
ホラーより怖い少女マンガ(東京タラレバ娘)
ホラーより怖い少女マンガ
「タラレバばかり言ってたら こんな歳になってしまった」そんなにイケていないはずじゃないのに気づいたらアラサ―になっていた倫子。6年後の東京オリンピックまでには結婚したいと思うけど…。東村アキコの女子に対する鋭い視点と笑いがさく裂する最新作!!
東村アキコ作の『東京タラレバ娘』の(講談社/現在7巻まで発売中)1巻が発売された2014年、私は27歳・未婚でした。
実家のある関西で働いていたものの、トラブルがあり、勤め先を辞めてしまい、無職。
そのまま実家に寄生して、ほんの少しだけ抱えていたライターの仕事を続けていたものの、両親からの「外に働きに行け・もしくは嫁に行け」プレッシャーは日に日に強くなるばかり……。
婚活パーティーのパンフレットを、真剣な目ですすめられていました。(※「27歳なんてまだ若造」と思われるかもしれませんが、私が住んでいた場所は田舎だったので、都会とは事情が違うかもしれません)
追い討ちをかけるように、妹と従姉妹が結婚し「お姉ちゃんは本当にもう……(怒)」という圧力に耐えられなくなり、私は東京に出てきました。
……といっても、貯金はほぼゼロ。
上京資金はなし。しかも無職。
……というわけで、ズルい私は、その頃復縁したばかりの彼氏が東京で働いていたことを思い出し、即効「同棲しよう」と連絡。必要最低限のモノをつめたダンボール6箱を、彼氏の1Kのアパートに送りつけたのでした。
ちょうどその頃、大ファンである東村アキコさんの『東京タラレバ娘』が発売されたのです。
本書は「キレイになったら 好きになれれば 結婚できる……」と、タラレバばかり言っている、アラサー女子3人の物語です。
主人公の倫子は33歳。大学卒業後、脚本家を目指してテレビ制作会社に就職。30歳の時に独立して、表参道に事務所を借りたものの、恋愛は思うように行かず、気がつけば33歳になっていました。
倫子は、親友であるネイリストの香と、居酒屋「呑んべえ」の娘・小雪と、しょっちゅう居酒屋で女子会を開いては酔いつぶれています。
そんなある日、倫子は10年前「さえないしダサ男だから」という理由でフッた、現在はディレクターを立派に勤める早坂に、ワケアリな感じでオシャレなレストランに呼びだされます。
「あの頃はADで外見もダサかった彼も、今はエスコートも立派にできる王子様のよう」と感じた倫子。
「プロポーズかな?」と、胸元の開いたワンピースで気合を入れて望むのですが、彼はなんと、ブルガリの指輪が入った箱を彼女に見せながら
「倫子さんのアシスタントのマミちゃんに結婚前提で交際を申し込もうと思ってるんですっ」
と、倫子に告げるのです……(汗)。
さあ、そこから倫子は荒れます。ますます荒れます。
居酒屋で、周りの目も気にせず大暴れ。
いつものごとく、根拠のないタラレバ話で盛り上がっていたら、その時、偶然その店に居合わせた、金髪のイケメン長身男が彼女たちにズバッとこう言ったのです。
女子会のことを「行き遅れ女の井戸端会議」だと。
そして
「 そうやって一生女同士でタラレバつまみに酒飲んでろよ!」
とも。
彼は実は今売れっ子のモデルで、その名もKEY君と言うのですが、今の所7巻まで、アラサー女子の心をエグるセリフを言いまくっています。
イケメンですが、彼の的を射すぎた言葉で、私のハートは見事に粉々になりました。
倫子だけじゃなくて、親友二人の恋愛も悲惨でした。
ネイリストの香も、バンドマンの元彼の、セカンド女になるし、居酒屋の娘・小雪も、うそつき男との不倫に、ズブズブ足を踏み入れます。
幸せになりたいのに、30歳をすぎれば、素直になれない。そもそも恋愛の仕方がわからない。それなのに世間からのプレッシャーだけはすごい。次の東京オリンピックまで一人でいたくないのに。
それなのに。
「酔って転んで男に抱えて貰うのは25歳までだろ 30代は自分で立ち上がれ
もう女の子じゃないんだよ? おたくら」
というKEY君の言葉どおり、倫子たち3人は、現実の厳しさに仕事でも恋愛でも直面するハメになるのでした。
私は倫子たちより年齢が少しだけ若いけれど、それでも27歳の時、タラレバ娘が、本当に怖くて仕方なかったのです。
ギャグもいっぱい描かれているけれど、そのギャグすらホラーに見えていました。
彼女たちは、いつでも愚痴を言える親友がいる。
でも、私には誰もいない。
彼女たちは、表参道で仕事をできる実力がある。
でも、私は今からバイトの面接。
同棲している彼氏も、結婚のことは考えていないだろう。だけど私は、すぐに30歳を迎えるだろう。
最近痩せにくくなってきたし、シミもシワも増えてきた。これからもっと増えるだろう。
東京に出てきて気づいたけれど、ここは確かに出版社もたくさんあるけれど、才能のあるライターなんか吐いて捨てるほどいる。自分がいかにしょぼい存在か、日に日に思い知らされる。
田舎に帰ると、同級生がどんどん結婚して、子供を産んでいる。マイホームなんて買っている子もいて。
いやだいやだ、どうしよう……!!!
と、マンガを読んで涙を流したこともありました。
私は今、結婚しましたが、この不安に感じていた頃のことを思い出しても「バカだなあ。結婚なんて全てじゃないよ」とは、現在でも言うことができません。
だって、プレッシャーもすごかったし。それに打ち勝つ精神力も、仕事も自信もなかったし。
努力する根性もなかったし(汗)。
何より結婚はしたかったから。
ただ、結婚しても次は、「子供はいつ産まれるの?」というプレッシャーに苦しめられるよ~!ということは伝えたいです(汗)。
そう、人生はテンプレート通りには行かないし、自分で考えて、自分が「正しい」と信じる道を、どんなことがあっても一生懸命歩くしかないのだなあ、とタラレバ娘を読みながら思うのでした。
ふう。女子は大変。(さゆ)


