AIと白人至上主義
ヤーデン・カッツ(著)
,庭田よう子(著)
/左右社*
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AIは経済を成長させ、労働から人間を解放し、人間の「バイアス」を取り除く「超人的な」機械だと主張されてきた。しかし、その開発の背後には、白人による帝国主義的・資本主義的プロジェクトが隠されていた。軍事的なプロジェクトとの連携監視社会と黒人の収監開発資金を援助する企業が先住民の土地を奪う白人男性を中心に進められてきた開発――これまでも人種・ジェンダー・階級に関する差別が起こらないよう「よりよいAIの利用」の必要性が議論されてきたが、それは結果的にAIのイデオロギーを強化していくと著者は指摘する。AIをめぐる帝国主義的・資本主義的プロジェクトから逃れる道はあるのか。AIの倫理性に鋭く切り込んだ一冊。
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この作品のレビュー
平均 4.0 (1件のレビュー)
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タイトルにひかれて購入しました。読了後の率直な感想ですが、そもそも著者の文章がどちらかと言えば難解ですし、「白人性」という曖昧かつ日本人からするとよくわからない概念が登場するのでそれも含めて理解が難し…いと思います。(そのため星4つとしました)
本書から得た一番の気づきは「AIを理解したかったら、AIに取り組んでいる人を理解せよ」ということです。これはある意味E.H,カーが歴史について語ったことと同じです。カーは、歴史を学ぶ前に、その歴史を書いた歴史家を理解せよ、と言っています。これはAI理解においても同様で、AIの開発者/研究者がどのような人物で、どのような組織に属しているのか、その組織はどこから資金を得ているのか、は極めて重要です。MITやスタンフォード大学のAI研究組織がどこから資金を得ているのか、を詳しく見ていくと、軍や巨大企業の姿が見えるわけですが、著者はこれをもって「AIは帝国と資本に仕える」と述べているわけです。
本書のキーメッセージは、最後の解説で書かれている以下の3点だと思います。
1. AIの差別や不公正に対する視点(研究)は社会正義の言葉で批判を行っていたとしても、AIの「より良い運営」を目指すものであり、結果としてAIがもたらす大量監視・大量投獄を肯定する論理となる。
2. AIの開発やデータベースにおける多様性を確保することは、より多様な人々の監視と投獄を可能にしてしまう。
3. AIとそのイデオロギーとして機能する白人性そのものを「拒否」するという創造的な立場をとる。
私が本書を読んで最も不気味に感じたのは、AIという技術が「産学官連携」のもと進められるといった場合に、お互いが牽制することなく、まさに「連携」して大量監視社会・大効率化社会につきすすむのではないか、という予感です。本書でも指摘されているように、AIに批判的とされる学者であっても、実はAIそのものについては肯定的で、その使い方、あるいはデータの質の改善(バイアスの解消)などを要求しているにすぎず、「AIは『われわれ』にとってプラスである」という大前提には賛成しているのです(われわれが誰を指しているかは留意せよ)。大手テック企業は名だたる哲学者をAI倫理委員会に招いて、自社AIサービスの「お墨付き」を得ようとしていますが、まさにAI版のグリーンウォッシング以外になにものでもありません。
また本書で記述されている「白人性」の議論を読んで感じたのは、序列論、進化論的な目線であって、まさに一昔前に梅棹忠夫さんが批判した「進化論的文明論」そのものではないか、ということです。梅棹さんは、その対抗軸として「生態論的文明論」を展開しましたが、もしかすると、「白人性そのものを拒否する」ということの意味は、当時の梅棹さんのように白人の外にいる人からでしか生まれないのではないでしょうか。続きを読む投稿日:2024.04.17
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