yuki-19-suscさんのレビュー
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悪霊 1
ドストエフスキー, 亀山郁夫 / 光文社古典新訳文庫
悪の力
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19世紀を代表する巨匠ドストエフスキーの長編。彼がこの作品で述べているのは、人々が神を信じれなるにつれ、悪の力が暴走し、民衆を大混乱に陥れるという予言である。それは、あの2つの世界大戦で現実のものとな…る。
翻訳は佐藤優氏推薦の亀山郁夫。毎巻末のブックガイドでは現代人になじみの薄い背景など解説されており、理解を深めることができる。 続きを読む投稿日:2014.06.11
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高野聖
泉鏡花 / 角川文庫
日本文学界の巨星
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泉鏡花の作品群は日本の明治文学のなかでも抜きん出でている。多くの読書家、知識人からも愛読されている。しかし、いざ青空文庫の無料版をダウンロードしても、殆ど内容が理解できない。当時と現代では、時代背景…、使われる言葉が大きく違っているからだ。
本書は、鏡花の『外科室』、『夜行巡査』、『高野聖』などの名作に適格な注釈(ワンクリックで行き来できる)を補い、鏡花の独特の文体と内容や時代背景を同時に楽しめるよう編成されている。鏡花の世界観に浸り込むことが出来る。
次は『日本橋』、『天守物語』など期待したい。 続きを読む投稿日:2014.10.02
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変身
カフカ, 川崎芳隆 / グーテンベルク21
衝撃のラスト
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主人公に突然訪れる「変身」。それをきっかけに、家族に起こる諸騒動。前半のコメディから始まり、ユーモラスかつやたらと緻密な「変身」後の主人公の描写から後半の家庭内の亀裂、そして予想外のラストへと短いなが…ら読ませる名作。
現在、家計を支える人間が、再起不能になったとき、その家庭がどうなっていくかがよく分かる。 続きを読む投稿日:2013.12.27
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父と子
ツルゲーネフ, 佐々木彰 / グーテンベルク21
余計者
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ロシア文学でよく、モチーフにされる『余計者』とは、才能、教養が有るにも拘らず、社会的地位、名声を得ることができない人のことを言います。本作では、ニヒリストであるバザーロフが余計者として描かれています。…全てを否定するニヒリズムとオジンツォーヴァへの純愛が彼の中で相反し、彼を翻弄させ、苦悩へと導いていく。思想の危険性を描き出した傑作。
また、本書は日本語でのディベートのテキストとしても有用。 続きを読む投稿日:2014.01.17