小説
江戸川乱歩 電子全集
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大人はみんな少年だった! 漢字で読めるジュブナイル第1弾は、「少年探偵団」シリーズ。戦前の4作を連載時のスタイルで。乱歩と言えば、エログロと本格推理。そして、昭和の子どもたちを魅了した「少年探偵団」であろう。今回からいよいよ、その少年探偵団をはじめとするジュブナイル(少年少女向けの小説)を執筆年代順にお届けする。第1回は、昭和11(1936)年から昭和15(1940)年にかけて、『少年倶楽部』に連載された少年探偵団シリーズ最初の4作である。通常ジュブナイルは、対象年齢に応じて漢字の使用が制限され・・・
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乱歩最後の作品を含むジュヴナイル・シリーズ完結編。学習雑誌付録とインタビューで蘇る懐かしの昭和、遠い日の思い出。
ジュヴナイル最終回は、昭和34年~37年までの4年間に執筆された作品をお届けする。乱歩は昭和40年に亡くなったが、38年以降、小説は執筆していない。従って、乱歩の作家としての最後の作品は、今回お届けする「超人ニコラ」(昭和37年)である。これまでの作品でお馴染みのシチュエーションや要素を巧みに取り入れ、子ども向きにアレンジした奇想天外な物語だ。また、タコ型宇宙人、カニ型宇宙人が登場する「電人M」「妖星人R」も収録。これらは、人工衛星の打ち上げやガガーリンによる人類初の宇宙飛行といった出来事を背景に、宇宙への関心が一気に高まった時代ならではの作品である。さらに、昭和35年4月から1年間にわたって『小学六年生』(小学館)に連載され、謎解きの楽しさで子どもたちを湧かせた「おれは二十面相だ!!」は、連載時のまま覆刻。ミステリー中級・上級者なら、トリックのネタ元を探してみるのも一興だ。今回、特典として、この作品で臨場感溢れるイラストを描いた中村英夫氏と、当時から現在までイラストレーター(特に、メカ・イラスト)として活躍する髙荷義之氏のインタビューも収録。当時の制作現場裏話もお楽しみに。
ジュヴナイル・シリーズの完結を記念して、昭和の学習雑誌の付録の中から、おすすめのものを選んでご紹介する。敗戦から東京オリンピックへと向かう復興の歩みと人々の暮らしの変化を、ノスタルジーとともにかみしめていただきたい。 -
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『小学四年生』昭和33年4月号~『小学五年生』昭和35年3月号まで、2年間にわたる「鉄人Q」連載誌面すべてを丸ごと覆刻!
今回お届けする9作は、昭和32年から34年にかけて執筆された作品である。二十面相の本名と素性が明らかになる「サーカスの怪人」、秘密基地のような二十面相のアジトを軸に展開する「奇面城の秘密」など、乱歩お得意の路線を踏襲する作品に加え、同時期に書かれた低学年向けの物語も収録した。
この頃乱歩は、複数の雑誌で連載をかけもちするほどの売れっ子で、大人から子どもまで誰もが知る人気作家であった。その一方で、低迷する探偵小説界を牽引すべく、経営不振に陥っていた探偵雑誌『宝石』の立て直しに尽力したり、探偵小説界の広告塔を自ら引き受けてメディアに登場するなど、文化人としても多忙を極めていた。結果さすがにアイディアに窮したのか、定番の要素、お馴染みのシーンも登場する。しかし、それでも作品としてのおもしろさは色あせず、むしろ、ある種の様式美とも言える仕上がりになっている。どの作品のどの場面に類似しているか、それを乱歩がどうアレンジしているか、探ってみるのも楽しい。
そして、今回の小松教授による解説のテーマは、「少女小説としての乱歩作品」。女性の視点で作品を読み解くと、物語の背後に隠されたエロスが芳醇な香りとともに立ち上がる。
さらに、乱歩作品のリライトを数多く手がけた氷川瓏の作品の一部も覆刻。木々高太郎に師事し、乱歩にも認められた作家の幻のジュブナイル。そのクライマックス(5回分)を、古賀亜十夫の挿絵とともに収録した。 -
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惹句入りで連載時のまま読むか、漢字でスラスラ読むか。
1つの作品を2つのヴァージョンで。読んで比べる少年探偵団。
「つぎつぎとおこる奇怪な事件! 黄金豹とは、そもそもなにもの?」(「黄金豹」)、「真夜中にろうかを歩く美しい人形――。またまたおこる怪事件!」(「魔法人形」)。あおり文句もそのままに、連載時のかたちを再現してお届けする少年探偵団シリーズ。昭和の図書館には必ずあったポプラ社のあの本をあえて漢字化し、大人が違和感なく読めるようにしたヴァージョンも併録。戦後の少年誌の雰囲気を味わいたい人にも、奇想天外な読みものとして楽しみたい人にもおすすめの、大人のためのジュヴナイルである。
よく知られているように、乱歩は単行本にする際、自身で作品に手を入れ、時代に合うよう修正していた。今回収録した作品でも、連載時とポプラ社版では異なる部分がかなりあり、細かいものも合わせると、変更は優に100を超える。そのうち特に重要なところや興味深い部分には、註釈を加えたり、対応する箇所をリンクで結んで確認できるようにしている。乱歩のあとを辿り、資料的な探求を試みるのもまた、大人ならではの楽しみ方であろう。
収録作品は、「海底の魔術師」「探偵少年」など全7作。
大人になってはじめてわかる「子どもの知らない子どもの世界」が、きっとある。
他に付録として、『小学六年生』(小学館)に掲載された乱歩「天空の魔人」の翻案(「天空魔人」)を誌面まるごと再録。小松史生子・金城学院大学教授による、乱歩ジュヴナイルの根底にある根源的な恐怖とその対象についての考察も、ぜひ。 -
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少年の日のドキドキとワクワクをもう一度。
惹句(じゃっく)入りで連載時のまま読む少年探偵団。懐かしのポプラ社版も漢字化して併収。
戦後初の本格的な創作である「青銅の魔人」をはじめ、昭和24年から29年までに少年誌に連載されたジュブヴナイル6作品を当時のままお届けする。各回冒頭の前号までのあらすじや末尾の惹句はもちろん、単行本や文庫本では削除・変更された部分も読めるファン待望の構成だ。加えて、昭和の学校図書館には必ずあった懐かしのポプラ社版も、漢字表記に直し特典として収録。さらに、電子書籍の特性を生かして、変更されている部分をそれぞれリンクで結び、比較できるようにした。几帳面な乱歩は、単行本にする際に自身で手を入れ、また、版を重ねる度に時代に合うよう微調整を繰り返したという。ちょっとした言い回しや言葉の選び方1つにも、そんな乱歩の作家としてのセンスとこだわりが現れている。どこがどう変わっているのか、乱歩の気分で探ってみてはいかがだろうか。
また、今回の作品には、連載当時の社会や世相が色濃く反映されたものも少なくない。例えば「青銅の魔人」では、戦災孤児を集めたチンピラ別働隊が結成され、「宇宙怪人」では、その頃から目撃談が増え始めた空飛ぶ円盤が登場。少年たちの、そして日本人の昭和史として読むのも、大人ならではの楽しみである。
小松史生子・金城学院大学教授の解説は、チンピラ別働隊に注目。少年探偵団の下部組織としての彼等のあり方から、児童文学の空白領域に切り込む。他に、小学館の学習雑誌に掲載された乱歩作品のダイジェスト版も当時のまま再録した。 -
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戦中の異色作2本と海野十三、森下雨村の幻の作品(未刊行)を含む周辺作家のジュヴナイルを収録。ここでしか読めない特典満載!
全20巻の折り返しにあたる第11巻は、本編より特典の方が多いイレギュラーな構成でお届けする。今回の軸は、戦中に書かれた異色の2作品である。「新宝島」は、昭和15年から翌年にかけて『少年倶楽部』に連載された冒険小説だ。もう1作は、旧作がすべて絶版となり本名での執筆が難しくなった乱歩が、昭和17年から「小松龍之介」名義で連載した「智恵の一太郎」シリーズ。こちらは時局に配慮して、不穏な事件の起きない科学謎解き小説となっている。ともに戦中という時代背景もあって、他の作品とは少し趣を異にするのでここに集約した。そして今回の特典は、乱歩と親交のあった同時代の探偵作家が小学館の学習雑誌に残した作品。このうち森下雨村の「水上透少年シリーズ」(昭和9年)と海野十三による短篇小説(昭和15年)は、これまで一度も刊行されたことがない幻の作品である。また、甲賀三郎の名作「真紅の鱗形」(昭和5年)では、後の単行本で「江口」とされているある主要登場人物の名前が、実は初出時には、途中で「江連(えつれ)」に変わっていることが明らかになった。「江連」とは、何者か。甲賀が仕掛けた謎に、ミステリ評論界の名探偵が80年の時を超えて挑む。
<特典>小酒井不木の少年科学探偵シリーズ3作(覆刻/初出は、大正末期)や、大下宇陀児「魔法少年」(昭和11年)も収録。新たな視点で“いけすかない少年探偵たち”を斬る小松教授の解説をはじめ、論考も充実。 -
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大人はみんな少年だった! 漢字で読めるジュブナイル第1弾は、「少年探偵団」シリーズ。戦前の4作を連載時のスタイルで。
乱歩と言えば、エログロと本格推理。そして、昭和の子どもたちを魅了した「少年探偵団」であろう。今回からいよいよ、その少年探偵団をはじめとするジュブナイル(少年少女向けの小説)を執筆年代順にお届けする。第1回は、昭和11(1936)年から昭和15(1940)年にかけて、『少年倶楽部』に連載された少年探偵団シリーズ最初の4作である。通常ジュブナイルは、対象年齢に応じて漢字の使用が制限される。少年探偵団シリーズも、これまで出版された本では平仮名が多用されており、大人が読むには少々難があった。が、なんと初出時の誌面では、概ね当時の大人の雑誌と同じ水準で漢字が使われていたのである。ただし、当時は大人の雑誌もそうであったが、漢字すべてにルビがふられていた(総ルビ)。そこで今回、大人にとっては少々うるさいルビを最小限にした上で、全文を初出のまま収録することとした。毎号末尾に添えられた惹句(あおり文句)も旧仮名遣いで掲載し、連載時の雰囲気を電子書籍で可能な限り再現している。さらに、小学館の学習雑誌に掲載されたダイジェスト版を復刻。ミステリーと冒険に彩られた輝かしい少年の日々に立ち返って楽しんでいただきたい。
付録:インタビュー、コラム&フォト他 -
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