
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
小6の頃教室に置いてあった本。 主人公の名前と、自殺未遂で記憶喪失になった先生が出てきたことだけしか覚えてなかったのだけど、今読むと結構な重たい話だった。 学歴社会という言葉が定着したのは70年代後半らしいが、本書は1976年に発行された小説である。体罰もまだまだある時代だ。 母親の過度な期待を背負い詰込み教育を受ける小学生男子三人の大人への反逆。 塾をサボって月謝をちょろまかしていたり暗殺リストなどという物騒なものを作っていたりと、のっけからなかなかの悪童である。 読みながら自分の子供時代を思い出した。三人のように知恵が回る子供ではなかったが決して良い子ではなかった私は、嘘を付き親の金をくすねて…、それから多分病気の真似事もしたかもしれない。 主人公とそう変わらない年のとある秋、私は弟と家出計画を立てていた。 母が突然口を聞いてくれなくなったのだ。突然の理不尽さにショックを受けつつも、計画を立てるのは楽しかった。 いつか叔父がキャンプに連れて行ってくれた時のように、海で魚を取って焼いて、原始人のように暮らしていくんだと本気で思っていた。 世の中をまだ何にも知らない私たちには深刻な事態も普段の遊びと変わらなかった。(その時は結局1週間程度で母が無視をやめてくれたので計画はなしになった。) それから数年後、もう少し世の中を知った時、実際に家出を決行した。 わずか半年で見つかってしまい、ゆっくりと近づいてくる母を前に、逃げなければと思うのに、体が動かなかった。 だから、改札口で自分を呼び止める母親の金切声に固まってしまった主人公の気持ちは痛いほどよくわかる。 あと少しで逃げ切れたのに、知らんぷりして走りさえすればよかったのに、まさに蛇に睨まれた蛙。子供は母親からは逃げられない。諦めろという声が頭の中で響く。 例え母の声を振り切ったとしても、結局札束がチラシだったように、子供はいつだって非力で、経験の差で大人にかなわない。 一生懸命考えた作戦もニセモノのごっこ遊びにしかならない。 所詮子供の浅知恵はやすやすと見破られてしまう。 人を担ごうにも詰めが甘く、安易に人を信じてしまう。 終盤の院長室で、すっかり見破られている嘘をつきとおそうと意地を張る子供たちには幼い愚かさと共に悲しさを感じた。 子供である限り大人の強制力からは逃れられない悲しさ。 でもそれが彼らを限界まで追い詰めるのならば、彼らの佯狂もいずれホンモノにしてしまうことだろう。
0投稿日: 2025.09.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
昭和の時代背景色が強く、当時の中学受験生の背景を描いてた作品。いい学校に入って欲しい母親達の想いに反して、勉強を強制されたくない3人。相当な覚悟をもって伝えた思いも簡単に交わされ、何度も違う形で思いを伝えようとするも大人には伝わらない、3人の苦悩が続いていくのだろうと終わりの文章で感じた。なんだかすっきりしないバッドエンド的な終わり方ではあったが、これは当時の中学受験生の苦悩を読者に伝えるための仕掛けなのかとも感じた。
0投稿日: 2025.07.27
powered by ブクログ子どもらしい発想と行動、そして児童文学に特有の語り口を以って描かれる、チンケで壮大な社会構造への批判。主人公・東大の自我の目覚めと心の動きが胸に迫る。 東大たちは、母親への思慕と不信感という相反する感情に振り回されてしまう。この小説において、母親たちの愛の発現形としての学歴信仰は、ヒステリックなまでに誇張されている。しかし多かれ少なかれこの葛藤は親子の間で必ず経験されるもの。それを経て、東大が悟った母親との結びつきの強さは、憎悪を諦めの感情に変化させた。 親と子どもがわかりあえるまで、どれだけの年月がかかるだろう、いずれ両者が折り合いをつける日が来たとしても、本当にわかりあえる日はやってこないんやで、とラストでは言われている気がした。 もし、この本を10代の頃に読んでいたら、と考えると面白いけど恐ろしい。。
0投稿日: 2014.10.21
powered by ブクログ絶版。 池田東大(とうしん)、高橋庄平、大泉明の三人が親から受験勉強へのプレッシャーをかけられたり、好きな担任の先生を親に責められたりする。 そもそも名前が東大とか、東大入れなかったらどうすんだよって感じで中学生の頃読んでいた。 今もたまに読みたくなる。
0投稿日: 2011.11.23
powered by ブクログ小学5年の頃、朝日新聞の連載時に読んだ印象では、受験狂の母親や、家庭教師を出し抜く主人公の少年たちの知略ぶりに快哉を送っていたのだけど、今読み返してみると、何か閉塞した翳りのようなものが底に流れているように感じた。
0投稿日: 2010.06.10
powered by ブクログ高校生の頃読んでとても悲しくなり、不快な気分になったことをよく憶えている。 作品的にはよく出来ているが、受験生には薦められない一冊。
0投稿日: 2010.03.15
powered by ブクログこの物語は泣く話ではないのだけど、私はこみあげてくるものがありました。 親の過剰の期待を疎々しく感じて、自由になろうとあがく、その姿。小学生の話だけど、その過程は大人になっていく青春そのもの。 教育に対して一過言ある井上ひさしさんらしく、大学信仰のある大人に対してものすごくアイロニーを込めて描いています。 そう、大学なんて行かなくても道を究めることはできるのだ。 ご本人は慶応も早稲田も合格していたのに、経済的な理由で行けなかったとか。悔しかったでしょうね。頭のいい方だから。 「受験の神様」、ガス自殺しようとした容子先生、東大命のお母さんたち、キンキラキンの詩人のおじさん(しかも東大卒)、すごいキャラ。 この一週間はニセが多い。偽の受領証、偽の果たし状、偽の誘拐、偽原始人……。 ここで私は泣きましたよ。 大人が読んでも子どもが読んでも面白いというすごい作品。
0投稿日: 2009.06.27
powered by ブクログ読書って楽しいなぁ、ページを捲る手が止まらないなぁ、と実感して井上ひさし氏の本ばっかり読んでた頃がありました。中でもこれは面白かった。親や家庭教師=権力と果敢に戦う3人の小学生達。 中で、僕はホントに喜劇作家か作詞家になりたいと思ってるんだ、ていう様なシーンが出てきます。そこで、親は小椋桂みたいになりなさい(東大出身だから)、というと子供が阿久悠のがスゴイんだ!ていう所があって何故か印象に残ってます。 でもいま読み返してみると、ラストシーンとかもかなり切ないです。しかしながらやっぱり井上ひさし氏の本には人への温かみをいつも感じます。
0投稿日: 2009.05.19
powered by ブクログ小学校高学年で読んだ本。確か誰か母親の知り合いに貰ったものだと思う。 当初興味がなかったが、後に夜中まで貪る様に読んだことを覚えている。物語は半ば忘れてしまったが、ガス管を加えて自殺しようとした先生、その先生を追い込んだ親、そして本当に精神を病んでしまったかのようなラストはとても印象に残っている。 調べるとかなり古い作品のようだが、現代を舞台としても違和感のない作品になるだろう。実家に帰った折、また改めて読みたい本である。
0投稿日: 2008.02.17
powered by ブクログ時代がちょっと古いけど、とっても味のある1冊です。勉強に対して、親と子供のすれ違いは今も昔もあるよね。 主人公の小学生3人組は、勉強は出来なくても面白い子供たちです。暗号作りとか、どうやって大金を手に入れるかとか、頭のひねり方が面白い! 精神病についても触れています。最後のオチというか、終わり方が「えぇっ!本当に??」ってカンヂで、読後感がそこはかとなく面白い。
0投稿日: 2006.04.21
