志賀直哉私論
安岡章太郎(著)
/講談社文庫
作品情報
近代の日本文学史にそびえ立つ《小説の神様》志賀直哉。その知友、父母、祖父ら一族の人びとの過去へ遡りつつ、直哉との関わりのひとつひとつの襞を解きほぐして、作品の核心に迫る。のちには自分自身の一族をあつかった名作『流離譚』を発表するにいたるまでの著者独自の方法意識が書かせた、作家・作品論の白眉。作家が鋭い感性で作家を論究する、小説的評論=長編エッセイの魅力。
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商品情報
- シリーズ
- 志賀直哉私論
- 著者
- 安岡章太郎
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社文庫
- 書籍発売日
- 1983.04.08
- Reader Store発売日
- 2020.06.26
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- ページ数
- 366ページ
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この作品のレビュー
平均 3.0 (1件のレビュー)
-
著者自身も小説家であり、また本書の「補遺」に収められた「志賀直哉訪問記」で回想がなされているように、志賀そのひとに直接会った経験もあるということで、おそらく著者の志賀文学体験などを織り込みながら書かれ…たエッセイのような内容の本ではないかと思って手にとりました。しかしじっさいに読みはじめてみると、思った以上に通常の批評のスタイルにのっとって書かれた本で、志賀のひととなりと作品との関係について立ち入った考察が展開されています。
「あとがき」には、文芸春秋社から出された志賀直哉集に収められる伝記の執筆を依頼されたことがきっかけで、著者が本書を手掛けることになったと記されています。こうした理由もあって、批評的なスタイルが採用されたのかもしれません。
その一方で、「解説」でも指摘されているように、小説家としての著者の立場からの述懐が文章の端々に出ていることも事実です。著者は、戦前の「白樺派」の大家である志賀と、戦後の「第三の新人」のひとりである著者の置かれている文学的立場のちがいを意識しつつ、志賀がどのように小説に取り組んでいたのかを解明しています。著者の議論を通して、ともに「身辺雑記」を記す小説家として、日本の近代以降の文学的風土のなかで小説を書いてきた二人をつないでいるものとへだてているものが浮かびあがってくるように思われます。続きを読む投稿日:2021.05.19
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