戦後的思考
加藤典洋(著)
/講談社文芸文庫
作品情報
1995年、戦後50年目に発表された「敗戦後論」は、単行本刊行後、百を越える批判を左右両翼から浴びた。本書はその反響の醒めぬなか、それらを正面から受け止め、「批判者たちの『息の根』をとめるつもり」で書き始められた。「戦後的思考」とは何か。戦前と戦後はなぜ「つながらない」のか? 今こそ我々に必要な、生きた思想と格闘する画期的論考を、増補改訂を施し、21世紀に再度問う。*解説は収録されていません。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 戦後的思考
- 著者
- 加藤典洋
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社文芸文庫
- 書籍発売日
- 2016.11.10
- Reader Store発売日
- 2017.01.13
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- ページ数
- 576ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 5.0 (1件のレビュー)
-
第一部では、前作の敗戦後論を振り返るとともに、改めて戦後日本が抱えた死者の分裂と対外的な二重人格性の指摘がなされます。他国より自国の死者を先に意味付けることを批判されたことに対する応答が多めです。第二…部では、吉本隆明や吉田満ら戦中派の戦争への没入という誤りに、戦後社会が立脚することの意義が述べられます。そして丸山真男ら進歩的知識人たちでは自らのうちに内外に発信するべき強度のある理論を構築できない理由が説明されます。第三部では矛先が逆に保守派の佐伯啓思の言説に向かい、主体が自然的共同体でなく近代主義的であるべき説明がなされます。私利私欲が近代社会で位置付けられてきた経緯や、そこからはみ出したドストエフスキー的な悪にも愛があるという説明は、独立した近代社会論やドストエフスキー論のようです。第四部では、三島由紀夫を題材に戦前と戦後の断絶を改めて強調し、左派と右派が長年してきた「浅い川を渡る」ような解釈が戒められます。
戦中派が死者に近い場所にいるということは興味深く読みました。しかし全体を通しての問題意識が、「日本の謝罪が他国に受け入れられる為に」というところにあるので、2010年代の今どれほど役に立つ議論になっているのか疑問です。人格分裂を内在化したままに克服することは、正論だと思いますが、主体の構築と相まって、今の世ではますます本書のいう謝罪から遠のく一方のように感じます。昨年、広島と真珠湾で慰霊をした日米トップは、政治的な背景がありつつも、互いに人格分裂を内在化しているがゆえ謝罪をしなかったのではないでしょうか。もちろん本書でいう浅い川を、さも深い川かのように渡っているだけのパフォーマンスかもしれません。しかしその浅深はいつか歴史が判断するでしょう。
また、いつまでも川の深い場所を探し続けることが時流に会うのかと、敢えて考えてみます。今では、死力を尽くして戦った父祖がいた、悲惨な銃後を彷徨った子女がいた、そのことが現代の価値となって様々な平和思想の啓蒙になっています。浅い川も案外悪くないのではと思うと同時に、死者と戦中派に想いを寄せることもまた可能なのではないかと。続きを読む投稿日:2017.01.05
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。