【感想】新月譚

貫井徳郎 / 文春文庫
(35件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
4
18
4
5
0
  • 今年2月に2006年の作品『愚行録』が映画化され話題となっている貫井徳郎。

    本作は、直木賞候補ともなった一冊。

    多くのヒット作を手がけてきた美人作家が、49歳という若さで突然絶筆を宣言。断筆中であることを知りながら、彼女のもとへ執筆依頼に行った新人編集者が明かされたのは、ある男性との壮絶な恋愛の顛末でした。

    人間の邪悪な根を見るような読後感の悪い作品が多い貫井が、初めて手がけた恋愛小説。年齢をまったく感じさせない美貌の作家が語る、別人かのような過去と、変わるきっかけとなった愛し過ぎた男。読み進めるうち、美しい小説家の顔は、もはや美しいという表現では収まらない顔に脳内で徐々に変化していきます。

    悪を描く貫井とは一味違いながらも、過去を語る人と語られる過去のイメージがダブりながらズレていくこの作品のドキドキに、ハマるはずです。
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    投稿日:2017.04.21

ブクログレビュー

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  • tomoca

    tomoca

    辞書並みに分厚い文庫本だった。
    ヒット作を飛ばしていた、女流作家が筆を折った訳を知りたい編集者が女流作家に半生を聞く話。
    作家になるまで、ずーっと愚痴めいた話が続いて、なんで半生の話になったんだっけと何度も見失いそうになった。
    結局、この女流作家は恋人とどういう関係になりたかったのか。
    認められたいと努力した結果が女流作家で、何度も不毛な関係を終わらせることができたのに、自分で墓穴に入り込んで執着しての負のループにハマっただけだったのではないだろうか。
    コンプレックスは誰にでもあるもので、たぶん周りはそんなに気にしていなくても当事者はすごく気になって、すべての原因がそこにあると錯覚してしまう。
    ある程度年齢がいってしまえば受け入れることもできてくるのだろうけど、今は簡単にそのコンプレックスの対処法があるために陥ってしまったのかと。

    ある一人の女性の半生の物語であって、でもそこまで重厚な内容でもなく、よくある話、という印象だった。
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    投稿日:2023.07.09

  • まい

    まい


    人間のぐちゃぐちゃな感情変化が見ものだった。
    自分の奥底にもこんな感情があるのではとぞっとさせられる。

    投稿日:2023.05.27

  • まんぢう

    まんぢう

    『乱反射』のような多人数視点とは対極で一人の女性の生を丹念に描いたメロドラマ的作品。個人的には、こういう人の持つ資本や価値に引っ張られてしまう感覚は自分にも身に覚えがある(大して資本や価値がないだけに)。実際、その相手と価値が釣り合うかどうかは恋愛の大きな要素の一つであるし生殖本能として人類にプリセットされたものであろう。その虚飾をも剥がした部分を認めてくれる人がいるとなれば一層どハマりしちゃうんでしょうな。大河ドラマ的な入れ子になっており最後の数ページで時が経ち、怜花が和子であった頃の重ね合わせには響くものがありました。続きを読む

    投稿日:2023.03.18

  • かほ

    かほ

    元々読書が好きなタイプではなかったが、これを読んでから読書っていいかもと思えるようになった、そんな本。
    人間の醜い心理が上手く現れていて、恐ろしさすら感じる。それが面白かった。
    どんどん次が読みたくなって止まらなかったので、短い話ではないがおすすめ。続きを読む

    投稿日:2021.08.30

  • mokamoca

    mokamoca

    ある美人作家が引退した理由。
    そこには誰にも言えずにいた過去とある一人の男性への強い想いがあった。
    それは幸せと言いながらも辛く寂しい恋愛だった。
    圧倒的な世界観に、震えた。

    女性の深い深い部分であるはずのものを、男性作家がここまで書くのか…と思わずにいられない。

    2021.7.13
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    投稿日:2021.07.13

  • あず:脳みそ新世界

    あず:脳みそ新世界

    すごく良かった、鬼気迫る感触。男性作家が女性の心理描写に挑むってすごく勇気がいると思うのやけど、改めて見事だった。蛇口の話もすごく凄みがある。小説家として何かを表現することが蛇口だと、そして自分は情念の蛇口になるのだ、と。
    貫井徳郎は慟哭とプリズム以来だと思うが、ほぼ一人称で心理描写していく、こういう描き方もできるのかと新鮮。引き込まれて夢中で読んだ。ミステリーとホラーな感覚もある。
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    投稿日:2021.05.29

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