【感想】沈黙のひと

小池真理子 / 文春文庫
(32件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
7
15
4
2
0
  • 逝く者と残される者

    30代小池作品を何作か読みましたが、濃密な恋愛話と世間離れしたようなバブリーな雰囲気
    (振り返るとそんな印象)に、途中で飽きてしまい長い長い時間が経ちました。
    この作品、衝撃を受けました。
    私が年をとったせいでしょうか。
    完治しにくい病にかかった家族を持ったせいでしょうか。
    両親が高齢で病に侵されやすくなったからでしょうか。
    若い頃、老いることに微塵もなかった不安が今は嘘のように、残りの生き方を考えるようになりました。
    男の生きざま・人生と、図らずも営んだ二つの家庭。
    家族のそれぞれの思いと病に侵され動くことも話すことも出来なくなる男・・・。
    主人公衿子を通して語られる父、母、後妻の家族、介護、老人の性。
    作者のお父様をモデルにしたとのことですがここまで内容を昇華させるに、どれほどの葛藤を乗り越えられたのでしょう。
    人生の始末の付け方。望むようにはいかないのが人生。超高齢時代をどう生き抜くのか。
    課題を与えられたように思います。
    続きを読む

    投稿日:2017.01.19

ブクログレビュー

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  • sambo0217

    sambo0217

    いざ介護となった時に、その人の心を拾えるのか。
    過去を受け入れられるのか。みたいな感じ。
    愛情ってのは形が変わってもあるべき姿があるんだな、そんな話し。

    投稿日:2023.03.04

  • こねこ姉さん@小説

    こねこ姉さん@小説

    重いテーマの小説。しかし、非常にためになりました。親の介護、病気とどう向き合うか、本人の意思、パーキンソン病の辛さ、やっぱり人の命って、重いものですね。

    投稿日:2022.09.19

  • bambino

    bambino

    娘の立場からから見た父親と、妻の立場から見た夫と、2つの目で老いて行く人について考えながら読みました。父にも男性の部分があることを娘時代は気付かず、気付いても受け入れることは難しく、また妻が夫を肉親のように無条件に受け入れることも難しいと言うことも上手く表現できているなぁと思いました。時々で色々な感情の渦に巻き込まれながらも、主人公のように常に冷静な目を持っていることができる、そんな生き方が好きです。続きを読む

    投稿日:2022.08.07

  • kimikokumiken

    kimikokumiken

    このレビューはネタバレを含みます

    幼い子に、母と自分を残して去って行った父親。
    そして、再婚して、2人の女の子にも恵まれて父親。
    主人公の衿子にとって、父親と別れても、父の愛情を受け継いできたのだけど、年々、自分の仕事もあり、疎遠にはなっていた。
    その父三國泰造は、パーキンソン病にかかってしまい、歩行も、言語も不自由になって、介護施設に入る音になるのだけど・・・
    誰もが、年々年を重ねる。
    自分が元気なうちは、年を取っている親の事も考えない。
    今の時代、時間が早く動き、デジタル化されるように、物事が動いている。
    自分の不調などかんじた時には、親は、もっと体に異常を持っている事の方が多いのだ。

    毎日、変わりなく、あるべきものが、昨日と同様にあるように、いつまでもあるように、親も、自分の近くにいるつもりだが、親は、黄泉の世界へと近づいている事に気付かない。

    父親が、難病になり、寿命を延ばし、いつまで会話が、出来るのか?
    喋ることが困難になった 父の思いを文字表にして、会話。
    一度、海外テレビで、していたのを見たことがある。
    イエスだと、瞬き1回、ノーだと瞬き2回。
    そして、字の文字の上に子の本と同様に追って行く。
    根気の言う音であるが、身体の不自由な者にとって、意思が伝達される嬉しさは、一杯あろう。

    ワープロの中身の再生、施設の部屋から出てきた、アダルトの本など、処分されずに、衿子が持ち帰り、父が、どんな思いで居たのかを、事細かく、この本で描かれている。

    泰造のこの時代は、企業戦士というわれるぐらい、家庭よりも仕事をするのが、父親の役目の様であった。
    泰造は、わかれた家族(衿子と母親)に、マンションを、そして、再婚して、一戸建ての家を購入出来る位、働いたのだ。

    それなのに、最後は看取って貰えると思った家族は、心が、離れていたように思われる。
    好き勝手して、人生を送ったと、言われても、最後は、少し、悲しい。

    父親が、ワープロを直してくれた衿子の20歳都市いs他の男性への手紙。
    これは、どのような気持ちだったのだろうか?
    残される最愛の娘の事が、とても不安だったのだ央。
    自分の事より・・・・
    やはり、素敵な父親であったと思った。

    有吉佐和子氏の「恍惚のひと」が、描かれた時に、痴呆症が、認知症に今なっている。
    パーキンソン病を主題にした、この本も、後世読み継がれるだろう。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.07.31

  • sam

    sam

    幼い頃に両親が離婚して母親と暮らしてきた主人公。
    手紙などで繋がりをたもっていた父親がパーキンソン病を患い闘病の末に他界する。
    闘病中は身体を自由に動かすことはおろか、言葉も発することができなくなっていた父親は遺品のワープロの中に言葉を残していた。
    それを読むことで父親というひとりの人間を理解しようとし、父親のみならず認知症を発症した母親とも向き合い、老いていく両親と向き合う。

    読むのがなかなかしんどい感じの話。親の老いというものを突きつけられる。
    そして、死後とは言え、私信を娘に読まれるなどけっこうキツい。
    続きを読む

    投稿日:2022.04.01

  • マミ

    マミ

    吉川英治文学賞受賞作品。

    母と自分を捨て、別の女性の元に行った父親が、晩年、パーキンソン病に罹患し、歩く事も、しゃべる事も、書く事も出来なくなり、介護施設に入所するようになる。

    父親は、再婚相手との間に二女を儲けた。
    再婚相手は、介護施設には、一度も顔を出さなかった。

    大手出版社勤務の衿子は、先妻との間に出来た娘で、別れた父親が入所している介護施設に度々訪れ、父親を介護し、看取る。

    重い気持ちで、読み進め、最終章での、父親から、衿子の後輩に宛てたハガキの内容により、何とか救われた。
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    投稿日:2022.01.10

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