勝負師の条件 同じ条件の中で、なぜあの人は卓越できるのか
守屋淳(著)
/日本経済新聞出版
作品情報
◆『孫子』とは、一言でいえば戦略の本だ。自分が軍隊の将軍だったとして、ライバルの知らないような戦略やかけひきを自分だけが『孫子』から学べるなら、勝てる確率は高くなるだろう。しかし、もしお互いが同じように『孫子』を学んでいたら、こと知識の面では差がつかなくなる。
このとき、お互いの戦力も似たり寄ったりだったとしたなら、何が勝敗を決めるのだろう。指揮官の能力に焦点をあててみるなら、非常にプレッシャーの厳しい環境のなかで、人並みすぐれた洞察力や判断力、さらには学んだ戦略に対する応用力を発揮できるかどうかが、大きく問われてくるだろう。
◆筆者は、この20年間、経営者や起業家、コンサルタント、ファンドマネージャー、弁護士、会計士、政府関係者、学者、格闘家、芸術家といった方々と、複数の中国古典の勉強会を続けてきた。また、雑誌連載や単行本執筆のために、多くの経営者にインタビューをしてきた。
彼らとの対話を繰り返すなかで、「勝負師」と呼ぶべき人々にはいくつかの共通点があることがわかってきた。幅広い知識と教養を持ち、良い意味で予想の斜め上をいく、余人には思いもつかないような発想をする人々――。本書は、そうした「勝負師」たちに共通する思考と行動を、中国古典やビジネス名著を繙きながら明らかにしていく。
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商品情報
- 著者
- 守屋淳
- 出版社
- 日経BP
- 掲載誌・レーベル
- 日本経済新聞出版
- 書籍発売日
- 2023.03.24
- Reader Store発売日
- 2023.03.24
- ファイルサイズ
- 7.1MB
- ページ数
- 344ページ
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この作品のレビュー
平均 5.0 (1件のレビュー)
-
卓越した勝負師の特徴とは何か。頭を抜け出した勝負師は他の人と何がちがうのか。
孫子と孫子のぶつかり、相手にどうやって勝つか、どうやったら勝てるか。
上記の疑問に答えるのが本書です。
■勝負師
・勝ち…負けがはっきりつくような世界で、ひたすら勝ちをめざすべく執念を燃やす人
・勝負事において、沈着に状況を見すえて、大胆な手で成果をもぎ取ってみせるような人
大局観、方向性、ビジョン
■専門家に見えて、素人には見えない風景
・未経験者が気がつかないパターン
・異常性
・全体像
・状況の進行方向
・チャンスと対応
・過去の出来事と、将来おきる出来事
・細かな違い
・自分の限界
・名人の直観は7割あたっている
■卓抜な勝負師に共通する原理
・勝負が決した直後の徹底した振り返り
・なぜ負けたのか、納得するまで原因をさぐる、わかれば、負けても納得ができる
・悔しいだけでは、二流にしかなれない。勝ったときは、本当に勝ったのか。負けた時はなぜ負けたのか。それを365日続けていく
・プロセスの徹底検証、プロセスの解析と改善への徹底したこだわりを持つ。徹底的にプロセスを重視する
■長い経験を積むための2つの技法
・定点観測
・失敗の集積
平戸藩主、松浦静山の名句 「勝ちに不思議の勝ちはあり、負けに不思議の負けはなし」
■小さく負ける
・進歩するためには、挫折は必要である
・大きく崩れないために、小さく負ける、我慢できるうちは負けろ
■勝負師が当然持っている幅広い知識と教養
・どちらの領域に進むかを決める、方向性の感覚
・自己を縛っているものを知るための、自己認識
・正解のない状況下での抽象化
・ひらめきに必要な無意識
教養とは、誤った自分の常識を正すためのものさし、今までのやり方を見直すためのものさし。正しさには教養が必要
孫子 百戦百勝してもそれは最善の策ではない、戦わずして相手を屈服させることこそ、最善の策
リーダに必要な教養とは、あくまでも成果につながる教養でなければならない
名君賢将が戦えば必ず勝つのは、相手に先んじて敵情を探し出すだすからである
彼を知り、己を知れば百戦してあやうからず
自分を知ることの難しさ 老子 人を知る者はせいぜい賢者のレベル、自分を知る者こそ、明知の人である
■競争とは異なる概念
競とは、かけっこ、順番をきめる競争
争とは、タイマンでの死闘、1か0か、生き残るための死闘をいう
■敵を知る
・95%の情報は公知である
・事前にしっかり準備をしてたくさんの情報を集めた方が勝つ
・交渉にあたっては、徹底的に相手の情報を調べ上げる
・勝負師の条件とは、努力と根性に他ならない
・人の持つパターンをつかみ、相手の出方を読む
■相手を読む方法
・相手の立場に立ち、自分はどう感じ考えるのかを推測する
・相手の人格になり切って、その好悪、価値観、性格などをベースに、論理だって相手の新章風景を読み切る
■人の気持ちがわかる勝負師
・ねたみや嫉妬などの負の感情を学ぶ
・敵にいた卓越した経験者の話を聞く
・性格がわるくても、せめて仕事のときには良い人となれ
■全体の流れ、機会、環境を知る
・アイルトン・セナは6kmのコースを歩いて丹念に観察しながらチェックを行う
・かわらないもの、かわるものを知る。かわらないものがわからないと何がかわったかはわからない
・先行指標を知る ①過去から未来へと繫がりやすいもの ②変化をもたらす本質 ③あり得る未来の幅 ④先取された未来
重要なことは、すでに起こった未来を確認すること、もとに戻ることのない変化、重大な影響を知覚しかつ分析する
シナリオプランニング 主観を捨てて、客観的に未来のシナリオをパターン認識する
危機管理 天災は忘れたころにやってくる
大きな流れを感じる
薬はめまいがするほど強くなければ、病を治すことはできない
師を持てば王者になれる、苦言を呈してくれる友人をもてば、覇者となれる
君子は、協調性に富んでいるが雷同はしない。小人は、雷同はするが、協調性はない
■もう一人の己をもつという難問
・離見の見、舞台のそとからもう一人の自分として自分を見る
・いろんな立場の自分がたくさんいて、自分をみている。複数の自分を持つ
・冷静なもう一人の自分が、アドバイスをくれる
直感 感覚によって物事を捉える
ひらめき 考えや思いが瞬間的に思い浮かぶ
■もう一人の自分を持つためには
・理路を知った上での意識づけの努力
・自分の意識を広げ、相手や場を包み込む
・自分を三人称として、本や文章をかいてみる
■4つのとばし
・スコープ
・時間軸
・三人称
・世界観
10-10-10 テンテンテン 10分後、10か月後、10年後 にどうなるか
外交と諜報
そこはかとなく、伝えたいことを伝えあうのが外交
伝えたくない内面を探るのが諜報
情報担当が私心とか期待を込めると情報はゆがむ、情報担当は十分に禁欲的でなければならない、私心がはいると情報が客観性を失う
諫言は3種 師、友人、側近&部下
勝負師の条件 同じ条件の中で、なぜあの人は卓越できるのか
著:守屋 淳
目次
まえがき
I 部 「勝負師」たちの土台――当たり前だけど、当たり前にできないこと
第一章 ある領域での長く深い経験 ①察知力と直感
第二章 ある領域での長く深い経験 ②経験の巧みな積み方
第三章 幅広い知識と教養 ①「己を知る」ために
第四章 幅広い知識と教養 ②「自分なりの答」を作る道具として
第五章 幅広い知識と教養 ③「無意識のゆらぎ」のために
Ⅱ部 敵やライバルなんて、本当に存在するのか
第六章 「競」と「争」の織りなす世界
第七章 敵やライバルを知るために
第八章 人の気持ちがわかる「勝負師」たち
Ⅲ部 未来は誰にもわからない、しかし…
第九章 環境、そして変わらないもの
第十章 変化の本質を、いかに見抜くか
第十一章 あり得る未来の幅、そして危機管理
Ⅳ部 「己を知る」という難問 ①諫言役を持つ
第十二章 「諌言役」をいかに活用するか
第十三章 「諌言役」の知恵をバラして使う
Ⅴ部 「己を知る」という難問 ②もう一人の自分
第十四章「勝負師」は「もう一人の自分」の夢を見るか
第十五章 外部からの眼
第十六章 人はもともと分裂している
第十七章 「自分を超えた自分」はどこから来るのか
第十八章 メタ認知の技法
最終章 卓越し続けるとは~「勝負師」のあり方~
ISBN:9784296116966
出版社:日経BP 日本経済新聞出版
判型:4-6
ページ数:340ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2023年03月
発売日:2023年03月22日1版1刷続きを読む投稿日:2023.10.17
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