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ピエロの歌
ピエロの歌
遠藤周作/新潮社
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総合評価

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    長崎から東京の大学に出てきた波多マキ子は、学生運動にくわわっている勝呂という青年と出会い、恋に落ちます。豊臣秀吉の横暴な振る舞いに対して立ち向かった波多三河守の血を引く彼女は、男勝りで一本気な性格ながらも、恋に対しては純情で、勝呂のために彼女自身も過激派の活動に協力するようになります。 一方、マキ子の兄の友人である又兵衛は、勤めていた会社を辞めることになり、マキ子を追って東京に出てきます。彼は、東京で出会った織田という男と行動をともにすることになり、その場しのぎの仕事をしながらマキ子の動向を気にかけていましたが、彼女からは相手にされず、コミカルな役割を演じます。そんな又兵衛が、偶然にもマキ子の所属する過激派組織が計画する重大な犯罪について知ることになり、東京の街でひとり右往左往する羽目となります。そんな彼に救いの手を差し伸べてくれたのが、森田ミツという女性です。彼は、マキ子への想いを断ち切ることのできないままでありながら、ミツの底抜けの善意に頼ることになります。 コミカルなキャラクター造形で、ストーリーもエンターテインメント性が強い小説ですが、そのなかに哀感をたくみにしのび込ませているところに著者の手腕が感じられます。

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    投稿日: 2023.07.15