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Serendipity ~偶発的な出会い~ vol.42 女社長の「夫婦のカタチ」

※本記事は2012.7.2時点のものとなります。

芸能プロダクション「タイタン」の社長として爆笑問題をブレイクさせ、現在は複数の会社を経営している太田光代さん。パワフルに活動し続けるその原動力は、子供のときに思い描いていた、意外な(?)夢とつながっているのだとか。全力で仕事に向かい合ってきたビジネスパーソンとしての心得も伺いました。

敏腕社長が誕生するまで

実は私、20歳そこそこまで、専業主婦志望だったんです。小学校4年生まで医者になろうと思っていたんですが、経済的に現実的ではないと気づいて早々にリタイア。その次に目ざしたのが“お嫁さん”。思い描いていたのは、“年上で、ある程度稼いでいる男性と結婚して、ダンナさまのために家のことを一生懸命やる。30代になったら毎日きものを着て、ダンナさまが帰宅するときには玄関で三つ指をついてお出迎えする”という生活。料理学校に通ったり、母のフェースクリームをくすねてお肌のケアをしたりと、お嫁さんとして“高く売れる”よう努力もしていました(笑)。


それがどこでどうなったか、私自身がタレントの仕事をしていた23歳のとき、爆笑問題の太田光と出会ってしまいまして(笑)。当時は仕事をすることの楽しさも覚え始めていたころでしたが、27歳で芸能プロダクション・タイタンを立ち上げて社長になったのは、行きがかり上。20代なかばで太田と結婚したものの爆笑問題には仕事がなく、かといって太田は“ふつうの仕事”ができる人間ではない。「芸人として頑張ってほしい」という気持ちから、「私がやるしかない!」と立ち上がったんです。経験もないし、当時はまだ珍しい女社長。周囲から反対も受けましたが、それしか道がなかったんですよ。とりあえず3年、芸人として頑張って、ダメだったら小説か何かを書いてもらって、それもダメなら、まぁひとりくらいは食べさせていけるかな、という覚悟でした。

がむしゃらに働いた30代

それからというもの、爆笑問題をメジャーにしたい一心で、営業活動から事務仕事まで、とにかくがむしゃらに働きました。さらに、経理などを含め会社というシステムをつくっていくことは、想像以上に大変な作業。そのまま30代に突入し、40代になるまでは忙しすぎて、記憶がほとんどないくらいです。ただでさえ体力の衰えを感じ始める年代なのに、案の定、30代なかばで体にガタがきて胃がボロボロに。ガリガリにやせて、お医者さんには「これといった病気じゃないけれど、このままだといつ過労死するかわからない」と言われました。ついでに「あなたが今、死んだら、ダンナさんはすぐに若い女の子と結婚するよ」と。それがすごくイヤで(苦笑)、自分で自分をケアしていかなければ、と強く思うようになりました。


リフレッシュをすすめられて手始めに、無理やり休みを取って夫婦で2泊3日の旅行に出かけてみたんですが、当時は余裕もなく仕事が気になって結局イライラ。太田とケンカする始末。そこで、働きながら自分をメンテナンスできるものはないかと探したところ、私の場合はしっくりきたのがハーブティー。特にどくだみブレンドのハーブティーが体に合うようで、打ち合わせのときや、夜、お酒を飲んで帰った後など、1日に1ℓくらい飲むようになりました。ちょうど会社設立から10年ほどたってスタッフも増え、経営が軌道に乗ってきたこともあったのでしょうか、すっかり胃の調子もよくなり、体のむくみも感じなくなりました。ハーブティー以外にも、自宅や職場に花が一輪生けてあると、どんなにクタクタに疲れていても、ほんの一瞬、目が留まっただけで、気持ちにゆとりが生まれることってありますよね?人によって方法はさまざまだと思いますが、仕事でいっぱいいっぱいのときはそうやって少しずつでも、気分転換したりリラックスして、自分をメンテナンスしていくことが大事だと実感しています。

なんのために働くのか、その“軸”は…

それでも、1年に1度くらい「仕事なんてもう、辞めてやる!」と思うことがあります。それはたいてい、太田とケンカしたとき。もともと仕事は好きだし、ストレスを感じるようなトラブルが起きてもなんとか乗り越えられるんです。でも、私の根っこには幼いころの専業主婦願望と変わらず、“ダンナさまのために働く”という意識があるのかもしれないですね。もちろん、仕事上で闘うべきときは闘いますよ。でも私はもともと子供っぽく、構ってもらいたいタイプ。出会ったころは太田もヒマだったから一緒に遊んでくれていたんですが、あっちは知らない間にオジサンになっちゃって…。例えば私が「かくれんぼして遊ぼうよ!」と誘っても受け流されてしまったり(笑)、夫婦としての些細な不満がたまって爆発すると、「私はいったい何のために、こんなに一生懸命やってるの!?」となる。…まぁ、仕事を1日ボイコットして冷静になると、仕事に戻りたくなるんですが。


仕事はもちろん大切だけれど、人は最終的に、家庭に戻っていきますよね。よく、夫が定年を迎えたものの、奥さんは家庭とは別の楽しみを見出していて、夫はすることがなくてガックリきてしまう、という話を聞きます。うちはいわゆる会社員の家庭とは違うけれど、“仕事仲間”としての関係ばかりが先行して、“夫婦”という関係がこれまでおざなりになりがちだったという意味では同じこと。私自身も50代を目前に控えて、40~50代のうちから、夫婦一緒に楽しめる何かを見つけておくことが大切だと考えるようになりました。近ごろは出不精なダンナを根気よく口説いて、短い旅行に連れ出す気力もわいてきたところ。半年ほど前にふたりで乗船した、「にっぽん丸」のワンナイトクルーズ(神戸・横浜間)は、お食事も船内のイベントもとてもステキでした!

今は夫婦で長期のお休みを取るのは難しく、海外旅行もままならないので、60歳になったら世界一周クルーズに行こうと約束しています。でも、仕事の夢もまだまだいっぱい。タイタンのほかに、通信配信事業や映画製作会社、ハーブ・アロマ専門店、生花店など、いくつかの会社を経営していますが、それらはすべて人を楽しませ、リフレッシュしていきいきとさせるもの。いずれレストランシアターのような形で、夫を含めた芸人が舞台に立ち、映画や動画を配信し、テーブルにはキレイな花が生けてあって…、という、それらを集約させた場もつくりたい。でも、60歳まであと12年しかないんですよね? それまでに仕事がひと区切りつくのか、最近ギモンに…。世界一周クルーズ、行けるかな(笑)!? 

Text/Akiko Sakai(Staffon)

太田さんの素顔を拝見!

少女時代を彩った2冊

『江上トミの家庭料理 今夜のおかず』/ 江上トミ(著)/ 大門出版

『あしながおじさん』/ J・ウェブスター(著) 松本恵子(訳)/ 新潮社

「医者になることを目ざしていた小学2年生のとき、初めて買った料理の本が『今夜のおかず』。科学実験感覚で料理にも興味をもち、辞書っぽい装丁のこの本を購入。全5巻を熟読しました。初めてつくった料理は串カツ! 母の留守中にこっそりつくって危ないと怒られました(苦笑)。今でもときどき、この本を見返して料理します」


孤児院で育った少女・ジュディが綴る手紙で構成されている『あしながおじさん』は、幸せを感じられる一冊。何度か読み返していますが、恵まれない境遇でも小さなことに感謝を忘れず、前向きなジュディの姿に元気づけられます。ジュディの手紙の世界観もかわいい」

時間を越える2冊

『リプレイ』/ケン・グリムウッド(著)/新潮社

『ある日どこかで』/リチャード・マシスン(著)/東京創元社

「中学時代くらいに、星新一や筒井康隆などSFファンタジー系の作品を読み始めたんですが、大人になってから“特に面白い!”と思ったのが、この2冊。人生を“リプレイ”する男性の物語『リプレイ』と、恋する人にひと目会うため時間旅行を試みる男性のラブストーリー『ある日どこかで』。どちらもグッと引き込まれました」

自分をメンテナンスする1冊

『薬草魔女のナチュラルライフ』/ガブリエレ・ビッケル(著)/東京堂出版

「もはや私の生活には欠かせないハーブ。この本には、ハーブティーだけでなく、お酒やオイル、入浴剤のつくり方、マッサージ法など、さまざまな取り入れ方がやさしく書かれていて、とても勉強になります」

読書のおとも

「本は仕事を終えて、帰宅してからじっくりと。そのときの気分や体調によって種類は異なりますが、ハーブティーを飲みながら読みます。スッキリした頭で読みたいときはペパーミントやレモンバームのブレンド、ハーブティー初心者ならローズヒップやハイビスカスのブレンドもオススメです」

Profile

太田光代(おおたみつよ) 芸能プロダクション「タイタン」代表取締役

1964年生まれ。モデル・タレント活動を経て、爆笑問題・太田光さんと結婚。27歳のとき芸能プロダクション「タイタン」を設立し、爆笑問題をブレイクさせる。タイタンのほか、通信・配信会社やハーブ・アロマ専門店「ウィッチムーン」、生花店「アリエル」なども経営。10月26日、27日には赤坂ACTシアターにて、100回目となるタイタンライブ「TITAN LIVE 100th anniversary」を開催。爆笑問題ほか多数の豪華ゲストも出演予定。

※取材は「ウィッチムーン」新百合ヶ丘店「キューピット・ハート」で行われました

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