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powered by ブクログ110円なお風呂本。 私は外国語の習得よりも日本語の精錬に関心がある達だが、井上ひさしさんや平田オリザさんなどなど演劇界隈の人が巧みに操る日本語は非常に興味深い。 本書は講義なので戯曲なんかとは趣きが違うが、軽妙な語り口で言葉の成り立ちを学びやすい。 他の著作も100円コーナーに来ないかなー。
0投稿日: 2025.06.19
powered by ブクログ日本語を特別視せず、俯瞰的にどのような性質を持った言語であるかを、軽妙な語り口で講義してくれる一冊。母語は精神であると言い切り、日本語で言い表せることまで外来語でまかなうようになってしまうと、精神の衰退を引き起こすと喝破する。著者の井上ひさし氏の教養の深さが随所ににじみ出ていて舌を巻く。
0投稿日: 2025.01.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2011/07/19 『日本語教室』は、作家・井上ひさし氏が母校である上智大学で行った連続講義をまとめた書籍です。全四講から構成され、日本語の現状、成り立ち、話し方、表現方法について深く掘り下げています。 第一講:日本語はいまどうなっているのか 井上氏は、母語は単なる道具ではなく、精神そのものと位置づけています。特に、外来語やカタカナ語の氾濫が日本語の微細な表現力を損なうと指摘し、例えば「リフォーム」という言葉が「再生」「改築」など多様な日本語の意味を単純化してしまうと懸念を示しています。また、グローバリゼーションという言葉の危険性にも触れ、言語の乱れが文化や精神に及ぼす影響を考察しています。 第二講:日本語はどうつくられたのか 日本語の起源について、井上氏は「東北弁がかつての標準語であった」との説を紹介しています。松本清張の『砂の器』や出雲地方の方言を例に挙げ、言語の変遷と地域差を分析しています。さらに、やまとことばの成立や漢字の導入、明治政府による標準語制定の歴史を辿り、「美しい日本語」という概念の曖昧さを指摘しています。 第三講:日本語はどのように話されるのか 日本語の音韻や発音の特徴について、全ての言葉が母音で終わる点や、五つの母音の使い分けを解説しています。特に、同音異義語の多さやアクセントの重要性、方言の持つ文化的価値に焦点を当てています。また、駄洒落の快感や音読の推奨を通じて、言葉遊びの楽しさと日本語のリズム感を強調しています。 第四講:日本語はどのように表現されるのか 文法の柔軟性や曖昧さを持つ日本語の特性を取り上げ、「は」と「が」の使い分けや語順の曖昧さを分析しています。さらに、外来語の取り入れ方や数の数え方の独特さを通じて、日本語の多様性と表現力の豊かさを論じています。井上氏は、日本語の不確定さが生み出す表現の幅広さを評価し、世界に開かれた言語としての可能性を示唆しています。 全体を通じて、井上ひさし氏は日本語の奥深さと魅力を多角的に解説し、言語が文化や精神に与える影響を深く考察しています。日本語を再発見し、その価値を見直すきっかけとなる一冊です。
0投稿日: 2024.12.23
powered by ブクログ本書は、日本語そのものを学ぼうというのではありません。 井上ひさしが考える、日本語の現状をさらっと把握して、「日本語とはどういう言語か」ということを考える書です。 気になったことは以下です。 ・15歳を過ぎるとどんな言葉も覚えることができない ・母語は道具ではない、精神そのものである ・日本は、いつもそうです。世界で一番強い文明を勉強します。中国そして、欧州、戦後はアメリカです。 ・日本には、自分の住んでいるところは大したことなくて、優れたものは他にあるという、そういう精神構造はいまだにあります。 ・たいへん便利で、大きな文明が入ってくると、そこにもとからあったものはなくなっていって、大きな文明に吸収されていく、言葉も然り ・言葉が自然に消えていくということはありません、必ず何かの、社会的、経済的、政治的圧迫で消えていくのです ・日本語の文法はどこから来たのか。ウラル・アルタイ語族、つまり、トルコ語と、日本語がよく似通っていることから、どうやらウラル山脈あたりから、シベリアを通ってやってきたのではないかということになっています。 ・ほんとうに日本語はたいへんですよね。やまとことば、漢語と、外来語の3つを覚えなければなりません。 ・日本語の音韻体系は簡単で完結で、非常な合理性をもっています。五十音図を思い出してください。あれで日本語の音全部を云いつくしているわけですからすごい ・近代国家にとって必要なものは、少なくとも3つある。貨幣制度、軍隊制度、そして、言葉の統一です ・いずれにせよ、明治国家は言語を統一しようとして、標準語をつくろうとしました ・逆にいうと、まだまだ日本語は完成されていないのです、また、そもそも日本語というものがあること自体おかしいともいえます ・日本語では音節が子音で終わることはありません、かならず母音で終わります ・日本人にはもう文法は必要ない ・一般に「口語文法」というときの「文法」というのは、だれか整理し組織立てたものなのか、わからない。これはつまり、私たちひとりひとりそれぞれの文法があるということです ・私たちは日本語の文法を勉強する必要はないのです、無意識のうちにいつのまにか文法を身につけていますから。 目次 はじめに 第1講 日本語はいまどうなっているのか 第2講 日本語はどうつくられたのか 第3講 日本語はどのように話されるのか 第4講 日本語はどのように表現されるのか 井上ひさし著書・単行本目録(抄) ISBN:9784106104107 出版社:新潮社 判型:新書 ページ数:192ページ 定価:720円(本体) 発売日:2012年04月10日 14刷
8投稿日: 2023.05.17
powered by ブクログ本書は上智大学のOB会「ソフィア会」主催の「日本語講座」を書籍化したものである。この講座の聴講料は留学生の奨学金に充てるとのこと。 2015年に本書を購入し一読したが、今回改めて読み直した。 著者の井上ひさしはものを書き始めると、悪鬼のようになり、妻に暴力を振るった。それは、文章を書くことにナーバスであったからに違いない。 例えば本書の冒頭に、 「母語は道具ではない。精神そのものである」 「小学校で英語を教えようということになったときに、僕は本当に危ないと思いました。すべて、そうやって、言葉は消えていくのです。」 とあり、日本語に対して思索を重ねてきたことが感じ取れる。 さらに読み進めていくと、仕事柄、膨大な研鑽を重ねてきたことが分かる。著者の独自の視点で研究してきたこともよく分かる。 しかしそれは、学問のための研究ではない。自分の作品を書くための道具としての日本語の研究である。道具としての言葉をここまで研究してきたのかと驚嘆する。 そしてそれを、ジョークに包んで言葉にできるところに井上ひさしという作家の狂気を見たような気がした。
1投稿日: 2022.10.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
日本語教室 著者:井上ひさし 発行:2011年3月20日 新潮新書 2001年、当時、最も正しい日本語を使う作家とされていた井上ひさしが、母校の上智大学で4回にわたって日本語について講演したものを書き起こしてまとめた新書。軽いタッチで非常に充実した、しかも誰しもが興味津々となる内容でした。 著者が手書きで思いつくままにまとめた現在の日本語成立過程の図は圧巻でした。仙台一高出身の著者、縄文時代の標準語は東北弁だった、と主張。 主格を示す格助詞「は」と「が」の使い分けについても、我々が教えられた常識とは違うことで結論づけていて、誠に勉強になりました。 外来語の問題点 再生、改良、仕立て直し、改築、増築、改装。日本語にはたくさんの意味があるのに一言で「リフォーム」と言ってしまうことが問題。 「イエスかノーか」はだめ デジタル思考にすぎない。本当はイエスとノーとの間に大事な領域がある。国連の公用語に戦勝国の言葉だけでなく、なぜスペイン語が含まれるか。それはスペインがどちらの立場の国に対しても間に入って大きな貢献をしたから. 理想に一番近い文章を書く人 丸谷才一か、大江健三郎か(でも少し漢字が多い) 言葉の長さ 英語やフランス語で2時間の芝居を日本語に訳すと4,5時間かかる。言葉が母音で終わり、音節の種類が少ないから。 濁る、濁らないの区分け 茶畑の畑は「ばたけ」と濁るが、田畑の畑は「はた」と濁らない。前者は畑がメインだから。つまり、茶の畑だから。田畑は田と畑で同等。「弾きがたり」と「弾きかたる」は、用言と用言が重なるから濁り、用言と体言だと濁らない。 そばの数詞 ざる蕎麦は、更科系が「枚」で、天竜系が「杯」。 「は」と「が」の使い分け 格助詞の「は」について、以前は区別の「は」と言われていたが、大野晋が研究を重ねて結論を出した。 例えば、「おじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山に柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に」 これは区別の「は」ではなくて、既知の旧情報は「は」、未知の新情報を受ける場合は「が」を使っているに過ぎない。未知の情報、おじいさんとおばあさんのことは「が」であり、すでにそれが出てきた既知の旧情報だから柴刈りや洗濯は「は」となる。 日本語の成立 ①原縄文語 ↓ ②前期九州縄文語→琉球縄文語→琉球諸方言 →表日本縄文語→山陽・東海方言 →裏日本縄文語→東北方言 ↓ 後期九州縄文語 ↓ ↓ ↓ ③原弥生語=後期九州縄文語+裏日本縄文語+渡来語 ↓ 弥生語 ↓ 関西方言 ↓(+漢語やラテン語、ポルトガル語など) 官制日本語 ↓ 現・日本語 ↓(+英語) ?語 *つまり、昔は東北弁が標準語だった、その一部が今も出雲地方に残る 後、大野晋「タミール語源説」通りに渡来語が入り、弥生系、関西方言になり、それが広まった 日本語をあてた際の罪 例えば、「ライト」を日本語に訳した時、仏教でいう力ずくで得る利益の意味の「権利」をあててしまったのが過ちだった。西洋では当然の「ライト」が日本ではやましいニュアンスもある「権利」となった。権利を主張するなら義務を果たせ、という風潮が出来てしまった。 標準語とは 東京の山の手言葉だけとは限らない。 例えば、おまわりさんの官制標準語は常陸(ひたち)弁。「○○であります」は山口の言葉。 日本はよい国か? ボストン大学の社会学者メリー・ホワイトの言葉。 「アメリカはよい国か。イエス。ただし、奴隷制や、先住民族抑圧や、日系人の強制収容や、無差別爆撃や、原子爆弾の投下や、ベトナム戦争がなければの話だが。日本はよい国か。イエス。素晴らしい国である。ただし、台湾・朝鮮の植民地化、満州国のでっち上げ、それからオキナワとアイヌに対する差別、被差別部落、それから在日韓国・朝鮮人に対する抑圧、それから従軍慰安婦問題、そして南京虐殺を除けばだが」 山梨県の奈良田という村、名古屋弁 戸数が50戸ぐらい。「つ」という音が巻き舌になって「トゥ」になる。月見はトゥキミ、狐はキトゥネ。名古屋弁は「え」が「ええー」、「お」が「おおー」になる。だから、「エエービフリャー」となる。
0投稿日: 2021.03.29
powered by ブクログ山形県出身の小説家で、NHKテレビの人形劇『ひょっこりひょうたん島』(1964)を始め劇作家としても長く活躍した井上ひさし氏が、母校の上智大学で行った日本語に関する講演をまとめた一冊。古来から日本固有の「大和言葉」、中国から伝わった「漢語」、カタカナで表記される「外来語」の3つを無意識的に織り交ぜる日本語を「日本精神そのもの」と絶賛し、言葉のグローバリゼーション(世界化) が日本に与える悪影響を懸念する。西洋の文化を積極的に取り入れた明治の時代に、スピーチを「演説」、フリーダムを「自由」、エコノミーを「経済」と訳して日本に定着させた福澤諭吉のセンス(←感覚 ?)に感服する一方で、その素晴らしい日本語の劣化が近年著しいと嘆いている。日本の化粧品メーカーのFANCLが「ファンケル」と読ませる現状を「横暴」と言い切って日本語の危機を覚える感性は、次項で紹介する言語学者の井上史雄や鈴木孝夫に通じるものがある。
0投稿日: 2020.12.12
powered by ブクログさまざまな視点から日本語について学べる一冊。 近年、グローバル教育が盛んに行われているが、日本語の学習を疎かにしてはいけない。母語を土台に第二言語を習得していくので、結局、母語以内でしか別の言葉を習得できない。 また、日本語(言語)について考える場合、日本語だけで考えても正確には分からない。他のものとの比較検討によって理解することができる。 このことから、やはり、外国語の習得には日本語力が必要だと感じた。 その他にも、日本語に同音異義語が多い理由や、連濁、「は」と「が」の違いなど、当たり前に身につけている法則についても解説してある。
0投稿日: 2020.04.14
powered by ブクログ2019.8.29済。 非常に読みやすい文体。 こういう文体好きだなあ。 「美しい日本語はひらがなと漢字のバランス」 「劇のセリフは、観客に即分かる単語で」
0投稿日: 2019.08.29
powered by ブクログ我々日本人が無意識にやっている、日本語のささいな使い分け、日本語の成り立ち、構造など、筆者の深い教養と分かりやすい説明で興味深く読め、勉強になった。また、外来語を漢訳した際に生じた齟齬というべきもの。権利や自由の話。日本人の考え方に、漢字の選択が影響したというのは面白かった。 読み通してみて、日本語とは、良い意味で、あいまいなものであり、つかみどころがなく、その一方で実に面白いものなのだなと感じました。
0投稿日: 2016.11.14
powered by ブクログ著者が亡くなられて、テレビだったか新聞だったかで知ったことばがある。「むずかしいことをやさしく/やさしいことをふかく/ふかいことをゆかいに/ゆかいなことをまじめに」うまいこと言っているなあと思った。そのまま、自分の授業方針に使わせてもらった。その後、NHKで「國語元年」というドラマを見た。抜群に面白かった。明治に入って、ことばの問題は大きかったのだろうとつくづく思った。そして本書。井上ひさし氏の日本語に対する気持ちが伝わってくる。意味が分からないまま読んでしまったところもあり、もう少し勉強しなければいけない。たとえば英語の母音が31で、米語の母音が32など。日本語は音節の数が少ないため、同音異義語が多く、だから駄洒落が作りやすいというのは納得。それから「山田長政」たしかにaが7個続く。そういえばそんな英単語はないなあ。
0投稿日: 2016.02.25
powered by ブクログ昨日テレビで厚切りジェイソンと金田一秀穂が対談する番組をやっていました。なんとなく日本語モードになってたまたま家族の持っていた本書を一気読み。数の数え方の話も出てきて井上ひさしって日本人の厚切りジェイソンじゃん!日本語に含まれている「なんとなく」に突っ込み入れてお笑いにしているのと、「なんとなく」を突っ込んで考えて日本語の文学にしているのが違いだけど。Why Japanese people?そう、Whyって言わずに無意識に日本語を駆使し、日本語を変えていくのが日本人!
0投稿日: 2016.01.31
powered by ブクログ井上ひさしさんが、上智大学で行われた公演をまとめたもの。できる限り話し言葉を再現しています。 言語学的な内容が含まれていますが、とても易しく、おもしろい。実際に話しているのを聞いているような、そんな読書体験でした。 楽しい日本語本。
0投稿日: 2015.06.16
powered by ブクログ【コメント】 サラッと読める。 *** 学校の講演で政治的な刷り込み アメリカの悪行の話題や、中韓の歴史認識 を代弁するようなコトを学校の日本語論の 講演でするのは如何なものなんでしょう? 日本語論を聴きにきている学生に何の関係 があるというのか? *** 日本語の乱れ 日本語の乱れを話題にあげていたが、特に カタカナ言葉、別に最近になって始まった ものではなくて、自分の子供の頃から変だ ったし、井上氏が子供の頃もそうだった だろうと思う。これらは新聞や出版、広告 などのマスメディアなど識者が主に広めた もので、どちらかというと一般人が広めた わけではないと思う。 それに最近の外来語の流入が激しいのは、 技術用語で日本にないものを、ニュアンス を壊さない様にするためにそのまま使って いるためだと思う。業界用語もあるし 井上氏が知らないからといって全てを目の 敵にするのは如何なものか。。。 *** 意外とチャッカリ 「この講演はボランティアです」といいながら 講演料は確りとっている。ただ井上氏は見返り がないということ(講演料は主に中国人学生の 留学費として寄付するようだ)で別に彼が主催 するこまつ座のポスターを貼らせてもらうこと にしたのだそうな。二兎追ってますな。 別に誰も損しないけど「ときそば」のような アレ?という気分。。。 【内容】 本書は著者が母校である上智大学で行った 「日本語講座」の連続公演を本に纏めたもの。 帯には「伝説の名講義を完全再現!」とある…
0投稿日: 2015.01.26
powered by ブクログ日本語のルーツや使われかたについて。 言葉は未完成で、ほかの国の影響もうけている。 日本語を知るために他の言語をまなぶという考え方になるほどとなった。 C0281
0投稿日: 2015.01.02
powered by ブクログとても興味深かった。助詞の「は」と「が」の使い方にはなるほどと納得させられた。普段あまり意識しないで使っているぶん、どちらが適切なのか迷ったとき、かなり役立つと思う。 ほかにも日本語の成り立ちや、外来語との向き合い方、やまとことばと漢語など、面白い話が盛りだくさん。 上智大学でのある講義を再現したものなので、文章も話し言葉のままで(笑)の表現も多用されていて、非常に読みやすく、スーッと頭に入ってくる。さすが戯曲を書かれる先生ですね。音声で聴いてすぐ理解できる言葉の使い方に長けている。最後のほうはつい調子に乗って講義風に自分で音読してしまいました。心地よい文章でした。 私は演劇が好きなので、芝居の台詞にはやまとことばが一番ぴしゃっとくる、観客がすぐ理解できる、というくだりに感激しました。本当におっしゃるとおり。何を言っているのか理解が遅れるとどんどんついていけなくなりますから。そういうところまで計算しつくして台詞を作られているのだなあと。そんなところでも発見がありました。
0投稿日: 2014.11.02
powered by ブクログ日本語のルーツに関する考察が興味深いです。 ある言語が別の言語とミックスされる過程を、農耕技術や政治システムの伝播との関係で説明している。
0投稿日: 2014.08.13
powered by ブクログ日本語について、その起源から現在変わりゆくものまで。本当に幅広く、そしてユーモアを交えながら語っている一冊です。 日本語のプロが改めてとらえなおす日本語。 本当に勉強になる一冊です。
0投稿日: 2014.08.12
powered by ブクログ「日本語」というものに常に向き合ってきた人の言葉がここにはあります。 講義録だからほんとに井上ひさしさんの話を聞いているみたいです。 専門知識ももちろんあります。第4講に出てくる、助詞の「は」と「が」の違いなんかの話はすごく面白かった。 だけど、この本の魅力はそれとは別のところにあるのかなって思います。 それは、この講義の中に井上ひさしさんの「日本語」や「日本人」や「人間」に対する思いがあふれていることだと思います。 こんな人がいてくれる。 危機感を持って話をしてくれる。 そしてそれは、やさしくてあったかい。 名講義だなって思います。 直接聞きたかったな。
3投稿日: 2014.04.26
powered by ブクログ言葉は、その人の道具ではなく、精神であるというのはよく言われている つまり、日本語は日本人の精神の根幹であり、失ってはならない 今、日本がどこかおかしい方向に進んでいるのも、日本人の精神である日本語が軽視されているのではと、井上ひさしさんは述べていた 今の世界共通語は英語であり、英語が扱えないと世界で活躍出来ないという点から、小学校から英語の授業を導入しようと検討している そうすると、きちんとした日本語を習得していないうちに英語を学んでしまい、日本人としての精神をないがしろにしてしまうのではないかと。。 自分も少し前は、英語は早く習得した方が良いに決まっていると思っていたけど、そういう考え方もあるのだなぁと思った。 上述したことだけでなく、日本語に関わる歴史についても学べて、読んでいて飽きない本だった
0投稿日: 2013.07.15
powered by ブクログ「ひょっこりひょうたん島」の脚本を書いていたのが、 この本の著者である井上ひさしさんでした。 その他にも、小説や、芝居の戯曲を多数残し、2010年に亡くなっています。 僕は名前しか井上さんのことは知らなかったですが、 この本を読んでみると、彼の学識の深さと、 それを咀嚼して簡単な言葉で人に伝える力と、 その内容の面白さ(学問の面白さ)を大事する姿勢の素晴らしさに 圧倒されずにはいられませんでした。 序盤などは、茶髪にふれて、「ちょっと頭が固いおじさんだな」という 印象を持ちましたし、他にもそういうところがちらほら見受けられました。 でも、一冊まるまる読むと、そういったところはちょっとした 心のニキビのようなものだったりもして、 井上さんの根っこのところは、もう少し寛容でおおらかだよなぁと感じられる。 本書は、僕やあなたの母語である (そうじゃない方もいるかもしれませんが)日本語について、 その「今」「なりたち」「特徴」「ルール」などをかいつまみながらも、 井上さんの視点からとらえた彼なりの要点というものを軸に、 しっかりと説明してくれます。 といっても、180pくらいの新書ですから、網羅的かつ専門的に 論じている本ではないわけです。 本ではないというか、もともとが上智大学での4回の講義をテキスト化したものなので、 研究のさわりや彼の推論を楽しむような講座なのです。 おまけに、笑いに満ちていたりします。 本書の内容を感じてもらうための具体的なトピックを一つ紹介するならば、 ちょっと日本語から離れてしまいますが、ピジン語とクレオールの話がいいでしょうか。 ピジン語というのは、たとえば英語を知らない奴隷の人たちが、 主人の英語を聴いて仕事をするうちに、少しづつその内容がわかってきて、 自分のネイティブの言語をもとに、それを応用しながら英語を話すようになる。 そういった英語をピジン・イングリッシュといい、 フランス語などでもそういうのが見られるそうで、総称するとピジン語です。 それで、その奴隷の二世ともなると、そんな不完全なピジン語を話す父母に 育てられるのですが、そのピジン語を完璧に使い始めるそうです。 そうすると、クレオールという、安定した言葉ができあがるのだそうです。 1世が自分のネイティブと被支配の言語の混ざったものをぎこちなく使うのに比べて、 それを生まれたころから聴いて育つ2世ともなると、 そんな言語の要点をうまく把握して、滑らかで合理的でさえある言葉にしてしまう ということらしいです。 面白いと思いませんか。 言葉というものはこうやって柔軟に改造され創造されていく面があります。 日本でも、外来語が定着するのには、1世ではまだ不完全で、 2世になってから安定すると言われると、なんとなく納得できる節はないでしょうか。 さらに、僕は個人的に考えたのですが、これって音楽にも言えます。 たとえば、テクノという音楽が出てきて、それを作った人たちと同世代の人たちよりも、 一回り下の、それらを子どもの頃に聴いて育った世代のほうが、違和感なく テクノの音楽を理解し、作れたりする。言葉でいえば、クレオールってものが そこにあるんじゃないでしょうか。僕なんかがわかりやすくクレオールを感じるのは、 Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅさんをプロデュースする中田ヤスタカさんですね。 彼の音楽には、テクノやポップスが定着した後の、普段着的な音使い、音の構築を感じます。 閑話休題。 この本には、そういった脱線的な話題もふんだんに盛り込まれ、 そこが面白かったりし、なおかつ読者もそんな脱線に触発されて、 自由な脱線思索を読書中に味わうこともあろうかと思います。 井上さんの軽妙さがベースにありますので、読みやすい本です。 内容については、日本語についてもっと勉強したい人にとっては、 プロローグになるでしょう。
1投稿日: 2013.07.12
powered by ブクログ私たちは母語(生まれたとき一番身近にいた人から自然に学んだ言葉)で思考する、日本人には元来良いものは他にあるという考え(髪を染める理由)、カタカナ語を乱発することによる思考停止、権力は言語に現れる、など、なんだか昔学んだことを思い出すことができる一冊だった。また勉強したいな。 2013/06/10読了。
0投稿日: 2013.06.10
powered by ブクログ我が母校の大先輩である井上さんの本。日本語の起源、特徴、難しさ、いい加減さを、ユーモアを交えて論じている。大学での講義を収録したものらしいが、こんな授業だったら眠くならないかもと思う。 初めの講義では、外来語なんてケシカラン!といった論調だったが、後半は、ピジン・イングリッシュの例などをあげて、積極的肯定こそしないものの、認める論調に変化している。その井上さんの柔軟性こそが、まさしく日本語の柔軟性をあらわしているのかなと感じた。 東北弁が日本語の起源だ、という説は、 東北出身の著者 ならではの視点なのかなと思うが、それから派生する、美しい日本語など存在せず、あるのは個々人が持つ日本語だ、という説は非常におもしろい。結局、言語の本質は、伝える心にあるということ。英語学習にしてもそうだが、完璧を求めるあまり、その本質を見失うことが多い。 また、日本語の音に注目した理論も興味深かった。今までにそういう感覚を持ったことがなかったので、今後気をつけてみたい。
0投稿日: 2013.01.27
powered by ブクログ先人たちが生み出した日本語の素晴らしさ。 そして、いい加減さ(笑) とても暖かいエピソードがたくさん詰まってます。 http://www.tv-aichi.co.jp/bp/wadatti/?p=9176
0投稿日: 2012.12.20
powered by ブクログおもしろかった。 1日でさらっと読めた。講義をまとめたものらしく、確かに脱線するところもあったがそれ込みでおもしろかった。魅力的な講義らしく。 井上さんのほかの著書を読もうと思う。 メモせずに読んでしまった。怠慢。 さっと読めるから再読しよ
0投稿日: 2012.12.01
powered by ブクログ日本語の事を考え続けた著者が、母校、上智大学で行った「日本語教室」の講義を再現したもの。 印象的なのは「母語」の話。 「母国語」ではなく「母語」 「母国語」は自分が生まれた国で使われている言葉だが、「母語」は母親や愛情をもって世話してくれる人々から聞いた言葉のこと。 日本で生まれたとしても「母語」は日本語ではなく、関西弁、東北弁という事になる。 そして、「母語」は「道具」ではなく「精神」そのもの。 この「母語」をベースに第二言語、第三言語を習得していく事になる。そして、その「母語」以内でしか別の言語は覚えられない。 つまり、外国語を覚えるためには「母語」がきっちり話せなくてはならない。 このあたり、子供への英語の早期教育を主張している人達に聞かせてあげたい。 ところで、本書のように「日本語」をテーマにした場合、「日本語の乱れがひどい」と嘆いたり、警鐘を鳴らす、という事になりがちだが、著者は「美しい日本語」などありえないとバッサリ。 方言が入っていようがどうしようが、ものを正確に表現する、自分の気持ちを正確に相手に伝えられる、相手の言うことがちゃんと分かる、そういう言葉を使っていく事の方が大切だ、と著者は言う。 読んだ本の感想を書くようになった理由が 「仕事に関するメールの文章があまりにもわかりにくかったために、翻って、自分の書いている文章が分かりやすいか心配になり、普段から、ある程度まとまった文章を書く練習をしておこう」 と考えたため。 それだけに、こういう事を言われると、この文章自体が自分の考えを正確に、分かりやすく表現できているか心配になる。 また「日本語礼賛」に陥っていない点もいい。 それどころか、完璧な国などない。どこかで必ず間違いをやらかす。その間違いに自分で気付いて、自分の力で必死に苦しみながら乗り越えていく国民には未来があるが、過ちを隠し続ける国民には未来はない、と言っている。 このように書くと、本書に対して、堅苦しい印象を受けるかもしれないが、講義の時の語りかける口調のままのため、読みやすい。 むしろ、ところどころに著者のユーモアも顔を出す。 著者の「座右の銘」は「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく」だったらしい。 本書も正にこのことを実践しているかのような内容だった。 ところで、先の「美しい日本語などありえない」という話も含めて、どこかの国の、選挙を経なければなれない職種の人々に聞かせてあげたい。 ある面、作家以上に言葉を駆使しなければいけない人達の言語能力、大丈夫だろうか。
0投稿日: 2012.11.04
powered by ブクログ上智での"日本語を取り上げた講演"を文章にしたもの。 講演だから、ほどよく逸れつつ「日本語とは」を簡潔に。 ただ、まとまっているとはいえこれだけで「日本語とは」は語れない。 日本語研究・興味のきっかけになるといい、くらいか。
0投稿日: 2012.10.04
powered by ブクログ僕らは、いつもいろんな言葉を紡ぎながら、どうにか考えること、思っていることをただ面と向かった相手に伝えようと試行錯誤する。 しかし大抵の場合、「言葉はいつも心に足りない」 ましてや使っている言葉がここまで曖昧さを許容して、間違って使っていてもその意で使う人がおおければそれすら許容してしまう大らかな言葉だったならなおさらだ。 大切にすればするほど、言葉はすぐに先に行ってしまう。 80歳のおじいちゃんの使う言葉と我々の使う言葉、10代の子たちが使う言葉で思いが伝わらなくなってしまうような世の中にはなってほしくないなと思い、意識しながらこれからも紡いでいこうと考えさせられた。
0投稿日: 2012.09.26
powered by ブクログ『むずかしいことをやさしく、やさしいことふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書くこと』と言っていた井上ひさしさんの講演をまとめたもの。 言葉のルーツから、言葉の在り方から、ユーモアたっぷりに語られ、ぐいぐい引き寄せられる。言葉の背景にある、世界情勢もしっかりと説明されたうえでの、言葉、そして、その言葉を使う心の在り方についても、ていねいにやさしく、ゆかいに、まじめに語られている。 この人の話をもっともっと聴いてみたいと思わせられた。
0投稿日: 2012.09.26
powered by ブクログ仕事で、意味のとおる文章を作ることを求められるようになり、その流れでたどり着いたのが、この本。 井上先生が指摘する内容で、ドキリとしたのが、ふたつ。 ひとつは、もともと日本語としてある言葉をわざわざ、別の言葉(外来語)に置き換えていること。 もうひとつが、小難しい漢字を多用していること。 自分がふだんやってしまっていることを指摘されているようで… そのほか、母音が、数の数え方や駄洒落に関する謎を解き明かす鍵になっている!! など、ふだん当たり前のように使っている「日本語」という言語を、改めて見直したくなる本でした。 日本語、大切に使っていこうと思いました、改めて。
0投稿日: 2012.07.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
井上ひさしさんが大学で講義した内容をまとめた作品。 非常に面白いです。 正直読んでいて、自分自身がしっかり日本語使えているのか 心配になります。 井上ひさしさん独自解釈の日本語の起源や 現在の日本語のついての説明は、 ユーモアもあり、非常に分析されていると思いました。 (作品中では何となくそう思ったといった感じですが) 小学~高校で学んだ国語の文法とか正直 よくよく思えば、あまり厳密に思い出せない。。。 なんだか学校の参考書を読み直したくなる本でした。
0投稿日: 2012.06.13
powered by ブクログ氏の講演を聴いたのは数回しかないが、あんな感じでこんな風に語っていたのだろうなあ、ということを偲ばせるものであった。 彼の考えることばの起源、「原縄文語→前期九州縄文語→琉球縄文語→琉球諸方言」などについて、もっといろいろ聴きたかったな。
0投稿日: 2012.05.10
powered by ブクログ「い」と「え」は母音のうちこの順に遠くへ伝わる音。「う」は精神的軋轢をあらわし、こもる。「あ」「お」は安定感があり、大きい。 やまとことばは脳での理解が早い。対して漢語は0.01秒ほど脳での理解に時間がかかり、リアルタイムで進んでいく表現では理解が穴あきの状態になる。 以上2点の収穫。
0投稿日: 2012.04.02
powered by ブクログ非常にためになった。このような素晴らしい(自らの糧になる)本を読むたびに、本と云うものを有り難く思う。高高1,500円程(物量によるが)で買えるのだから。
0投稿日: 2012.03.06
powered by ブクログ東京海洋大学図書館の請求記号・貸出状況はコチラ: http://lib.s.kaiyodai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=TB10048481&key=B132857797104018&start=1&srmode=0
0投稿日: 2012.02.07
powered by ブクログ井上ひさしの人柄がよくでてる一冊。暖かな気持ちで読めるし、日本語の面白さを再認識する。井上ひさしは本当は学者なんじゃないかと錯覚するほど鋭い考察と、暖かい語り口が必見。
1投稿日: 2011.12.31
powered by ブクログ井上ひさし氏が日本語について行った講演を本にまとめた一冊。 日本語の、多言語との比較、音節、母音・子音、方言等学術的な分析もさることながら、言葉に対する真摯な態度とやさしさがにじみ出ていて読んでいてとても好感を抱いた。 昨今の風潮である、やたら横文字を使う日本人に苦言を呈しつつも、決して否定だけに終わらない柔軟な姿勢こそ最も必要ではないのか。 「わかっているつもりでも本当のところはわかっていない言葉を使って考えるのは非常に危険だから乱発しない」 言われてみれば当然と思われるが、現実はむやみやたらに横文字が横行しているという事実を忘れていはいけない。
1投稿日: 2011.12.31
powered by ブクログ上智大学の卒業生が企画・主催された講演です。この講演の収益は苦労している外国からの留学生の奨学資金に充てられたそうです。 そうした善意からスタートした日本語教室。読んでいて、井上さんの丁寧な言葉の使い方や、話題の面白さ、深さがとても興味深く、良い作品に出会えたと感激しています。 毎回の講義内容を文章化。井上さんが笑ったところには「(笑)」と入り、学生が拍手をすれば「(拍手)」と説明される。(笑) 読んでいて面白いです。 日本語の音の特徴、外国語との比較、文節や名詞などなど、日本人である私たちも学校で勉強すると「?」が浮かぶテーマを軽快に説明しており、「日本語って、面白いんだな!」と気づかされました。 英語やフランス語など、国際社会で重要視されている言語の勉強と合わせて、「母国語」の大切さも学べると、きっと深い学びにつながっていくと思います。 日本以外の国に強い興味をお持ちの方へ。 外国を理解するヒントはこの本にあるかもしれません。自分にとっての大先輩からの手紙と思って、是非ご一読を♪
0投稿日: 2011.12.13
powered by ブクログ最初の40頁読んだときはガード下飲み屋のおっさんの愚痴かw と思ってしまったけれど後半の文法概論はなかなか良い。 連濁の解説なんかすごく面白かった。 この人の戯曲まだ読んだことないからチャレンジしてみたいね~。
0投稿日: 2011.12.10
powered by ブクログ関西弁、特に京都弁にアクセントがあることと、それが中国からの影響じゃないかってくだりはおもしろかった。「はし」のアクセントはまさに中国語の四声みたいなところあるし。 全体的にはあくまで口頭のものをまとめているので、少し雑然とした印象。
0投稿日: 2011.12.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
井上ひさしの日本語についての講義内容をまとめた本。外国語の関わりについての話も興味深かったのですが、音に対しての考察がとても深い人だなあと思いました。戯曲家としてのこだわりと技が垣間見えた感じ。この内容では一部に触った程度ですが、実際に口に出してみると納得する部分が多々あり、面白かったです。
0投稿日: 2011.11.14
powered by ブクログ2010年4月に亡くなった、井上ひさし。 高名な作家さんということは認識していましたが、これまでこの方の著作を読んだことがありませんでした。 日本語に関する著作が、新書で出たということを知ったので、日本語をひとつのライフワークにしている!?僕には良い機会と思い、読んでみることにしました。 上智大学で行われた4回の講演を、書籍としてまとめた形になっています。 日本語はいまどうなっているのか?から始まり、日本語の起源、日本語の音について、そして日本語の文法・表現といった話に展開していきます。 講演ということで、平易な言葉で書かれています。 著者の幅広い知識がうかがえる雑談も交えられていて、興味深くすいすいと、読み進めることができました。 特に僕は、繰り返し説明されている、「言葉というのは多数決で変わっていく」という内容に、これまで漠然と感じていたことを整理してもらえたと感じました。 その他、母音と子音の話など、これまで僕が意識していなかった日本語の特徴にも目を向けさせてくれて、このページ数の新書にしてはお得な?一冊でした。 言葉というものを真剣に考えて、文章を書いてきた人なのだなと、感じました。 日本語については今後も定期的に、関連書籍を読んでいきたいと思います。
0投稿日: 2011.11.12
powered by ブクログ日本語の勉強。 日本語に外来語が入ってきて混じりあう言葉のチャンポン化、美しい日本語なんてものはない、というのには納得させられる。 日常的に何気なく使っている言葉だけど、考えると難しい、、、けど、オモシロクもある。
0投稿日: 2011.10.27
powered by ブクログ大学での講義をまとめた一冊。 日本語の過去と現在について、軽妙に語られる。 脱線が多いもの、読み物としてはおもしろい。 --------------------- ・母語を土台に、第二言語、第三言語を習得していくのです。 ・日本人は、自分の国が一番いいとは思っていないのですね。絶えず、いいところは他にあると思っている。 ・日本語のアクセントは強・弱じゃなくて高・低だというのは、みなさんご存じのとおりです。
0投稿日: 2011.10.18
powered by ブクログそう言えば、日本の街を歩いているとやたらカタカナが多い マンションやアパートの名前だってほとんどカタカナ 看板だってアルファベットやカタカナばかり これほどまでに母国語を使わない国も珍しいのでは そんな疑問にもリンクするこの一冊 日本語のなりたち、外来語から変化した日本語など 言葉を通して見えてくる歴史や文化の姿がある 「自由」「権利」こうした本来は前向きでポジティブな言葉が なぜ日本人には「わがまま」「やかましい」という ネガティブな印象を持つようになったのか なぜ国連の公用語に戦勝国では無いスペインが入ってるか こうした隠された歴史の経緯が興味深い
0投稿日: 2011.10.18
powered by ブクログ『言葉には、実体がない。』 「美しい日本語」をテーマにした井上ひさし氏の母校講演集。やはりこの人はすごい。ただただ徒に近年の言語環境の劣化を嘆く老害とはわけが違う。知識に裏付けされた感性とは、どうしてかくも美しいのだろう。
0投稿日: 2011.10.02
powered by ブクログこんなにも深く語感を考えてたらそりゃあ遅いよなあと思う。そのかわりすばらしく楽しい舞台に出会えたわけだ。 母音を重ねる日本語の響き、意識してみよう。結構仕事でもネーミングに悩むし。
1投稿日: 2011.09.26
powered by ブクログ言語は社会の影響を受け変化する。アメリカの思惑が日本の国と言語にどう影響を及ぼしたのか、明快な語り口で解説。
0投稿日: 2011.09.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
劇作家であり小説家、放送作家でもある井上ひさしさんが母校である上智大学で行なった4回の日本語の講義をまとめたもの。 言葉はいろいろな影響を受けて現在のかたちになったものです。昔よりも人の行き来がある現在では変化の速度早いかもしれません。 また、劇作家という職業柄か、言葉の響きなど、普段話しているに気にしていなかったことに気付けて、大変興味深かったです。 日本語の文法を理解するために、別の言語を勉強するといのも驚きましたが、自分自身、他の言語を勉強をすればするほど日本語に目が向いていきます。言葉はコミュニケーションルーツかもしれないけれど、その言葉にはその言葉を話してきた人たちの文化が詰まっているもの。もっと日本語を大切に使って行きたいと思いました。
0投稿日: 2011.09.03
powered by ブクログ2010年になくなった井上ひさし氏の講演をまとめたもの。 日本語をめぐって、歴史や政治の話、農業の話など、言葉とは無関係と思われる分野にも話が広がる。
0投稿日: 2011.08.26
powered by ブクログおもしろかった。 言葉って奥深いなー。 だから英語とかも好きなんかもしれん。 もっと音に注目して言葉を操ってみたい。
0投稿日: 2011.08.24
powered by ブクログ日本語を学ぶための本ではなく、井上氏の、日本語に関するエッセイ。何故日本語を学ぶのが大切かを書いている。 英語教育を幼児期から進めようとする風潮があるが、まずは母語を固める大切さを書いている。非常に共感できる内容であった。 ただ本としては簡単に読めて物足りなさを感じた。
0投稿日: 2011.08.20
powered by ブクログ母語という響きの美しさ。難しいこと易しく、易しいことを深く、深いことを面白く。やはり井上ひさしは素晴らしい、と思いました。母語と母国に誇りを持っていけそうです。もちろん、誇りをもつための反省も噛みしめつつ。 もっともっと読みたい。もう新作がないのが本当に残念です。
0投稿日: 2011.08.18
powered by ブクログ今年亡くなった井上ひさしさんがかつて大学で行った講義録をまとめた1冊。変わりゆく”日本語”を独特の視点でとらえ、若者に日本語の価値を再確認して欲しいという思いが込められている。
0投稿日: 2011.08.11
powered by ブクログ井上ひさしが上智大学で行った日本語教室を収録した一冊。玄人はだしの圧倒的な知識量と軽妙な語り口には圧倒されるが、反面人を上っ面だけで小馬鹿にするような発言も多く、しかも人を小馬鹿に出来るほど、本人の発言に筋が通っていない。思想的には一本筋の通った人だと思うし、きっと日本語感覚が鋭いという評判も本当なのだと思うが、遅筆で知れた著者にとって推敲もへったくれもない講義集(口述)では、これくらいが限界なのだろう。身も蓋も無い話だが、こんな本を読むくらいなら、過去の文豪の著作を読んだほうが、よっぽどよろしい。
0投稿日: 2011.08.11
powered by ブクログ小学校教育で子供たちに、しっかりとした日本語と日本の歴史を 学ばしてあげたい。 そこから初めて日本人としての誇りと、自分の考えを筋道立てて、 表現できるグローバルな人間が生まれるのだろう。 表面だけの薄っぺらい人間だと、世界を相手に対等に 渡り合うことは不可能であろう。
0投稿日: 2011.07.31
powered by ブクログ井上ひさし氏の母校・上智大学で行われた連続講義。アクセントとリズム、母音の長短の対立といった視点が面白い。普段使っているのに、意外と気がつかない母国語のルール…
0投稿日: 2011.07.27
powered by ブクログ茶畑は「ちゃばたけ」と「畑」が濁音になって 田畑は「たはた」と「畑」が清音になる。 濁音になるか清音になるかは2つの言葉に主従関係があるか、または2つの言葉が同等かで決まって来るらしい。勉強になった。 日本語って深いなぁ〜。外来語や和製英語が氾濫しているこのごろだけど、日本語ももっと大切にしたいと思いました。
0投稿日: 2011.07.26
powered by ブクログどんなにグローバル化が進み、外国語の習得が必要な時代にあっても、日本語を大切にしなくてはいけないと考える。井上さんは、この著書の冒頭で、「母語より大きい外国語は覚えられないということです。つまり、英語をちゃんと書いたり話したりするためには、英語より大きい母語が必要なのです。だから外国語が上手になるためには、日本語をしっかり(中略)大事なところを自然にきちっと身につけなければなりません。」と言われています。今こそ、日本語を見つめなおし、本質を学び直す必要性を痛感します。
0投稿日: 2011.07.24
powered by ブクログ日本語についての講演を纏めた新書。日本語の成り立ちや語法、外国語との比較など。発見が多く、軽い語り口ですいすい読める。演劇出身ということもあり、話すための日本語に大切なものなど、生きた日本語を使っている。
0投稿日: 2011.07.18
powered by ブクログこういうのは好きです。井上ひさしさんはいい本を残してくれました。ベトナム語をかじったり旅で英語を使ったりすると、日本語ってなんで今みたいな形になったんだろうって考えることがあります。「デフレの正体」とおんなじぐらいおすすめです。みんなで日本語を守ろう!
1投稿日: 2011.07.13
powered by ブクログ朝から始めてスラスラ読めた。日本語の標準は東北弁だった?日本語の成り立ち、常に乱れる日本語、美しい日本語などないと言うことなど。ここでも外来語のカタカナ語の危険性も触れられているのでちょっと掘り下げてみる。 セーフガード、クラフツマンシップ、プロジェクト等々外来語ならなんでもカタカナ語に出来てしまう。そうやってカタカナ語にしてしまうことでその言葉の理解を放棄していないか?と思うのね。 明治なって外来語を取り入れるとき、必死こいて日本語に咀嚼しようとしていくつも言葉が生まれた 例えば「社会」「個人」もこのとき生まれた言葉。それ以前はそれら概念が無かったから未だに社会と個人の関係が欧米と日本で違う(このことは「世間とは何か」より)。それでも外国語を理解しようとしていた。 さて、現代のカタカナ語は先人達の努力に比べてなんとまぁ、軽い言葉だなと思う。 カタカナ語にする事で分かった気になっている。それがグローバリズムだから(あっ!カタカナ語使った!!)、そのほうが頭良く聞こえるから 言語は絶えず変化しているという。日本人が言葉を考えるのを放棄したのか?それともこれが変化する日本語の最前線なのか? 以上
0投稿日: 2011.07.10
powered by ブクログ「日本語」について これほど 難しいことを 易しく 易しいことを 深く 深いことを おもしろく 語れる お人が 居なくなってしまったことを つくづく 寂しく 感じてしまいます
0投稿日: 2011.07.07
powered by ブクログ日本語を語るに当たって、舞台の脚本を手掛けた著者ならではの 視点が見られ、おもしろい。日本語学校に関する仰天エピソードも こっそり語られている。
0投稿日: 2011.07.07
powered by ブクログ井上ひさしの言葉はすっと入ってくる。 難しい話をしているはずなのに、簡単に理解できる。 言葉の使い方にとことん注意を払っているからだ。 日本語とは何か、日本の文法とは何かが驚くほどユーモラスにわかる。何年も前に読んでおくべきだった!
0投稿日: 2011.06.16
powered by ブクログ日本および日本語を見直す、いい機会を与えてくれた本である。 ベストセラーになっているのも然りである。 分かりやすく解説してくれる。 成程とうなづかせられる。
0投稿日: 2011.06.13
powered by ブクログさすが!!とても面白かった!!! 2001年から上智大学で行われた講義の内容を記録した本です。井上ひさしさん、お目にかかることはできなかったけれど、こういう講義なら、一度受けてみたかった。。。 「日本語教室」という題ではあるけれど、ここに詰まっているのは、「日本語」というひとつの言語を通じて見る世界像であったり、文化人類学のような考察であったりします。 また、言語学の視点からの母音の話やアクセントの話、聞き取りやすい語、発音しづらい音についての話などは、そのまま日常生活にも生かせる知識ばかり。下手なハウツー本の何百倍もためになります。 帯に「やさしい。ふかい。おもしろい。」とキャッチコピーがありますが、まさにその通り。 思わず、他の同系色の著作もまとめ買いをしてしまいました。
0投稿日: 2011.06.07
powered by ブクログ電子書籍版の大野晋さんの「日本語練習帳」と同時に読んでいました。 外国語を覚える前に日本語(母語)の表現力を増すなど『そうだよね』と思う部分の多く内容も楽しく電車内でニヤニヤしている自分がいました。
0投稿日: 2011.06.03
powered by ブクログ第一講は、思いつくままに語っているように見せて、実は雑談から、世界の言語についての考察へと内容が深まっていく。さすが 「日本語の達人」井上ひさし。 第二講は、ことばがいかに現実世界を規定していくかを基調として、本当に美しい日本語や、世界平和について考えていく。 前回の講演(第一講)と主張がいきなり変わっているのもいい。そのことを悪びれる様子もなくさらっと表明している。広範な知識と考え続ける姿勢ゆえの変化だと思う。偏狭なものの見方で、ガチガチの真理に執着する人間には見習ってもらいたい。 第三講は、日本語の特徴を丁寧に説明しながら、それを踏まえて自分の作品ではどのような工夫をしているかなどと内容が広がってゆく。非常に緻密。 日本語は開音節の言語であること、同じ母音の連続が多いことなどがわかりやすく綴られている。 そういえば、昔アメリカ人の友人に「空手ということばはアメリカでは『クリテ』という発音に近くなっている。これはアメリカ人がaの母音の連続を避ける傾向にあるため、変化したのだと思う」と 言われたことを思い出した。やはりアメリカと日本は根本のところが違う。そこのところを認識した上でアメリカとつきあわないとマズイよなあ。 音節やアクセントについての記述では、短歌や俳句は日本語でしか作れないし、逆に日本語ではソネットはできないということを改めて感じさせられた。 第四講。日本語で日本語自身を考えることの難しさ、自分で自分のことを考えることの難しさを実感いたしました。
0投稿日: 2011.05.29
powered by ブクログ井上ひさしが、謙虚かつ冷静ながらも、きわめて自分勝手に日本語を論じている。 学者の理論をざっくり教えてくれるのがありがたい。「が」と「は」の使い分けの説明になるほど。既知の旧情報には「は」を、未知の新情報を受ける場合は「が」を使う。大野晋説。
0投稿日: 2011.05.19
powered by ブクログ氏による日本語のあり方を記した一冊。 日本語の乱れとは、主語や述語、れる・られるなどの崩壊ではなく、外来語に代表されるカタカナ言葉の多用であると論じているのが印象的。言葉とは移ろい行くものであるから、変化は当然であると筆者は述べている。その乱れを時代の流れだとして、その言葉を注意深く観測しどう変化してきたかという展開をわかりやすく解説している。
0投稿日: 2011.05.11
powered by ブクログ世界を見て、日本のことを評価してるところがすごい。 小学校での英語教育に賛成してる人に読んでほしい。
0投稿日: 2011.05.03
powered by ブクログとにかく読み易い。『漢字倒れ』も『カタカナ倒れ』もしていないことばを使うことの大切さを、身をもってしめしてくれる一冊。 ただ、内容的には、少し物足りない印象を受けた。4回の講義だから、仕方ないけど。
0投稿日: 2011.04.28
powered by ブクログ惜しい人を亡くしました。 小説、脚本だけなく、世の中森羅万象についてよく分かっていた人でした。彼のエッセイを読むと、思わず頷いてしまいます。 今の状況で彼がどう発言するか聞いてみたかった。
0投稿日: 2011.04.24
powered by ブクログ20110416 日本人としてこれからも守っていくべき物事は多い。忘れないように思い出させてくれる人がこの先もいるのだろうか。
0投稿日: 2011.04.16
powered by ブクログ井上ひさしの日本語についての講義@上智大学。 これといった主題もないんじゃないかと思わせるほどに雑談チックな講義録である。ただ、漢語とやまとことばの件などは着眼力に感心する。1~9と9~1の数え方あたり。 井上ひさしがひょうたん島の作者なのは知っていたが、死んでいたとは知らなかった。こんな風に好きなことについて語りたいだけ語って、かつ金がとれるようになりたいものだ。 新宿紀伊国屋で購入。同時に買った本に違うカバーをつけられた。別によいのだけど。
0投稿日: 2011.04.12
powered by ブクログ現在の日本語の良い所、改善すべき所等が井上ひさしさんらしい調子で書かれている。 日本語が美しい=日本語が優れているという安易な発想に警鐘を鳴らしてくれている気がします。大和言葉もあり、看護もあり、外来語もあり、が現在の日本語の姿として良いのではないでしょうか。それが優れているとか、劣っているとかの議論はただの驕りでしかない。
0投稿日: 2011.03.24
