外資系金融の終わり
藤沢数希(著)
/ダイヤモンド社
この作品のレビュー
平均 3.8 (120件のレビュー)
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アゴラやBLOGOSでおなじみの藤沢数希氏のもう2年前の本
アゴラやBLOGOSでおなじみの藤沢数希氏のもう2年前の本、軽い語り口と時々品のない方へ脱線するキャラ設定は好き嫌いが別れるかもしれないがサブプライムローンやリーマンショックなどをさくっとおさらいする…にはお手頃だとおもう。この分野では「マネー・ボール」のマイケル・ルイスの「ライアーズ・ポーカー(投資銀行に入ったマイケルの自伝)」「世紀の空売り(サブプライムローの破綻にかけて大儲けした数組)」「ブーメラン(ヨーロッパの金融危機)」がお勧めなのでこの本で興味を持った人はそちらを読むのが良いと思う。
投資銀行のトレーダーの金銭感覚をよく表している文がいくつか出てくる。例えば「ジョン・ポールソンはアナリストが数人の小さなヘッジ・ファンドを運営しており、こうしてCDSで顧客のために1兆6000億円稼ぎ、自分のために4000億円も稼いだ。ドイツ銀行のトレーダーだったグレッグ・リップマンも負けじと数千億円稼いだ。ただしグレッグはサラリーマンだったので、ドイツ銀行からたったの50億円ぐらいしかボーナスをもらえずに、それが不服でドイツ銀行をすぐに辞めている。」
貧乏なセールスやバンカーほど気前がいいという話もある。「25歳のトレーダーが1日に1億円儲けたり損している間に、イタリア高級スーツに身を包み、スイスの高級時計をしている経験豊富な40歳のシニア・セールスやアナリストは、頭の悪いクソみたいな年金基金のファンドマネージャーに平身低頭で媚びへつらい、彼らをキャバクラに連れていき、毎日下らない「ここだけの」投資話を電話して、1年間で1億円の手数料を払ってもらえるかどうかというしょぼいビジネスをしていた。 当然だが、そんなセールスやアナリストの給料は極めて安く、総じて彼らは貧乏だ。給料はせいぜい2000万円とかそんなものだ。ぼくの知人のセールスは、入社3年目くらいのときに、しょぼいボーナス(たぶん1500万円とか)をもらって、威勢良く赤いフェラーリをローンで買っていた。」もっと稼いでいるトレーダーは金を使わないらしい。
儲けた会社が従業員や役員にいくら払おうが横から口出しする様なことではないのだがリーマンショックで問題になったのは破綻した金融機関への公的資金の投入で誰を救ったのかということ。サブプライムローンが破綻しない方にかけてリスクをとった人たちが破綻前には高額のボーナスを受け取り、リスクを積むだけ積んで上手く逃げ切った人もいる。単年度で見れば確かに会社を儲けさせたのだからボーナスをもらってもおかしくない。しかし破綻まで通算すると会社に大きな損失を与えているのだがそこは遡及されないので損をかぶったのは納税者ということになる。しかし、公的資金を投入しないとシステミックリスクで連鎖倒産が置きかねない。だから怒った人たちがウォール街を占拠したのは心情的には理解できる。
第5章はアメリカとEUの失われる10年+が予想されている。では2年経ってどうなったかというとEU経済は相変わらず低調なままだが危機はやや遠のいた。6月のユーロ圏の失業率は横ばい予想に反して前月から低下し過去最長の景気後退の後遺症から徐々に立ち直る状況が示された。それでも2013年の失業率で言うとギリシャ、スペインが約27%、ポルトガル16%、アイルランド13%、イタリア12%となお高い水準だ。アメリカは7.4%、ワールドカップの裏でデモが頻発したブラジルは5.4%だった。(世界経済のネタ帳より)直近のアメリカはというと労働市場が回復途上にあり、利上げのタイミングはまだもう少し先だ。失業率だけでなく流動性の低下が賃金の低下につながる懸念が指摘されているようだ。
ヨタは飛ばしつつも藤沢氏の主張は決済銀行が投資部門を持つことで巨大化しつぶせなくなったことのモラルハザードが挙げられている。確かにリスクマネーを運用するヘッジファンドならつぶれたところで影響は限定的だ。投資銀行部門を別会社にするというアイデアは理解できる。さらにリスクマネーに規制がかかる様になれば方向としてはリスクもリターンも小さくなる。それが外資系金融機関の終わりなら別に終わってもらっていいのだが。続きを読む投稿日:2014.08.24
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10年以上前に書かれた本だが、ギリシャ政府破綻の件など知らないことを知ることができた。そして著者のいう、これからは大企業から個人の時代というのも今まさに進んできていて当たってる〜っ
投稿日:2023.12.31
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