【感想】まんがで簡単にわかる！テレビが報じない精神科のこわい話～新・精神科は今日も、やりたい放題～【完全版】

片側だけからの、一面的断言

いち精神医療従事者です。
良心的で、患者さんのためにより良い医療そして関わりを、と日々努力を重ねている医師ほか精神医療従事者を沢山知っています。
適切な医療を受け、漸く自分の人生をその手に取り戻せ…た方も沢山知っています。

仰るように、精神科患者さんの多くがもの言わぬ存在であることに胡座をかき、誠意というものを手放して医療を行っている人がいることも事実です。昨今「発達障害」の診断名が大流行となり、安易にそう診断される不幸な子どもたちがいるのも事実です。そしてそういった人たちの存在は決して是認されるべきではありません。

…けれど。
自分を苦しめる幻覚や妄想から。抑うつの苦しみから。非定型の発達による「外からは見えづらい苦しみ」から。
医療の力で漸く抜け出すことの出来た人々がいることも、また、事実なのです。

そういった「両面性」には目を向けず。精神医療全体が、精神科医の全てが、自らの利権だけを求めて仕事を続けている、と談じるこの本の主張には大きな違和感を抱きました。
この本の論調を信じることで。苦しい幻覚や、死をすぐ隣に置いている抑うつの苦しみや、自分の特性による他からは理解されづらい苦しみから解放される機会を遠ざけてしまう人たちが輩出されることを憂えます。 続きを読む