【感想】菩提樹荘の殺人

有栖川有栖 / 文春文庫
(45件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
4
18
19
2
0
  • 火村シリーズ初心者にもオススメ

    火村シリーズの短編集(全4編)。個々の短編は独立しているものの、どれも「若さ」というモチーフが入っていて、それが短編集としてのカラーにもなっています。
    火村シリーズの入門書としては『46番目の密室』(刊行順に読む)や「国名」シリーズの短編集(代表的な短編集から読む)あたりをオススメしてきましたが、今ならこの『菩提樹荘の殺人』から入るというのもアリかもしれません。本書では、火村とアリスの出会い、火村が臨床犯罪学者になった理由、アリスがミステリを書くきっかけとなった事件など、これまでシリーズの中で書かれてきた背景エピソードに一通り触れることができるからです。多少省略されている部分もありますが、これだけ押さえておけば、次にシリーズのどの作品を読んでも大丈夫だと思います。

    「アポロンのナイフ」……少年犯罪を扱った作品。高校生の男女を殺したのは、連続通り魔事件を起こして逃亡中の美少年なのか? 個人的には、火村が語る少年犯罪の発生件数や法律関係の話が興味深かったです。
    「雛人形を笑え」……殺されたのは若手漫才師の女性。解決に至るまでの道筋が変則的なので、華麗な推理を期待していると肩すかしを食うかも。高柳刑事の意外な趣味と、火村とアリスの漫才めいたやりとりに笑いました。
    「探偵、青の時代」……アリスが学生時代の知人から、当時の火村の名探偵ぶりを聞く話。現在にもつながる鋭い観察眼に感心したり、すごく真面目な学生だったんだな、と驚いたり。ただ、学生とはいえ、自転車に乗る火村の姿だけは想像しにくかったなあ……。
    「菩提樹荘の殺人」……いつまでも若々しい「アンチエイジングのカリスマ」が殺される。真犯人を導く根拠や被害者が服を脱がされていた理由が、思いつきそうで思いつかなかったです。老化に対する火村の意見には共感する部分もありましたが、そういう火村は(アリスも)永遠の34歳なんですよね。そう思うとちょっと複雑。
    続きを読む

    投稿日:2016.01.22

  • テーマは「若さ」。 読みやすい一冊です。

    表題作含む「若さ」をテーマにした4本の短篇集。
    「アポロンのナイフ」少年法について、実名報道の是非や意義など、現代社会のリアルさを感じた。
    「雛人形を笑え」どう考えても不自然な部分が最後まで触れられてなくて、それがオチになってて少々肩透かし。火村先生とアリスの漫才的やりとりは軽妙で楽しかった。
    「探偵、青の時代」若かりし頃の火村先生…は、やはり火村先生でした。
    「菩提樹荘の殺人事件」アリスが火村に過去を話したのが印象的。火村の傷もいつかアリスに晒されるのだろうか。それにつけても被害者のゲスさたるや。
    続きを読む

    投稿日:2016.01.22

ブクログレビュー

"powered by"

  • しほ

    しほ

    有栖川有栖という作家の名前は存じていたものの、初めて作品を読む。
    タイトルの「菩提樹荘の殺人」を含む短編の殺人事件からなる1冊で、作家の有栖川と古くからの友人の火村教授が警察からの協力を仰ぎ事件の解決に挑む。作者と同じ名前の登場人物が出てくるのも面白かったし、いずれも解決編及び後日談がさらりと語られており、事件解決までのやり取りを楽しむ作品だった。続きを読む

    投稿日:2024.01.28

  • 衣兎

    衣兎

    最近は少し長編を読み続けていた感が自分の中であったので、久々に短編を読みたいなぁと本棚を見てたら自然と手が伸びました。
    ほぼほぼミステリーしか読まない私ですが、やはり火村とアリスのコンビが漫才みたいな会話を繰り返しつつ事件を解決するのを見ているのが一番好きな時間かもしれません。

    今回の4つの作品、全て「若さ」がモチーフになっていたんですね(作者さんもあとがきで言っていたので間違いないかと)。
    それとは別に今回の事件は誰かの思い出も絡んでいたような気がするなぁ。
    私はこの作品テレビドラマ版を先に観ているのもあって、原作だと火村の大学生時代の話はアリスが聞かせてもらうパターンだったんだ!?に一番驚きました……ドラマの方ではアリスが婆ちゃんに話してるストーリーだったのでてっきりそうなのかと……いやでも面白さは変わらないのですが。
    火村は学生の時から全く変わってなくて何よりです。

    個人的にそろそろ火村に纏わる過去が知りたくなって来ているのだけど、そこは明かされないままになるのかなぁ……たまーに「おっこれはそろそろ明かされるのか?」みたいな展開になったりすることもあるけど火村黙っちゃうもんね……あぁでも火村の謎が解ける時がこのシリーズの終わる時、とか見たことがある気もするのでまだ終わって欲しくないような……!!!
    続きを読む

    投稿日:2023.12.18

  • keigo3813

    keigo3813

    短編集ではあるけど、とても読み応えがあって長編好きでも大満足できる一冊。
    個人的には「雛人形を笑え」が一番おもしろかった。
    全体を通して感じたのは、結果よりも過程が印象的であったなと。

    投稿日:2023.11.25

  • 海月

    海月

    有栖川作品は読みやすく、サクサクっと読めてしまうので重たい作品の後には手が伸びる。
    今回も短編集でとてもよみやすかった。
    安定の有栖川作品。
    (2023/10/8、他の読書管理サイトからお引越し。レビューは読了当時の記録。)続きを読む

    投稿日:2023.10.08

  • ぶち

    ぶち

    このレビューはネタバレを含みます

    短編。
    初めて有栖川有栖さんだったから、実際に小説に出てきてエッセイかな?と思ってしまった。
    でもそれがよかった。
    どの話も若さが共通。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.06.15

  • JINTA(じんた)

    JINTA(じんた)

    若さが今回の短編のキーワード。少年犯罪。若き夢見るお笑い芸人、火村の大学時代の話、若々しいアンチエイジングの50代男性。それぞれ異なる若さでバラエティに富んだ短編集。特に面白かったのは、火村の大学時代の「探偵、青の時代」。短い作品ながらも火村の探偵能力の断片を見ることができ、よかった。続きを読む

    投稿日:2022.08.24

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。