
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    恋愛小説に定評のあり、直木賞作家でもある島本作品、ナラタージュに続いて2冊目です。 ストーリーはよくある恋愛小説ですが、文章表現がとても前衛的、芸術性が素晴らしく、読みごたえがあります。 しかしながら、凡人の私にはその芸術性が所々わかりにくかったり、わざわざ複雑な表現にしてるだけに感じたり、くどく感じたり、、3作目に行く二の足を踏みました。恋愛小説が好きな方には、他にはない恋愛小説と言う観点で良いかなと思います。

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    投稿日: 2020.05.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大好きな島本作品。同じく大好きな西さんが「私はもう恋愛小説を書かない」と言うほどの作品とはと思い購入した。 島本さんの作品らしい展開ではあるが、難しかった。恋愛は二人で100ということを再確認した。同様にある作品を思い出させた。大学のゼミで精読した、ウィリアムフォークナーの『響きと怒り』だ。 2つとも、現在の話と過去の話が交錯する。『響きと怒り』の方はそれを分かりやすくするためか普通のフォントとイタリックで分けて書かれている。しかしこの作品はそれがない。尚更難しいと感じさせた。 作品中で「私」は、子として、恋人として、そして愛人として数多の苦しみを抱く。手首を傷つけながら。彼女が求めているものは何だろう、そう思いながら読み進めた。 後半、今まで「あなた」の方が思いが強かったのが、直樹との別れもあるのか逆転する。そして「あなた」は離れていく。胸が痛んだ。恋愛はなぜこうも報われないのかと強く感じた。 『一度でいいからなにも奪われずに底なしに甘やかされたかった。でも他人と比較するから眩しすぎて実態が捉えられないだけで、実際はこの世に底なしに甘やかされて育った人間なんていない。もしそういう人かいたとしても、それが幸福なこととはむしろ言い切れない。それも分かった上で捨てられない幻想を大事に抱いていたくせに、その感情を口に出すことすらできなかった。私だけを見て。いつもここに帰ってきて。私だけを選んで愛して。子供のように泣きながら、あなたに素直に言えば良かった。』(本文159貢より) ここが彼女の本心のように思えた。彼女は本心をさらけ出しながらも、遠慮している。何て謙虚なんだ。何て生きづらいんだ。そう強く思った。同時にこの言葉に強く動かされたということは、私もこう思っているのだと気づかされた。涙が溢れた。 書きながらも、私はこの作品を理解できていないなと痛感した。もっと様々な作品に触れ、そしてこの作品も再読し、理解を深めたい。

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    投稿日: 2020.05.04
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    読んですぐ、自分とは違う人種の人が書いた文章だってわかる。 どうしてこんなに話しづらそうな文章なんだろう。 言葉は流暢なのに、外国人のカタコトみたいに、言葉の一つ一つに抵抗を感じて、不自然にみえる。 それは「私」自身の言葉だからなんだろうな。 苦しい、っていうレビューが目立つ。 私はその、苦しそうなのも、人間らしくて、綺麗だなぁってずっと思ってた。 とにかく描写する言葉が、今まで聞いたことないような配置で、でも納得させられて、愛情を表現する言葉がこんなにもあったんだって、感動した。 恋って、すごいもんだ。 すでにある安定を壊してでも求めたいとお互いに思える相手と溺れるような恋をすることは、非難する声はあるかもしれないけど、それだけで奇跡みたいに尊いなぁと思う。

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    投稿日: 2020.03.08
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    生きるのが下手な人たちの、誰も幸せにならない、ひたすらに苦しい恋愛小説。 文章が独特で、ずっと息苦しくて、何度も最後まで読めないかもしれないと思ったけれど、半分くらい進んだところでそれがいつのまにか心地よさに変わってた。 西加奈子さんの解説が良かった。 恋そのもの。

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    投稿日: 2020.01.11
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    ふぅ、、、苦しくて苦しかった。恋愛は正解も不正解もわからなくて苦しい。自分には正解でも相手はそうじゃないかもしれない。なってみないとわからないしそうなった時にはもう遅い、、

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    投稿日: 2019.11.01
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    まるで生傷みたい。 言葉だけなのに、苦しくて。 何が、とか。 誰が、なんて。 こうなってしまうのに、理由なんてなくて。 どこで、とか、あの時、なんて 軌道修正されるはずもない。 こんなに痛々しいのに、 恋愛小説なのだ。 恋や愛をおし抱いてる。

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    投稿日: 2019.06.12
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    とても美しく、丁寧に編み上げられた小説、 と感じた。 切なくて、苦しい。 なぜ? と、問いかけたくなるけれど、 きっと答えのないように思われる 人の心のあり方。 「みんな自分のことなんて分からなくて、 人のことばかりがよく見える。 だから人と関わるんだう。」 とか 「すぐ手に入る救いなんてあなたには意味がない。 それを得た後には、きっともっと大きなものが欲しくなるに決まってる」 など。 心に残る言葉も散りばめられて。 島本理生という作家の深さ、 繊細さ、強さが詰まった作品だった。

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    投稿日: 2019.02.23
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    文章が美しい人だと思う。ただ、この本はなにかを試みようとして、それがすべってしまっている気がする。好きな部分はここ。 P110 あなたが、どんなに私を追い詰めるようなことをしたって、それは追いつめられる私の問題であって、あなたのせいじゃない。

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    投稿日: 2017.12.16
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    「幸福であろうと不幸であろうと、人間は慣れているものに親しみを覚え、そこに帰ろうとする。」私もあなたも直樹も、愛情とは関係無く、性質・本能のまま自分をコントロール出来ずに苦しんでいる。心と心の触れ合いが大事で、小説としての言葉は感じ取れればそれで良いんじゃないかと思えた。

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    投稿日: 2017.04.05
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    あられもない と、調べると あるはずがない あってはならない 2つの意味ででてくる。 作者がどちらの意味でこのタイトルをつけたのかはわからないけれど、 わたしは、読書後に、 タイトルは あってはならない祈り だと感じた。 全体イメージとしては不快感漂う、どちらかといえば『嫌』な小説だったけれども なにか、心に引っかかりを残すものだった。 それが残せる小説家は数少ない。 それは認めなくてはならない。

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    投稿日: 2016.12.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この作家の本は三冊目だけど、どれも一緒なんだよな キャピキャピさと対極にいるのにモテる主人公 少し枯れてガツガツしてなさげなくせにズルくてセックスが上手い年上の男 不倫関係 そしてお互い好きなのに女から物理的に離れて別れる結末も。 でもどうしようもなく胸に刺さるのはなぜなんだろう この人の本は私の心に引っかかる 痛くて苦しいのに読むのをやめられない でも全部読むのは退屈で、苦しくなる一部をぱらぱら読み返して自分を痛めつけたくなる だから手元に置いておきたい。 この本に関していえば主人公は首を横に振りすぎ お互い好きなのにいざ一緒になるとうまくいかない感じがどうにもリアル

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    投稿日: 2016.10.19
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    なんか全体がぼんやりと終わってしまった感じだった(´・ω・`) もう少し時間を置いて夏になったら再読しようと思う。

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    投稿日: 2015.12.06
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    文章が(笑) 凝ろうとしすぎてか繋がってないようなとこもあったように思った(笑) けど表現は美しくて、最後の2ページ何回も読み直した。 あんな風に、いつかの天気や光や、隣にいた人との距離やその人の温度、どうしようもなく心に絡まった言葉を思い出してめまいがするような、そんな日は私にも遠からずやってきて、 誰にでも訪れる瞬間なのだと思う。 あなたへのあれは、苦しい愛だった。 でも嘘のなかった愛だと思わせる本だった。

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    投稿日: 2015.10.04
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    読んでいて、とても苦しく、誰も幸せにならない、恋愛小説。 なのに、一気読みをしてしまいました。 それは、私の中の何処かに、作中の「私」に重なる部分があるからかもしれないし、文章の端々や、淡々と語られながらも、溢れ出ずにはいられないような彼らの感情に、はっとさせられるからかもしれません。

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    投稿日: 2015.07.25
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    物腰柔らかなでも神経質な男の人、そして地位が高い。それとメンタルが弱いリスカ癖のある主人公。共依存の恋人、誰も幸せにならない。

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    投稿日: 2015.07.03
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    今まで読んだ島本さんの作品の中で一番ストーリー性がない感じ。 西加奈子さんの解説の中で、島本さんはこの作品を書きはじめた時は発表する気がなかったと書いてあったので、ご本人の中には実験的な意味合いもあるのだろうか? 主人公が「私」で、私には恋人の直樹という存在がいるのに、恋をするのは婚約者がいる「あなた」と名前がなく、私とあなたの話はとても詩的に表現されていると思った。 ろくでなしの母親や、DV男、リストカットと暗い要素満載なのに、割とさらっと読めるのはポエミーだからかなと、個人的には思いました。

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    投稿日: 2015.06.06
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    中盤〜終盤斜め読みしてしまった時点でレビューを書く資格なんてないのかもしれないけど。 表現する ことが作家の生業の一面だとしたら、わたしはもう 表現 された作品は読めないかもしれない。それくらい、なんか何にも感じなくなっちゃったんだよなぁ。 島本さんごめんなさい。

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    投稿日: 2014.12.24
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    相変わらず 何か不自然に丁寧な男性と 物思いに沈む女性の 相思ながらも決定的に繋がらない恋。 ひととおり最後まで読んで、 結局一番良かったのはタイトルだと思う。 このタイトルをつけた時点で中身がどうあれ 島本理生の勝ちなのだ。 話は逸れるが 解説の西加奈子がなかなか良かった。 作家はよく絶望する。 そういう意味では自分にも 作家の素質はあるのかもしれない。

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    投稿日: 2014.10.06
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    世紀の恋愛小説という触れ込みだったので、大いに期待して読んだのだけど、ピンとこなかった。もうそういう時代をすぎてしまったからなのか、著者の独りよがりの小説のようで全然ついて行けない。やっぱり作者との同世代性っていうものは大切なのかな、わたしにとっては。言葉にこだわりすぎている小説はわたしには入ってこない。魂が感じられなかった。

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    投稿日: 2014.08.05
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    「この世界にこんな凄まじい恋愛小説があるのなら、私はもう二度と、恋愛小説は書かない」という西加奈子の解説に惹かれて手に取った。 読み始めた瞬間に凄まじいのを感じてちょっと後悔して、でも推進力もすごくて苦しい苦しいと思いながら読み進めて、その感じが、まさに恋愛と同じだった。 まさに恋愛のような恋愛小説。 西加奈子の「白いしるし」という小説が好きで、彼女がこれを読む前なのか読んだあとなのかはわからないけど、恋愛小説を書いてくれてよかった。

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    投稿日: 2014.06.15
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    どう評価したらいいか分からない一冊。 読みづらく、わかりづらく、重苦しく、ただ言葉はとにかく美しい。

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    投稿日: 2014.01.28
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    苦しいし、無理に元気になるのやめようと思って買った。 やっぱり、打ちのめしてくれた、 苦しくて苦しくてしょうがないのに、どうしてひとりで生きていけないんだろう いつか、どうか 最後の恋ができますよう

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    投稿日: 2013.11.21
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    読んでて辛かった。あまりに酷で、読んでいて自分が言葉達を拒絶するのがわかった。でも、やめられない。惹きつけられて足を取られてもがきながら読み進めていました。解説にもあるけど、恋愛小説のなかでも恋そのものを描いている、だからこそ今の自分が読んでてすごく苦しいのかもしれない。人間を描いているのではなく、人どうしに介在する恋という事象を描いている貴重な作品。

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    投稿日: 2013.10.25
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    読んでいて、とても苦しい小説であった。 この小説に出てくる人物のほとんどは、人との距離が上手にとれない人々。 主人公は両親からの愛情をほとんどもらったことがない。主人公の恋人たちも似たような境遇で、お互いを慰めあうような関係であると感じた。 他人には入りこめないテリトリーの中で展開されるストーリーはとても閉鎖的で、苦しい。 本の表紙は一見、美しいし爽やかな印象を持つが、それはぱっと見ただけの、ただの第一印象であることにすぎないのだと読み終えたあと気づいた。

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    投稿日: 2013.09.15
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    島本ワールド全開の作品だったなぁ。 二人の関係とか話し方とか、「波打ち際の蛍」を彷彿とさせましたけど。 途中で好きな文章とかあったんで評価3つけようかと思ったけど、ラストが どうにも・・・だし、正直内容すぐに忘れそうなんで、低めの★2をつけちゃいました。 とりあえず、不倫は好かん。

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    投稿日: 2013.08.21
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    あられもない感情。 あられもない恋。 あられもない小説。 祈るだけでは、たぶん届かない。 祈るだけでは、きっと救えない。 でも、祈らなければ、何も始まらない。

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    投稿日: 2013.08.15
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    あられもない恋愛の話。 お互いすごく好きでも うまくいかないことだらけ。 すごく好きになれるのは素敵だけど 心が温かくいられないのは辛い。 ある年齢までは重い恋愛もいいと思っていたけどね。

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    投稿日: 2013.07.27
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    ところどころひっかかる表現があるものの、感情移入に至らず。不安の根源を見つめることで自滅する、そもそもの動機すら偽れない恋愛ごっこ。

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    投稿日: 2013.07.26
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    ゆらゆらと不安定な私とあなた。 2人の関係は最後まで大きく好転はせず、帯の言葉を借りると「密室のような恋」が続く。 文庫本の解説は、西加奈子さんの「祈りの強さ」。「この作品を書き始めたときには、発表するつもりがなかった」っと言うことで、納得。

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    投稿日: 2013.07.21
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    すごく小さな世界でしか生きてない主人公に息苦しさを覚えた。その小さな世界から連れ出してくれそうに思えた「あなた」が思いのほか凡人で弱くて、結局ああいう風な結末を迎えてしまうのかと少しがっかりした。 読みにくい本だったけど、いくつかとても惹かれる文があって、はっとさせられた。

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    投稿日: 2013.07.07