iciさんのレビュー
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国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源(下)
ダロン・アセモグル, ジェイムズ・A・ロビンソン, 鬼澤忍 / 単行本
上巻よりおすすめ
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脱植民地化を経てもアフリカに収奪的構造が温存される理由についてのケーススタディは興味深く、一読の価値がある。上巻よりオススメ。というか、下巻からでよい。
投稿日:2013.11.04
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帝国海軍 戦艦大全
菊池征男 / 学研M文庫
良い入門書
1
帝国海軍の戦艦は数有れど、本書では太平洋戦争に参加した金剛、比叡、榛名、霧島、伊勢、日向、長門、陸奥、大和、武蔵を扱っており、色々と丁度良いかと。各艦ごとに一章を割き、戦歴のみらなず改装内容や歴代の艦…長までを網羅しています。また巻尾の付録では砲火を交えたアメリカ戦艦の概略も乗せられており、内容を理解する上での助けとなりました。
軍事史には疎く、他との比較は出来ませんが、入門書として最適な本でした。 続きを読む投稿日:2013.10.13
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それをお金で買いますか 市場主義の限界
マイケル・サンデル, 鬼澤忍 / 早川書房
市場至上主義は是か非か
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少し(結構?)前に流行った「ハーバード白熱教室」のサンデル教授の新刊。サンデル教授の本は他に『これからの正義の話をしよう』(早川書房)と『公共哲学』(ちくま学芸文庫)を読んだが、本書はちょうどその中…間、『これからの正義の話をしよう』よりは硬く、『公共哲学』よりは分かり易い。なので順番としては『これからの正義の話をしよう』の後に読むのが良いかもしれない。ただし政治哲学の入門書的な位置づけであった『これからの正義の話をしよう』とは異なり、本書では具体的な思想家の名前や「○○主義」といった言葉はほとんど出てこない。より身近なテーマ、命題を扱い、そのことの是非を肯定側、否定側双方の見方から紹介している。政治哲学の歴史に興味がないなら本書から読むのも良いだろう。
本書で取り扱われている問題のなかには、そのまま日本にも当てはめることができる問題もあるが、そうでない問題もまた多い。そうした問題の存在そのものから見えてくるのは、アメリカもまた極めて特殊な国であるということだ。アメリカでは今、何が問題となっているのか、何故問題なのか、そのことからアメリカ社会の一端を窺うことができよう。以て他山の石とすべし、である。 続きを読む投稿日:2013.09.27
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第二次世界大戦 1
W・S・チャーチル, 佐藤亮一 / 河出文庫
歴史書としても読み物としてもおすすめ
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チャーチル自身が第二次大戦を振り返って書かれた回顧録の抄訳。内容に関しては今更言うまでもないだろう。
原爆投下の事前協議など、つい最近機密指定を解かれた内容も、既に包み隠すことなく語られており、第…一級の史料と呼ぶに相応しい。また冷戦中に書かれたことを反映してか、ソ連とスターリンに対する視線は、当時の「敵国」である日本に対するそれよりも厳しいものになっているのが興味深い。
いくらか誤訳や一般的な用語とは違う訳語なども目に付く。また全訳ではないので原著との対応が取りにくく、気になった一節を英語版で確認するのに難儀した。それでも全文を英語で読む苦労とは比べものにならない。地図や図版などに付された説明の文字が小さく拡大が効かないなど、電子書籍のメリットを完全には活かし切れておらず改善して欲しい点もあるが、本の内容を大きく損なうものではない。読み物としても面白いので、是非読んで見て頂きたい。
続きを読む投稿日:2013.09.27