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あほうがらす
あほうがらす
池波正太郎/新潮社
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総合評価

16件)
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    池波正太郎の短篇時代小説集『あほうがらす』を読みました。 池波正太郎の作品は、先月読了した『乳房 新装版』以来ですね。 -----story------------- 2020年は著者没後30年。 再び味わいたい、池波正太郎の世界。 どんなところにも善と悪があり、白と黒、やわらかいのと固いのと、向上と堕落があるのだ……。 池波流のユーモアがたっぷりちりばめられた表題作ほか、傑作短編11編。 人間という生きものの不思議さ、運命のおそろしさ……。 妾を恋しがる病床の兄が、弟に託した最後の頼みとは“?ポン引き"の生き方を活写した軽妙洒脱でユーモラスな表題作、忠臣蔵の悲劇の主人公浅野内匠頭の、説明のつけようもない二面性を照射した「火消しの殿」、芝居や映画のヒーローとしてではなく、一人の武士として己れの立場を貫いた男を描く「荒木又右衛門」など、著者の多岐多彩な小説世界の粋を精選した11編を収める。 ----------------------- 1985年(昭和60年)に刊行された作品……以下の11篇が収録されています。  ■火消しの殿  ■運の矢  ■鳥居強右衛門  ■荒木又右衛門  ■つるつる  ■あほうがらす  ■元禄色子  ■男色武士道  ■夢の茶屋  ■狐と馬  ■稲妻  ■解説 佐藤隆介 妾を恋しがる病床の兄が、弟に託した最後の頼みとは……池波流のユーモアがたっぷりちりばめられた表題作ほか、傑作短篇11篇。 歴史上の人物から市井の人々まで……11の物語が収録されてているのですが、どの作品にも池波正太郎らしさがしっかりと息づいている印象でしたね、、、 派手な仕掛けがあるわけではない……けれど、読み進めるうちに、登場人物の息づかいや、江戸の空気がふっと立ち上がってくる、そんな短篇集でした。 どの作品も愉しめましたが、特に印象に残ったのは、、、 ほとんど狂気に近い執念で火消しの訓練に熱中し、また色子(男色)に醜態をさらしながらも、いざ吉良上野介へ刃傷におよんだあとの態度は非の打ち所がない立派さ……忠臣蔵で有名な悲劇の主人公・浅野内匠頭の説明のつけようがない二面性を照射してみせた『火消しの殿』、 題名が暗示するように、一寸先のことはどうなるかわからぬ人間の運というものの恐ろしさ、その運に弄ばれる人間のおかしさを描き出す『運の矢』、 嘘をつきとおせば命を助けるといわれて、嘘をつきとおすつもりになっている……考え抜き、思案した末の決心であるが、その決心が最後の一瞬に自分の内部から衝きあげてきた名伏しがたいもにに吹き飛ばされ、自分でも思いがけなかったことを絶叫! 人間がぎりぎりの瀬戸際に追い詰められたとき、突然に心の奥底から噴き出してくるもののこわさを劇的に描いた『鳥居強右衛門』、 コンプレックスをマイナスの方向でしか吐き出せない人間もいれば、逆に与えられたハンディキャップを自らのバネとして生きる道を切り拓いていく人間もいる、いかに与えられた運命を折り合って生きていくか……若くしてつるつるの禿げ頭となった人間にさわやかな人生を与えている『つるつる』、 10年ぶりに兄と再会し、兄の息子の頼みを叶えるため奔走するが、兄には妾がいた……人間の矛盾と可笑しさが、池波らしいユーモアで描かれる『あほうがらす』、 狐に化かされたような奇妙な出来事をめぐる物語……江戸の怪異譚の趣がある『狐と馬』、 の6篇かな……男色を描いた作品が多かったのも印象的でしたね。 読後に、どの人物もどこか身近に感じられ、江戸の空気がふっと立ち上がる……そんな短篇集でした、、、 面白かったなぁ……池波正太郎作品はシリーズ物じゃなくても愉しめますね。

    0
    投稿日: 2026.01.25
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    鬼平犯科帳の作者による短編。それぞれの登場人物が重なっていたりして、ゆるくまとまりがあった。 江戸時代の男色が描かれた話がいくつかあり印象的であったし、やはり当時は男色が日常の一部であったことが伝わるようであった。

    6
    投稿日: 2025.01.10
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    <目次> 略 <内容> すべて時代物。短編ながら、主題作の「あほがらす」はじめ、実在の浅野内匠頭や大石主税、荒木又右衛門などを扱っても、ちょっと違う視点から切っていく。人生うまくいくものではないけど、捨てたものでもない、と感じられる珠玉の作品群。

    0
    投稿日: 2023.10.10
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    池波正太郎の書いた本を初めて読んだ。 11篇からなる時代小説で殿様、家来、家臣、そこから繋がる人間関係を読み込むほど、おもしろい話になっている。地位、お金、愛憎、欲、侮辱、と書いて何だ500年後にもあるものばかりだと、苦笑する。 そして、貫く思い、覚悟、看過、変貌それらが混ざり合ってこの小説を愛おしくさせている。 全ての人間に生きる意味がある。

    0
    投稿日: 2023.08.25
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    あほうがらす。 現代で言えば、ポン引き。フリーのスカウト兼別れさせ屋の女衒士。 差が疎まれる生業ではあるが、その内容はピンキリで、職業倫理や矜持を持ちその道を極めれば、秀でた芸と呼べる。 11編の短編集。 古今東西、人間という生きものの不思議さを漂わせる一冊でした。 運というものの捉え方次第で、見え方は様々ですね。

    0
    投稿日: 2023.03.02
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    岡本綺堂『半七捕物帳』を読み終えるのが惜しくて、巨匠・池波正太郎の作品を間に挟もうと思った。岡本作品が江戸弁、江戸の街並を彷彿させる筆致だとすれば、池波作品は人情を描く。浅野内匠頭、鳥居強右衛門、荒木又右衛門といった有名どころを配するかと思えば、「あほうがらす」のように市井の……それも裏社会の商いをも描く。そして男色、今で言うBLも、江戸時代の武士の常識として書いているのが著者の作品としては珍しかった。

    0
    投稿日: 2022.12.03
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    人間というものの不思議さ。そして、人生一寸先は闇、ちょっとしたことでどうなるか分からないという、人生の不思議さ。 この、2つの不思議さを、池波は冷徹かつ現実主義的な、悲観的目線で描く。池波の、人間や人生に対する「無常観」のようなものが現れている。 また、ときにはその人の人生を貫き通すひとつの信念であり、ときには訳の分からない動きをし、別のときには様々な顔を持つ―そのような人間の心の不思議を描く。 されど、読み手を考え込ませたり、読み終えてネガティブな気持ちにさせないのは、そのユーモラスな、人間の描き方、また、語り口で、面白く、小説を完成させているからであろう。 池波の描く、不思議な、しかし、人間や人生の本質をついているからであろう、全く別世界の話とも思われない、面白い小説でした。

    2
    投稿日: 2022.07.25
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    男色やポン引きと言った、光の当たらない人間らしさに焦点があたる作品が多く収録されている。清濁併せ呑む価値観と、武士道のような厳しさのコントラストが人間の生の楽しさを描いているようだった。

    0
    投稿日: 2021.04.12
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    「武士の名誉を生きるためには、いつどこでも死を迎えることになるかも知れぬという覚悟を日々新たにすると同時に、生きて迎える一日一日を充実せしめたい、妻を愛し、家を愛する心を日々新たにしようという又右衛門の生き方なのであった」。 死が身近なこの時代は、こうした考えで生きていたのだろうが、東日本大震災や熊本地震など、実は身近な死を忘れている我々も、いつ愛する人を亡くしても、また自分が死を迎えても、後悔がないよう一日一日を充実させる姿勢が学ばれる。 江戸時代初期の武士・剣客であり、日本三大仇討ちの一つの「鍵屋の辻の決闘」で知られる荒木又右衛門の物語など、11編が収められている。

    0
    投稿日: 2017.07.03
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    人間の不思議さを描いた11編の短編をちりばめた一冊。なかでも私は忠臣蔵の悲劇の主人公浅野内匠頭の二面性を描いた「火消しの殿」が面白い。

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    投稿日: 2014.05.03
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    どの短編も、心にじんわりとしみる。一人ひとりの人物に血が通っているのが感じられる。淡々とした文章なのに、ドラマティックだ。読み終えた後、すがすがしい心もちになった。

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    投稿日: 2012.10.17
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    いつどこで、死を迎えることになるかも知れぬという覚悟を日々新たにすると同時に、生きて迎える一日一日を充実せしめたい、妻を愛し、家を愛する心をも日々新たにしようという又右衛門の生きかたなのであった。

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    投稿日: 2012.08.12
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    赤穂浪士など、実際の歴史に関係する話があるのですが、そういった歴史上の出来事をもっと知っていれば…(有名な歴史上の出来事もあまりよく知らないので…) でもそれぞれ短いお話の短編集なので、ひとつひとつ面白く読めました。 短編のひとつに『男色武士道』という直なタイトルの話もあるのですが、戦国から江戸では男色・色子など少なくないようでそういった話も他短編でも多く書かれていました。 男同士の言葉を交わさずとも通じ合える感が、なんだか素敵で羨ましい!!…ような気がするっ。

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    投稿日: 2011.04.14
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    下克上の中、現代人の見る、理想の武士道なんてのは当に後の祭り 裏切るのも、忠を尽くすのも、戦略なのです、それは主従関係の中にもある。 だけど、人間の心の中には義や仁があるんだな なんでそんな死に方になっちゃったんだろうな 強右衛門どの 南無

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    投稿日: 2008.11.07
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    これも男色物が入ってて印象深い。「男色武士道」とかこの時代のそれの理想なのかな…。こういう短編の中にも梅安や鬼平なんかで見る名前のキャラが出てきてて楽しい。

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    投稿日: 2007.05.25
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    長谷川平蔵でも梅安でもない池波正太郎の本。短編集ですいすい読めるところはお勧め。他の短編集に収録されてて読んだものがあったのは残念だが、何度も読むのに耐えうる作品だからOKである。(笑)表題の「あほうがらす」もいいのだけれど、今回この中で気に入ったのは「鳥居強右衛門」時代物、特に織田・徳川もの(たった今命名した。こんなジャンルがあるわけじゃないけど、信長・秀吉・家康って小説多いですよね)の中では端役に過ぎない鳥居強右衛門を主人公に、心に響くものになっていると思う。さすがは、と言うべきなのだろう。 いい小説を読むと後味もいいし。

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    投稿日: 2002.04.28