【感想】地球へ… (1)

竹宮惠子 / eBookJapan Plus
(1件のレビュー)

総合評価:

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  • 竹宮恵子が描いた超能力SF叙事詩

    西暦3000年の時代。人類による環境破壊により荒廃した地球を救うため、人類は他の惑星へと移民する。そこではSD(特殊政府体制)による完全なる生命管理が実施され人口の抑制や異分子(ミュウ)の排除を行っていた。植民惑星アタラクシアで“目覚めの日”を迎えたジョミー・マーキス・シンは自分が超能力者(ミュウ)であることを知り、管理局から追われることになる。潜在的に巨大な力を秘めたジョミーを次世代の長にしようとしていた現ミュウの長ソルジャーブルーによって助けられた彼は今まで自分が信じ込んでいた常識がSDが作り上げた人類の為だけのものであることを知る。人類ではない者(ミュウ)という立場に立たされたジョミーは、遠く離れた地球を目指しミュウの長として立ち上がる。

    竹宮惠子が「月刊マンガ少年」に77年から80年にかけて連載したSF漫画作品で4部作。星雲賞コミック部門、小学館漫画賞を受賞している名作である。とにかく少女漫画家でここまでのSFを描く作家は当時は「萩尾望都」ぐらいしかいず、しかもバリバリのSF本道の話をよく描いたなあと感心した。本作は、宇宙船などのメカ物が沢山登場するのだが竹宮恵子はメカに関してはあまり得意ではなく、メカ専属担当として少年誌で活躍していた「ひおあきら」と共同で描いた点もプラスに働いている。

    第一部のジョミーがミュウとして目覚め、ソルジャーブルーから地球への想いと長を引き継ぐ。第二部はメンバーズ・エリートのキースが登場し自分の出生と人類の敵(ミュウ)を認識する。第三部は、この二人の出会いとそして新たなミュウの誕生。第四部では、人類対ミュウの全面戦争と真の地球の支配者及びミュウの真実が明らかになる・・・という非常に練りこまれたストーリーで、単なる超能力漫画ではない壮大なるSF叙事詩になっている。

    最近、ここまで大上段に構えたSF漫画がなくなってしまい寂しい限りです・・

    東映でアニメ映画化されておりまして内容は約2時間という枠によく話をまとめたと感心するほどうまく作られている。声は当時の人気俳優を起用していてジョミー役の井上純一やキース役の沖雅也はまだ良かったと思うが、秋吉久美子のフィシスはちょっと・・ね・という感じ。ダ・カーポの歌うオープニング・エンディングは、映画にうまくマッチしていた。

    ※主人公のジョミーの名は、超能力SF小説の元祖「スラン」から取っているらしい・・
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    投稿日:2015.12.11

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