【感想】むかし・あけぼの 上 小説枕草子

田辺聖子 / 角川文庫
(17件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
9
4
2
0
1
  • 大・愛読書、なんだけど

    きれいな文章で小説化されたエッセイ、枕草子。ああほんとにそうね、ああ私もそう思う、この満ち足りた交歓が全編を貫く。清少納言が友人知人とそうしたように、千年後の私たちと頷き合えるなんて、古典とは何と素晴らしいものか。

    30年、何度も何度も読んでぼろぼろになった愛読書が電子書籍で出たときは狂喜した。分厚いのだ、この本は。これで出先でも読める!

    しかし、読み始めてまもなく、ぞわり、とした気持ち悪さが体を撫でるようになった。原因はふりがなである。一番肝心のヒロイン「中宮定子」、これは「ていし」のはずだ。最初の一回だけならともかく、何度も何度も「さだこ」。同様に「彰子しょうし」も「あきこ」。平成の怪談や昭和の女の子じゃないんだからさ。

    「太上天皇」だいじょうてんのう?「だじょう」だろう。

    「釣合」だれがどうみても「つりあい」だろうに、「あいあい」って何だ?

    「出仕の君」をどうやったら「さいしょうのきみ」と読めるんだ、これは同僚の「宰相の君」だろうが。

    「よみ返る」?田辺聖子がこんな綴りするか?「甦る」の間違いだろ?

    ああ気持ち悪い!気になって物語の世界に没入できない!

    もう紙のは要らないと処分してしまったので、改めて買い直した。出先で読む、は諦めよう…
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    投稿日:2016.09.15

ブクログレビュー

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  • 近藤真弓

    近藤真弓

    懐かしいです。
    何年ぶりに読んだのやら。
    清少納言が生き生きしています。
    こんな世界、いいなぁ~と思わせてくれる。

    投稿日:2024.01.16

  • はにー 

    はにー 

    清少納言がすごく現代的で、とてもなじみやすい。紫式部日記にある人物像から高慢な人、というイメージが先行したけど、清少納言のおかれた状況をみると、とても革新的な人ではあったと考えられる。
    和歌のやりとりや、白楽天の詩の引用など、どうしても注釈無しでは難しいところを、さらっと地の文で清少納言に説明させるその書き方が鮮やか。続きを読む

    投稿日:2014.03.16

  • sana

    sana

    清少納言の生涯を描いた傑作。
    なめらかで自然な文章で、すっかり引き込まれました。

    歌人として評価されていた家系で、清原元輔の娘。
    本名は不明だけど、この作品では海松子(みるこ)。
    父親っ子で当時の女性としてはレベルの高い教育を受けていた。

    橘則光と結婚。
    この作品では、他の妻が産んだ子供を育てることになっています。
    (当時は複数の女性との関係は普通で、正妻は一番身分の高い女性になる)
    なさぬ仲の子を育てるのは史実ではなく、作者自身の経験に引き寄せたもののよう。
    ただ当時のことは正確な資料が残っていないので、絶対になかったとも言いきれないですね。

    10年則光に捧げたから、この後の10年は自分のために使いたいと宣言し、則光がそれを受け入れることに。
    田辺聖子さん自身は結婚前から作家だから、そんなにきっぱり分かれる人生ではなかったろうと思いますが、清少納言の場合は‥と思い巡らせたのでしょうか。

    武骨で風流を解さない夫とは合わない部分があったが、宮中に上がっても意外に縁は続くことになる。
    則光は何かと心にかけ、清少納言がほめられると嬉しかったと伝えに来るのだ。
    離婚したのではないのかとからかう周囲に、則光は兄妹のようなものなのだと答え、それが通るように。古い表現では妹背というと夫婦になるから、微妙なところ?

    宮中で中宮定子に女房として仕えることとなり、美しい盛りで教養があり朗らかな定子に魅了され、自身もお気に入りとなって楽しい生活を送ります。
    定子の実母は藤原家の正妻になるにしては身分は普通な受領階級の出だが、個人的に教養が名高かったため、気さくで知的なのは育ち方だったようだと。
    定子の一家を見守る描写、いわば敵方である道長の人物を冷静に認めるあたりも。
    とっさに機転が利く性格の清少納言は、貴族の男性とも丁々発止とやり取りがあり、恋愛もいくらかはあったよう。
    時には誤解されつつも、水を得た魚のようにいきいきと宮廷生活を泳いでいきます。

    はたして、後半は。
    定子の実家が没落し、道長の世になっていくので、辛そうですが‥?
    「枕草子」はそんな状況の定子を慰めたい気持ちもあって書き続けられたもの。
    主従のつながり、一途な思いは感動的でしょう。
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    投稿日:2013.09.07

  • K

    K

    『枕草子』を長編小説化したものだそう。
    『枕草子』自体を読んでいないので、
    どこまでが田辺聖子さんの解釈・創作なのかわからないけど、
    清少納言の考えていることは共感できたしとても面白かった。
    『枕草子』自体でも、清少納言がこのような考え方を
    述べているんだったら、こんなに時代を経ているのにすごいなって思う。

    小説の書き出しや、途中途中にわざわざおどけて口語で表現してみた、
    というような筆致が、好みではなかったけれども、
    それが気にならないほどに内容は充分読み応えがあった。

    清少納言は、自分の考えや好みなどに精神的な繋がりを、
    他人との間に見いだせた時、とても嬉しそうに輝いている。
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    投稿日:2013.06.01

  • calamelize

    calamelize

    今まで生きてきた中で感じてきたことがあるであろう、言葉にならない感情をうまく言葉に表し、読み手であるわたしに感動を与えてくれました。

    まるで目の前で起こっているかのような宮中の出来事の描写が本当に素晴らしいです。
    清少納言や彼女を取り巻く周りの存在がますます大好きになります。
    下巻も楽しみ。
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    投稿日:2013.03.18

  • nakaizawa

    nakaizawa

    (1998.05.20読了)(1998.04.02購入)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    美しいばかりでなく朗らかで怜悧、しかも文学的才能もゆたか、という類まれな女主人・定子中宮に仕えての宮中ぐらしは、今まで家にひきこもり、渇き喘いでいた清少納言の心をいっきに潤して余りあった。男も女も、粋も不粋も、典雅も俗悪も、そこにはすべてのものがあった。「心ときめきするもの」など、小さな身のまわりの品、事象を捉えて書きつけた『枕草子』。そこには、共に過ごし、話に興じた、細やかな情趣を解してくれた中宮への憧憬と敬慕、中宮をとりまく花やかな後宮の色と匂いと笑い声を、千年ののちまで伝えたいと願う清少納言の夢が息づいている―。平安の才女・清少納言の綴った随想を、千年を経て、今清少納言・田辺聖子が物語る、愛の大長編小説。

    ☆田辺聖子さんの本(既読)
    「甘い関係」田辺聖子著、文芸春秋、1975.02.
    ☆関連図書(既読)
    「桃尻語訳 枕草子(上)」清少納言著・橋本治訳、河出書房新社、1987.08.31
    「桃尻語訳 枕草子(中)」清少納言著・橋本治訳、河出書房新社、1988.12.20
    「桃尻語訳 枕草子(下)」清少納言著・橋本治訳、河出書房新社、1995.06.30
    続きを読む

    投稿日:2013.02.07

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