
『せいふく!』著者、あっつんインタビュー

【大人気シリーズ『せいふく!』のご紹介】絶賛配信中!
『描くたびに増えていく、フェチ』作家・あっつんさんインタビュー
Reader Storeのランキング上位に突如現れたコミック『せいふく!』。"あっつん"という、名前以外何もわからないマンガ家のデビュー作であり、誰も予想していない登場シーンとなりました。高校を舞台にファッションとフェチと恋愛が交錯する作品を描いたのは、まだ23歳の男性。これからの活躍も期待させる作者に、マンガ家になったきっかけから自らのフェチ話まで伺いました。
◆マンガ家になる予定ではなく、なっていった過程とは?

あっつん:担当編集さんから連絡をいただいたんですが、まったく実感が沸かなかったですね。まだ紙の本にもなっていない状況でしたから。ブックウォーカー以外のサイトでも販売を始めると言われていたので、売っているのは知っていたんですが、ランキングの結果には驚きました。
・・・第一作目でこれはすごいことだと思います。マンガ家には昔からなろうと思っていたんですか?
あっつん:実はそうでもなくて、マンガを描き始めたのは21歳くらいからなんです。絵は18歳から始めて、高校一年生まではサッカー部。当時の夢はサッカー選手でした。とはいえ、絵を描くことは小さい頃から好きでした。
・・・マンガやアニメもお好きだったんですか?
あっつん:マンガは好きでずっと読んできましたね。
・・・いちばん印象に残っているマンガは?
あっつん:ベタなんですが、『ドラゴンボール』と『スラムダンク』です。いま23歳なので、連載ではなく単行本です。マンガはずっと「週刊少年ジャンプ」派。いま描いている絵柄は、イラストレーターになろうと思って入った専門学校時代に描き始めました。仕事を取るにはどうしたらいいんだろうと考えて、今のような女の子を描き始めたんです。
・・・サッカーの毎日から、絵やマンガに切り替わったきっかけは?
あっつん:自分の身近な人の職業を調べるという学校の宿題で、アニメの背景を描いている叔父に会い、話を聞かせてもらったその日に絵を描いていこうと決めました。携帯で写真を撮りまくって、帰ってずっと眺めてたなー。イラストレーターになると言うのが恥ずかしくて、画家になると言って1週間後にサッカー部を辞めました。イラストレーターではなくマンガ家も考えたんですが、マンガのストーリーを考える力はないなと…。
・・・周りにそうした環境があったんですね。イラストレーター志望からマンガ家へは?
あっつん:結局イラストレーターとしてゴハンを食べる才能もなく、就職活動もダメ。卒業間近でどうすんだとなり、とりあえずアシスタントになって食いつなごうと思ったんです。そんなときに、学校にある求人で角川コンテンツゲート(現・ブックウォーカー)のマンガ家募集を見かけて、イラストだけでもいいと言っていただき、マンガ家の第一歩が始まりました。そこからマンガとして出せるようになるまで1年くらい、キャラクターデザインとかストーリーの組み立て方とか、みっちり教えてもらいました。
◆描けば描くほど自分の中のフェチが増えていく

あっつん:『せいふく!』と似ていて、服にまつわる部活の話ではありました。服を描きたいというのは始めからあって、他の作品でもその設定を見なかったので、いいなと。
・・・先ほど『スラムダンク』や『ドラゴンボール』のお話が出ましたが、お好きなものと描いているものがだいぶ違いますよね。
あっつん:専門学校時代のアニメやマンガ好きの友人たちに影響されて、萌えアニメなどにふれていくうちに萌え系も好きになってきたので、今の絵に自分では違和感はないんです。
・・・なるほど。服の話を描きたいところから始まって、このマンガの大切なポイントである貧乳と巨乳の設定はどこからでてきたんでしょうか。
あっつん:キャラクターデザインが先ですね。キャラ一覧を描いて、編集部と相談しながら決めていった部分はあります。言葉で表現して、それを絵にするという。
・・・そもそもなのですが、“制服フェチ”なんですか?
あっつん:フェチ、ですね。男子校だったので、女子高生への制服の憧れはたまりますよね。文化祭はかなりはしゃぎました(笑)。たぶん男子校に行ってなかったら、マンガ家になっていなかったと思います。恥ずかしさもあっただろうし、モテたいがためにサッカーを続けていたんじゃないかな(笑)。ただ、おかげで妄想力はものすごくつきました。
・・・男子校特有の空気ありますよね。作品の中で自分の好みの子というと?
あっつん:ヒロインのふたりですね。3次元の女性の好みも一緒。

あっつん:貧乳がいいと思うようになったのは、『せいふく!』を描いたせいです。貧乳なんてと思って描き始めて、でも描くために貧乳の何がいいのか、貧乳とは何かを調べ始めたら、いつの間にか好きに…。主人公が貧乳について賛美する件は、まさに自分が思ってることをそのまま描いてます(笑)。「反ったのに!」とか(笑)。ラインの美しさですね。描くたびフェチが増えて、だんだんフェチの塊みたいになってきてます。自分で自分を変態にするつもりかっていう。中高時代の友だちに普通に話すと気持ち悪がられるんです(笑)。女の子には、描いたマンガ見せられないですもん。でも、飲みの席で「貧乳が好きになってきた」というと、女子からけっこう称賛の拍手をもらったりするんですよ。その後「巨乳も好きだけど」っていうと、ふざけんなって怒鳴られますけど…。

あっつん:表情ですね。特に照れた時の顔。キャラクターの個性をもっと際立たせたいと思っています。普通の人が出てこないんですが、これからも変わったキャラを出し続けたい。
しかし、2次元でのオシャレは難しいですね。3次元でカッコイイと思うファッションをそのまま絵にしても全然画面映えしないんです。現実には奇抜だと思うようなものを描かないといけない。自分が好きな無地でシンプルな格好はどうも地味になっちゃう。
・・・そうすると、わりとシンプルな服を着ることが多いヒロインのふたりは、自分の好みが反映されているんですね。リアルな女性だと、好みのタイプはどんな女性ですか?
あっつん:戸田恵梨香さんです。とにかく顔が好み。いろいろ変遷はあったんですが、巡り巡って結局戸田さんに戻ってきます。あ、あとは田中美保さんも好きです。黒髪のショートが好きなんです。茶髪だったらロングで巨乳がいい。まんまふたりのヒロインの造形ですね(笑)。でも、描いているとその属性が好きになるというのはあります。だからあんまりロリっ子を描き続けると危ないですね…。二次元の女性キャラだと『I's』も好きでしたし、『ラブひな』のなるとか、エヴァのアスカも好き。
◆辛い。けど、描きたい。

あっつん:いやー、大変でした…。体がボロボロです(笑)。整体でどうにか体を保たせつつ、コーヒー飲み過ぎなのか胃はもうずっとダメですね(笑)。
・・・辛そうですね…。そんな辛いなか、自分が描いていていちばん楽しいのは何を描いているときですか?
あっつん:女の子は楽しいですよね。ヒロインふたりは特に。個人的には男をもう少し描きたいのはありますけど、そこは読者の求めるものを描いていかないと(笑)。
・・・マンガ家という職業はどうですか
あっつん:描くこと自体は基本的に辛いです(笑)。だから、ランキング1位になったのは、ものすごく励みになりました。初めての連載で忙殺されて、私生活では何もいいことないですから…。会う人も担当さん(男性)くらい。しかも担当さんが、胸が接触したときの形の変形とかにすごくうるさい。というかすごくこだわりがある人なので、打ち合わせもそんな話ばっかりだったりするんですよ…。 息抜きは服を買いに行くことぐらい。15歳くらいからずっと同じ店に通っていて、その店長に愚痴を言うのがストレス解消法(笑)。最初は僕の地元のお店にいた方なんですが、その後、勤務地が変わって調布にいき、なんと今は川越に。その店長と会ってなかったら服も好きになっていないし、『せいふく!』を描くこともなかったでしょうね。だからすごく感謝しています。
・・・今後の『せいふく!』は?
あっつん:ヒロインのふたりと主人公の恋愛を進めていきたいですね。2巻も出て、登場人物たちも徐々に心境が変化してきているので。とはいえ、バカなことも描き続けていきたいと思っています。
Text / Hiroyuki Yamaguchi
Profile
あっつん マンガ家

1989年、埼玉県生まれ。2010年「せいふく!」にてプロ漫画家デビュー。
電子ならではの魅せ方を意識した、表現や構成を駆使した同作品は各電子ストアで大ヒット。
更に紙での書籍もヒットを飛ばす。
「紙」主体ではなく「電子」主体で成功した例として、デジタルコミック業界で今最も注目を浴びている作家の一人である。








