
何かを背負った人間ほど強くなれることを教えてくれる作品(3月のライオン)
何かを背負った人間ほど強くなれることを教えてくれる作品
その少年は、幼い頃すべてを失った。夢も家族も居場所も──。この物語は、そんな少年がすべてを取り戻すストーリー。その少年の職業は──やさしさ溢れるラブストーリー。
アニメや映画にもなり、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの作品。
映画のPVを見たら漫画のイメージそのままの登場人物達で驚きました。
映画公開に備えて、原作をぜひ読んでおいてほしいです。
将棋なんてわからないなんて言わずに、まずは一冊!
将棋が分からなくても大丈夫!人間ドラマが面白い!
僕は全く将棋が分かりませんし、テレビで解説などがやっていてもすぐチャンネルを変えるタイプです。
将棋が分かる人なら、駆け引きの重みや、描かれた一手の意味がわかると思うので、唸ることもあると思います。
一話ごとにその話に関する将棋のエピソードや、様々な解説があるので、これから理解したいという人でも安心です。
僕は物語中での棋士同士の、銀がどうとか、歩がどうとかいうやりとりは分からないのでほとんどすべて読み飛ばしてます。
それでもストーリーは理解できます。
『3月のライオン』の面白さは人間ドラマの中にあるからです。
中学生にしてプロ棋士となった主人公『桐山澪』が抱える孤独と、そんな彼を暖かく包み込む周囲の人々。
最初は自分を抑えて周りに気遣ってばかりいた澪が、大切な存在に気が付き、その人達を必死に護りたいと願い行動できるように成長していきます。
一人では行き詰まっていた将棋も、周囲の人に心を許していくにつれて強くなっていきます。
描かれているのは将棋のみならず、破綻した家庭環境、学校でのいじめなど、重いテーマもあります。
自分にとって大切な人が学校でいじめられている。そしてその影響はいじめられている本人のみならず家庭まで巻き込んでいきます。
心が締めつけられるような描写もありますが、みんなで協力して進んでいく姿は涙なしでは見られません。
個性的な棋士たちに感情移入せずにはいられない!
主人公の前に様々な棋士たちが立ちはだかります。
しかし、その一人ひとりに、それぞれが生きてきた人生が描かれます。
二階堂をみたときには『あ!村山聖だ!』と声を出してしまいました。
二階堂の兄弟子にあたる島田は山形の出身であり、田舎の期待を唯一人で背負いながら闘っています。
僕も秋田の出身なので、島田は特別な目で見てしまいます。
どんな競技であれ、地方からプロになった人というのは、その田舎では神童のような存在なんです。
それが都会やプロの道に来たら自分よりも圧倒的な実力がある者がゴロゴロいるわけです。
東京出身の人には無い緊張感や責任をもって島田は闘っています。
山形出身の唯一の棋士であり、勝っても負けてもずっと取材に駆けつけてくれる昔なじみの人たち。
自分に将棋を教えてくれた人、子どもの頃の自分と指してくれた人々。
地元の駅には名人になることを願う横断幕が何年も掲げられています。
そういう期待をすべて一人で背負っている島田が僕は尊敬します。
あなたもきっと読み進める中で好きになる登場人物に出会えるはず!
自分だけじゃなく、他者の期待や気持ちを背負った者が強くなれる!
澪や島田がそれを体現しています。
自分だけのために何かをしているうちは自分に甘くなりがちです。
誰かのために報いたいという気持ちが芽生えた瞬間に、競技者というのは強くなれます。
川本家の人々を背負い始めた澪が今後どんな強さを見せていくのかが楽しみでなりません。(守形レイジ)


