ararakorara2000さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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起終点駅(ターミナル)
桜木紫乃 / 小学館
北海道に行きたくなる
6
辛かったり、寂しかったり、厳しい境遇にあっても桜木紫乃の描く女性はいつも逞しい。しぶとくて強くて、そして魅力的だ。
冒頭に描かれている季節感、情景で一気に引き込まれる。
どの作品も、大上段に斬り込ん…でくるのではなく、静かに心を動かす味わいがある。その感じがとても好きだ。
「人の生き方、死に方」人それぞれだけれども、どれも考えさせられる。そして、ほんの少しさす光がある。
まだ三冊目だけれども、好きな作家が一人増えたと確信できる。 続きを読む投稿日:2015.10.09
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三人の悪党~きんぴか(1)~
浅田次郎 / 光文社文庫
とにかく面白い
3
恥ずかしながら、浅田次郎を読むのは初めてです。純文学の偉い先生のイメージでした。
ところがドッコイ、少しどころかだいぶ変な愛すべき三人の悪党の話。
主役たちはもちろん、いろいろな登場人物がみんな面白…い。自然と笑いがこみ上げてくる。三人それぞれの異質なエピソードからできているので全く飽きない。
笑いも涙もあり気分爽快、元気が出てくる。
あー、もう終わってしまった。次に行こう。 続きを読む投稿日:2016.01.12
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後悔と真実の色
貫井徳郎 / 幻冬舎文庫
長い労作
2
殺人事件が起きる滑り出しに引き込まれたが、前半はのりが悪い。
一転して、犯人「指蒐集家」が現れてから俄然面白くなる。
「慟哭」に迫るかと思ったのもつかの間、主人公の個人的なスキャンダルで失速し、またも…混沌。それでも終盤は盛り返し、面白く読むことができた。
冗長というには忍びないが、長い。
刑事の面々は興味深いが、数が多すぎる。最後の誘拐事件も不要ではないか。もっとコンパクトにすれば切れ味鋭い作品になり得たと思う。 続きを読む投稿日:2015.04.04
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リピート
乾くるみ / 文春文庫
うーん
2
読んでいて、なんだか面白くない。
なぜだろう。リピートするまでの前置きが長い。せっかく過去に遡れるのにワクワク感がない。ありきたりで主人公に魅力がない。
リピートしたら唐突に次々と人が死んでいくし、主…人公は簡単に殺人まで犯してしまう。ラストも含め、さすがにそれはないだろうという展開。
私の読解力の無さが原因かもしれないが、ガッカリ。
「イニシエーションラブ」は面白かったけど。
続きを読む投稿日:2015.03.11
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小さいおうち
中島京子 / 文春文庫
日本の良さ
2
映画化されて知り、手にとった。昭和初期の中流家庭の日常描写がリアルで興味深い。戦前の東京で、現在よりも物心両面で豊かな生活を送っているのには驚かされる。静かな展開に品の良さを感じる。とても良い作品だと…思います。
続きを読む投稿日:2014.12.04
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クライマーズ・ハイ
横山秀夫 / 文春文庫
力作なのか?
1
旧態依然とした地方新聞社内の人間関係や、縄張り争いを絡めて日航機墜落事故を描いている。しかし、主人公や他の記者達の常軌を逸した言動等、読んでいて不快感しか湧いてこない。うんざりする社内の確執、派閥争い…を延々と語られても、巨大航空事故の前では邪魔にしか感じない。中盤からは読むのが嫌になった。
著者の多数の警察物を大変面白く読んでいたので、こんな気分になるのは初めてだ。
日航機墜落事故を題材にする必要があったのだろうか。最後まで、なぜこの作品の評価が非常に高いのか解らなかった。 続きを読む投稿日:2016.04.19