尖閣1945
門田隆将(著)
/産経新聞出版
作品情報
「命」を救ったのは「真水」をたたえた日本の領土だった――。
知られざる「尖閣戦時遭難事件」の史実が“中国の噓”にトドメを刺す
事件から「78年」という気の遠くなるような歳月の末に緻密な取材で浮かび上がった苦悩と感動の物語。
なぜ「尖閣列島」は日本の領土なのか。そのことを示す、ある遭難事件。中国はなぜこの事件に触れられないのか。すべてが今、明かされる。
1945(昭和20)年6月末、石垣島から台湾に向かって最後の疎開船が出た。沖縄本島で日本軍が米軍に敗北し、八重山への米軍の侵攻を恐れてのことである。
だが、200人余の疎開者を乗せた2隻の船は東シナ海で米軍機の攻撃を受け、1隻は沈没、1隻は奇跡的に魚釣島に辿りつく。「あそこに行けば真水がある」との疎開者の進言があったからだ。
明治時代に“無主の地”魚釣島で真水を開拓した実業家・古賀辰四郎。それに伴い国際法に則って日本の領土に編入した明治政府。疎開者たちの多くの「命」を救うことになる真水をたたえた魚釣島は、同時に食べる物がない飢餓の島だった――。
餓死者続出の中、石垣島に助けを呼ぶため若者たちによって「決死隊」がつくられた。疎開者たちは夜を日に継いでサバニ(小舟)を完成させ、決死隊を送り出す。決死隊の若者の額には「赤い鉢巻」が締められていた。その鉢巻の意味と、そこに込められた疎開者たちの思いとは……。
奇跡がいくつも重なり合ったこの遭難事件と救出劇が、なぜ尖閣の日本領有を示すものになるのか。哀しく、悲惨で、目を背けたくなる出来事は、同時に、どんな逆境でも信念と矜持を失わなかった日本人の「希望の物語」でもあった。
なぜ尖閣は日本の領土なのか。尖閣と無縁な中国が、なぜ、かくも理不尽な主張をくり返しているのか。
「本書を読み終わった時、その答えを知ると同時に、人間とは“極限”に追い込まれても、使命感と不屈の精神さえあれば、とてつもない底力を発揮することを知っていただければ嬉しい。そして、毅然と生きることが、日本人にとっていかに大切か、是非、思い出してほしいと願う」(「はじめに」より)
数々の歴史スクープを放ってきた門田隆将が満を持してお届けする尖閣領有ノンフィクション。生存者やゆかりの人々をひとりひとり訪ね、すべての秘密を明らかにしていく筆者の執念にも感嘆する。中国が領有を主張する史料のデタラメぶりも専門家と共に解き明かした本書は、「この1冊」で尖閣問題がすべてわかる日本国民必読の書。
【筆者プロフィール】
門田隆将(かどた・りゅうしょう)
作家、ジャーナリスト。1958(昭和33)年高知県安芸市生まれ。中央大学法学部卒業後、新潮社に入社。『週刊新潮』編集部に配属、記者、デスク、次長、副部長を経て、2008年4月に独立。『この命、義に捧ぐ─台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社、後に角川文庫)で第19回山本七平賞受賞。主な著書に『死の淵を見た男─吉田昌郎と福島第一原発』『日本、遥かなり─エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」』『太平洋戦争 最後の証言(第一部~第三部)』『汝、ふたつの故国に殉ず』(角川文庫)、『なぜ君は絶望と闘えたのか─本村洋の3300日』(新潮文庫)、『甲子園への遺言』(講談社文庫)、『疫病2020』『日中友好侵略史』『新聞という病』(産経新聞出版)など多数。
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商品情報
- シリーズ
- 尖閣1945
- 著者
- 門田隆将
- 出版社
- 産経新聞出版
- 書籍発売日
- 2023.11.15
- Reader Store発売日
- 2023.11.15
- ファイルサイズ
- 5.1MB
- ページ数
- 304ページ
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この作品のレビュー
平均 4.4 (10件のレビュー)
-
尖閣諸島の帰属問題は、日中間でかなりこじれているが、本書では日本固有の領土であるという主張の根拠、および中国が出している根拠についての矛盾点を、歴史家の研究結果を通じて淡々と記述している。
とかく領土…問題となると熱くなりがちだが、あくまでも冷静に述べているのが、かえって好ましく感じた。(以前読んだ「尖閣諸島と日中外交」では、日本の歴史家でも、中国の領土だったという解釈をしている人の根拠も出されていた)
力によって解決するのではなく、歴史の深堀りで、外交的な解決をしていって欲しいものだ。
しかし、本書のメインは領土問題の話ではなく、尖閣諸島とは切ってもきれない関係の人たちが主人公だ。
江戸末期の1856年、現在の福岡県八女市の農家の三男坊として生まれた古賀辰四郎は冒険心と商魂に恵まれ、明治12年23歳の時(琉球藩から沖縄県とした琉球処分の直後)に那覇に渡り、海産物を扱う「古賀商店」を開業した。
彼は東シナ海の航路で貴重な目印となっている無人島の尖閣が、アホウドリの一大繁殖地となっていることに目をつけ、真水のある魚釣島に渡り羽毛や魚介類の採集のための「古賀村」を作るに至り、人口も最盛期で248人を数えたらしい。
彼の事業を受け継いだのは、長男の善次だった。父の死の翌年大正8年12月、福建省の漁船が難破して辿り着いた魚釣島の村民に助けられ、天候が回復してから、石垣島に移送、そこでも手厚い保護を受けた後帰国させ、当時清国を倒した中華民国から感謝状をもらっている。
その後アホウドリの減少に伴い、昭和になると、常駐ではなく定期訪問という形となっていった。
時は経ち沖縄戦、彼らがいた石垣島も毎日のように爆撃され、台湾に疎開することを決める。200人超が3隻の船に乗り込み(後にエンジントラブルで2隻への分乗となる)、米軍機の攻撃を避けるため尖閣方面に迂回する航路を取るが、敵機に見つかり機銃掃射を受けることになる。
多くの人が命を落とし船も破損するが、なんとか尖閣までたどり着き、文字通りのサバイバル生活が暫く続く。一方壊れた船の残骸などを集め、手作りの船をこしらえて自力で助けを呼ぶことにした。
結局石垣島に辿りつき、助けの船を出すのだが、この時には既に日本は降伏し戦争は終わっていた。
沈没する船から人々を救い出し、銃撃で壊れたエンジンを直し、魚釣島に人々を上陸させ、そして決死隊となって、ついに石垣島への助けを呼ぶことに成功した男――その金城珍吉が息子に伝えていたのは、「人のことはいくらでもしなさい」という素朴でシンプルな言葉にほかならなかったと言うことが心に響く。
それにしても人間の精神力の強さには驚かされる。
本書では、「尖閣戦時遭難事件」と言われるものに焦点をあてているが、一括りに”沖縄戦争”と言われると抽象的になり、共感が乏しくなりがちだが、このように目の前で起こっているような錯覚を覚えるドキュメンタリー仕立てでは、当時の人たちの心に触れているような気持ちになる。
しかし犠牲者の遺骨が仮埋葬のまま今もご遺族の訪問を待っているのに、なぜ日本は、自国の領土である尖閣への墓参を許可しないのか。
尖閣戦時遭難事件は、それだけで尖閣列島が「日本である」ことを示すものである。
古賀辰四郎が「真水」を開拓してこれを確保し、人が住めるようにし、多くの命を救った「業績」は、時がどれほど経とうと、忘れられていいものではない。
遺族にとって戦争はまだ終わっていないのだ。続きを読む投稿日:2024.05.28
第6章「尖閣はなぜ日本の領土なのか」において、中国の主張が、1969年の国連の尖閣を含む海域への学術調査の公表以降であり、同調査で、この地域に石油埋蔵の可能性が指摘されたことを受けたものであることによ…る旨が明らかにされている。
ただし、本書は、この問題を論じたものではない。1945年7月から8月にかけて起こった、石垣島民の台湾への疎開船が、米軍の機銃掃射で遭難し、生き残ったもの達が魚釣島に漂着、奇跡的に救出されるまでの、戦争の悲劇と当事者の生き残りを賭けた勇気あわれる営みを描いた、緊張感溢れるルポルタージュである。ここで、第6章の記述が、違和感を感じさせるほどの現実を、読者である私たちに提示する。[尖閣の中心である魚釣島において、日本人の営みを描くことで、日本国であることを強調しようとしたのか?]続きを読む投稿日:2024.05.23
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