【感想】走ろうぜ、マージ

馳星周 / 角川文庫
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
5
5
2
1
0
  • 読了していませんが

    私は読み終わってもいないのに、酷い時は自分自身は最初の数ページから先に読み進めないのに、人に作品を強く勧めることがある。例えば、新潮社文庫の「朽ちてゆく命」は代表例だった。本書も同じく、無責任を承知で強く勧めたい。

    「あなたはイヌ派?ネコ派?」という他愛もない分類がある。我が家にも犬がいるものの、清少納言と同じく「小さき者は皆かわゆし」と思う。何故、彼らがこんなにも我々を惹きつけるのだろう?
    いろいろ理由を考える人もいるが、種族を超えているとはいえ愛とは理屈を超えたものだという結論は当初から周知のことでもあろう。
    手間もかかるし、お金もかかる。ウソもつくし、イタズラもする。ゴハンと水と娯楽と睡眠と散歩をINPUTし、ウンチとオシッコをOUTPUTするだけの存在。でも、まったく前提条件を必要としないで愛情の対象として君臨している、いわば絶対存在。それで良いと思う。

    さて、著者はハードボイルドの名手だが、本書の語り口は真摯で落ち着いたもので、驚く読者も多いと思う。それは、愛犬への愛情がいかに深かったかを端的に表していると思う。その愛犬が亡くなるまで軽井沢で過ごした静謐で愛情溢れる日々を日記風に書かれています。

    犬好きの人にも、そうでない人にも一読を勧めたい。

    追記;
    押井守も愛犬家として有名である。ハードボイルド系の人はイヌ好きの傾向があるのだろうか?押井守によれば、人付き合いを面倒と思う人はイヌ好きの傾向があるという。そういえば、西村寿行も「黄金の犬」を書くほどの犬好きだった。ハードボイルドではないがコント赤信号の渡辺正行も愛犬の思い出を絵本にしている。男の子は結構センチメンタルなのである。
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    投稿日:2015.06.19

ブクログレビュー

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  • ヒロミじじぃのノホ本棚

    ヒロミじじぃのノホ本棚

    愛犬の看病記。
    1年3か月前に読むことができていたらと思います。
    ただ撫でてやることしかできなかったことが、悔しくて申しわけなくて。

    僕はまだペットロスの中にいる。

    投稿日:2024.04.17

  • Hangxi

    Hangxi

    読み進めるほどに辛くなる。それだけ筆者とマージの間に絆が芽生えていたんだと思う。ここまでの関係になるのは本当に素晴らしいと思う反面、犬を最後まで飼う事と看取ることの責任の重さと悲しみを感じた。

    投稿日:2024.01.08

  • ヒヤマトモヒロ

    ヒヤマトモヒロ

    癌を患った老犬、マージと過ごす軽井沢ライフと見送るまでの馳さんの日記。

    保健所から老犬を引き取り、精一杯愛情を注いで過ごし、介護して見送ってぽっかりと空いた心の穴に戸惑った自分。そういう経験を持っているとどうしてもこういう本を読んでしまう。共感したいし共感されたいと思うのだろうか。
    「少年と犬」(未読)で直木賞の馳さん、初ですが、小説ではなく日記形式の老犬見送りエッセイです。こうした読み物は個人的には涙なしには読めないし、下手するとタイトル見ただけで涙腺が緩む。困ったもんだ。
    馳さんのHPに掲載した日記をもとに再構成された本で、癌と老いに蝕まれて弱って、ついに死んでしまう愛犬に寄り添う心情を描いています。日記形式だからか、読み物としてはかなりダレるしちょっとひねくれた見方をすればセレブの介護自慢みたい。何しろ犬のために軽井沢に家を建てるとかいう話は、オムツを改造したりパンツやハーネスを手縫いしたりスーパーで手に入る野菜や鶏肉で手作り食を作ったりして慎ましく介護していた人間には共感するのが難しいのです。あとは自分が100%正しい犬飼いだと思っている節もあってちょっと鼻についたりとか宗教は信じないけど変なペンダントとかホメオパシーに頼ったりとかその辺。
    でも安楽死を決意するあたりからはさすがに読むのが辛くなります。犬の体調で一喜一憂したり介護で生活リズムがずたずたになったりとか、死んだ後にはいつも寝ていた場所に自然に視線が行くとか、理性と別の場所にあるどうにもならない心の穴とかはとても共感できました。読んだ後は(マージとか馳さんのことではなく)見送った自分の犬のことをひとしきり思い出して涙が止まらなくなって、そういう意味で読んでよかった本だと思いました。
    老犬を見送る心情として秀逸な読み物、谷口ジローの「犬を飼う」と読み比べるのも一興です。
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    投稿日:2023.08.08

  • 小猫とDROCK

    小猫とDROCK

    このレビューはネタバレを含みます

    犬のエッセイです

    自分が14年ともに暮らしたミックスの愛犬を虹の橋の向こうに見送ってから、しばらくこの手の本を読み漁っていました

    うちの子は6キロ程度の子でしたが、それでもいなくなったあとのがらんとした感じはたまりませんでした
    ましてやマージはバーニーズマウンテンドッグ

    でかい

    精神的に占める大きさはうちの子も変わらないとは言え、物理的なサイズ感は5倍?6倍?
    喪失感も大きいことだっただろうと

    病気がわかってからの著者夫妻のマージへの献身ぶりは、お金があるからできることだなと思いますが、それにしてもなかなか出来ることではなさそうです

    幼少から一緒にいたマージが、日々弱っていく姿を見つめ、支えることは辛かったでしょう
    でも犬に限りませんが、動物と暮らすということは命を見つめること
    生命を見送ること

    見送っても見送っても、また命を迎える
    性懲りもなく

    馳さんもそうてした

    同じ子は二度とおらず、全然違う個性の新たな子に前の子の姿も重なる
    見送った子たち誰も忘れることなく、また新たな子との暮らしをつくっていく

    でも生命を見送ることの慟哭を忘れないようにしておこう
    この子との毎日も一期一会なんだから

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    投稿日:2023.07.16

  • SNOW

    SNOW

    11年間暮らしたバーニーズ マウンテン ドックのマージにしこりが見つかった。それから94日目。愛犬は亡くなった。馳さんは最後でマージに対して幸せだったかと問いかけているが、これほど幸せな犬はいないんではないかと思います。続きを読む

    投稿日:2022.07.03

  • 浮気なスー

    浮気なスー

    このレビューはネタバレを含みます

    馳星周、という作家は、なんとも興味深い人だなあ、、、ということをシミジミと感じたエッセイでした。

    馳さんの小説は「不夜城」「ダーク・ムーン」しか読んだことがないのですが、すっげえ人間の暗黒面を書いて書いて書き倒してる人、っていうイメージがあります。そこまで人間のダメさを書くのかね、みたいな。人間嫌いなの?みたいな。

    ちなみに、馳さんが、遥か昔に「佐山アキラ」名義で書いた、ゲームのウィザードリィを舞台にした短編小説「酔いどれの墓標」は、ウルトラ好きなんですよ。アレ、馳星周だったんだ!と知った時の驚きは、凄かった嬉しかった。余談ですね。

    で、その、馳星周。ここまで犬が好きなのか!?という、驚愕のエッセイでした。馳さん、このエッセイの中でハッキリと「俺は人間嫌い」って自分のことを語っていますが、犬のことは心の底から好きなのね、、、ということが、シミジミとシミジミと分かります。分かりまくります。

    自分は、犬も飼わないし、猫も飼わないし、ペットとの生活は全く縁のない人間なのですが、ここまで愛情を注げるってマジですげえな、って、尊敬します。いやもう、、、凄いよなあ、、、町田康の「猫にかまけて」を読んだ時の感動に近い感じ。「あっこまで人間をケチョンケチョンに描く小説を書く人が、ここまで自分の飼っている動物に愛情を注ぐのか!?」という事を知った時の感動。アレですね。馳さんと町田さん、それぞれ犬派と猫派にキッチリ別れる感じですが、めっちゃこう、話、あうんじゃないかなあ~?とかね、思った次第ですね。

    愛するペットが、今まさに寿命尽きんとするときの、あの、ご飯食べてくれた嬉しさ。ウンチやオシッコをしてくれた、というただそれだけが、途轍もなく嬉しい、という感覚。うーむ。感情って、なんだか、凄い。と謎な思いを抱いてしまいました。いやもう、実際、、、そういうもんなんだろうなあ、、、っていう。なんだか凄いです。感情って。

    いつか自分も、ペットを飼うような人になったら、ここまでちゃんと、愛情を注ぐことのできる人になりたいな。そう思わせてくれた意味では、とても見事なエッセイでした。馳星周、という人物。いやはや、興味深い人です。うん。

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    投稿日:2020.12.01

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