【感想】ひきこもりの弟だった

葦舟ナツ / メディアワークス文庫
(37件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
5
8
15
2
1
  • これもハッピーエンドなのだと思う。

    “ひきこもり”の兄と息子を溺愛する母親。そんな子供時代の悲しい経験から誰も愛することができず親になることを怖れる啓太が主人公。
    啓太の妻は親に捨てられ親友は父親に殺されかけた過去を持つ。
    読み応えのある内容で「戦うヘンクツ哲学者」と言われている中島義道さんを思い出した。
    そんな重い内容でありながらエンターテイメント性も合わせ持っていることは素晴らしい。初対面で女性からプロポーズするという唐突なスタートが物語りをイキイキさせている。
    人との距離感を測る尺度を持たない啓太が職場で家庭で苦しみながら少しずつ愛することを思い出していく。
    “ひきこもり”が長引くと家庭内だけで解決することは難しくなり第三者の介入が必要だと一般的には言われている。ところが実際には介入も難しいことが多い。そのあたりの葛藤もしっかりと描かれている。
    本書は若者向けの小説だが50歳過ぎて親の立場で読んでも「親不孝よねぇ…それはまともな親だけに許される台詞だ」という一文に共鳴した。
    結末については様々な受け取り方ができるが私はこれもハッピーエンドなのだと思う。著者の葦舟さんはまだ若い方のようだが将来は直木賞も視野に入ってくる作家さんではないかなどと考えながら読了した。
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    投稿日:2017.05.29

ブクログレビュー

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  • ラビー♪

    ラビー♪

    このレビューはネタバレを含みます

    もし啓太が弘樹に「学校に行け」「仕事を探せ」なんて言わなければ、あんな風にはならなかったのに。
    もし弘樹が昔の弘樹だったら大人になっても昔の弘樹。  
    千草とも一緒に幸せになってほしかった。
    そういえば、最後の所では啓太は誰と結婚したんだろう。
    新人社員の白井麻美?
    それとも、千草?
    相手が千草じゃなくっても・・・・・啓太と千草にはずっと幸せでいてほしい。

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    投稿日:2024.03.08

  • 凪

    もう読むの何回目かわからない。小説の中でいっちばん好き。全シーン好き。全登場人物に厚みがあって好き。


    タイトルがダブル(トリプル?)ミーニングになってることに読み終わったあと気づいて戦慄した。

    感情の言語化上手すぎて、私の感情のレパートリー広がりました。とにかく好きです。続きを読む

    投稿日:2023.10.16

  • Rita

    Rita

    出会ったばかりの人と結婚した、引きこもりの兄を持つ弟の話。主人公に感情移入し過ぎてめちゃくちゃしんどい。兄も母も同僚も酷い、そんな中妻の千草が救い。薄氷を踏むような2人の関係が、ずっと続いてほしい。

    投稿日:2023.08.06

  • 日帰りトラックさんは40歳!プラスおっちゃん!

    日帰りトラックさんは40歳!プラスおっちゃん!

    これまでの作品の中で、一番モヤモヤと胸糞さが入り交じる感じがした。

    他の方も感じた賛否両論。

    ラストも眉間のシワが残る感じ。

    おっちゃん的には星2。千草が健気だったからの星2。

    投稿日:2023.07.09

  • み☪︎

    み☪︎

    このレビューはネタバレを含みます

    タイトルから引きこもりの弟がいる兄か姉のお話だと思ってたのですが、〝引きこもりの兄〟がいる弟のお話でした。

    序盤での3つ目の質問が気になって夢中で読んでしまいました。過去と現在が交互に描かれているのですが、心が痛い。過去がとにかく辛いです。親族に同じような方がいたので何となく分かりますが、そうなんですよね。長男だから、今は辛いだけだから…貴方が言うから…。妙にリアルで読むのがとても辛かったです。

    愛ってなんだろうね。難しい。最後、啓太は千種とお別れして別の奥さんと…お母さんとも和解して子供もいて…幸せそうでよかったですが、千種と幸せになって欲しかったです。

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    投稿日:2023.03.16

  • そら⚖

    そら⚖

    このレビューはネタバレを含みます

    この本は、難しく感じる人もいると思う。

    私には難解な部分が少なからずあった。
    面白いことには面白い。
    非常に引き込まれる文章だったし、描写は丁寧で読んでいて感情が揺さぶれることも確か。
    ただ、終わり方が人それぞれ、納得いく人といかない人は別れる作品。

    タイトルで私は、兄がひきこもりで主人公がその弟であると勘違いしていたが、弟がひきこもりだったため、少し驚いた。

    この兄と母親の関係がイライラして仕方なく、ここまで怒りという感情で、感情移入したのは初めてだった。
    読んでいくうちに、この作品の中に入り込んでいく感覚を味わった。非常に面白い作品。

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    投稿日:2023.01.27

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