
総合評価
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powered by ブクログ死にまつわる短編集。登場人物が皆一癖ある人ばかりだし、死体の話や死ぬ直前までの話が並んでいて、救いがない。それに吉村氏の描写がとても美しいがため頭の中で勝手に映像化されてしまって、読んでいてさらに鬱々としてしまった。 でも、小説だからこそこんなブルーになる話を世に生み出せるんだろうなあ。星への旅、という美しいタイトルで勘違いして手に取る人も居そう… 死の空虚さをひたすら感じた作品。あまり再読したくないけど、こういう話を一度読んでおいて良かったと思う。しかしホントに読みながら鬱々したので、星5を付けたくない。4にしとこ…
15投稿日: 2026.01.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「鉄橋」生死を天秤にかけただけの男と、まるで違う理由で男の死を考える話 「少女架刑」死の後も静寂ではなかった話 「透明標本」骨標本に取り憑かれた男の話。「少女架刑」と繋がりあり。 「石の微笑」引き込まれていった話。なのだけれど「ここで終わるのか!」という話。その後の姉と曽根がとても気になる。曽根と共に行ったのだろう。人の(というより生きること・死ぬことを意識している女性の?)心をつかむ曽根の力を知りたい。 「星への旅」前の「石の微笑」と同じく引き込まれていった話。死に向かう前の興奮、死の直前の恐怖・緊迫。それらの向こうに圭一の安らぎがあったのか? 「白い道」??? 重たい話が多かった。一つの話を読み終えた後にすぐ次の話に進むのが難しく、別の本を読んだりした。始めのころは曽野綾子の重い話と通じるような気がしたけれど、それとは違った。
0投稿日: 2025.11.08
powered by ブクログノンフィクションが多い吉村氏にしては珍しいフィクションの短編。 死をテーマにしており、全体としてかなり暗い。死とはどういうものなのかを追求した氏の思いが分かる。
0投稿日: 2025.06.15
powered by ブクログ『戦艦武蔵ノート』の解説で紹介されていた「少女架刑」を読みたくて本書を購入。表題作を含む6つの短編は、すべて人間の死が絡む。ボクサーの自殺に見えた轢死は、彼の独白から異常に発達した動体視力を過信した事故死であった「鉄橋」。死んだ少女の魂が、自身が大学解剖学教室の献体として切り刻まれる様を目撃する「少女架刑」と、その姉妹編とも言える「透明標本」など、とても読みごたえがあった。当然、どの作品も暗い色調を帯び、今まで自分が読んできた吉村作品とは一味違う印象を持った。
0投稿日: 2025.05.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
・あらすじ 吉村昭先生の短編6篇が収録された短編集。 うっっすらと何となく繋がりがありそうでなさそうな作品たち。 単なる現実としての生と死と、超越した視点から描かれる生と死。 ・感想 星3.8くらいかな。 鉄橋の轢死したプロボクサーは自殺なのか事件なのか、ミステリー風に周囲の人間の客観的視点を書いた後に本人視点での動機と背景。 周囲の人間はあーだこーだと己との関係性から彼の死に「理由」付けしてるけど、実際は今でいう迷惑系な動機だったんだ…。 己の限界を追い求めた結果ってことなのかな。 少女架刑は死んだ少女の自意識からの一人称視点の話。 解剖される様子、家族との関係。 死後の身体が単に「物体」として扱われることは不謹慎なのか?弄んで面白半分に損壊することは勿論問題外なんだけど、出てくる登場人物が研究者として、遺体を単なる「研究対象」として扱ってる。 今の倫理観だと中々受け入れられない言動も多々あるけど、今より死が身近なあの時代なら然もありなん、なのかな。 最後に火葬されてやっと死の静けさという安らぎの中でいれると思いきや、そこには無機物の奏でる音で満たされていた。 という何とも最後まで不幸な1人の少女の一生を書いた作品だった。 透明標本は少女架刑に出てきたあの老人とは名前が違うから別人だけど、人物像的には同じ。 限界の見えた老人男性が、最後に自分にしか作れない骨標本を作る話。 てっきり病気のお母さんがその餌食になるのかと思いきや…世の中って理不尽。 石の微笑はあらすじ紹介が難しい。結局お姉さんは執着心が消え去って死神である曽根とともに死への旅に出たのかしら。 星への旅。 人生に飽きた怠惰な若者たちの自殺の旅。 辿り着いた先の貧しい寒村の人々が欠乏から選ぶ死と全てが満たされた故の無気力さで選ぶ死の違いとかメンバーの中で醸成されていく「死ななければ」という逃げられない集団ヒステリーとかが怖かった。 白い道は戦時中、帰路にたまたま道程を共にすることになった男たちの話。 主人公の境遇とか妻子を見捨てて逃げた男とそんな男への絶望を通り越した奥さんの話とか、特段劇的なストーリー性があるとかじゃない。 解説にもある「徒労感」という言葉が適切な話。
2投稿日: 2025.05.18
powered by ブクログ○星への旅 集団自殺に向かう若者の揺れ動く気持ちを描く。 死は芸術たり得るのだなと思わされるほど、死にゆく際の表現は美しい、、 そりゃみんな死ぬんやから 芸術にしなきゃね ○少女架刑 恵まれない境遇で命を終えた少女が、死後に自らの遺体の解剖や火葬を通して人々の欲望と無関心を俯瞰する 生前には持ちえなかったほど澄んだまなざしで、骨が燃える色の変化さえも静かに感じ取っていた 救いはない だが、沈黙の中に確かな声がある。
0投稿日: 2025.05.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
平穏な日々の内に次第に瀰漫する倦怠と無力感。そこから脱け出ようとしながら、ふと呟かれた死という言葉の奇妙な熱っぽさの中で、集団自殺を企てる少年たち。その無動機の遊戯性に裏づけられた死を、冷徹かつ即物的手法で、詩的美に昇華した太宰賞受賞の表題作。他に『鉄橋』『少女架刑』など、しなやかなロマンティシズムとそれを突き破る堅固な現実との出会いに結実した佳品全6編。(背表紙)。 いずれの短編も面白く、平易かつ奇麗な文章は読みやすい。 が、それからの作品を主に読んでいる身としては、やはり後年の歴史小説の方が好みに合っているようだ。
0投稿日: 2025.04.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
吉村 昭氏(1927-2006) が、太宰治賞を受賞(1966)した表題作『星への旅』を含む 6編の中短編集。あるボクサ-の轢死...自殺、他殺、あるいは事故死? 故人が“死” に至るまでの交錯する人間関係を描く『鉄橋』。解剖の検体となった薄幸の少女の視線で語られる『少女架刑』。倦怠と無気力から集団自殺を企てる少年少女たちの『星への旅』・・・〝幼い頃、死者は昇天して星の群れの一つに化すのだという話を、祖母から聞いた記憶がある。夜空に散った星は、すべて死者の化身で、死者の数の増す速さに応じて、星の光は際限もなく増えているのだという。その証拠には、星の光と光との間の色濃い闇を見つめていれば、星の光が後から後から湧き出てきて、満天すき間なく星に埋めつくされているのを知るという・・・〟
11投稿日: 2024.12.07
powered by ブクログ重厚な歴史小説や記録文学の印象が強い著者だが、こちらは昭和30年代から40年代の初期の作品集で、短編6編を収める。表題作は第2回太宰治賞を受賞している。 緻密さよりはロマンティシズムが勝る。少年期から青年期のどこか透明な空気感。しかし、そこに「死」の影が色濃く映し出されている。 戦後しばらく経っているとはいえ、これは戦争の影響なのではないだろうか。あるいは、戦時中に少年期を過ごし、戦中・戦後に若くして両親を亡くし、自身も大病を患ったことがある、著者の心象風景から来るものか。 1作目、「鉄橋」は、若きボクサーの謎の死。前途洋々に見えた彼は、列車に轢かれ死亡する。果たしてそれは自殺なのか事故なのか。謎解きめいてもいるのだが、単純な結論は導かれない。著者の筆は最後にはボクサーの内面へと読者を引きずり込む。さて、ことの「真相」とは。 2作目「少女架刑」と3作目「透明標本」は、いずれも人体解剖・標本作製の話である。いささか驚くのだが、この時代、実際、こうした形で骨標本まで作られていたのだろうか。現代でも献体が医学生の学習に役立てられることはあるわけだが、もっと生々しく、遺体の取り扱いが乱暴である印象を受ける。高校の理科室などの骨格標本が実は本物の人骨であることが判明し、騒ぎになった事件がいくつかあったが、こうした時代(あるいはもう少し前の時代)の遺物なのだろうか。 「少女架刑」は少しSFあるいはファンタジーめく。命を落とした少女が、自身の身体が解体されていくのを観察している。切られ、臓器を除かれ、採取されたものはホルマリンに漬けられ。少女はどこから見ているのだろう。不思議なロマンティシズムが漂う。 「透明標本」の方は、逆に、解剖する側の視点からの物語。完全な透明骨格標本を作製することを夢見ている男。男が望むものは手に入るだろうか。 4作目「石の微笑」。小学校の時の知り合い・曽根に学院(大学のようなものか?)で再会する英一。曽根は下宿屋をしている英一の家に住むことになり、英一を割のいい「バイト」に誘う。ところがこの男、どこか薄気味悪い。そのうちに同居している姉の様子が何だかおかしくなっていく・・・。 表題作「星への旅」は、若者の集団が自殺するために旅をする話、最後の「白い道」は、空襲に焼け出された父とその愛人の元に食料を持っていく少年の話。 いずれも、生と死の境界はさほど確とはしていない。何だかふっと越えられてしまいそうだ。 それが少年(青年)吉村の実感だったのではなかろうか。
10投稿日: 2024.08.26
powered by ブクログ感じたことや印象をうまく言語化するのが難しい本。しかし、この難しさが確実に自分の心の襞になった作品。 死に結びついた歪な欲望、執着。ここでの死はセンチメンタルなものでなく、生物が死体という物体になるという、物的なものとして描かれている。死がそのようなものとして描かれているから結局欲望や執着は無意味なもののように感じられる。表題作の「星への旅」で描かれる無動機な自殺は、このような死の即物的な側面を顕著に表していると思う。
8投稿日: 2024.06.30
powered by ブクログ表題作の「星への旅」のみ読了 太宰賞受賞との事で読んでみました。 無気力な生活の中で、自殺する事を目標として、死ぬ事に最後の希望を抱くような感じのストーリー。 終始暗くて重い空気が漂うなかでも やっぱり吉村昭の筆力というか表現力というか、 情景描写が力強く、かつ美しい。
2投稿日: 2023.09.09
powered by ブクログ死後解剖される少女の視点で描かれる、「少女架刑」。 集団自殺を図ろうとする少年たちの姿を描く「星への旅」。 透明標本づくりに熱中する男性。 ありありと情景が浮かび、最後まで読み進めてしまう筆力に毎回圧倒される。 また、戦争体験をされた方の文章にも触れておかねばという気にさせられる。
4投稿日: 2023.07.28
powered by ブクログ初吉村昭。太宰賞も獲った表題作収める初期作品集。 巻末コメントの言を借りてしまうが、ロマンチシズムと冷徹な現実の合体、がとにかくしっくりくる。どの作品もラストに独特の寂しさがあり、恐ろしく完成されている。 作者はノンフィクションの調査力に定評があるが、物語の力も相当だと感じた。
9投稿日: 2023.03.11
powered by ブクログ人の心の動きと体の動きはどちらも不可解なんだけれど、どちらも鮮やかに描写されて息の止まるような瞬間だった。
2投稿日: 2023.01.14
powered by ブクログ【目次】 鉄橋/少女架刑/透明標本/石の微笑/星への旅/白い道 【感想】 『名短篇、ここにあり 』で少女架刑が印象に残った為、購入。 繊細な言葉選びと著者の死生観が分かる作品が連なった一冊。
0投稿日: 2022.07.30
powered by ブクログ高校生の頃、タイトルや表紙で宮沢賢治みたいなファンタジーだと勝手に思い込み購入。 それまで死について深く考えて来なかった若い頃の私にとっては衝撃的な内容だった。 しかし…静謐な空気感のなか死に向かう人間の、美しくも淡々とした描写に心を奪われた。そして「もう少し大人になって、また読み返そう」と心に決めた。 いま数十年が経ち、再読。 粗筋は何となく覚えていたので記憶通りだったが、特筆すべきはやはり繊細で美しく儚い描写力。現代の人気作家にはない昭和の文士の力量をまざまざと見せつけられた。
0投稿日: 2021.05.28
powered by ブクログタイトルからファンタジー的要素があるかと期待したのがバカだった。これまでの吉村昭だったことを読後に痛感した。なぜここまで詳細に深く描写するのか。その意図は多分実行に至るまでの気持ちの動きを追うことなのだろう。死んで星になるなんて甘いものではない。しかし、主人公のその瞬間の描写には痛みや苦痛かなく、淡々と客観的な心情が語られるのみ。思いとどまるきっかけを期待したが、思いとどまる理由がなかった。最後はそんなものかもしれないと納得するしかなかった。
0投稿日: 2021.04.03
powered by ブクログ昔読んだ漫画の中にモチーフとして登場していて、ずっと印象に残っていたが読むのが怖いような気がして保留にしたままになっていた。数十年の時を経てやっと購入。死をテーマにした中短編集で、思っていた通り暗い雰囲気に包まれた作品たちだけど、描写は素晴らしく美しい。透き通るような骨標本や暗闇に星が瞬く場面が頭の中で鮮明に映像化される感覚になる。ジャンルはかなり違うけどその感覚は宮澤賢治を読んだときに感じたものと重なる。これが戦時中を生きた人の死生観なのか。高校時代、現国の先生が太宰治の「人間失格」を評して〝精神的に参っているときに読むとヤバい〟と言ってたけど、この作品もどこかメルヘンめいた世界に引き込まれていきそうで、太宰治賞受賞なるほどと思った。
2投稿日: 2020.08.29
powered by ブクログやたら轢死の描写が多くて、毎日通勤電車に揺られている身としては苦しいところもあった。 若さゆえの死の儚さと美しさみたいなものを感じた作品。
0投稿日: 2020.03.09
powered by ブクログ死体とか自殺とか。あんまり楽しい話じゃない、なのに文章がすごく綺麗。こういう鬱々とした現実にさらっと美を入れ込めるって文章が上手じゃないとできないだろうと思う 個人的には鉄橋と石の微笑が好き
5投稿日: 2019.12.11
powered by ブクログ戦艦武蔵とは全く異なる死をテーマにした短編小説。不思議かつ不気味な作品が多い。細かなディテールの描写や独特の視点、詩的な表現はさすが。文学的価値は高いかもしれないが、好みで言うと好きな小説ではない。完全に好き嫌いの問題。
1投稿日: 2019.01.26
powered by ブクログ標題作以外にも秀逸な短編が収められた納得の一冊。 特に「少女架刑」での死者の視点で語られる物質的な死と存在価値(霊的苦痛)、対となる「透明標本」での生きがいを持ちながらも無能となっていく人としての社会的な死への道程に立ち会うがごとき感覚に陥った。 この時代の文章(というか著者の特徴)は安心して読むことができる...。別の意味でハラハラしなくて良い。
1投稿日: 2018.12.30
powered by ブクログ往来堂書店「D坂文庫 2017夏」からの一冊。 吉村昭の作品はこれまでに何冊か読んでいたけれど、短編小説は初めて。しかも、これは昭和33年から42年にかけて書かれた作品を集めた、実質的なデビュー作ということらしい。 その筆致は、後に書かれる社会派作品群と同様、緊張感にあふれて鋭い。しかし、本書はそう評するだけでは不十分だろう。何しろ、収められた6編はいずれも生と死をテーマに書かれていて、鋭さに重さが加わっているからだ。 表題作の「星への旅」は、そのメルヘンっぽいタイトルとは裏腹に、日常の倦怠感と無力感から集団自殺を企てる若者の話であるし、「鉄橋」ではボクサーが列車に轢かれて不可解な死を遂げる。「少女架刑」では遺体となった少女が語り手で、その連作とも思える「透明標本」では、死体標本作成に取り憑かれた男の情念が重い。 冒頭で、生と死がテーマと書いたけれど、本書を読み終えてみると、生と死というのは実は紙一重の違いしかなく、死はいつでも生の隣にいて口を開けて待っているのではないか、などという妄想じみた思いにかられる。後の作品では、様々な死を描くことになるわけだが、著者はデビューした頃から既に死に対するスタンスを明確に持っていたのかもしれない。読むのに体力が要るこの短編集を読んだ今、あらためて著者の作品を読み直してみると、違う読み方ができそうに思える。
1投稿日: 2018.11.18
powered by ブクログ「鉄橋」「少女架刑」「透明標本」「石の微笑」「星への旅」「白い道」の六篇。 吉村昭氏の初期作品。「死」が色濃く表れている。 表題作「星への旅」。名状しがたい読後感。 個人的には、「少女架刑」「透明標本」が印象的。ある意味。対のようになっている。 「少女架刑」は、吉村昭氏には珍しい、「私」という一人称の語り。また、物語る「少女」の視点も不思議で。そして、怖い。 収録されている6つの短篇の登場人物たちは、“星への旅”になっていくのだろう。 “星への旅”という言葉の響きは綺麗だが、表題作の「星への旅」は、テーマが重い。
0投稿日: 2018.06.30
powered by ブクログ死を題材にした短編集。 吉村昭の記録小説以外の物語を読むのは初めてだった。 記録小説で見せる重厚感無く、ひたすらに儚げでロマンティシズム。 少し、肩透かしを食らったような感じがした。
0投稿日: 2018.04.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
死体愛横溢する作品集。特に「透明標本」の完成度には眩暈がするようだ。 ... 義父の問われた罪の内容は意外だった。義父は、焼土になった町々を深夜ひそかに忍び歩き、死体の大腿部の骨を鋸でひき、その骨を持ち帰っていまわしい彫刻をほどこしていたのだという。倹四郎おその仕事を手伝ったのではないかという疑いを受けて、激しい拷問を繰返され追及されたが、ようやく嫌疑もはれて二ヶ月後には釈放された。義父は、その後、体の衰弱が甚だしく未決監で病死した。...(p167) ...琥珀色の液の中には、兎の頭部の骨がこちらに鋭く尖った歯列をむき出しにしている。 ...眼窩と歯列の間から、気泡が液の中を立ちのぼっている。骨のうすい部分は、電光を受けて雲母のような明るい光沢をやどしていた。 (p168-169) ...美しい標本を作り上げようと思い立ったのは、その時からであった。かれは、腐肉の中からのぞいている骨を仔細に観察した。骨には、寒天状に透けている個所がある。その部分の骨は、新鮮で美しく見えた。もしも、透明な骨標本ができたとしたら、骨の内部も透けてみえ、医学的にも価値があろうし、また、美しい骨を作りたいという自分の欲望も満たされる。水晶のように透けた骨、水槽のガラスを透して中をのぞくように骨の内部もうかがいみることのできる骨標本。(p173) ...かれは、執刀医の肩越しに患者の背の骨がきり開かれてゆくのをまたたきもせずに凝視していた。 ...シャーレの中に、骨が捨てられた。かれは血にまみれたその艶やかなものを息を殺して見つめた。それは、腐爛死体から取り出される骨とは異なって、水からあげられたばかりの小魚のように、さわれば弾ね返りでもする新鮮なものにみえた。(p179-180) ...「反対か?」 目が凝固して、するどく加茂の眼にそそがれた。 「俺は百合子の親なのだ。美しい骨に仕上げて残してやるのだ」...(p218) 「透明標本」。 併録の「少女架刑」とリンクしているけれど一部齟齬がありそこが絶妙な加減である。 著者はどれだけ死体が好きなんだろうと感心する。「赤い人」「磔」も肉体損壊描写しつこくて、今思えば源流はこれなんだな。 それにしても「生麦事件」「羆嵐」の吉村昭と直接つながらず混乱。澁澤龍彦のエッセイに文学仲間として登場してて、えっあの生麦事件でえげれす人にカタカナセリフ書いた吉村昭?と中間小説の人だと思ってた。 これ読みながらお腹空いて鶏肉のスープ作ってて似られる様子を見て一瞬みぞおちがひゅっとなったさ。 2017/02/14
0投稿日: 2017.11.29
powered by ブクログ死が漂う6編の小説。雨に濡れた蜘蛛の巣など細部の描写がとても美しい。作品を通して何を言いたいのかはさっぱり掴めなかった。
0投稿日: 2017.02.26
powered by ブクログ初期短編集 表題作で太宰治賞をとっている 「鉄橋」 傲慢かつ臆病、ゆえに意味なく自分を試そうとしてしまう それも無駄に危険なシチュエーションで 「少女架刑」 人体標本としてボロボロに使いたおされながら 誰にも感謝されない女の子 「透明標本」 人骨標本に美を追求する老人と 永遠の架刑にのぞむ娘 「石の微笑」 意味のないものにだって美術的価値を見いだすことはできる しかし人間は 「星への旅」 集団自殺の旅になんとなくついてきてしまう少年 臆病者と思われたくないがためだけに 「白い道」 空襲で街が焼けるなか 人々は絆の空虚さに直面する
0投稿日: 2016.11.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全編通して「死」が横たわっていて、それをいろんな角度から観察しているようなイメージの作品集 詩的な表現を限りなく抑えているように思えるのに、全体に蔓延する死のムードはどこかロマンチックで引力がある 特に表題作の「星への旅」がとても好き 退屈な日常から抜け出す手段として「死」に憧れる少年少女たちの熱に浮かされたような逃避行、実際はその逃避行すら日常の反復運動に回収されてしまっていて、結局全員がそこから抜け出せないまま、、 わたしは吉村さんの豊かな観察眼に裏打ちされた丁寧な表現がすごく好きだけど、状況を的確にあらわしたり、ある人物を詳細に描写したところで決して読者に「あるある」として消費させないような気概を感じる だからどこか幻想的だったり、高潔に感じるのかなぁと思った(ノンフィクションは読んだことない) 時代性もあるとは思いますが…
1投稿日: 2016.06.30
powered by ブクログ吉村昭の初期の頃の短編集である。6編のうち、「鉄橋」は、芥川賞候補作となる代表作の一つで推理小説のように展開する。また、「少女架刑」は、死後の少女が主人公となり、周りの様子を語る手法で進められていく。「星への旅」は、太宰治賞に選ばれた作品で、集団自殺を描いたもの。「白い道」は、自身の生い立ちを描いている。全てに共通する点は、生きることの価値、意味を問うこと。そして、死への恐怖が、同時に生と極めて近いものであり、身近なものとして描かれていることである。その後の吉村昭の記録文学に通じるテーマは、すでにこの時期にあったのだと思える。
0投稿日: 2016.01.19
powered by ブクログ著者初期の短編6編。取材した実話を基にした作品が多い中、色の違った著作。死を生からの解放にとらえたような主題が多い。2016.1.16
0投稿日: 2016.01.16
powered by ブクログ昭和33年から昭和42年にかけて発表された短編6編を収録したもの。 「鉄橋」(昭和33年) 「少女架刑」(昭和34年) 「透明標本」(昭和36年) 「石の微笑」(昭和37年) 「星への旅」(昭和41年) 「白い道」(昭和42年) の6編である。「死」をテーマにした作品が多い。最初の「鉄橋」や表題作の「星への旅」は自殺がテーマとなっている。 「鉄橋」は死にそうもないプロボクサーが鉄橋で轢死する。自殺か事故か、その謎解きをするサスペンス仕立ての小説だ。 また「少女架刑」は、病死した少女が献体をし、自分の身体の部分部分がそれぞれ切り取られていく様子を、あたかも少女の魂が冷静に観察している。 「星への旅」は、若い少年少女たちが集団自殺へ向かっていく様子を、その仲間の一人の目を通して見つめていく。 吉村の作品は「漂流」「破船」「島抜け」「三陸海岸大津波」などのドキュメンタリー・タッチの作品を多く読んでいる。それらに比べるとここに収録されたものは、それ程面白いとは思えなかった。表現がくどく解りにくいと感じた。 流石に昭和中期の作品で「ガソリンカー」などというのが出てくる。電化される以前の鉄道気動車のことか。この辺でもつい最近まで「ディーゼルカー」なるものが走っていた。国鉄に勤める親を持った友人から聞いた。
0投稿日: 2015.09.11
powered by ブクログ吉村昭の初期作品はずいぶん雰囲気が違うんですね。シュールな世界なのですが、「モノ」と「人の死」についてだけはひどく生々しく、即物的でなんとも言えない読後感を残します。
0投稿日: 2015.05.15
powered by ブクログ吉村昭の短編集を読むのはこれが初めて。どの作品もその丁寧な描写表現で満ち満ちており、それぞれの短編の中で「死」をひとつのテーマとして扱っている。吉村昭作品はドキュメンタリに近いものばかり読んでいたので、こうしたフィクションの入ったミステリ趣向の物語は新鮮。それでも独特の表現が作品全体を吉村昭たらしめている。
0投稿日: 2015.01.12
powered by ブクログ各作品それぞれに死が絡んでくる短編6編収録の短編集。 小説や映画、マンガをいろいろ読んだり見たりしていると、ほんとに時々「変な話だったな」「奇妙な話だったな」と思うものがあります。 この吉村さんの『星への旅』もそんな本でした。 と言っても、作品の完成度が低いわけじゃありません。いずれの作品も吉村さんらしい真摯で丁寧な描写、 そして過剰に感情を挟みすぎない冷静な文章でとても文学としての完成度は高いと思います。 中でも死体となった少女が語り手となり、自身が解剖されていく日々が描かれる「少女架刑」は語り手の異様さもさることながら、 彼女の語りで解剖に一種の美しさが、ラスト場面の荘厳とした感じも圧倒的でエンターテインメント性は皆無の作品ながらも、惹きこまれました。 表題作「星への旅」は集団自殺を企てる若者たちを、一人の大学生の視点から描いた作品ですが、 吉村さんの感情を挟みすぎない文章が、彼らが自殺に惹きこまれる理由となる倦怠感と非常にマッチしているように思いました。 語り手の圭一が星空を見上げた時の描写も美しいの一言いに尽きます。 この短編集の奇妙さは、それぞれの作品の死に対して必要以上に痛みや苦しみ、死を忌避する感情を挟まない点だと思います。 普段普通の小説を読んでいると死は避けるべきもの、忌避すべきものとして描かれるのですが、この短編集ではそういう感情があまり読み取れず、死に対して余計な感情を挟まない一種の透明感があるように思いました。それが自分の感じた奇妙さの理由のように思います。 そして改めて吉村さんの冷静な文章に惚れ直した作品でした! 第2回太宰治賞受賞作「星への旅」収録
3投稿日: 2014.10.06
powered by ブクログ『少女架刑』『透明標本』はどうも好きになれず、これはハズレだったかとおもったが、表題作、『星への旅』がとてつもなくすばらしい。 私の言葉で言い表せない。感動でもなく、なんだろう、共感?なのか。いや共感してはいけないんだろうけど。
0投稿日: 2014.03.30
powered by ブクログ常に流れる死の匂い。 生きることへの疲労感、徒労感が半端ないのだが、かといって何かを批判するでもないのだ。 だから居心地良く感じるのかも、吉村昭の作品は。
0投稿日: 2013.12.15
powered by ブクログ死をテーマにした、吉村昭の初期短編集。情景描写が簡素なのに緻密っていうすごい作品がいっぱい。全作毛色が違うけれど、どれをとっても死への畏怖と憧憬が通奏低音のように流れていて、美しさと気色悪さが同居している。『白い道』以外はどれも好きで、『少女架刑』や『星への旅』が評価されている節があるけれど、僕があえて一番を選ぶなら『透明標本』。
0投稿日: 2013.09.20
powered by ブクログ『鉄橋』の冒頭3行を読んだだけでレジに持っていた。それくらい風景描写が素晴らしく、言葉の選択が素晴らしく的確。全編通して「死」がテーマとなっていて、常に気色悪い冷気が底を流れているような雰囲気。6篇のうち3篇が芥川賞候補、1篇が太宰治賞。時代小説は苦手なので、吉村昭さんの純文学作品をもっと読みたいです。次に読むべきオススメあれば教えてください。本当になんで芥川賞獲れなかったんだろう。。。
0投稿日: 2013.08.16
powered by ブクログボクサーの鉄道死の真相を探る「鉄橋」、遺体解剖される自分自身を客観的に観ている美少女の語りによる「少女架刑」、集団自殺へと向かう少年たちの心理を絶壁からの墜落の瞬間まで、これまた淡々と描く「星への旅」、いずれもが強烈な印象の作品です。冷静な目で観察する著者の眼が小説の主人公そのものにも遷ったかのような作品です。どれもが「死」がテーマになるわけで、暗い小説でありながら、感情をもたずに淡々と描いていく著者の精神力に凄みを感じます。著者はこの中で、何を主張しようとしているのか、ただ描くことのみ、後は読者が感じろと言わんばかりの作品ばかりです。
0投稿日: 2013.08.16
powered by ブクログ初の吉村昭文学作品。 吉村昭の初期の短編6作を収録。 類い稀な才能を持ったボクサーの轢死から物語が始まる「鉄橋」。 少女の遺体が医師らの手により解剖され標本となり、ただの物体になっていく様が少女の一人称によって語られる「少女架刑」。 人骨標本をつくることのみに人生を捧げた男の妄執を描く「透明標本」。 旧友と再会し石仏の盗難に手を貸したことからささやかな日常が歪む「石の微笑」。 少年たちの無動機な集団自殺を描いた表題作「星への旅」。 空襲に見舞われる東京から千葉市川へ向かう道でのことを描いた「白い道」。 大雑把にあらすじを書き連ねてみて改めて思うけど、すべての作品の中心に「死」がある。 荒川ふるさと文化館で開かれた作者の特別展でも見たけれど、確かに「死」「骨」のことばかり書いている。 肋骨5本を失うような大手術をして、自分のすぐ隣に死を感じた体験なしには書けない作品だと思う。 全編どこか色彩が乏しく、気だるい空気、乾いた無力感のようなものが漂う。 だけど時に美しさが垣間見えたり、死を描く割にからりとしていたりするのは、やっぱり吉村昭だなぁという感じ。 とても重く残酷な話が多いとはいうものの、不思議と「痛み」が描かれてない。 「少女架刑」の解剖シーンなんかはちょっとすごいんだけど、少女は痛みを感じない。 空気の爽やかさを感じる触覚はあるのに、痛みはない。 精神的な不安や悩みはあっても肉体的な痛みがないのも、解説に言う「ロマンティシズム」なのかな。 人によって受け付けられない部分もあると思うけど、読んでほしい作品。
0投稿日: 2013.08.16
powered by ブクログ早くも、今年出会った大好き本のトップ3になりそうな短編集。なかでも『少女架刑』には唸りました。少女が、死者の目線で、解剖されゆく様を淡々と語っています。カマキリのくだりは、あまりの表現の美しさに陶酔。読み進めるうちに、「死」をとおして「生」を感じることができるのだと気づかされます。
0投稿日: 2013.03.13
powered by ブクログ歴史小説等で知られる作家吉村昭(1927-2006)が死を主題にして書いた初期の短編作品。 「鉄橋」(1958年) 一人の男の死という散文的な出来事に多角的な光をあてることで、その平板化された出来事の実相が立体的に再構成されていく。 「少女架刑」(1959年)「透明標本」(1961年) 逆に人の死・屍体と云うものを徹底して即物的に描くことで、却ってそこに死の美を浮かび上がらせ、同時にそれに魅せられてしまう人間の暗い情念の存在を描出する。 「石の微笑」(1962年) 死というのは各人が背負ってきた生の在りように応じて各人の生のすぐ身近に在るものらしく、死と生の境界が実は通常思われている以上に曖昧であることが、巧く暗示されていく。 「星への旅」(1966年) "日常"。鈍重な惰性態でしかない"時間の経過"。現代と云うのは、世界の隅々までがこうした"日常"に覆われてしまったのではないか。世界の全てが"日常"でしかなくなってしまった。過剰な"日常"。世界からは、自己の内面と結び付けられるところの内実という意味の彩りが失われる――それは同時に、自己の内面そのものの酸蝕でもある。何も無いはずのところへ向けての、何者とも名指し得ない、焦慮と倦怠。"日常"という縁の無い空虚の大穴は、既に底の知れてしまっている何を放り込んでみたところで、埋まるものではない。そこに、死と云う観念が desperate な希望と云う逆説として、少年少女の空漠たる内面に憑いたのではないか。死への憧憬、死への飛翔・・・"日常"を超越し無化する回路としての死。「然し、それは全て、ロマン主義的にその image が照らし出されている死でしかないのではないか、果してそれが死の実相であろうか・・・」そう問うてみることも可能だろうが、そもそも死の実相なるものが何らかの規定を伴って存在するということそれ自体に、意味があるのだろうか。 "これが、死というものなのか" 死すらも"日常"に内在化されてしまったら。もはや出口無しだ。生は何処までも散文的にできている。死がそうであるように。 その他「白い道」(1967年)を所収。 高校時代に購入した本書を、ようやく読了。
0投稿日: 2013.01.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
<内容> 平穏な日々の内に次第に瀰漫する倦怠と無力感。そこから脱け出ようとしながら、ふと呟かれた死という言葉の奇妙な熱っぽさの中で、集団自殺を企てる少年たち。その無動機の遊戯性に裏づけられた死を、冷徹かつ即物的手法で、詩的美に昇華した太宰賞受賞の表題作。他に『鉄橋』『少女架刑』など、しなやかなロマンティシズムとそれを突き破る堅固な現実との出会いに結実した佳品全6編。(出版社サイトより引用) <感想> すごく陳腐な感想だが、最後まで詳細に書かれた描写が圧巻であった。 「少女架刑」は16歳の少女が主人公である。亡くなった彼女の意識を語り部に据え、自らが死に至り、病院に死体を売られ、教材として解剖され、焼却され、骨壷に収められるまでを描いている。誰もいない納骨堂で、骨壷から骨が朽ち砕ける音が響き渡るというシーンで物語は終わる。また、表題作の「星への旅」は集団自殺を図った主人公が仲間とロープで体を結びつけ、岸から飛び降りるまでを描いたものであるが、それまでの経緯や表情、困惑だけでなく、実際に岸を離れて海面に飛び出た岩にぶつかるまでの詳細な意識までをもしっかりと書き上げている。どの話も結びまで手を抜かず、余韻のある終わりかたが美しいとすら感じる。 収録されている小説の中で印象的だったのが『石の微笑』。不妊のまま出戻った姉と暮らす主人公が、廃部落の石仏を盗んで生計を立てている同級生に翻弄される姿を描いた作品であるが、そこには不気味ながらもなぜか人を惹きつける魅力があった。 ほかにも、自殺か事故か判別のつかない一人のプロボクサーの死を描いた『鉄橋』、人の骨の美しさを知り骨格標本に魅せられた男の決断を描いた『透明標本』、戦中の空襲にまつわる男の物語である『白い道』など、文芸の面白さを存分に味わえる短編ばかりだった。 死をテーマにしつつも彼の文章には透明感が漂っている。解説によると彼の少年期からのロマンティシズムがそういった透明感と深く関わってくるようだ。記録文学の名手として謳われる吉村昭であるが、もっと彼の著作を読んでみたいと思わされる短編集である。
0投稿日: 2011.12.31
powered by ブクログ「少女架刑」と「透明標本」。死体を解剖、標本にする描写なども、嫌悪なく読み進められてしまう吉村氏のすごさを思い知った。
0投稿日: 2011.11.19
powered by ブクログ死から見る生、生から見る死。これほどに鮮やかなものはない。個人的には表題作はもちろんだけど、少女架刑は読むべきだと思う。
0投稿日: 2011.11.10
powered by ブクログ非常に異質な本だ。エロチック感のない夢野久作?おぞましくない乙一? 乾いた視点で現実からすこしずれたような世界を克明に描いている。
0投稿日: 2011.11.08
powered by ブクログ描写に唸ってしまい、とても身のある小説なんですが、面白いとはちょっと違う。 かといってチクチクするような傷み小説でもない。 標題にもなっている「星への旅」がすごくウワッとなりました。
0投稿日: 2011.08.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
吉村昭は「戦艦武蔵」や「零式戦闘機」から入った私は、普通の小説(?戦争の関係のない、ストーリー性のある小説とでも言いましょうか・・・)を読んだことがありませんでした。 てっきりコレも、その類のものだと思って手にとったのですが。 良い意味で裏切られました。 戦争とは関係がない、短編集でしたが、とてもよかったです。 何が良かったかというと、意外性を見た感じです。いや、私が吉村昭について詳しく知らないだけで、これが本当の吉村昭なのかもしれませんが。 短編のほとんどは死にまつわるような話でした。 でも、別に表現が生々しすぎるとか、読んでいるだけで痛々しくなるとか、そういうんじゃないです。寧ろあまり痛みを感じませんでした。 個人的な意見ですが、吉村さんの小説は、文体がとてもきれいというか清潔な感じで、なんとなく「可もなく不可もなく」な部分があったんですが・・・そんなきれいな文体で、「え、こんなことも書くの?」っていう内容でした。そのギャップがよかったです。 全体的に、「ぞわっ」とするような感じでした。 特に「星への旅」はぞわぞわっとしました。読みながら、そうなってほしくない、やめてほしい、そうならないで、と願うのに、そうなってしまう。ぞわっ。 こんな吉村さんも素敵。 さらに色々と興味が沸いてきました。星五つ。
0投稿日: 2011.07.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全体的に内容の重い短編集ですが、とても面白い。 「少女架刑」から「透明標本」の流れはちょっとザワっとなった。 「あぁ!これってアレの事か!!」と。 表題作「星への旅」は集団自殺の話だけど、嫌な気分がしない良い話だった。
0投稿日: 2011.06.12
powered by ブクログ表題作のほか「鉄橋」「少女架刑」「透明標本」「石の微笑」「白い道」収録。 どれも日常からはみだしたもののつぶやきを描いていて、それを見る作者の視線はやさしいが、硬質な作品群。
0投稿日: 2011.05.07
powered by ブクログ吉村昭の初期短編集。表題作だけ読んだ。無気力な若者たち。「戦争が始まればいいんだ」ばかりつぶやいていたり、阿片の吸引、整形手術、人の組織化…などに興味を抱く者たち。オウムみたいだな…と思った。先見の明がおありになったのだろう。 なんと、最後、びっくりした。本当に海に身を投げるとは…まさか…身を投げて下に落ちるまでの気持ちが綴られている! ってことにびっくりした。こんなの初めて読んだ、という感じがした。
2投稿日: 2011.04.29
powered by ブクログページが重たくってなかなか進まなかったけど、なんだか気になって最後まで読んだ。平和ボケしてるわたしからは出てこない発想ばかりだった。
0投稿日: 2011.04.22
powered by ブクログ・2/24 のっけからかなり暗くて思い物語で、なんだか気分まで澱んできてしまった.こんな暗い物語を読んでこれから毎日疲れるのかなぁ. ・2/25 それにしても骨や解剖の話が多い.詳しいからもしかして著者は関係する仕事をしてたのかもしれないな.えもいわれぬ気分になる話しばかりだ.確かにこの本は生きる希望に満ち溢れていて元気な時に読まないと、やり切れない気持ちになってしまうだろうなぁ. ・2/27 読了。それにしても凄まじい凄さだった.物語に出てくるキーワードは、墓地、死、自殺、骨、家族.本当に毒のある荒涼、殺伐とした物語群だった.読み終わってほっとしているのも珍しい.
0投稿日: 2010.09.05
powered by ブクログかれは、眉をひそめ、心持ち顔をそむけた。岩肌が、掌から頬にかけてせまった。かれは、眼を薄くとじた。次の瞬間、皮膚の下の骨がきしみ音を立てて、一斉に開花するように徐々に散るのを意識した。
0投稿日: 2010.01.24
powered by ブクログ平穏な日々の内に次第に瀰漫する倦怠と無力感。そこから脱け出ようとしながら、ふと呟かれた死という言葉の奇妙な熱っぽさの中で、集団自殺を企てる少年たち。その無動機の遊戯性に裏づけられた死を、冷徹かつ即物的手法で、詩的美に昇華した太宰賞受賞の表題作。 他に『鉄橋』『少女架刑』など、しなやかなロマンティシズムとそれを突き破る堅固な現実との出会いに結実した佳品全6編。 ----- “死”に包まれた六つほどの短編が収められている。 少年少女の内なるロマンティシズムが鏤められた作品を読むことができる。“死”というものをロマンに書くとこうなるか、と思ってしまった。リアルに昇華できることの少ない明確な絶望が詩的に解き明かされていくのには少し目を見張った。 そして驚くべき点は 《少女架刑》と《透明標本》 をどちらも書いているということ。 読んでいてはっとさせられた。言うまでもなく。 人はそれぞれに違うのだ、ということを、また思い知らされた。 (2009.03.08)
0投稿日: 2009.03.08
powered by ブクログ小6の時、初めて自分で買った小説。集団自殺する話。 他の短編もかなり良い。少女が意識のあるまま解剖されていく話がいいです。 この本もってる小6は嫌ですね・・・。
0投稿日: 2004.10.03
