
『恋と軍艦』最新4巻を配信記念!!西炯子先生×鏡リュウジ先生が対談!

『恋と軍艦』最新刊 を 先行配信

シリーズ紹介
西炯子先生 × 鏡リュウジ先生 対談
中1女子のフレッシュな恋を描く『恋と軍艦』を「なかよし」で連載中の西炯子さん。 「ずっと憧れの方でした」という心理占星術家の鏡リュウジさんとの対談で、その創作の裏側が明らかに。ホロスコープから浮かび上がる、お二人の意外な共通点にも注目です。
鏡 西さんは占いがかなりお好きなんですよね。
西 中毒です(笑)。一番はまっていたのは今から15年くらい前なんです。私はこれからどうなるんだろう、っていうよるべない気持ちになっている時で。
鏡 精神的につらいような時期だったんですか?
西 そうなんです。恋愛のことも、仕事のことも、いろいろと厳しいなあと。鏡さんの占いは雑誌でも携帯サイトでもずっと拝見していたので、今日は憧れの方にお会いできてすごく嬉しいです。
鏡 ありがとうございます! 西さんの作品を拝読すると、社会の中でとか、男女の間でとか、人間関係の機微をかなり繊細に描かれている感じがするんです。でも占いは、細かいところまで書いてしまうと、一人ひとり事情が違ってきてしまうので、あまり踏み込んで書くものではないんですよ。だから繊細な表現のエキスパートである西さんが、占いに何を期待されているのかなあと思っていました。
西 うーん。つらい時って誰かの言うことを信じてみたくなりますよね。私の場合はそれが占いであり、鏡さんの言葉なんですよ。
鏡 表現のエキスパートとして、という感じではなく見ていらっしゃるんですね。なるほど。
故郷の人間関係は、マンガを描く基本になっています

鏡 「なかよし」で連載されている『恋と軍艦』、西さんの作品の中で僕は一番楽しく読んでいます。僕にはとても読みやすいんですよ。
西 ありがとうございます!
鏡 『娚の一生』もとてもおもしろかったんですが、30代の女性にとって、50代のおじさんが白馬の王子様なのか!というのがかなり衝撃的で……。
西 そうですよね(笑)。
鏡 『恋と軍艦』は中学生の女の子がすごく年上の町長さんに恋をする、というお話ですよね。舞台は西さんの故郷がモデルになっているんですか?
西 そうですね。鹿児島の小さな町です。故郷の人間関係というのが、マンガを描くうえでも基本になっていて。住んでいる人がみんな顔見知り、というのが私にとっての普通の町の状態なんですよ。おばあさんの代からみんな知っている、とか、なんとなくいつもお互いを見ていて、大丈夫かなって心配をし合っている、というような。
鏡 社会の構造が親戚関係のようになっている。
西 そうですね。『恋と軍艦』はそういう社会に、都会から女の子がやって来て、いままでとは違う人間関係にふれ、こんな社会があるのか!と驚くという話です。
鏡 読者にとっても、この作品で初めて知ることが多いと思いますよ。
西 子供はいろんなこと知りたいですし、知るのはいいことですよね。私は……なるべく知りたくないですけど(笑)。
鏡 そうなんですか(笑)。
西 最近はテレビも見ないですし、ラジオもあまり聴かなくなりました。本当に音のないところにいてずっとマンガだけ描き続けても平気なんですよ。できるだけなにもないところでじーっと座って、ひたすらマンガを描いていたいなあと。
鏡 そうですか! 僕なんて、お芝居を3時間観るだけでも、座っていられるか心配なのに。でもちょうど漫画家さんとご一緒したのですが、確かに彼女は3時間なんて余裕とおっしゃっていましたね。
西 そうだと思います。私は一日17時間座っていられます。
鏡 すごいなあ。西さんは海外旅行にもよく行かれるそうですが、その時は日本の情報はカットするんですか?
西 そうですね。今はネットがあるから、日本から離れていてもリアルタイムでなんでもわかってしまう。大体旅行者はみんなWi-Fiが使えるところに集まっていて、友達と連絡をとったりしていますよね。
鏡 ネットしに海外に行ってるのか、みたいな(笑)。
西 せっかく、今ここにいるのに。私も一応仕事のためにパソコンは持って行きますけど、できれば開く機会はないほうがいいと思います。
鏡 旅先でインプットしたことが創作に生きる、ということもあるんですか?
西 うーん、直接的にという感じはないですね。創作自体は「自家発電」です。
鏡 それを「才能」という(笑)。
西 いえいえ、小さいころからの習慣というか……田舎で暮らしていたことが大きかったと思う。本当に、ひたすら雲と川と山と海しか見るものがなかったんですよ。そういうところで何か読みながらぼーっとしようと思っても、本屋さんは遠いし、図書館には読みたい本はない。それで、じゃあ自分で描くか、と。自家発電する習慣が身に付いたんだと思います。
まだ足りない、という気持ちがなかなか消えない

鏡 西さんのホロスコープを見せていただきました。
西 ありがとうございます!
鏡 いくつか特徴があるんですが、太陽がほかの星とほとんど角度を作っていない、というのは僕のホロスコープと同じだったんですよ。
西 そうなんですか!
鏡 ええ。仕事とか、何かをどれだけやっても自分のアイデンティティとかクリアな価値観みたいなものが見えない、という感覚はないですか? 自分はまだできていない、何者にもなり切れてないっていう気持ちがずっと続いていくというような。
西 ……すごい。その通りです。まだ足りない、まだ足りないって思ってしまう。私、行動の軸が「社会」になりがちなんですが、まだまだ社会の役に立てていない、といつも思ってしまいます。
鏡 マンガを描いてること自体が社会の役にたっているとは思わない?
西 うーん。そうありたいとは思うんですが……まだ足りないと思ってしまう。はっきりと人の役に立つことでないと、評価された気にならないんです。
鏡 僕もね、その「足りない」という気持ちが強くて、占星術家の大先輩に相談したことがあるんですよ。そうしたら「道の途上にずっといることをエンジョイしなさい」って言われて。
西 ほおおお……!
鏡 これは違う、これも違った、ってぐるぐるとらせんの道みたいなものを歩いていくこと自体を楽しめ、と。
西 確かにらせんですね。頂上というか、目指す目標が昔からはっきりしない。だから、編集さんに明確に目指すものがあって、それを私にも要求してくれると、頂上を一緒に見たいと思えて楽なんです。
鏡 一人だとずっと同じところに留まっている感じがするんですよね。別の人に、違うエリアがあるんだっていうことを教えてもらうと息ができる、というか。
西 そうです。そっちの世界があったのね、って。『恋と軍艦』は本当に編集さんにひっぱっていただいていて。私には子供の読むものを描くメソッドがなかったので、今までの私ではできない物語の展開ができるんですよ。あ、こう展開するとこうなるんだ!って日々発見があって、描いていてすごく楽しいです。広い世界を知っている方に導いてもらって歩くと、知らなかったいいものが見れたりする。
鏡 ああ、それはとてもありがたいことですよね。あまりにも「先生」みたいに偉い感じになってしまって、意見を言ってくれる編集さんが減っていってしまっては困りますから。
西 本当にありがたいです。でも今鏡さんがおっしゃった、途中にいること自体を楽しめばいいというのは、すごくいい考え方ですね。うかがえてよかった!
今年、家庭を持つかもしれない……?
西 今回鏡さんが『星のワークブック』の「相性編」を出されるということで、編集さんから「どなたか相性を見てほしい人がいれば言ってください」と言われていたんですが、誰も思いつかなかったんですよ。あんなに占いを一生懸命やってきたのに、人との相性にはまったく頓着してこなかったことに気づいてしまった。
鏡 おお、そうですか。
西 私の人生に私しか登場していない、という。
鏡 エッセイのタイトル『ひとりで生きるモン』に象徴されるような……。
西 そうでございます(笑)。でもずっとひとりでいていいものか、とは思っているんですよ。実は今年、家族ができるのではないか!? とドキドキしていまして。
鏡 そうなんですか?
西 鏡さんの、2013年の総括のような占いで、「今年は結婚の運気がめぐってくる」みたいなことが書いてありまして。
鏡 確かに、山羊座は今年の後半からは出会いの年だ、と書きましたね。
西 これからいきなり誰かが現れて、私、家庭を持ったりするのかなあ……と考え始めてしまって。今のところ、そういう人はまったく思い当たらないのですが(笑)。
鏡 うーん、そうかあ……年下の男性とか、合いそうだと思いますけどね。西さんがすごく年上のおじさまにさらわれてしまうのはちょっと嫌だな、というのもあります(笑)。でも西さん、すごく忙しいからなあ。出会いを作るのが難しそうですよね。
西 うーん。じゃあとりあえず、散歩にでも出るところから始めてみます(笑)。
プロフィール

西 炯子 Keiko Nishi
鹿児島県生まれ。1986年デビュー。『娚の一生』は110万部を突破。現代の働く30代女子の求めているものが全てつまった代表作に。『姉の結婚』『恋と軍艦』のほか『なかじまなかじま』を、また地元鹿児島の南日本新聞でも好評連載中。
鏡リュウジ Ryuji Kagami
1968年京都生まれ。心理占星術研究家・翻訳家。学生時代から占い記事を執筆。本誌をはじめ、幅広いメディアで活躍中。簡単に相性が読み解けるアプリケーション付き書籍『鏡リュウジ 星のワークブック【相性編】』(講談社)が最新刊。
(左)鏡リュウジさん、(右)西炯子さん




