【感想】神々の山嶺 上

夢枕獏 / 角川文庫
(19件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
4
9
3
0
0
  • 何度読んでも本当に面白い!山岳ミステリー最高傑作

    読むのはもう3度目くらいか。前回から10年くらい空いていたのでディテールは覚えていなかった。相変わらず大変面白い。複数回読んでいても上下巻を2日間で読破してしまう引き込まれ感は微塵も変わらない。山岳小説だが、それだけではない上質なミステリー。多重のプロットと複雑な人間関係をそう感じさせず分かりやすく読ませる筆力。こんなに沢山の魅力的な要素が、通して読んでいるだけでシンプルに伝わり、ドキドキさせてくれる小説はあまりないと思います。エヴェレスト単独登山のディテールも詳しく、山に興味ある人が読んでも満足でしょう。前にTVで見た三浦雄一郎のエヴェレスト登山風景との対比が頭に浮かんできました。ミステリーとしては「ダンブラウン」みたい(ちょっと大げさですが)。山岳小説としては「岳(コミック)」みたい。人間の描写は新田次郎のよう。5つ星文句なしでしょう。続きを読む

    投稿日:2015.07.13

  • 血わき肉おどる山岳ミステリー

    ※ハード版のレビュー再掲です
    「そこに山があるからさ」
    登山に縁のない人でも知っている、有名なこのセリフ。イギリスの登山家ジョージ・マロリーは、エベレストの頂上を目指して出発したきり、帰らぬ人になりました。
    果たして彼はエベレストに登る途中で死んだのか、それとも一度は頂上に辿りつき、下山途中で事故にあったのか?
    エベレスト登山史上最大の謎を解く鍵を、日本人のカメラマン深町誠は見つけますが、せっかく手に入れたものの盗まれてしまい・・・
    一度は日本に帰国したものの、諦めきれない彼は再びネパールの地を踏むことになるのです。

    謎を追いかけるうち、いつの間にかエベレストの魅力に引き込まれる上巻。ドキドキハラハラしながら下巻に続きます。
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    投稿日:2015.10.01

  • 山に人生をかけた男

    山に人生をかけた男が描かれている。とにかく熱い。加えて、登山シーンが圧巻である。夢枕獏さんも登山をやっておられるらしく、嘘がない。エベレスト登山史の謎を追うミステリーが並行して進み、ページをめくる手が止まらなくなった。他の人生を経験するという読書の醍醐味を感じた。続きを読む

    投稿日:2016.11.23

ブクログレビュー

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  • Colin

    Colin

    熱くて不器用すぎる、けどそれがまたカッコいい山男たちの物語。
    カメラの謎も気になって、下巻の展開が楽しみ。

    投稿日:2024.03.31

  • shigasukao

    shigasukao

    男による男のための、実に男くさい小説。
    エヴェレスト南西壁、極限に挑んだ羽生や山男達の物語のようで、実はカメラマン深町がただひたすら、もんもんとする、実に青臭い男の物語でもある。
    「なぜ登るのか」は「なぜ生きるのか」に通じる問いかけ。
    登場する男たちは、山頂に到達した時の達成感、高揚感、清々しさとは無縁で、その高嶺にある幻影を求め、悩み、うめき、歯を食いしばり、這うように歩き、まるで胃袋のものを吐き出すように言葉を絞り出していく。
    深町も言っているけど、あの場所、あの濃い時間を一度体験してしまったら、もう日常と言う、ぬるま湯の世界では生きられないんだな。取りつかれた者たちの物語。
    続きを読む

    投稿日:2024.01.19

  • たか

    たか

    ※上下巻共通のレビューです

    実写とアニメの映画を鑑賞した後に読みました。上下巻通してかなり引き込まれました。物語の骨組みがしっかりしているし、細かい所もかなり考えられています。

    上巻は下巻のために舞台設定をした感じですが、ミステリー小説のように楽しめました。これからどうなる?と言う期待感を持ちながら、また情景を感じつつ読みました。

    万を期した下巻は、精神的哲学的な要素が強く、一言一言に考えさせられました。上巻は登録フレーズ0でしたが、下巻は11登録しました。「薄い時間」と「濃い時間」の考え方、そして「何故、山にゆくのか。何故、山に登るのか。それには答えがない。それは、何故、人は生きるのかという問いと同じであるからだ。」とか、「登れるのがはっきりわかっているルートなんか、地面を歩くのと同じじゃないか。それだったら、岩なんかやらずに、通常の登山道を歩いてればいい」とか身に沁みます。

    ラストも最高の締めくくりでした。
    続きを読む

    投稿日:2022.11.27

  • ⊱*ฅωฅ*⊰

    ⊱*ฅωฅ*⊰

    漫画から入ったので、大まかなストーリーは知っていた
    でも、やはり文章にするとその重みが違うなと感じた

    一人の男の、孤独で意地で、夢が詰まっていた

    投稿日:2021.12.07

  • ハイジ

    ハイジ


    田部井淳子さんをモデルにした小説「淳子のてっぺん」からエベレストづいた流れで読むことに

    アクの強すぎる伝説の男が、登山家としては既に峠を越した年齢でありながら、前人未到の「エベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂」に挑む(わかりやすく言うと、南西壁はエベレストの超難関登山ルート、かつ冬に酸素ボンベを持たず、さらにはシェルパなしの単独での登頂…あり得ない…)
    ひとことで言うとこんなストーリだ

    主人公のカメラマン
    40歳、独身、カメラで食っていけるのか…という生活
    恋人との不幸な別れをし、エベレストへカメラマンとして挑戦するも、仲間の死という不運に見舞われる
    何もかも捨ててしまいたいほどの脱力状態であった
    そんな時に世間から忘れかけられていた登山家、羽生と出会う

    羽生は天才クライマーと言われるほどの実力を持ちながら、危険と分かっても前にしか進めない不器用で面倒くさい男である
    家族もおらず、定職にもつかず(つけず)、生活は荒んでおり、無口だが、自己主張は強く、協調性に欠けるため人付き合いもまともにできないような男
    そう、この男にはただただ「山」しかないのだ
    そんな不器用だが、情熱の暗い炎が消えない羽生の人生を追い求めることで、なんとか生きていく時間を埋めようとしているカメラマン

    羽生は本当に人に好かれにくい男だ
    近くにこんな奴がいたら関わりたくないと思う
    自分の山へのキャリア更新のためなら手段を問わないくらい、イノシシのように突進するのみの姿勢
    振り返ったり、回り道をするなんていう選択肢があることすら知らないのではないだろうか…
    まともな社会生活も送れず、人に対する思いやりにも欠ける
    だが山に対する情熱は凄まじい
    恐らくすべてを捨ててでも山に賭けることができる男だ
    何をするのか、目が離せなくなる
    カメラマンが追いかけたらやめられなくなるのもわからないでもない
    自分の夢の代弁者のような気がするのかもしれない
    そして無口な羽生の心の葛藤や、後悔の念、心の叫びが見え隠れし始める

    エベレストの拠点、ネパール、首都カトマンドゥ
    猥雑な喧騒と埃っぽさ、湿度や動物な香辛料などのあらゆる匂いを含んだ空気、人込みと騒音、素朴と混沌が渦巻く
    ヒンドゥー教の宗教儀式(ダイサンというお祭り 動物を供物とする儀式)や、人びとの生活をうかがい知ることができる
    正直、行きたいとは思わないが、この地域の描写はなかなか興味深い
    狡猾に、ある意味懸命に生きる人々の熱量を剥き出しの大地に感じる
    ここを舞台にミステリー要素も加わり、男たちのロマンや野心が広く展開していく
    登山小説ではあるが、生きるというのはどういうことなのかを問うような、男のロマン小説という方が良いのかもしれない

    そしてとうとう、二人はエベレストへ…
    どこまでも男臭く、暑苦しく、暗い希望を持って後半へ続くのだ
    続きを読む

    投稿日:2020.09.04

  • シガー&シュガー

    シガー&シュガー

    深町がカトマンドゥで見つけた古いカメラ。
    フィルムが見つかれば山岳史上大変な発見となるかもしれず、それを追う深町と、行方知れずの日本人クライマー羽生の実人生が重なるまでが上巻。

    ちょっと長い…。
    ンタメ小説だし高峰登山の描写や羽生の半生は少し削っても良かったように思います。
    実在の、しかも突出した才能をモデルにする加減の難しさは痛く感じました。
    羽生がK2を下山したエピソードや羽生についてクライマー達が寄せた(どこかで読んだ)コメントの部分もちょっとやりすぎな印象でした。

    実在の登山家をモデルにするのはそこそこにして、思い切りエンタメ方向に舵を切れば良かったのじゃないかな。
    続きを読む

    投稿日:2016.11.11

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