文庫ギャラリー ちひろのアンデルセン
いわさきちひろ絵本美術館(編)
/講談社文庫
作品情報
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ちひろの描いたアンデルセンの世界。ファンタジーの名作をちひろの絵と言葉で再発見!――アンデルセン童話の世界に深く共鳴し、数多くの作品を描き続けたいわさきちひろ。『人魚姫』『赤いくつ』『絵のない絵本』など、くり返し描いた作品を中心に、アンデルセンの様々なお話の絵を一堂に集め、ちひろ自身が語った言葉や取材旅行記などと共に、人の世の真実を描いたアンデルセンへの思いを浮き彫りにする。
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商品情報
- シリーズ
- 文庫ギャラリー ちひろのアンデルセン
- 著者
- いわさきちひろ絵本美術館
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社文庫
- 書籍発売日
- 1994.04.21
- Reader Store発売日
- 2023.01.27
- ファイルサイズ
- 159.2MB
- ページ数
- 110ページ
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この作品のレビュー
平均 4.5 (5件のレビュー)
-
例えて言うなら「デパートの中のフリースペースで催された絵画展」のような本。
文庫本という気軽に手にできるサイズでありながら、ちひろさんの魅力がたくさん詰まっている。
アンデルセンの童話にちひろさん…が画をつけた絵本からピックアップしたイラストの数々のうつくしいこと!
他にも、ちひろさんのエッセイやプチ旅行記、いわさきちひろ絵本美術館の長嶋香矢さんによる作品解説と贅沢なラインナップ。
アンデルセンに深く共鳴していたというちひろさん。
そういえば、アンデルセンって哀しいおはなしが多い。
ちひろさんの描く人物たちの、あの瞳に通じるような気がする。
ちひろさんがアンデルセンの故郷であるデンマークのオーデンセにあるアンデルセン美術館に行ったとき、家族に宛てて書いたハガキの文面の最後の言葉が正直かつ強気でキュート。
「ならんでいる各国のどの絵本もあんまり感動しませんでした。私の本の方が美しいような気がします。うぬぼれかしら。」続きを読む投稿日:2021.08.21
画家である、いわさきちひろさんが、作家アンデルセンの童話を絵本としたものに、描いた挿絵を、一冊の画集として集めたものです。
独特の、パステルのようなタッチの淡い水彩画、和紙の切り紙で出来た、は…り絵を思わせる柔らかい人物造形など、アンデルセンの童話のファンタジックな世界観を、美しく、柔らかく表現されています。
「人魚姫」、「親指姫」、「みにくいあひるの子」、「マッチ売りの少女」、等々、有名な作品の、素晴らしい挿画が展開される中で、Qが付箋を付けていたページをめくると、なぜか「砂丘の物語」でした。
本作の、「ちいさなおいのり」という、淡く透明感のある水彩画をバックに、いわさきちひろさんの言葉が引用されています。
「百年もの年代の差をこえて
わたしの心に
かわらないうつくしさを
なげかけてくれる
アンデルセン――――
むかしふうの文章なのだけれど
その中にいまの社会につうじる
同じ庶民の悲しさをうたいあげている
この作家に
わたしはずいぶん学ぶことが多い
アンデルセンの童話のもっている夢が
たいへんリアルだということが
現代のわたしたちの心にも
つうじるのであろう」 (ちひろ・一九六四年)
(冒頭より引用)
また、このアンデルセンの童話に絵画作品を描くにあたって、
「『マッチ売りの少女』とか、いろいろなおひめさま、また魔女たちに、わたしは、それぞれのイメージをつくり、それをすこしずつ発展させながら、なんかいかいたことだろう。なんかいかいても、なお工夫するたのしさを、私は、いまだに失わないでいる」(ちひろ・一九六四年) (「アンデルセンいろいろ」より引用)
と、述べており、アンデルセンの童話世界が、いわさきちひろさんのイメージをどこまでも豊かにふくらませ、とても共感のもてる、汲めど尽きせぬアイデアと、なにより「たのしさ」のもとであったことがうかがえます。
色彩豊かでファンタジック、しかし、どこか物悲しく、不思議な絵の世界が広がっています。
いわさきちひろさんの絵に、様々なタッチで描かれた人物のまなざしは、そのまま、いわさきちひろさん、ご自身のなげかける、世界へのまなざしであったようにも思えます。
おぼろな輪郭にいろどられた、淡い童話たちのなげかける夢。続きを読む投稿日:2012.08.25
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