日本“式”経営の逆襲
岩尾俊兵(著)
/日本経済新聞出版
作品情報
リーンもアジャイルも源流はすべて日本。アマゾン創業者のジェフ・ベゾスは実はカイゼンの熱烈な信奉者――日本の経営技術は優れているのに、どうして「アメリカはすごい!」となってしまうのか? 「日本総悲観論」の真贋と、コンセプト化に弱かった日本の反省すべき点を明らかにする。 本書は、古き良き日本の素晴らしさを語って、現実の厳しさを忘れようとするものではない。すなわち、日本企業の素晴らしさを一方的に語ることを目的にしてはいない。もちろん日本企業は最近いわれるほど遅れてはいないし、遅れているとばかり認識する弊害も多い。しかしその一方で、日本の産官学が反省すべき点は確実にある。 ひとつには「コンセプト化」に阻害要因が存在してきたという弱みである。 日本の産官学が持つこれらの弱みがいかなるデメリットを生んだのか、またこうした弱みを克服することでどのような実際的なメリットがあるのか、日本の産官学の反省点は何か、については本書の後半で詳細に考えていく。 コンセプト化・パッケージ化が弱かったのは日本企業だけではなく、著者を含めた研究者や、日本政府も同様である。ようするに日本の産官学全体の問題であった。この点も、現状で思いつく限りの処方箋らしきものを本書において探索していく。本書は、こうした反省によって未来を切り開こうとする、未来志向の本である。
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商品情報
- シリーズ
- 日本“式”経営の逆襲
- 著者
- 岩尾俊兵
- 出版社
- 日経BP
- 掲載誌・レーベル
- 日本経済新聞出版
- 書籍発売日
- 2021.06.22
- Reader Store発売日
- 2021.06.22
- ファイルサイズ
- 5.1MB
- ページ数
- 266ページ
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この作品のレビュー
平均 3.3 (4件のレビュー)
-
切り口は面白いが、大学教授やコンサルによる大学教授かコンサルのための本、という感じ。企業での意思決定に理論を役立てるという観点はないように思いました。
・『もともと日本にある経営技術がアメリカで概念…化され、日本で逆輸入されている』『それなのに日本の経営は悲観論が蔓延している』という観点は新しく面白い切り口に思う。そしてたしかにそう感じる部分もあるし、それは面白くない。
・ただ本書の中で指摘されているこの状況の具体的なデメリットは、コンサル費用のようなコストと、悲観的なメンタル。どちらもそのとおりと思う一方、捉えている問題がズレているように思う。切り口の面白さに比べて、深みがなく構造を正しく捉えられていないように感じる。
・これは、日本の経営がいま良いレベルなのか悪いレベルなのか、筆者の立場が示されておらず、日本の企業はどうあるべき、というメッセージがないからに思う。
・筆者のメッセージは『日本式経営の良いところをコンセプト化していくべき』ということだが、これによる企業のメリットは前述の裏返しなだけで、外部内部の価値を高めるための理屈は特にない。
例えば、コンセプト化された経営技術をうまく活かせる企業が少ないのは、文脈依存型でしか経営技術を高められないことにひとつの理由があり、概念化をする能力を高められれば、概念化された経営技術を活用する能力も高められる、、、とかそういう話があると、より活用度の高いな切り口になるのではないか。
なお最後に筆者は、この本は研究書ではなくビジネス書を志向している、というあとがきがある。大学教授かコンサル向けのビジネス書ってことならそうなのかもしれません。続きを読む投稿日:2023.11.04
日本企業内における経営ノウハウ等は優れた部分が多分にある一方、経営のコンセプト化で他国に遅れを取っている。これは経営学を修了し、現在コンサルティングファームで働いている立場からしても、非常に納得感のあ…る主張であった。
一方、企業の立場からすると日々の経営に手一杯であり、コンセプト化する誘引が少なく、またアカデミックの世界においても「十分に日本で食べていける」状況故、積極的に海外へ発信する旨味が少ない部分はあるのではないかと感じた。この状況を良しとするのではなく、何かを変えなければならないのは間違いないが、まずはこの危機意識を持った人材の総量を増やしていくことが肝要であり、絶えず自分自身及び他者に対し、問題意識の投げかけを行なっていくべきと痛感。続きを読む投稿日:2023.02.05
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