Butterflyさんのレビュー
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進撃の巨人(13)
諫山創 / 別冊少年マガジン
闇雲な戦いが終わり、物語は新たなフェーズへ
2
前巻の死闘からの引き上げから始まる13巻は、
過去数巻のファクトを振り返ることが主眼となっている。
エルヴィンやハンジ、ピクシス、リヴァイが中心となり、
既存の知識に対した新たな事実を組み合わせて仮説…を打ち立てる。
それは読者の間でも漠然と共有されていたものをハッキリと意識させる結果を生む。
キャラクターでいうと、相変わらずヒストリアの二面性が興味深い。
博愛と献身のクリスタを演じる虚無的なヒストリア。
だが、誰からも愛されるクリスタに不気味さを感じ、
ヒストリアを正直だと評価するのがエレン。
また、女装したアルミンで何かに目覚めてしまったオッサンなど、
ニーズをふまえたサービスを忘れないあたりに、
今まさに乗りに乗っている著者の余力を感じる。 続きを読む投稿日:2014.04.17
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俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している
春日部タケル / 角川スニーカー文庫
脇役のディティールがよい
1
会話芸のテンポが良好で楽しかった。
定番のハーレム要素を柱にしつつ、奇行のため女性に敬遠される主人公。
ヒロインたちは、毒舌、役立たず、幼稚、推定体重3ケタの中年婦人など幅が広い。
間接的に登場するヒ…ロインの母親の扱いがかなりとんでもない。
文章が簡潔で、枝葉の過剰な表現に頼りがちなギャグものラノベとは少し雰囲気が異なる。 続きを読む投稿日:2014.01.08
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甘城ブリリアントパーク1
賀東招二, なかじまゆか / 富士見ファンタジア文庫
良い意味で結構オッサン臭い
1
ラノベ的なファンタジーの世界と、カネ勘定が同居してる作品。
ミッションのためにあえてヨゴレ役を演じる主人公は、むしろ苦労してる社会人の共感を呼ぶ気がする。
コメディ作品ではあるけど、遊園地経営を見る細…かな視点とか、かなりきちんと取材しているようだ。
これ、しっかりと面白いよ。 続きを読む投稿日:2014.10.07
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甘城ブリリアントパーク2
賀東招二, なかじまゆか / 富士見ファンタジア文庫
オッサンが牛耳りつつあるストーリー
1
加速してきている。
経営の建て直しについてはオーソドックスというかまっとうなのだけど、そこに挟まるエピソードがすごい。
元AV女優の登場に動揺する主人公や、
薬のせいで本音をぶちまけるいすず達の落差も…かわいい。
モナピー(パッフユアセルフ)の回数を聞き出すためにいすずに一服盛るマスコットや、
10年余りもニート生活に入り浸っていたマスコットの生々しいディティール(ほめ言葉)の破壊力は、
筆者の筆力あってこそだろう。
いじられキャラクターとしてのいすずの才能が開花しつつあるが、この先どうなるのだろうか。 続きを読む投稿日:2014.10.08
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進撃の巨人(18)
諫山創 / 別冊少年マガジン
リヴァイが敵に襲い掛かる数ページの緊張感たるや…
0
基本的には、来る決戦に向けた準備の巻なのだが、
リヴァイが止めを刺すべく敵に切りかかり、そしてしくじる数コマの緊張感は素晴らしい。
希望と絶望、生と死の対比。
今回もいいものを読ませてもらった。投稿日:2015.12.09
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日本の武器で滅びる中華人民共和国
兵頭二十八 / 講談社+α新書
「こんなに弱い中国人民解放軍」の流れを加速。台湾に対する認識が貴重
0
兵頭氏の著作としてはおそらく一番売れたと思う「こんなに弱い中国人民解放軍」を下敷きに、
中共をいかに安く、手を汚さず、着実に滅亡させるかという手法を解説する本。
中共の沿岸は遠浅の海を抱えるため、機…雷に致命的に弱い。
そこを突いて、安価な沈底式機雷を撒くだけで、
シーレーンを絶たれて、自滅すると説く。
そしてそれを実行するのは、日本が出るまでもなく、
フィリピン、ベトナム、マレーシア、場合によってブルネイあたりの国の能力でも可能。
東南アジアで、中共の海洋進出の矢面に立たされている国の能力でも事足りる。
そんなんでいいのか!?と思うが、この意見、実は兵頭氏の独創でもなんでもなく、
アメリカ海軍大学校が過去の戦史をふまえた理論の現代的応用に過ぎないと、
自身が種明かしをしている。
あともうひとつ、なんとなく味方だと思われている、台湾の扱いだ。
上記の国の中に、なぜか台湾が入っていない。なぜか?
台湾軍および外省人が信用できないからだ。
1990年代まで、本省人は将校になれず、
外省人の将校が本省人の兵をこき使う。
こういう軍の体質はそう簡単に直るものではなく、
今でも台湾軍は将校と兵、本省人と外省人の間に根深い対立があるらしい。
台湾の政権の意思と軍のそれは別ものである。
アメリカは台湾をたやすく見捨てはしないとしても、
台湾軍をどこまで活用するか怪しい。
国軍としての規律が怪しい台湾軍は、
中共戦に際して、日本の敵ではないかもしれないが、
味方にはなりえないことを肝に銘じておいたほうがよい。
すでに台湾経済は大陸なしでは立ち行かなくなっている、
自力で中共に勝つことは叶わない以上、
外省人たちは中共と共存しつつ甘い汁を吸う事を選ぶ。
軍事機密について言えば、台湾から中共に情報はだだ漏れになっていると見たほうがよい。
アメリカも心得たもので、台湾のF16は中共への情報流出を恐れて初期型にとどめている。
また、最新のF35を台湾に売る気配はなく、
F16の改修でお茶を濁し、しかもそれが実行される気配もない。 続きを読む投稿日:2017.03.07