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沈黙博物館
沈黙博物館
小川洋子/筑摩書房
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総合評価

71件)
4.0
18
26
15
3
0
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「今日は何日だ?三月三十日か。野ウサギの受死日じゃないか。いかん、私としたことがうっかりしておった。野ウサギの関節付きもも肉を食べねばならん日じゃった。日も暮れてきた。私はもう行く」p16 という序盤の台詞に、なんだその意味の分からない日は!?なんだこの婆さんは!?と笑った。 それはもう窃盗じゃないか、というやり方をしてでも収集してきた形見の数々。誰かが死ぬ事に登録番号をつけて増えていく。

    22
    投稿日: 2026.01.14
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    なんとなく、題名に引かれて手にとってみた本。 彼女の作品を読むのはこれが初めて。 博物館技師という、これまた私のほとんど知ることのなかった職種が描かれていたのも面白かった。 小さな村を舞台に、その村で亡くなった人の形見を「収集」したものを博物館にするというちょっとミステリアスなお話。異彩な個性を放つ登場人物たちも魅力的。博物館をつくるという話自体が私にとって新鮮な発見がたくさんあった。全てのものは放っておくと風化してしまいなくなってしまう。収集して保存する。それが博物館の基本的な仕事なんだとあらためて思う。物が溢れかえっている世の中で、じゃあ何を保存するか。この本では、その人が確かに生きた、という証として、その人の「生」を最も体現しているものを形見として残す、という面白い発想がある。 さぁ、私が生きた証として何が形見として適当だろうか。 ・・・、まだ何もないような。

    0
    投稿日: 2025.09.28
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    外界から完全に閉ざされた感のある村に居続けなければいけない運命は、技師が駅に入った瞬間に決定していて、実は沈黙図書館は私の技師しか過去から今まで携わった人がいないのではないのか。 読んでいて、カフカの城を思い出した。

    0
    投稿日: 2025.06.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    博物館技師は、田舎に新しい博物館を建てる依頼を受ける。依頼主の老婆は、犯罪ギリギリの方法で手に入れてきた、亡くなった村人たちの形見を展示する博物館を建てようとしていた。 いいな、私が求めたのは、その肉体が間違いなく存在しておったという証拠を、最も生々しく、最も忠実に記憶する品なのだ。それがなければ、せっかくの生きた歳月の積み重ねが根底から崩れてしまうような、死の完結を永遠に阻止してしまうような何かなのだ。(p49) 老婆の言っていることは、恐ろしくもあるように思う。彼女は、亡くなった人々の形見を保存することで、「死の完結を永遠に阻止」しようとしているのである。 なぜ、彼女はそんなことをするのだろうか? 「沈黙博物館」と名付けられたその博物館の展示物には、簡潔に持ち主の氏名と、死亡年月日、死因、そして、その持ち主と形見に纏わる物語がつけられる。 この物語において「沈黙」は、特別な意味を持つ。村にいる「沈黙の伝道師」と呼ばれる修行者たちがおり、彼らは「完全なる沈黙の中で死ぬのを理想」としており、村の一番北側にある修道院で共同生活を送っているという。 「じゃあ、言葉で教えを説いて回るわけじゃないんだね」 「もちろん。ただああして、じっとしているだけ。でもこちらから話し掛けるのはタブーじゃないのよ。むしろ、大事な秘密を伝道師に語ると、絶対にばれないっていう迷信を信じている人は大勢いるわ。ほら、見て、あの人」(p36) この村における「沈黙」は、あらゆる秘密が二度と他の人々に知られないようにする力がある。「沈黙博物館」は、「死者の記憶を封印する形見の数々(p63)」とともに老婆の語った物語を受け入れることで、この世界からその物語を絶対にばれないように「収集・保存・調査(p55)」することが大切なのだと老婆は語る。 少女が言うには、それまで形見は盗まれたのにもかかわらず、「盗難届けが出されたこともなければ、警察が調べに来たこともない(p159〜160)」。まるで、自分たちの形見の選択があまりに的確であるがゆえに、残された人々が、本人と一緒に天国へ行ってしまったのだと納得してしまうかのように。 「だとすると、僕たちの企みは成功していることになる」 「ええ、そう。でも本当は、天国になんて行かないのよね。その反対なの。永久にこの世界に留まるために、博物館へ保管されるんだもの」(p161) しかし、博物館技師が、老婆から引き継いだ形見収集は、殺害された女性の遺体から乳首が切り取られるという連続殺人事件と結び付けられて、警察に目をつけられてしまう。 彼は、殺人の真犯人によって切り取られた乳首こそ、本当の形見だったと代わりに盗んできた品に達成感を得られない。そういう意味で、彼の収集は失敗に終わり、未熟だった。 それが解決するのは、犯人が共に博物館を作ってきた庭師だったことがわかったことによる。博物館が完成の直前、運び入れた展示品のいくつかが、試験管に入れられた乳首に入れ替えられていたのである。 その真実に恐れを抱き、一度は村を出ようと駅へ向かう技師だったが、少女によって連れ戻されることになる。そして、彼は、庭師が殺人の真犯人だった真実を永遠の秘密にするために、警察ではなく、沈黙の伝道師に語るのである。 こうして、彼は、老婆の仕事を引き継ぎ、今度は自分の収集した形見の物語を語りだすことになる。 何でもなかった人たちの、何でもなかったはずのものを形見とし、物語とすることで、何者かにする博物館。「沈黙博物館」というのは、そういう場所だと思った。それが、誰にとって幸福なことなのかはわからない。しかし、博物館というのは、老婆が「永遠を義務づけられた、気の毒な存在」というように、はじめからそういう場所だったのではないかとも思う。 形見というもの展示物とすることで、博物館のやっていることが一体何であるのか。それを立ち止まって考えさせる物語なのだと思った。

    0
    投稿日: 2025.05.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    雪がしんしんと降り積もると世界が沈黙したみたいに感じるよなあと思った。 「小川洋子氏の作品は音がないのだ」なんていう評価を読んだことがあるけれど、この作品では沈黙が静けさが静寂が何度もこんこんと表現されていて、ざわついて苦しい私の現実から目を背けるのにぴったりだった。「音がない」という評価については、そんなことないよと思う。小川洋子作品の特徴である"静謐さ"を「音がない」と表現するのはちょっと省略しすぎだと思う。 兄さんに手紙が届かないという部分で、「ああ、この人は生きているお兄さんとは違う沈黙の、死の世界に行ってしまったんだ」と気づいた。小川洋子さんの本では、「届かない手紙、届けない手紙」が時たま出てくるね。博物館技師である主人公がアンネフランクと顕微鏡を形見として所蔵したところも、母と兄の形見というよりは、2人と別の世界へ来てしまった自分の形見だと感じた。ここの部分は巻末の解説で構造的に意見が加えられていて、感じることはできたけど自分では言語化できなかったから、読んで「ああ」と思った。 連続殺人事件の推理小説でもあるし、読み応えがあったな。それに、女の人が主人公でない小川洋子作品は久しぶりに?読んだ気がする。他はなんだろう、猫を抱いて像と泳ぐかな?いや、そんなことないや、ことりも男の人だったけか。 とにかく小川洋子さんの作品が大好きだから、まだ読んでいないこの作品があることが嬉しかったし、読んだ後もうれしい。 私は死ぬことは怖くないのだけれど、この作品のように、もし、シロイワバイソンの亡骸に雪のふりつもる、転べば手のひらが真っ赤に染まる、沈黙博物館という切実な役割のある世界に閉じ込められてしまうのかと思うと、死ぬのは恐ろしいと思う。

    0
    投稿日: 2025.03.08
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    読んでいるうちにだんだんと怖くて不安で後ろも振り向けなくなっていって読むのもやめられない 文章の力をすごく感じた作品

    0
    投稿日: 2025.01.30
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    亡くなった人の形見を展示する博物館をつくることを依頼された、博物館技師の物語。形見を見れば、持ち主の人生が語れる老婆と、その養女、そして庭師と一緒に進める博物館づくり。なぜか形見は盗み集めるという作業で、後半事件性も帯びてしまうが、全体として村上春樹の作品で感じるような、不思議な別世界観がある。 作中に出てくる「アンネの日記」や、沈黙の伝道師、少女の頬にある星形の傷など、物語のベースにはホロコーストがあるのではと思わせる要素も多いが、そう限定せずに読んでも、現生とは次元の違う場所を描いているのではという考えは拭えず、物語の最後までその謎を追う面白さもあった。

    2
    投稿日: 2025.01.02
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    読み始めた瞬間、二つの結末を想像した。あるいは二つは両立するかもしれないとも。 ひとつは、主人公の男がこの世界に取り込まれて抜け出られなくなること。 もうひとつは博物館は完成する前に瓦解すること。ひとつは外れ、ひとつは当たった。 殺人事件の話は夾雑物だと感じ、これがなければもう一ランク上の評価にしたかもしれない。 /博物館専門技師である「僕」は老婆の依頼に従って村の住人の形見を集めた博物館づくりに勤しむ。そのためには死者が出たときその者を象徴する形を盗み出さねばならない。 /中央広場で爆発事件が起こり少女は大怪我をする。左頬に星型の傷が残る。 /連続殺人事件。どうやら主人公は容疑者になっているようだ。真犯人は誰だ? /博物館は完成するのか? ■簡単な単語集 【穴】役場の裏の塀に開いた穴。昔、納税者の識別をするために使った。耳がその穴にすっぽり入る間は納税の義務がない。そのため闇で耳縮小手術がなされることがあった。 【油絵の具】三十六色の油絵の具は売れないまま終わった女性画家の遺した執念のようなもの。 【依頼主】ソファーに付いた染みのような老女。《私が目指しているのは、お前ら若造が想像もできんくらい壮大な、この世のどこを探したって見当たらない、しかし絶対に必要な博物館なのじゃ。》p.14。時代がかった話し方をする老婆の存在はこの地の、この仕事のリアルさを減じさせここが彼岸ないしは異世界でもあるかのようにも感じさせる。 【依頼主の性格】少女によると《優しくもないし、親切でもないけど、邪悪でもない。彼女はいつも遠くを見ているの。》p.33。 【依頼主の要求】[1]物事をてきぱきと進める。[2]人がやらないことをやる。[3]絶対に途中やめしてははだめ。 【老い】《さすがに私も歳を取った。自分が老いると、世界までが老いたように感じるから不思議じゃ。》p.55 【形見】依頼主は村人たちの形見の品を収蔵する博物館を作ってくれと言った。依頼主が十一歳のときから集め始めた。誰かが死ぬたびになにか一品をもらった。《私が求めたのは、その肉体が間違いなく存在しておったという証拠を、最も生々しく、最も忠実に記憶する品なのだ。それがなければ、せっかくの生きた歳月の積み重ねが根底から崩れてしまうような、死の完結を永遠に阻止してしまうような何かなのだ。思い出などというおセンチな感情とは無関係。もちろん金銭的価値など論外じゃ。》p.49。《ここにある形見のほとんどは盗んだものである。盗品じゃ。》p.52。これからは主人公がその入手を引き継がなくてはならないと言った。《形見について語れるのは、それを収集した人間のみである。》p.313 【義眼】病院に入院していた、もと教会のオルガン奏者だったというおじいさんの形見。子どもに怖い話をしてそのときよく取り出して脅していた義眼を形見の品としてくすねた。 【聞く】《母がよく言ってるわ。未来が知りたかったら、耳の穴をふさげって。そうすれば、遠く未来にいる自分の内なる声を、聞くことができるの》p.125 【暦】依頼主が作成した暦にしたがってものごとは行われる。構想から完成まで二十三年。美しい文字で書かれイラスト入り。 【少年】修道院の少年。沈黙の伝道師同様シワイロバイソンの毛皮を着ている。出会った頃は会話できていたがいずれ自然に沈黙の行に入ることになるだろうという。 【卵細工】村唯一の名産品。 【沈黙の伝道師】一生ものを喋ってはいけない沈黙の行に入っている。住民には敬われているようだ。村の北の外れにある修道院で暮らしているらしいが行ったことがある人は少ない。《伝道師が求めているのは言葉の禁止じゃなく、あくまでも沈黙です。沈黙は自分の外側にあるのではなく、内側に存在すべきものなんです。》p.167。《手紙も日記も書けません。ただし、読むのは自由です。外から入ってくるものを拒絶はしないのですが、自分の中からは外へ出て行かないのです。》p.199。少年は出会った頃は話していたが時が満ちると自動的に行に入り喋らなくなるらしい。ところで修道院での暮らし方、行の方法など誰が教えてくれるのだろう。少年の話からすると、なんとなくわかるというものでもないようで誰かに教わってるふうではあるのだが。仮に文書化されたマニュアルがあったとしても最初に書いたその人は沈黙の行を失敗してるわけで…。行は実践していない、教え係みたいな人がいるのだろうか? 【兄さん】「僕」に顕微鏡の扱い方を教えてくれた。理科の先生になり保健体育の先生と結婚した。世界の成り立ちを知っているからか、ものを持つことに執着しない。本当にいるのかどうかは不明。 【庭師】依頼主の家の庭師。大工仕事もできる。夫婦ともにわりとつきあいやすい。《たいていの心配事は、頭で考えるよりずっとあっさり片付いちゃうもんさ》p.88。趣味でジャックナイフを作る。《いずれにしても、ものを作るってのは、人間に与えられた中で最も尊い営みだ。》p.138 【爆弾事件】少女の左頬に星型の傷を残した。いまだガラス片が入っている。《爆弾事件を恨んではならん。我々の身の上に起こることで、何一つ無駄なものはない。世界のすべてに理由があり、意味があり、そして価値があるのじゃ。形見の一つ一つがそうであるようにな》p.154 【博物館】博物館は常に拡大する宿命を持つ。《コレクションの展示されていない博物館にどんな魅力があるか、知ってる人はそう多くないだろう。》p.220。《私たちが知らないどこかに、この世から消えたコレクションを展示する博物館が存在しているのよ》p.328 【僕】博物館専門技師。旅行鞄の中身は《数枚の着替えと、使い慣れた筆記用具、髭剃りのセット、顕微鏡、そして二冊の本――一冊は『博物館学』、もう一冊は『アンネの日記』――それだけだった。》p.5 【保存】《物を保存しておくって、考えていたよりずっとややこしいことね》p.92 【娘】依頼主の娘。血はつながっていない。養女になったときすでに母は老女だった。《彼女は、まるで博物館がどこか遠い国にある秘密の楽園ででもあるかのように、うっとりとしていた。》p.34。《あなたの有能な助手になるためには、喪服の似合うことが第一条件ですものね。》p.69 【メス】「僕」が村に来て最初の死者は百九歳で村の長寿記録を塗り替え中だった外科医で、形見の品は彼が闇で耳縮小手術をしていたそのためのメスしかないと依頼主は言った。依頼主の耳を切ったメスでもある。 【野球場】村人は野球が好きなんだとか。いろんなチームが試合をする。そのときはお祭り騒ぎ。驚くほどレベルが高い。《男の子は誰だって、野球から人生を学ぶものでしょ?》p.82 【老婆】→依頼主

    1
    投稿日: 2024.06.15
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    形見を収蔵する博物館で、それぞれの人生を象徴するものの文脈を紡ぐ物語。事件の犯人が誰なのか、途中の展開の仕方が絶妙でスリリングだった

    0
    投稿日: 2024.04.18
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    ある村の大きなお屋敷に住む、ちょっと気難しい風変わりな老婆に雇われた、若い博物館技師の物語です。 屋敷には老婆と一緒に暮らしている少女と、離れには庭師と、その妻である家政婦が住んでいます。 故郷を離れ、この村にたった一人で訪れた技師は、亡くなった村人たちの形見を集め、それらを展示、保存する博物館を作ってほしいと老婆に頼まれます。 閉鎖的な世界で起こる奇妙な出来事が、小川洋子さんの手にかかると、なぜこんなにも美しく魅力的になるのだろう。 名前のない登場人物たち。次々に起こる殺人事件の犯人は? 博物館技師の行く末は? 謎が深まり、非現実的な世界にどんどん引き込まれていきます。 “人々から忘れられた世界の縁にひっそりと建っている” 沈黙博物館というタイトルがとてもいいです。 物語の終わりには、悲しい現実を知るとともに、こんな隔離された場所にいることが居心地が良いとさえ思ってしまいます。

    35
    投稿日: 2023.07.10
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    ある村に博物館を建築するため、博物館技師が呼ばれた。 博物館で展示するのは死んだ村人たちの形見。 小川洋子さん独特の世界観。 静かに時は流れるが、なんとなく不穏な空気が漂います。 そこは音は聞こえるのに音がない世界。 震えました。

    2
    投稿日: 2023.03.05
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    ゾクゾクする系の小川洋子さんだった。 これくらい怖いのもいいなと思った。 質問のくだりとか、涙が出る

    4
    投稿日: 2022.12.30
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    形見と沈黙を軸に進んでいく謎めいた物語です。登場人物の感情表現やスリリングな展開に引き込まれながらも、どのように物語が終着するのかが予想できず、先に先に読み進めてしまう変わった魅力のある本でした。

    0
    投稿日: 2022.11.05
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    スリルのある小説です。見事に感情がぶつかり合い、不思議なパズルを完成させます。主人公が戸惑い、躓いたりして沈黙と戦います。謎めいた小説の好きな方におすすめです。何か返事があるかもしれません。

    4
    投稿日: 2022.08.31
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    沈黙博物館とは、沈黙の博物館。 沈黙した人たちの形見の、遺品の博物館。 美しいものと醜いもの、まともなものとおかしいもの。 それらのバランスが相変わらず凄まじい。

    0
    投稿日: 2022.03.13
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    タイトル通り静かな話でした。でも、爆破事件や殺人事件が起きたりして、後半はドキドキしました。舞台になっている場所はどこなんでしょう?カナダ?北欧?勝手に想像してました。「沈黙の伝道師」寒がりでおしゃべりな私には、絶対なれそうもありません。

    0
    投稿日: 2022.03.05
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    博物館技師として長閑な村を訪れた僕。 荷物は兄から譲り受けたお古の顕微鏡と 何度も読み返しているアンネの日記。 依頼主である老婆の面接を受けるのだが そこは、形見の品々を展示する博物館だった・・・ 後半に入ってから、物語の様相が変化してくる。 そういえば・・・ という空気は最初の頃から感じていた。 雰囲気に馴染んでスルーしておりました。 色んなところに違和感という形で存在してました。 最初の段階で僕が語っている博物館技師の仕事。 なるほど・・・沈黙を守る博物館・・

    2
    投稿日: 2021.05.10
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    どこか遠い小さな村にある沈黙博物館。そこには人が生きた形見を展示してあるという。不思議な博物館の誕生にまつわる寓話である。私の愛する人が死んだとき、その形見が人知れずその博物館に展示してあったらうれしいだろうか、嫌だろうか。もし私が死んだとき、その形見が人知れず展示してあったら、私はそれを望むだろうか、それとも望まないだろうか。

    0
    投稿日: 2021.04.22
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    この物語は日本?外国?この世界?死後の世界? シロイワバイソンも… 季節が変わる様子も見ているように感じた。 爆破事件や殺人事件の恐ろしい事件もおこるが 物語は優しい雰囲気のまま淡々と進む。 沈黙博物館の形見はメス、剪定ハサミ… こんなものと思うがその人を語るにはとても重要なもの 私の形見として老婆は、僕は、なにを見つけて くれるのだろう、聞いてみたい。

    0
    投稿日: 2020.06.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小川洋子さんの静謐で美しい文章が、話の内容と組み合わさり、静かな不気味さとあたたかさを持った作品でした。博物館に集められていくモチーフはどれも少しぞっとするようなもので、それでもだんだんと収蔵物が増えるにつれて、博物館になっていく。沈黙の伝道師たちも印象的。こんな世界があればいいのにと思う。

    1
    投稿日: 2019.07.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    何かでお勧めされてた本。 博物館というキーワードに惹かれて。 誰も駅に降りないような村で、博物館を作りたいという依頼主に会うためにやって来た博物館技師の僕。 未成熟な輝きを持つ少女と、どうみても親とは思えない位、年が離れた依頼主の老婆。 そこから沈黙の博物館と称した、老婆が集めた形見の展示の準備から、村で起こった死人の形見の収集(窃盗…)まで行うことになる。 読んでいくと、時々現れる不釣り合いなキーワードに意味があるのか考える。 持参した親の形見のアンネの日記、兄から譲られた顕微鏡、沈黙の行を行う沈黙の伝道師の存在。 人形劇やお祭りが娯楽の、へんぴな村っぽいのに、爆弾事件や猟奇的な殺人事件が起こったり、文化会館や観光用の土産屋があったり。 博物館を設立するお金の出所はおろか、老婆の出自や登場人物の名前すら出てこない。 老婆、少女、庭師、家政婦、そして技師さんこと僕。で構成されている。 一人称なのになんだかよそよそしさを感じるのはこのせいか。 ちょっと不穏だけど、幻想的で落ち着いた雰囲気で進む物語。何かを暗示しているようで、いまいち掴みきれない世界。 なぜ殺人犯の容疑者に疑われつつ、僕は逃げ出せなかったのか(洗脳?) 顕微鏡を形見としなければならない理由は?(社会との隔絶?) 誰も訪れない沈黙の博物館の運営は? 少女もまた老婆に見出だされた、博物館のための後継者なのか? 連続殺人の犯人以外、分かりやすいところがなくてもやもやと考えた。 最後の書評で、ホロコーストのくだりを読んだら、急に今までの話が繋がるようで、見方が変わる。 もう一回読もうかな。

    0
    投稿日: 2018.08.01
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    すごくしんとした気持ちになりました。 爆弾事件と殺人事件のくだりは忘れていたので、こんなにミステリな作品だったっけ…と思いましたが好きです。 沈黙の伝道師も好き。わたしもかれらにひっそりと語りたいです。 遺品を展示する沈黙博物館、訪れてみたいです。 わたしなら一体何を展示されるのだろう…。 解説が、気になる堀江敏幸さんだったのも良かったです。この村はすでに命の無い人が住む場所、という視点は無かったので興味深く読みました。次に読むときは、このことを心に置いて読もうと思います。

    0
    投稿日: 2018.01.11
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    久しぶりに胸を打つ話を読んだ。老婆の描き方が素晴らしく、魅力的だった。自分だったら形見は何になるのだろう、と想像するのも楽しめるというか。言葉にならない思いがたくさん溢れてきた作品です。読み終わった時、この本に出会えてよかったと思った。

    0
    投稿日: 2017.05.30
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    象徴に満ち溢れている。 沈黙。形見。博物館。冬。 身寄りのないことが、逃げ場のないことが分かった主人公。高齢の老婆。バイソン。 解説でホロコーストとの関連に触れているが、その文脈で行くと多くのことがなにかにあてはまる。 そして、圧倒的で静謐な世界観。 特に沈黙の伝道師の存在が不可思議で考えさせられた。 死の象徴か。冷たくも温かくもない。常に意識すれば寄り添っているもの。あちらから語ってくることはない。

    0
    投稿日: 2017.01.31
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    小川さんの文体がやっぱり好きなことを再確認した。なんだろう、この淡々として優しい感じは。 ストーリーもおもしろかったけれど、読んでいる時間が愛おしくなるような本。

    0
    投稿日: 2016.06.26
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    「博士の愛した数式」の小川洋子女史の小説。なんとも不思議な物語。人の形見を展示する沈黙博物館の作成依頼を受けた主人公。この博物館のある街がまた不思議。もしかして死者の街?

    0
    投稿日: 2016.01.06
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    ナチのホロコーストにより亡くなった方々への鎮魂歌.徹頭徹尾,色も温度もない世界(すなわち死者の世界)を描き,魂の居場所を作り上げ,昇華させていく.少し銀河鉄道の夜を彷彿とさせるが,より魂に寄り添う作者の気持ちが全面に表れる.合掌.

    0
    投稿日: 2015.09.04
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    幻想的な長編小説。「博士の愛した数式」以来、小川洋子の長編はあまり読んでこなかったのだけれど、すごく良かった。 博物館技師の「僕」が訪れた幻想的な村。そこで「僕」は形見を陳列する「沈黙博物館」を作ることになる。形見を収集してきた「老婆」と、その娘だという「少女」、屋敷に代々仕えている「庭師」と「家政婦」とともに…。 相変わらず身体の表現、触感の鋭さが際立つ。老婆の皺とそこにたまる垢、昔一部を切除された歪な耳。少女のまつ毛や指先。体のパーツ一つ一つを慈しむように丁寧に表現する。 村の伝統や仕来り、不思議な涙祭りや、沈黙の伝道師、卵細工、森や屋敷の様子も、目の前に浮かんできそうなほど繊細。 そして、博物館技師がいかに博物館を愛してきたか、老婆がいかに形見に思いを注いでいたか、その奥深さ。 長さを感じさせない、読みやすく儚い小説でした。 途中で、ホラー?サスペンス?な雰囲気になりつつ、グレーエンド、というよりはセピア色の落ち着いた幻想的なエンディングでした。 彼は沈黙博物館に取り込まれてしまったのでしょうか…。 今後博物館に行ったときの受け取り方が変わりそうです。

    1
    投稿日: 2015.04.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最後が安部公房の砂の女のように主人公が囚われる 庭師が怖かった 文章は美しかった 小川さんの話の中で怖くなった話だった

    0
    投稿日: 2015.03.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「博士の愛した数式」を読み、小川洋子さんの他の作品を読みたい!と思い、作品のタイトルに惹かれ手にした一冊。 全体を通して、冬の静けさと薄灰色の重たい雪、というイメージ。 正直、読後感はすっきりしなかった。 (恐らく)自己表現のためにと、そんな勝手な理由で殺された挙句、形見として乳首飾られたくなんかないよ!って思ってしまったから仕方ない。

    0
    投稿日: 2014.03.12
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    密やかな結晶を読んだときと同じ。 意味はわからないけど何か強く引き付けられて、意味はわからないのに息を詰めて一気に読んだ。 市川春子の漫画に少し似ている。 小川洋子の作品は国を感じさせないところがある。 落ちている髪の毛を不快に思うのは、そこに有機物から無機物への変容を見るから。 その人間が生きていたと言う証拠である物体(形見)は、髪の毛と同じく生前は有機物であり死後は無機物であった。その無機物に新たな役目、展示品としての役目を与えることで、有機物へと再転換させる。 形見とは、卵細工と同じなのかもしれないと思った。 修道院の中の描写が素晴らしく美しい。あのシーンだけでも、読んでよかったと思った。

    0
    投稿日: 2014.01.17
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    形見の博物館。 一つ一つの形見のお話しが読みたくなる。 この博物館に保護されれば 自分が生きた証は残されていくのかと思うと 自分の形見も仲間に入れてほしい気がしました。

    0
    投稿日: 2013.12.17
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    タイトル借りした本。静かで薄暗い作品。形見を集めた博物館とは…小川洋子の脳内は一体どうなっているのだろう。これを読んでいる最中、村上春樹の『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』とダブった。冬になると死ぬ獣。僕と助手の女の子。抜け出せない世界。2011/397

    0
    投稿日: 2013.10.07
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    小川洋子に特有の、しかしそれにしても、これまでよりも一層に静かな静かな物語。なにしろ、そこでは生きている者たちのことごとくが「形見」を通じて死者たちに奉仕する世界なのだから。「耳縮小手術専用メス」、「沈黙の伝道師」、「泣き祭り」、「シロイワバイソン」など、異空間の物語世界を構成する要素も巧みに配されている。「沈黙の伝道師」は、萩尾望都の『スターレッド』の「夢見たちの杖」を連想させたりもするが。そして、物語の終盤は、ことさらに怖く、またやりきれないほどの孤独と絶望の、凍りつくような世界が用意されている。

    0
    投稿日: 2013.09.26
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    終始登場人物の名前が出ていないのにも関わらず、そのことに読み終わるまで気がつかないほど自然で美しい文体で描かれています。庭師と主人公との穏やかな交流と、その下に潜む秘密が徐々に明らかになっていくのをどきどきしながら読みました。

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    投稿日: 2013.07.25
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    小川洋子の作家としての主題は「死あるいは死の空気」だろうが、この本も例に漏れず、そして濃密。 また読者に色んな想像の余地を上手く与えている。 主人公自身が実は黄泉の世界の住人なのか、『アンネの日記』を下敷きにした死者への祈りなのか等など、とにかく終わりに近づけば近づくほど様々な考えが湧いてくる(ちょっとした閃き含めてここには書き切れないな)。 なかなか手ごわい小説です。

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    投稿日: 2013.06.21
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    ある日、主人公は生と死の間にある村を訪れる。 村の住人たちは、自分たちがすでに死んでいるにもかかわらず、その現実を受け入れられずにいる(二人の刑事も含め)。 そしていつか、彼らにはきっかけが与えられ、完全なる死の世界へと旅立つことに。

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    投稿日: 2013.03.25
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    『猫を抱いて象と泳ぐ』を思い出しながら読んでました。 チェスの世界と博物館の世界という違いはあれ、どこか似通った幻想的な雰囲気があります。そもそもどこの国の話なのかも判然としませんし。 登場人物はそれなりに(と言うか結構活発に)動き回りますし、会話も豊富なのですが、どこか絵画的な静止状態と静けさを感じてしまいます。何処から醸し出されるものなのか判りませんが、小川さん独自の静謐感です。最後は少々荒っぽい感じがありましたが。。。 続けて読む気はないけれど、これからも折に触れ小川さんの作品を読んで行こうと思います。

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    投稿日: 2013.02.19
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    小川洋子4作め。時間の流れ方とか、雰囲気とか、読んでいると吸い込まれていく感じとか、とても好きです。

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    投稿日: 2013.02.05
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    小川洋子の小説には喪失感や死の匂いが濃厚なのですが、今回はより一層感じさせられました。 集落の人々の形見を蒐集する老婆のもと、形見を展示する博物館を造るべく呼ばれた博物館技師。この設定だけでもクラクラしますが、そこに連続猟奇殺人や言葉を発することを封じ込めた沈黙の伝道師などなどの要素が合わせ鏡のように配され、世界を多重化していきます。 沈黙を扱うのに映像的でもあり、重々しい空気までもが可視化されたような感覚があります。決して楽しい訳ではないけれど、読み進めてしまう力を持つ小説でした。

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    投稿日: 2012.10.24
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    博物館という単語にひかれて、図書館で借りた いつものように、アンバランスにあやしげに構築されている小川さんの世界 こんな博物館が仮に存在したとしても、きっと特定の人にしか見えない

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    投稿日: 2012.10.14
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    まずタイトルがいい。「沈黙博物館」いいね。小川洋子の描く世界は不思議でどこかこわい。 主人公は村人の遺品を納めるための博物館を作る仕事をするために不思議で遠い村にやって来ることろから物語は始まる。 面白かったし、世界観も良かったんだけど、他の小川洋子作品に比べると個人的にはちょっと物足りない感じがした。なにが足りなかったのは自分でもよくわからないんだけど。

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    投稿日: 2012.09.18
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    死者の形見を集めて展示する沈黙博物館を作ることになった主人公。 依頼主を含めた5人での作業の過程で、主人公は次第にその魅力にひかれていく。 よくしゃべる老婆が衰弱していき、伝道師が修行を重ねて沈黙を極めて行くことが、沈黙博物館が完成に近づいていく様子を象徴している。 不気味で美しい物語。

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    投稿日: 2012.07.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    結構アッサリ終わったと思って2回目を読み始めると不思議だ!!いつのまのか出てきていた人達全員を、こんなにも好きになっていたなんて。 出会ったばかりが懐かしく、出会い始めの老婆の意味不明の言葉も、今の私には理解ができる。あぁ、またみんなに会える・・・ 小川さんの不思議な力はここだ。いつのまにか誰もかれも大好きにさせられてしまうのだ! なぜか読んでる途中ではあまり気づかないのだけども、だから飛び飛びに読んでも読み返しの必要がなくスッと入れるんだ! 形見1つ1つの物語はほんの半ページのものから4ページのものまで本当にいろいろな話がある。重みのある老婆が話すからか、なぜか凄みがあり、読んでいる最中はそんなにも気に留めていないのに一度聞いたら全然忘れないくらいに、心に入り込んでくるのだ。 しかし、警察の主人公への疑いは晴れないまま・・・ってか刃の照合を全部調べればバレるし、博物館に来れば、決定的証拠が飾ってあるし。 いくら沈黙の伝道師に話せばずっとバレないといわれていたとしても、それってただのジンクスでしょ?だ、大丈夫なの?それ?? 老婆というはなんとも魅力的なキャラだ。この人が発する言葉全てがナゾを解くカギのように、物語のヒントのように、大切でちゃんと聞き取らねばならないと思わす力がある。だから私は老婆が大好きだ!だから、大好きだった老婆がアッサリと死んでいったのがすごく寂しかった。 主人公が帰らずに引き継いでくれたのはすごく嬉しかったけど、じゃあ主人公のあとは、そのあとは・・・また誰かが引き継いでくれるんだろうか。 沈黙博物館とは不思議な世界だなぁ。必要なのか不必要なのかたまにわからなくなるな・・・。 現実なのかパラレルなのかもわからなくなるくらいに、不思議が混在している。 耳の大きさや野球チームに爆弾魔。なき祭りに、シロイワバイソン・・・ 兄に手紙が届かなかったのははたして、兄がいないのかそれとも、主人公がいないのか、私にはどっちか解らない。

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    投稿日: 2012.07.12
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    小川洋子さんの、科学的な雰囲気を纏ったおとぎ話のような、でもちょっと怖い側面もあるお話。 沈黙博物館とは、無くなった人の形見を展示するという。イメージ的には、近代・現代から取り残されたようなヨーロッパの古びた町で、形見を集め続けてきた老婆。それを補佐するまだあどけなさが残る養女。そして使用人の夫婦。 そこに博物館技師として雇われた僕は、沈黙する形見を老婆との共同作業で、陳列物として完成させていく。 初めはその全ての異様さに恐れを抱きつつ加わるが、いつの間にか技師としての使命・喜びを見出して、 そして、老婆の死に伴って、その仕事を受け継いでいく。 この町は、どこか村上春樹の「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」に出てくる、主人公が迷い込む世界の終りの町を彷彿とさせる。 怖いけれど、惹きつけられる沈黙の町。 どこか死のイメージと重なる。

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    投稿日: 2012.03.26
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    小川洋子『沈黙博物館』読了。博物館を創るべく、遙か遠くの村に赴いた博物館技師の「僕」。依頼主の老婆の収集品とは、その村の人々の遺品だった。ファンタジーでありながら、ミステリーの要素もあり、ドキッとするほど生々しい描写もある。登場人物に体温を感じないのは自分だけか。不思議な作品。

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    投稿日: 2012.03.07
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     1985年 村上春樹著 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』と似ている。こちらは2000年に筑摩書房より刊行された。とりとめのない話がだらだらと続いていると感じるか、それともそこに深い真理を見出すのか読み手によって評価が分かれる。好き嫌いがはっきりする小説だ。エンターテイメント性なしと、あえて言い切ろう。

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    投稿日: 2012.02.23
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    洋子さんはアンネに惹かれてヨーロッパの古い街を歩き、その時に出会った大きな館から妄想が発展してこのお話になったか・・・ と想像する。 洋子さんファンだけど、珍しく途中でなげだしたくなった。 極端にに冷えきった背景でストーリーも大きく動かずその淀みにもぐりこんでしまったが、身近な人たちに暖かさがあるおかげで読み終えることが出来た  博物館を作るための規約や心得など、細部にわたって描かれているので、妄想っぽい事柄まで真実味を帯びてくる。でも、盗んだ形見を集めて 注釈を添えて展示する・・・まずここに引っかかってしまった。 ここを納得したくて最後まで読んだもののこれは解明されていない。やはり舞台はいつもの異界で、兄と連絡がつかないのもそのせいで、もしかすると兄も現世で「弟は出て行ったままで連絡がつかない・・・」と案じているのかもしれない・・・・・と妄想に妄想を重ねてしまった。

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    投稿日: 2012.02.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    僕がその村に着いた時、手にしていたのは小さな旅行鞄が一つだった。 相変わらず不思議な世界に包まれてる小川作品。 ちょっぴり切なくて、ちょっぴりグロテスクで・・ だけどいつも最後まで読み進めてしまう、そんな力があると思う。

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    投稿日: 2011.10.02
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    生と死の世界があやふやになる。ここはどこなのか、季節はいつなのか、この人は生きているのか死んでいるのか。 幻想的なのに生臭い。埃の香りまで感じるのに、浮遊しているかのように現実離れしている。まさに博物館。 小川作品三作目、期待は裏切られませんでした。 この本を手にとったときは、事情により「死」の傍にいたのに「死」を理解できず、半ば救いを求める形で小川さんの作る世界に惹かれたんだった。 でもその直後、実生活がものすごいスピード感を持ち始めてしまって(仕事ゆえに)・・・どこか遠くで物語が終わってしまった感じが、悔やまれる。 また、いつか、読み返そうと思います。 ちなみに、堀江さんの解説まで含めて一つの作品だと思っています。 アンネフランクの日記はそう活きるのですね、堀江さんの眼差しを通すと。その眼差しに相変わらず惚れる。 私は、何を形見とされるのだろう。私は何によって、私だと語られるんだろう。 考えてみたら、日々は死であふれているのに、死が存在しない時間なんて1秒たりともないはずなのに、 死をとどめることは、とても非日常的なことなのだ。

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    投稿日: 2011.07.04
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    最初からわかっていたはずなのだけれど、なんとなく目を背け続けている感じ。のどかな田園風景の隅には常に闇と落胆の気配があり、季節の巡りとともに死と腐臭の予感はいよいよ避けられないほど濃くなってくる…。 「僕」と少女がゆっくり感情を通わせていく過程や、老婆との信頼関係の構築など丁寧に、時にユーモラスにすら、描かれている。でもどこか冷徹で無表情なあきらめのようなものが常につきまとっていて、最後には「ああ、やっぱり…」という一種の虚無感がもれるのでした。 小川さんは「モノ」と「仕事」に関する執着が強い。この作品はまさにその最たるものといったところで、いろいろと物思いを呼びます。

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    投稿日: 2011.06.20
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    沈鬱で危うい色のない世界。 押し付けない生と死の、教戒を施されているよう。 冷たい雪がじんわり凍みてくる感じが堪らなく恐ろしい。

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    投稿日: 2011.06.05
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    表紙のデザインが『クラフト・エヴィング商會』の吉田夫妻、小説が小川洋子、解説が堀江敏幸。この三つが揃った奇跡の一冊。 博物館技師である「僕」がどこにでもありそうなちょっと寂れた町へ依頼を受けて出向き、依頼主から突飛な依頼を受けて、展示品を収集することになる。 登場人物に名前はなく、「僕」は「技師さん」と呼ばれ、「少女」と「老婆」と「庭師」と「家政婦」がメインキャスト。 この匿名性と、展示品が語りかけてくる異様なまでの存在感(個人としてのアイデンティティ)が、不思議なほど違和感なくスムーズにぼくを受け入れさせた。 博物館建設予定地からほど遠いところに沈黙の伝道師と言われる修道士たちが暮らしていて、彼らは動物の毛皮を着込んで、いっさいの言葉にふれない生活をしている。 彼らの存在がこの作品を詩的で隔世な雰囲気をかもす材料になっていて、小気味よい。 展示品の収集とそれについて解説を清書する作業と、建築物ができていくさまを眺めること、それらを序盤は詳しく語っていき、基礎ができると、伝道師や庭師などにスポットがあたっていったり、野球や祭りなどの行事、イベントが挟まれており、テンポよく、飽きさせない。 驚くほど、すがすがしい気持ちになれたのは、ぼくだけだろうか。

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    投稿日: 2011.01.26
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    以前、読んだ小川洋子さんの「ミーナの行進」を 夜の世界にしたような雰囲気を感じました。 また、小川さんがホラー小説を書いたら、 すごい作品ができるのだろうなとも感じました。 この作品に関しては、大切にじっくり読んだともいえますし、 読み終えるまでに骨を折ったともいえます。 それでもボクは、小川さんのように繊細な筆致のエッセンスが 自分にも欲しいので今回も大変勉強させて頂きました。

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    投稿日: 2011.01.24
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    小川洋子、2冊目。「偶然の祝福」が思いのほかよかったので。 主人公は博物館技師の30代の男。 はるばるやってきた街で、大きなお屋敷に住む金持ちの、そして偏屈で風変わりな老婆から、ある博物館を造ることを命じられる。 老婆がこれまで集めてきたコレクションを収め、そしてこれから先は男がその収集を引き継ぐことになる、という。 そのコレクションとは・・・。 ちょっと暗くて、抽象的で、静かな世界。 フランス映画っぽい、というのがやはりイメージとしてわかりやすいかな。 そして、舞台設定とかが、村上春樹っぽい気もする。 この小説に関して言えば、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」の、<世界の終わり>の方のイメージがすごく近い。 淡々としつつも、細いガラスの糸をぴんと張ったような繊細な緊迫感があります。 世界観を楽しみつつ、ストーリー展開も楽しめる作品。 でも、やっぱり「偶然の祝福」のほうが好きかも。

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    投稿日: 2010.09.10
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    博物館技師の「僕」が呼び寄せらせた村での仕事は 老女が集め続けた人々の形見を収集、展示する博物館を作るコトだった・・・ こちら側とあちら側の境界にある博物館 形見は強烈な死のイメージがあった 二度は手に入らないモノだし いない人を思う為の品物だから でも、この話を読んでみて 生きた証であり 生と死を内包する 唯一のモノなんだと それを集め続ける老婆と僕は どこの世界に属しているんだろう 面白かった

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    投稿日: 2010.08.01
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    消えてしまわないものは何だか悲しい。 持ち主の元から消えてしまった物の物語。 小川洋子のひんやりとして静かな世界観がここでも見られます。

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    投稿日: 2010.04.01
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    朝食の後のコーヒー飲む時間に、1章ずつゆっくりゆっくり、味わって読みました。 乳首の描写がめちゃくちゃ怖いです…痛いです…。 というか、小川洋子さんのこの想像力のすごさはどこからわいてくるんだろう?オチはハッピーともバッド(?)とも取れるけれど、読後感に不快感は全然ありませんでした。 そろそろ真面目にアンネの日記を読もうか…。

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    投稿日: 2009.09.20
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    …こういう物語が読めるのも彼女がいてこそなんだろうけれど。 これまた静かで、寂しくて、淡々としていた。 形見の博物館を作るために、老婆の命令に従って盗みすらはたらく技工士。 誰の感情もほとんど示さず、淡々としたお話。

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    投稿日: 2009.04.12
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    なんだかぞっとしながらも、読み進めずにはいられない。 小川さんの著書はそういうものが多い。 「博士の愛した数式」が有名だが、こういうちょっと不気味な作風の方が好みではあるな。 有名でもなんでもない、全く普通の人物の形見を集め、博物館を作ろうとする話。 その博物館の沈黙を想像するだけで・・・ 横隔膜、縮む。

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    投稿日: 2009.03.26
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    どこだかわからない異国の地で、特殊な博物館を作るように頼まれた青年。 とてつもなく不思議なストーリーながら、何かをなくすという、小川洋子のテーマにブレはない。

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    投稿日: 2008.12.12
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    男性が主人公って珍しい気がする。作品全体に漂う空気はやっぱり好きだなぁ。今回は形見や沈黙といった物語全体の静かさの中に、殺人事件とその疑惑という少し感じの違うものが入っていたからドキドキ。でもそれは決して嫌なものではない。他の作品とはまた違った読後感だった。

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    投稿日: 2008.02.06
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    ちょっとグロテスク。 ブラフマンの埋葬とか、博士の愛した数式みたいな雰囲気かと思って買ったので読んで驚きました。 閉塞感があって息が詰まってしまうような雰囲気が物語の内容と溶け合っていてよかったです。 物語の長さもこのくらいがちょうどよいし。 もっと長かったら窒息死しちゃいそう 笑 出てくる人も、道具もとても独創的で世界観を作るのがうまいと思いました。

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    投稿日: 2008.01.05
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    「“ガラスの髪の毛”と呼ばれる珍しい岩石でね、それが、特別展示のための入れ替え作業をしている最中、消えた。誰がミスしたわけでもない、泥棒が侵入したわけでもないのに、気がついたらもうなかったんだ」 「見つからなかったの?」 「どこを探しても無駄だった。コレクションが紛失する時はたいていそうだ。大勢の人間がそばにいても、ぱっくり開いた時間の割れ目に落ちてゆくのを、誰も止められない」 博物館におけるコレクションの紛失について、技師と少女が会話を交わす。本作における何気ないワンシーンであるが、非常に気になった。 老婆に依頼され、博物館技師の主人公はある村を訪れる。老婆の養女である少女と、庭師、家政婦とともに、技師は老婆のコレクションを展示する博物館を立ち上げることになる。「その肉体が間違いなく存在していた証拠を、最も生々しく、最も忠実に記憶する」形見を展示するための。 現実世界に見受けられる舞台として読みすすめていたはずなのに、気付くとそこは非現実的異世界であり、ごく自然に現実と非現実の隙間に引き込まれてしまった。 主人公の博物館技師もまた、「ぱっくり開いた隙間」に無意識のうちに吸い込まれ、現実世界から消えてしまったのではないか、と感じた。 耳を押し込める細長いS字形の穴、耳縮小手術専用のメス、沈黙の道化師、シロイワバイソンの毛皮、返事の来ない手紙…登場するモノ達はどれも、密やかで危うさを孕む。 モノの使い方、世界観の形成、実に巧妙で面白い。

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    投稿日: 2007.08.06
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    この本読んでる間「静謐の幻想」っていう言葉がずっとぐるぐるしてたんですが何の言葉だっけか…。すごく、こわいというか、薄ら寒い、お話でした。根底に優しさがひたりとあって、でもそれは、硬質で冷たい、優しさなの。痛かった。たった1年365日、時計が動いただけ、それでこんなにも変わってしまう。博物館は変わらないために変えていく、場所、かな?変わるために変えてはいけないのは、思考の根源、信じるもの。暦であったり、杖であったり、ね。

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    投稿日: 2007.02.11
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    作品に流れる空気の質感がとても好きなのです。しっとりとした空気の中で進み行く物語は…終りが近づくにつれ終わって欲しく無いと切実に願うほど。

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    投稿日: 2006.11.18
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    不思議の世界のようで、事件も起こるが、この話はファンタジーでもミステリーでもないと思っています。なんだろう・・・うまく言えない。でもこの世界にぐいぐい引き込まれます。

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    投稿日: 2006.08.12
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    博物館技師である主人公が、あるお婆さんに雇われ、他の人間と協力しあって、形見を集めた博物館を造るという話。そーかあ、小川洋子はこんな小説書く人なのかあ、と思った。「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の世界の終わりサイドが世界観のイメージソースじゃないかと思いつつ、でも村上節がないからより幻想的な世界が作れていると思う。柴田元幸が小川洋子は冥界に通じる道を作品の中に持ってるとか、そんなようなことを言っていたが、まだ2作品しか読んでないけどよく分かる気がする。大江&村上についで、アメリカの文芸誌「NEW YORKER」に載った日本人三人目として、対アメリカでは日本を代表する作家になっているわけだけど、三人は結構似ているなあと思った。「飼育」と「世界の終わり〜」を混ぜたら、こんくらいの世界になりそうだ。あと、ミルハウザーにも似ているかもしれないけど、まー幻想系の小説はあんまり読んだことないから、もっと似ている作家がいるのかも。とりとめないことむちゃくちゃ書きまくったけど、とにかく小川洋子はいい。あとどうでもいいけど、なんでパリだけ出ちゃうんだろう?固有名詞は最後まで出さない、でよかったんじゃないの?

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    投稿日: 2006.01.22
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    「博士の愛した数式」の次に読んだ小川洋子作品。 なぜ今までこの本を見つけることができなかったのか不思議なくらい好みの本。 必然性に駆り立てられて生きるって、幸せなことなのかもしれない。

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    投稿日: 2005.12.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    老婆に雇われ村を訪れた若い博物館技師が死者たちの形見を盗み集める。形見たちが語る物語とは?村で頻発する殺人事件の犯人は?------------------(ここからネタバレあり)小川洋子氏にしては珍しいタイプの小説かと。ただ、引き込まれて一気に読んでしまったのはいつもと同じ。内容が、形見の収集なだけに、死に親しい感じがする。最初から、亡くなった母の形見として「アンネの日記」が出てくるのだがこれがすべてを象徴していたのではないかと思う。あと、男性の主人公っていうのが珍しいし、男性の主人公だからか、全体の内容も文章も硬かった気がする。(2005/11/13読了)

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    投稿日: 2005.11.14
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    あるひっそりと閉ざされた村で、その人間が生きた証をもっとも雄弁に語る「形見」を収集する博物館を作る人々の物語。

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    投稿日: 2004.12.14