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ねむり姫
ねむり姫
澁澤龍彦/河出書房新社
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総合評価

25件)
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    「ねむり姫」 平安の頃。天竺冠者とその異母兄弟の珠名姫。 天竺が操るのが得意な輪鼓のかたちと、突然昏睡となったため輿にのせられ巡礼に出される珠名姫の身体のかたちは、どちらも紡錘形に収斂する。紡錘は天竺のつむじ?二度と開けられることのなかった姫の目?いと怪し奇し異し。 「狐媚記」 母が狐を産み、その雌狐は埋められたはずであるのに、弟はその狐を愛すようになって、口移しの狐玉のやりとりのうち精気を吸い取られるようにして死す。「狐憑き」とはこのようなことをいうのか。デカダンス、近親相姦、畏ろしを屏風の画のようにしてみせた。ふいに澁澤氏が演出家として顔を出す。 「ぼらんじ」 湯けむりの向こうに女人の扮装を解いた美麗な男。 その男を恋慕し、観音菩薩の「善男子となれ」という夢に従い男装、隠れて湯に浸かる女。 男と女は互いに相手が見えず、感じられるのは月を浮かべた湯の温みだけ。 結ばれたかのような温み。 とくに意味もなく音感が気に入ってつけたという題がよき。 他三篇 芸術品といってよいような物語ばかり。

    8
    投稿日: 2025.03.04
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    『うつろ舟』などにならんで、晩年の『高丘親王航海記』への過渡作品とも言える、秀逸な短篇集です。『思考の紋章学』や『ドラコニア奇譚集』などに顕著なエッセイらしさが少なくなり、物語性に重きが置かれています。『高丘親王〜』よりはまだ文章/文体は固いかもしれませんが、ちゃんと分かるしちゃんと面白いです。 澁澤さんの模索過程が垣間見えるようで楽しいですね。『画美人』の金魚のくだりは初期の短編を彷彿とさせますし、文章の難渋さ自体は丸くなったものの、古語や漢語で飾られた豊麗な文章は典雅で気品があり、硬質な印象も受けます。どの作品のどの部分を見回してみても、洗練され高く築き挙げられているかのよう。この象牙の塔は、澁澤龍彦という匠にしか建てられぬものでしょう。 個人的お気に入りは、やっぱり『狐媚記』ですね。

    1
    投稿日: 2022.08.24
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    『ねむり姫』リーダビリティはよい。ポニーで田舎者を馬鹿にするのがなんか 『狐媚記』狐の好物ってさうなのね。(原典読んで「澁澤作品の方が」と言へるレヴェルの筈) 『ぼろんじ』澁澤先生みとこーもんくらゐは見てたってどっかに書いてあった筈 『夢ちがえ』 琵琶湖の畔の話なのね。(田楽を舞ふ異形のなんぞが鎌倉でどうたら話があるさうなのだが先生の地元シリーズに入らない) 『画美人』へそー 『きらら姫』おさるスーツと、欲望に弱いキャラがそれを叶へて「あぁ、俺がナニしたあれが」と言ふのであったと言ふのが、衝撃。しかもタイムトラベルをするではないか。で先生の地元シリーズの壱。

    1
    投稿日: 2021.10.20
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    2008年10月8日~9日。 面白い。 そして凄く切ない。 無償の思いの美しさと残酷さに心が震えます。

    0
    投稿日: 2018.01.06
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    しばしのインターバルを経てTasso再読祭再開。 様々な典籍に材を取った幻想時代劇、全6編。 何度読んでも味わい深く、しみじみ面白い。 眠りに落ちたまま年を取らなくなった珠名姫と 異母兄つむじ丸の物語「ねむり姫」や、 望楼に幽閉された万奈子姫の悲恋「夢ちがえ」が 殊の外、切ないが、 もう一人の姫こと「きらら姫」が 遂に正体不詳で終わるところにニヤリとさせられる。 以下、多少の余談なぞ。 「ぼろんじ」(虚無僧の意)において、 主人公の兄を振武軍に導き入れたとされる 澁澤成一郎(1838-1912)は 明治以降、幼名に復して澁沢喜作と名乗った実業家で、 日本資本主義の父と呼ばれる澁澤栄一の従兄であり、 作者の親類にも当たる。 「夢ちがえ」の「箱の蓋を持ちあげてみると」の条(p.178)では、 つい、泉鏡花「天守物語」 朱の盤の登場シーン(これは汁が出ました)を連想。 「画美人」の、 ガラス鉢の金魚に情事を見られている気がする……云々は、 作者の初期短編「撲滅の賦」のヴァリアントだろうか。 江戸の大工の倅・音吉が 鎌倉時代へ時間旅行する「きらら姫」。 彼は地震で倒壊した日蓮上人の草庵を建て直すのだが、 日蓮の弟子・日興が「伯耆房」の名を賜り、 日蓮と共に身延山に入った経歴が、 鳥取の地名である「伯耆」を苗字として名乗る人々が 山梨県の身延町に存在するという謎に迫る鍵ではないか…… と愚考する。

    9
    投稿日: 2017.11.24
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     現実から、ひょいっとはみ出してとける。不思議と現実のはざまを語る。そんな短篇集だと思う。上るのではなく潜るのに近いけれど、手引きがあるので溺れずに済む。ただ、その手引きがどんなもので、どこへぼくたちを連れて行くのかを考えはじめるとすこし怖くなる。グロテスクが道中にあるような、白骨を横目に潜っていくような、感覚。初期短篇選や唐草物語より、語り口が軽妙な気が、なんとなく。 2017.8.不明.

    0
    投稿日: 2017.10.07
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    時代劇ものって読みやすかったっけみたいな本です。 内容は落語の左甚五郎の、題が出てこない。話のようで すね。

    0
    投稿日: 2016.02.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    定家『明月記』に想を得た『ねむり姫』紡錘は螺旋好きならではのモティーフか。妖の異類婚姻譚『狐媚記』幽玄さの中に獣臭漂うエロティシズムにうっとり。『夢違え』精神分析的な夢奇譚はシュニッツラーを思わせる。『ぼろんじ』トーキー時代の股旅映画のようなとぼけた感。くるりと反転するカメラワークが快感。『きらら姫』江戸、鎌倉を舞台にした時空越え。江ノ島から湾を横断する地下道に興奮。どれも楽しく、何度読み返してもしみじみと味わい深い。ときどき入るイマドキ言葉もお茶目。 そういえば、いばら姫も紡錘(糸車の)で指を刺して眠るのだった。 紡錘りの舟から始まり、杓子の舟で終る短編集。

    1
    投稿日: 2015.04.03
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    幻想文学っていいなあ……という気分にはなったけども、"澁澤龍彦の"良さを感じるにはやや物足りない。他のものも読んでみようという気にさせられるといえばまあ、そう。 面白さとは関係ないが、時代物なのに外来語が入るのはいつものこととはいえ突然のE.T.にはさすがに笑った。

    0
    投稿日: 2014.11.21
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    澁澤龍彦といえば、エッセイの数々で、古代ギリシャから中世、ルネッサンス、果ては現代文学から現代芸術全般に至るまで、まさしく博覧強記の衒学趣味。だが、ここには彼のもう一つの顔―すなわち、日本の古典をこれまた縦横無尽に駆使した、翻案幻想物語の語り手としての澁澤がいる。彼の語る物語はそのいずれもが、空間も時間も周囲からは隔絶し、ぽっかりと中空に浮かんでいるかのような独特の様式を持っている。ここに収録された6篇のいずれもが、そんなスタイルだ。澁澤の語る物語を読むのは、まさにしばし仙窟に遊ぶといった趣きなのである。

    0
    投稿日: 2013.09.25
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    随分昔に購入していた本です。 西洋風のおとぎ話を日本の昔話に置き換えた風ですね。そして必ずしもハッピーエンドにならない辺りがさらに面白い。幻想小説と言うのはこういう感じの取りとめの無いものなのかなあなどと思いした。面白かったです。また何か違う本も読んでみようと思います。

    0
    投稿日: 2013.04.23
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    短編集。この作家さんは初めて知りましたが、近現代というより現代作家さん? なのに近現代風というのがなんというか掴みきれず。 雰囲気はありましたが、自分好みかと言われるとちょっとキツかったです。

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    投稿日: 2013.01.17
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    中世日本のあやかしの短編集。 何と言っても面白かったのは表題作のねむり姫。 夢と現の間にとらわれるねむり姫とつむじ丸の想いの交差は何とも言えない

    0
    投稿日: 2012.11.08
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    相変わらず夢心地になる。 ただしいつにも増して読めない漢字が多いので、手元に筆順辞典(これが役に立つ!)と広辞苑を登録したEBPocketをインストールしたiPod Touch(など)を常備する必要あり。 また、この人はおそらく小説よりもエッセイなどの方が人気があると思うが、私はむしろ小説の方が気持ち良い。

    0
    投稿日: 2012.10.25
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    後白河法皇の院政の頃、ある中納言家に珠名姫とつむじ丸という腹ちがいの兄妹がいた。珠名姫はその名の通り美しく、つむじ丸は放蕩濫行が目に余る少年で、お互いに接することなく暮らしていた。物語は、珠名姫が裳着(女の子の成人式)を迎えた14歳の年に、突然の永い眠りにおちるところから始まる。眠ったまま、長い年月にわたって京を漂う珠名姫と、盗賊となって数奇な人生を歩むつむじ丸は、無意識の中で引き合う運命にあった…。私の苦手な幻想的世界がみごとに計算されている物語である(ようだ)。「眠れる森の美女」や仏教思想などを下敷きにしているが、舞台を日本の中世に設定したその必然性がよく分からない。当時の仏教思想にこだわらずとも、他のものでも代用がきくのでは?という感じ。日本の中世的物語だと思って読んだ私には、何となく違和感があった。

    0
    投稿日: 2012.09.25
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    読めない漢字が沢山あったので辞書を引きながら。 時折出て来る横文字が洒落てます。 夢と現のあわいに漂う6編。

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    投稿日: 2012.04.27
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    「夢ちがえ」「狐媚記」「画美人」が特に好き。後味は決して良くない、むしろ残酷と言ってもいいような話なのに、美しい物語だったと感じる不思議な読後感。端正な文章の中に時折顔を出す悪ふざけ(と言っていいのか分かりませんが)がくすりと笑えて楽しい。「(省略)。特異体質だな。」「いやですよ。そんな近代のテクニカル・タームは存じませぬ。」。ついつい笑わされる。

    1
    投稿日: 2011.08.24
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    裏表紙に“あやかしの物語”と書かれていたけれど、不可思議というひと言では片付けられない世界だった。この作品を読んでいる最中、二度ほど憑き物的な夢を見た上、金縛りにもあった。脳が独特の魔術にかかってしまったのかもしれない。 淫靡でもあり、エッシャーの騙し絵のような怖さもある。洒落に富む上質でリズミカルな文章がなんとも小気味よかった。 澁澤龍彦、怖いもの見たさ的興味で、その扉の奥をもう少しだけ覗いてみたい気がする。

    1
    投稿日: 2010.01.29
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    澁澤龍彦ならではの耽美な世界〜後白河法皇の時代に眠り続けるうつくしい姫の話など、日本の時代物を揃えた短編集。教養に裏打ちされた流麗な文章で読ませます。所々わざと肩すかしがある粋な作りなので、ストーリーは??だが、耽美は論理的じゃないのね〜役には立たないのよねと何やら納得。

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    投稿日: 2009.09.24
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    澁澤龍彦にはめずらしく(?)、ぼんやりできる午後などに拾い読みできる本。晩年の短篇集(ロマネスク)。ねむり姫になりたいのになあ、そしたら王子さまがキスしたって、絶対眠りから醒めないのに。というのは、表題作とは何の関係もありません。最近、寝不足気味。

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    投稿日: 2009.07.07
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    サドの本を日本に紹介したことで知られる澁澤龍彦。 この本はエロティシズムにあふれているというわけではないが 独特の言い回しで昔話を更に味わいのあるものにしている。

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    投稿日: 2008.12.14
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    水面を、覗き穴を通してスライドのように交錯する姫や少年達の運命。するりするりと読める香りの佳い文章です。

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    投稿日: 2007.10.11
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    難しいと思っていたけど、読んでみたら言葉の響きと文章のリズムがとても心地よくて、するすると読んでしまった

    1
    投稿日: 2007.06.12
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    澁澤幻想短編集。 この人のエッセイもあまり好きではないが、私は小説も得意ではないらしい。 翻訳家としての彼は最高だが。 なのに私の本棚には澁澤関連の本が相当数ある。 不思議…

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    投稿日: 2006.05.27
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    お伽噺、というものは、そもそもちょっと怪しげなものなのだけれど、「あやし」の境界線をのぞき込むのではなくうろつける感じになると、大人用ってことなのだな、と個人的には思うのです。というわけで、これは大人用のお伽噺。読んで損なし。 単行本の装丁について付け加えると、「ショッキングピンクとルミナスっぽいグリーン」という、目がおかしくなりそうなデザインで、忘れたくても忘れられない、壮絶なインパクトのあるものでした。ちょっと普通では思いつかないような色遣いが、あやしさを確かに増していたけれど、この本についてはこの文庫版の装丁のほうが、感じいい、というか良い感じであると思います。 *追記*なんとなく確認したら、本人自装、ということで、ご自分のイメージによるものらしいです。今もわたくしの本棚で、目立ちまくっています。

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    投稿日: 2004.12.06