ネットで故人の声を聴け~死にゆく人々の本音~
古田雄介(著)
/光文社新書
作品情報
インターネットと「死」をとりまく環境は時代によって大きく変化していく。消えずに残された過去は、生きている私たちの現在と未来をどう方向づけるのか? 故人がインターネットに残した足跡とどう向き合うのが正解なのか? 空間や時間をこえて届いた鮮烈なメッセージに耳を傾ける。「東洋経済オンラインアワード2021」MVP獲得の好評連載が一冊に。
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商品情報
- 著者
- 古田雄介
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 光文社
- 掲載誌・レーベル
- 光文社新書
- 書籍発売日
- 2022.03.30
- Reader Store発売日
- 2022.03.16
- ファイルサイズ
- 37.9MB
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この作品のレビュー
平均 3.5 (6件のレビュー)
-
癌患者、自殺願望者、90代のおばあちゃんなど様々な15人の故人がインターネット上に遺した記録を辿りながら、人が死を目前に控えた時の心境を疑似体験できる一冊。プロではない一般人が紡ぐ言葉はどれもリアルで…、あえてネット上に遺そうとした悲痛な気持ちを想像できる。
遺された時代や形態も98年頃の個人運営HPからつい最近のnoteまで幅広く、日本のインターネット史を懐かしく振り返る意味でも楽しめる。
死後サイトがどうなったかも調べてあり、遺族によって維持されたり書籍化されているケースもあればブログサービス終了によりあっけなく全消去されたケースも。自分の死後のSNSの扱いについて考えさせられた。
紹介者:マツ子
企画開催日:2022/12/04
企画名:「2022年に読んでよかった私の1冊」続きを読む投稿日:2022.12.09
前々から、自分自身が偶然「既に故人となった方のHPやブログ」に遭遇した際に心がザワザワする感じがあって、少しでもそのザワザワの解明に繋がれば、という思いから手に取った。
そもそもがインターネット上の…記事というのがどこまで真実であるかは分からないし、そこに加えて、そのHPなりブログなりSNSなりに投稿された所謂「死亡報告」の「その後」が実際どうであったかは、第三者はもう知る術を持たない。
それなのに、どうしてそういった死を意識させるサイトというのはこんなに人の心をざわつかせるのだろうというシンプルな疑問があった。
基本的には、自分と地続きの誰かのつぶやきだから、自分に還ってくる感じがあってザワザワするのかもしれないと思った。
「生死」の「生」に近い側にいられるというのは本当にただ運が良いだけにすぎないし、いつその状況がひっくり返るかも分からない。だから、なんというか、先行研究者のささやかなレポートでも読むような気持ちで、自分と繋がるどこかの話として、時に恐怖や安堵や感心を覚えながら、ついつい読み耽ってしまうのだと思う。
人によってはデリケートな分野の話題なのでは、と感じることもあるだろうが、デリケートな要素を含むからこそ、本来はもっと日常的に触れてその感覚に馴染んでおくべきなのだ。身近な人や自分がその状態になってから情報を求めるのでも決して遅くはないけれど、先に知っておくことで、もう少し冷静に歩んでいけそうな気がする。
この本で紹介されている15の例はあくまで「点」であって、それらを「線」としてまとめた総合的な「結論」は出されていない。だからこそ生々しい。まだ生成途中にある熱を持った何か、といった趣だ。こういったものに日常で触れる機会はあまりない。だから読み進めるのにはエネルギーを使うが、読了後はまさに「良い経験を積めた」気持ちになる。続きを読む投稿日:2023.10.03
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