
Serendipity ~偶発的な出会い~ vol.21 マンガは元気の素!

自ら「マンガ好き」を公言しているEvery Little Thingの持田香織さん。自宅にはお気に入りのマンガを全巻そろえ、何度も繰り返し読み返すのが至福のときだそう。そんな持田さんのマンガとの出合いから付き合い方、その魅力、今後の野望まで、ベールに包まれた(?!)持田さんの「マンガ人生」を熱く語っていただきました。
素晴らしき哉、私のマンガ人生!
私の“マンガ人生”は、小学生のときに出合った『コボちゃん』からスタートしました。4コママンガは親しみやすいですよね。上から下に読み進め、迷うことなくオチまで辿りつけますから(笑)。その後は、姉の影響を受けながら、紡木たくさんの『ホットロード』、一条ゆかりさんの『有閑倶楽部』、矢沢あいさんの『天使なんかじゃない』、くらもちふさこさんの『天然コケッコー』、神尾葉子さんの『花より男子』etc…と、当時流行っていた作品はもれなく読破。そのほか、古谷実さんの『稲中卓球部』や井上雄彦さんの『スラムダンク』にも夢中になりました。この2作品は、私の中高生時代のバイブルです!マンガにどっぷりハマった思春期を経て、桜沢エリカさんや魚喃キリコさんなどちょっと大人系のマンガに出合い、さらに私のマンガ愛は続くのです。
存在そのものがポジティブ。それがマンガ

私にとってマンガの魅力は、「元気になれる」こと。これに尽きると思います。マンガには、全力でなんとかして人を楽しませようという想いが根底にあると思うんです。もちろん、深く考えさせられたり、悲しくなったり、切なくなったりするものもあります。でも、読み終わるとふつふつと元気が湧いてくる。マンガそのものの存在がポジティブなんです。それは、読み手とマンガの“距離感”が関係しているんじゃないか、と思います。つかず離れず、気構えることなく、いつでも気楽に手にできて、すうーっとその世界に入っていける。高校時代の友人に久しぶりに会っても、ごく自然にその時代にタイムスリップできるような、あの懐かしい感覚。マンガのもつそんなサラリとした距離感が私の性格には合っているのだと思います。
大切なことはマンガが教えてくれた?!
自分で歌詞を書くようになってから、歌詞づくりや言葉選びなど、マンガからはたくさんの影響を受けています。具体的にこの歌のこのフレーズというよりは、その歌のもつ空気感や温度、色のようなもの。たとえば恋愛マンガを読んだ後のキューッと胸をつかまれるような切ない想いを、その濃度のまま自分の歌詞にのせてみる、といった感じです。
マンガの“余白”と歌手としての“間”
いちばん影響を受けたのは、マンガ特有の“余白”。初めてあだち充さんの『タッチ』や『ラフ』、井上雄彦さんの『バガボンド』を読んだときは驚きました。セリフはたったひとこと、「うん」「………」なのに、何ページにもわたって登場人物の気持ちが描写されているんです。表情や音、情景など、さまざまな手法で。『バガボンド』の最後の闘いのシーンなんて、15ページくらいセリフなしで展開していくんですよ?! 汗や刀の「シュッ!」という音だけで…。なのに、主人公の想いやその場の緊迫感がビシビシ伝わってくるんです。歌詞を書くときや歌うとき、たくさんのことを伝えたくてつい言葉を尽くしてしまいがちです。けれども、たとえば言葉と言葉の間のブレスのタイミングや、曲の1番から2番へ移る“間”をどうやって表現するのか。マンガを通してそんな“余白”や“間”の大切さを教わった気がします。
新年の始まりは『スラムダンク』で

毎年、お正月は『スラムダンク』を読むのが私の恒例行事です。「今年も熱く頑張ろう!」と自分自身に気合いを入れるための儀式といえます(笑)。体育会系ならではの熱い気持ち、ガッツ、友情、根性、絆…。そういったものを新しい年を迎えるにあたり、呼び覚ますんです。(ここで「持田さん、体育会でしたっけ?」と思わず質問をしたところ)…え?いや、帰宅部ですけど(笑)。下町育ちなので「祭り」っぽい熱さが好きなんです!
マンガ好きが目論む、ひそかな野望
お正月に限らず、今日はマンガを読むぞー!と決めた日は、まずゆっくりお風呂に入ります。いったん身を清めたら、部屋着を着ていつでも寝られる状態にして布団に入る。そして寝っ転がってゴロゴロと体勢を変えながら、何時間でも読み続けます。トイレとごはんをのぞいて、えんえん読み続けるんです。そんな日はもう幸せ!至福のときです。
基本的には新刊が出るたびこまめに購入する派なんですが、うっかり忘れてしまって「もう3巻もたまってる!」なんて事態に出くわすと大変です(笑)。「これいいから読んでみて」と勧められたマンガが全24巻だったりするともう最高!実は今、野望があるんです。それは……尾田栄一郎さんの『ワンピース』を読むこと。ある人にも言われました。「もっちー、ワンピース読んでなくてマンガ好きって公言してはならないよ」と。そうです、まだ手を出してないんです。今63巻でしたっけ?長期のお休みをいただけたらトライします(とちらりとマネージャーを見る持田さん)。その日が今から待ち遠しいです。
持田香織 さんの紙で味わう一冊
『SLAM DUNK』(全31巻)/井上雄彦(著)/集英社ジャンプコミックス

主人公のヤンキー・桜木花道がバスケットボール部に入部し、インターハイ終了までの数か月を描いた究極のスポ根マンガ。「何度読んでも新しい発見があるんです。自分の成長やそのときの状況によって登場人物の見方も変わります。昔は流川君に全然惹かれませんでしたが、へえ、こんな優しさもあったんだぁ、みたいな(笑)。とは言え私のタイプはやっぱり花道!ここ最近は、安西先生も気になる存在です♥」。『スラムダンク』に関して、持田さんがいちばん好きなのはコミックのカバーの折り返し部分に書かれた、著者・井上雄彦さんのコメント。各巻異なるメッセージが書かれていて、必ずこの部分から読み始めるのだそう。
Profile
持田 香織(もちだ かおり) 歌手

1978年東京都生まれ。'96年Every Little Thingボーカルとして『Feel My Heart』でデビュー。8thシングル『Time goes by』がミリオンセールスを記録し、その後の2ndアルバム『Time to Destination』は400万枚を超える。ドラマ『全開ガール』(フジテレビ系)の主題歌『アイガアル』も収録された10枚目となるアルバム『ORDINARY』が9/21発売予定。10/1からはツアーもスタート。





