【感想】そしてドイツは理想を見失った

川口マーン惠美 / 角川新書
(7件のレビュー)

総合評価:

平均 3.3
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  • ドイツの強力な忍耐と決して超えられない壁

    をこの作者は見事に冷徹に報告している。
    日本の現状を鑑みるに、日本にはヒトラーがいないのだから、更に苦しいのは明白でしょう。
    安倍晋造政権の台頭に対する警告が2018年の2月に行われていたことを日本人は考える時がくるかもしれませんね。
    アンゲラ・メルケルの時代はきっと冷戦の収穫の時代でもあったのでしょう…。
    その時代が去った今、残っているのは薄ら寒さと、核保有国であり、常任理事国であり、経済が回復したロシアと中国です。
    ドイツで脱原までしてフランス、アメリカの意向を汲み、移民政策により多民族国家への舵を切るところまできて、そこで挫折する可能性に気づいた後、右翼が伸長するというのは興味深いことです。
    著者もその点に興味というか関心があるようですね。
    ドイツは世界を席巻し、貿易黒字を積み重ねていたわけですが、これが、戦勝国の逆鱗に触れ、戦勝国の通貨流通を阻害したのは間違いないわけです。
    EUはフランスのものであるのは動かしようのない事実でしょう。
    まあ、結局、日本もドイツもアキシスパワーの末裔であるわけです。
    いつの日か300年、400年、それ以上経過した後、スペインやオランダが許されたように戦勝国との和解がなされることに淡い期待を抱くというと期待を抱きすぎでしょうか?
    ドイツが持った三度目の理想が打ち砕かれた後に何が残るのでしょうか?
    ドイツ人から見ると日本人はどう見えているのでしょうか?
    たまには教養本もよいものです。
    星5つ。
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    投稿日:2019.03.09

ブクログレビュー

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  • まいこ

    まいこ

    ツイッターなどの断片的な情報でドイツにまるで理想郷のようなイメージを抱きがちなので、著書の本を読むとハッとさせられる気持ち。
    日頃からドイツの政治について勉強してる人は別として、メルケル首相が如何にして今の位置に登りつめたかなんて知らずにニュースを見てたもの。

    ドイツと中国の蜜月関係も全く知らなかったので目から鱗。ドイツ人と中国人は実は本質が似ているという指摘も、ドイツに30年以上住んでいる著書だから出来る内容だと思う。
    EUにおけるドイツの立ち位置も、新聞読んでるだけじゃ読み取れない。
    過去作などタイトルが大袈裟で敬遠されがちでは?と勝手に心配しているけれど、その国で暮らす民間の一般の人(と言っていいのか分からないけれど)だからこその肌身で感じるものを教えてくれる。
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    投稿日:2021.10.23

  • 中尾

    中尾

    著者は日本人のドイツコンプレックスを煽ることから学者から批判されているが、その理由がよく分かった。学術的な知見を身につける時はやっぱり専門家の著書を読んだ方がいいなあ、、もちろんこういった個人の経験に基づく視点も大事だけど、アカデミックな議論の場では結局役に立たない。続きを読む

    投稿日:2021.02.22

  • yasz

    yasz

    明日、新しい時代である「令和」を迎えるにあたり、部屋の片隅に読みかけとして置かれていた本を一斉に整理することにしました。恐らく読み終えたら、面白いポイントが多く見つかると思いますが、現在読んでいる本も多くある中で、このような決断を致しました。

    星一つとしているのは、私が読了できなかったという目印であり、内容とは関係ないことをお断りしておきます。令和のどこかで再会できることを祈念しつつ、この本を登録させていただきます。

    平成31年4月30日(平成大晦日)作成
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    投稿日:2019.04.30

  • kun92

    kun92

    欧州のことがどんだけ耳に入ってないか。
    ドイツとシナがそんなにつながっているのも知らなかったし、似てるところがあるとも知らなかった。
    理想主義は日本より面倒くさいし、一方で現実主義で。マスコミも日本と大して変わらんと言うか。

    向こうもアジアのことをよく知らんだろうが、もうちょっと勉強せなあかんな。
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    投稿日:2019.01.14

  • こひろ

    こひろ

    著者の本は、ドイツ人の国民性を踏まえ、ここ十年くらいの欧州の現状を掘り下げて、わかりやすい。

    メルケルは欧州の希望から必然的に欧州の失望となったが、問題は(メルケルも含め)欧州各国の(というか全世界的に)首脳がポピュリスト揃いで、長期的な展望を持っていないことだ。続きを読む

    投稿日:2018.10.31

  • koichikitadani

    koichikitadani

    このレビューはネタバレを含みます

    最初に読み始めて、少しずつ違和感を覚えた。
    どこか思想的な偏りを感じないでもない。
    ドイツで苦労したのか、何か恨み節でもない、
    何か黒い背景を感じてしまう、そういった本だ。
    ただ、ドイツに対してこういった情報は少ないので
    その面を拾ったこの本は、それを差し引いても
    非常に面白い。

    ドイツの近代は当然ながらナチス台頭、東西統一等の
    様々な事項がある。それをどう乗り越えたのか。
    そしてメルケルが政権をとってから現在までの流れ等が
    中心になってまとまっている。その中には意外な中国との
    関係までが書かれている。これは全く知らなかった。

    メモ
    ・ドイツは国防軍に降伏時、元首ヒトラーがすでに自殺、
     無政府状態にあり降伏が認められず、「征服」された
    ・1990年ドイツ東西統一。平和条約ではなく規定条約と
     して終戦手続きを完了。賠償問題をうやむやにした
    ・ドイツは欧州に好かれていない、常に警戒されている
     それを意識して、必ず「EUとしてのドイツ」の立ち
     位置を取ることを忘れない
    ・ドイツにとってナチ時代は以前の話であり決別した
     時代となっている。法律を変えてでも戦犯を裁いた
    ・1999年コール首相批判の論文をメルケルが投稿
     コール首相はメルケルが政治家として抜擢した人物
    ・2003年のシュレーダー首相が打ち立てたアジェンダ
     2010.これが現在のドイツの強みを支える
    ・ドイツと中国の繋がりは1861年、アヘン戦争翌年
     アヘンでボロボロの中国に近代技術等を売った
     日中戦争でもドイツは中国を支援
    ・ドイツと中国の強み。ひどく遠大な計画をたてること
    ・ドイツは内需は低く、輸出に頼っている
    ・電気自動車の優遇。これは中国輸出を視野にしている
     そもそも自由経済で、市場のコントロールはいかがか
    ・原発を止めることで、多大なコストがかかっている
     経済面から考えると原発は再稼働すべき
     (この著者は、この主張が多い。現実派な人なのか)
    ・CDU(ドイツキリスト教民主同盟)が過去のSPD
     (ドイツ社会民主党)の主張を取り入れだした
     これによりSPDの特色が薄れてしまった
     メルケルはバランス重視から、理想論を追いかけた
     結果、左翼化の傾向が強くなった。結果的に票の
     行き場がAfdとなり、AfDが台頭することになった

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    投稿日:2018.07.28

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