【感想】SHOE DOG(シュードッグ)―靴にすべてを。

フィル・ナイト, 大田黒奉之 / 東洋経済新報社
(252件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
98
88
42
6
1
  • 熱をおびた“bad face”(ダメ男)たち

    エアマックス、フットスケープ、ワッフルトレーナー…
    学生時代に“ハイテク&ローテク”スニーカーブームを通過し、暇があればNIKEのレザーコルテッツやSwooshマークをスケッチしていた私ですが、
    NIKEの経営や創業者については殆ど知らないことばかりでした。

    成功の裏に秘められたエピソードを知り、NIKEブランドを築き上げた人間の熱量に驚きながら本書を一気読み。創業者フィル・ナイトのビジネスと熱量の原点が「オニツカ」(現asics)のスニーカーに魅せられたことであったり、そのオニツカシューズの販売代理店としてビジネスをスタートしていたりと、まだ「戦後」の影を引きずる日本との関わりが非常に多いです。

    また、スタンフォードでMBAを修めた優秀な方らしい冷静な状況把握がありながら、行動は「超熱量偏向型」。常識外れの成長戦略が仇となり、度重なる経営危機に苛まれる、あるいは“bad face”(ダメ男)と自称し宿敵アディダスへの素直すぎる本音を吐露してみたり(名作「コルテッツ」命名の由来は秀逸)と、愚直さやハラハラが楽しめます。

    「みんなに言いたい。自分を信じろ。」 を始めとする熱いメッセージも散りばめられた良作だと思います。
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    投稿日:2017.11.18

  • 巡り合えて良かった一冊です。

    ナイキの創業者であるフィル・ナイト氏の自伝。
    しかし、単なる立志伝中の記録という訳ではない、勇気と感動を与えてくれる物語だ。
    一貫して自立することと、品質に妥協を許ぬ姿勢を貫き、国家に対してもファイティングポーズを取り続ける。
    ナイト氏はビジネスマントとしてだけではなく、一人の人間として尊敬出来る人物だ。
    意志ある所に道は開けるという言葉がピッタリはまる。
    巡り合えて良かった一冊です。
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    投稿日:2018.07.06

  • 世界は繋がっている

    始まりは神戸1962、徒手空拳、アイデアだけのフィル(バック)・ナイトはタイガーを売らせて欲しいとオニツカ(現アシックス)に飛び込んだ。アディダスが独占する北米のランニングシューズ市場に、安くて品質の良い日本製を持ち込めばいけるんじゃないか!カメラがうまくいったのだから靴だって。とはいえバックは世界一周旅行の途中でもあり、目的の日本の前にはハワイで3カ月近くサーフィンを楽しんだりもしている。

    とにかくオニツカはバックを代理人と認定し前金50ドルでサンプルを送ると約束した。金は振り込まれ12足のシューズが届いたのは1年後だった。1963年のバックは地味に重要なキャリアを積んでいる。会計士の資格を取り収入基盤を手に入れた。のちに妻となるペネロペ・パークスと出会ったのは輸入業のかたわら収入を得るために助手として働いた大学でだ。倍々ゲームで成長を続けるブルーリボン社の弱点はキャッシュフロー、売れて喜ぶのはオニツカでバックたちの商売は回り続けるが危なっかしい。「会計士としての私にはリスクが、起業家としての私には可能性が見えていた。そこで私はその中間をとって、とりあえず進む事にした。」

    バックの重要な資産となったのがオレゴン大コーチでのちにアメリカオリンピックチームのコーチになったビル・バウワーマンだ。タイガーのサンプルを気に入ったバウワーマンは共同経営者に名乗り出た。靴を良くするための多くのアイデアはバウワーマンが出したものだし、彼の弁護士ジャクアはオニツカとの対決では交渉役を務め、ジャクアの義理の兄チャック・ロビンソンは日商岩井との提携、中国進出そして上場と重要な場面でバックにアドバイスをした。

    バックには徐々に仲間が集まってくる。手紙魔のランナーで安月給でも働き続けるナイキの名付け親ジェフ・ジョンソン、トラブルシューターで最後に頼りになる車椅子のボブ・ウッデル、PWcの先輩でのちにナイキで働くヘイズとオニツカの裁判からナイキの仲間になった弁護士ストラッサーなど。そしてのちに対決するオニツカではフジモトがバックの情報源となった。

    1971年ブルーリボンの売り上げは1300万ドルに達したが、銀行は新たな融資を拒否しオニツカは買収を提案してきた。呑まなければ別の代理店に切り替えると。当面はオニツカを繋ぎながら自前のブランドの準備が始まった。ナイキの誕生だ。

    新生ナイキには日商岩井が大きな支援をしている。資金を出しオニツカに変わる日本の靴メーカーを紹介したのが始まりだ。ポートランドオフィスでは世界中の工場をよく知るトム・スメラギがバックを支援し続けた。ニッショーファースト、まず日商岩井に払えその裏でスメラギは金回りに苦しむナイキのためにわざとインボイスの発行を遅らせ実質的なサイトを伸ばしていた。ナイキが不渡りを出した際に融資責任者のアイスマン・イトーに問い詰められるとスメラギは彼らが好きだから助けたと告白する「ナイキは私にとって我が子のようなものです」

    銀行を始めとする債権者達を前にイトーが宣言する。「日商がブルーリボンの借金を返済します。全額」イトーに礼を言うバックへの返事はこうだ。「何とも愚かなことです」「私は愚かなことは好みません、みんな数字ばかりに気をとられすぎです」バックではなく銀行のことだ。二人のサムライがバックを支えていた。

    ナイキのアイコンといえばジョーダン、コービーそしてオニツカではないタイガーが思い浮かぶ。そのタイガーが使ったことで花開いたトップブランドの開発初期を隣の研究室で見ていた。ひょっとしたら自分が担当していた可能性もなくはない。ゴルフシャフトのディアマナだ。当時の社長は皇芳之さんでその弟がトム・スメラギこと孝之氏。世界は繋がっているのだな。
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    投稿日:2019.03.01

ブクログレビュー

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  • kaz.f

    kaz.f

    NIKE共同創業者フィル・ナイトの自伝。オニツカタイガーや日商岩井など日本企業との深い関係があったこと、資金繰りの苦労、ライバルや政府との闘いなどが読みどころだと思うが、印象に残るのは部下からの報告の手紙に返信しなかったり、大事な場面で必要な言葉を飲み込んでしまう陰キャエピソード。いろんな経営者がいるよね。続きを読む

    投稿日:2024.05.13

  • sagami246

    sagami246

    筆者のフィル・ナイトという人は、ナイキの共同創業者の一人である。本書は、フィルがナイキを立ち上げ、世界的な企業に育て上げるまでの物語を、フィル自身が書いたものである。
    フィルがスタンフォードのMBAを取得しビジネスを始めたのは24歳の時。当初からナイキブランドの靴を売っていたわけではなく、まずは、日本の靴メーカーであるオニツカの製品をアメリカ西部で売ることからビジネスを始めている。それからナイキブランドを立ち上げ、大きな成功を収めるまでのことを物語として語っている。ナイキという会社のビジネス成功物語というよりは、フィル自身の青春時代からの成長物語であると言った方が適当かもしれない。
    ナイキを成功させるまでには多くの困難がフィルを襲う。時に失敗をしながらも、あきらめない気持ち、執念深さで粘りに粘って最後は成功させる。
    「懸命に働けば働くほど、道は開ける」
    「みんなに言いたい。自分を信じろ。そして新年を貫けと。他人が決める信念ではない。自分で決める信念だ。心の中でこうと決めたことに対して信念を貫くのだ。」
    ナイキが成功した理由をケーススタディ的に分析することもできるだろう。しかし、この物語を読むと、何よりも大事なのは「諦めずに勤勉であり続けること」のように感じるし、フィル・ナイトその人もそのように感じているようだ。
    500ページを超える分厚い本であるが、波乱万丈の物語は全く飽きずに読める。これから社会に出ていく若い人たちが読むと良いかもしれない。
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    投稿日:2024.04.19

  • ymkkmy

    ymkkmy

    事業を模索し始めた1962年から株式上場を果たした1980年の18年間の紆余曲折(と言う言葉では表しきれないが)を読み、ビジネスとは戦さなのだと心底感じました。そして、人との出会いの運の大切さも。
    大企業へと成し遂げた成功者であるにも関わらず、自身の軌跡を懐古しながら、「全てをやり直せたら」と後悔を感じるというところに人間味を感じました。

    ビジネスとは、若者へ伝えたい想い、成功者からのメッセージは、起業家を目指す若い人達の心に響くのではないかと思う。読み応えのある1冊。
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    投稿日:2024.03.18

  • chariots0

    chariots0

    ずっと読みたいなと思っていた本。ナイキ創業者フィル・ナイトの半生を描きながら、ナイキの誕生から成功までが綴られた本。500ページ以上と読み応えが凄まじく、正直もう少しコンパクトに纏まっていたら良かったなと。。
    まさかあのナイキが、日本のシューズ(オニツカ社、現アシックス)のアメリカでの販売代理店としてキャリアをスタートさせていたとは意外だった。
    様々な人との出会い、信じては裏切られ、何度も危機に陥りながら、取り返しのつかないような嘘をついてごまかしながらも、最終的には運も手伝ってかなんとかそんな困難も切り抜けて、ホッと一息できるかと思ったらまた別の困難が来て…と本当に壮絶な人生だなと。
    そんな中でも印象的だったのが、フィル・ナイトのどんな時でも自分の信念に従ってただ前を向いてひたすら進んでいく姿。そして常に成功を疑わず自分を信じて努力を惜しまない姿。こういう姿勢が運をも呼び込むのだろうなと。
    久々に気の引き締まる本を読めた。日々どんな小さなことでも成長できる人間でありたいものですね。
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    投稿日:2024.02.03

  • やっさん

    やっさん

    NB派ですがw

    ってな事で、フィル・ナイトの『SHOE DOG』

    NIKEの創始者のフィル・ナイトの自伝録。

    NIKE創業前はオニツカタイガーのシューズを売っていたとか、オニツカに裏切られたとか、現在に至るまでの道のりを熱く綴っております

    まあ、靴に一生を捧げたSHOE DOGじゃね

    岡山のbigriverことフィルナイト様のサインまで頂いて恐縮です
    ありがとうございました

    2019年37冊目
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    投稿日:2024.01.22

  • Take

    Take

    下手なビジネス小説なんかよりも遥かに面白い。新規事業の9割が失敗すると言われる世の中、改めてその難しさや起業における困難から始まる。
    ビジネスパートナーの裏切り、葛藤、競合、政府とのバトル等…
    仕事に全てを注ぎ込んできた男による魂の一冊、自分の仕事に誇りを持てているか?改めて自分に問い掛けたい続きを読む

    投稿日:2024.01.16

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