【感想】愛欲のローマ史 変貌する社会の底流

本村凌二 / 講談社学術文庫
(3件のレビュー)

総合評価:

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  • むしろ夫婦観、家族観の変遷

    元々は『ローマ人の愛と性』いうタイトルで講談社現代新書から出ていた本が文庫化(講談社学術文庫)の際に改名されたものです。どちらのタイトルもやや誤解を招く、というか、前半の内容しか反映していません。
    古代ローマ人の欲望から始まり、愛情へとタイトル通りに論は進むのの、そこから先は家族、道徳、心性へと更に議論は進んでいきます。あまりエロ目線だと、後半はついていけないかもしれません。続きを読む

    投稿日:2017.12.07

ブクログレビュー

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  • ujikenorio

    ujikenorio

    このレビューはネタバレを含みます

    本村凌二『愛欲のローマ史 変貌する社会の底流』講談社学術文庫、読了。ローマ帝国繁栄下、過剰ともいえる欲望と淫靡な乱交が横行したが、その背景にはローマ人のどのような心性が潜んでいたのか。本書は風刺詩人のまなざしを頼りにしながら、性愛と家族をめぐる意識の変化をあぶり出す。

    ローマ社会の性風俗をめぐる風刺詩人たちの声は、時と共に怒りの度合いを強めるが、背景には「『性』にまつわる言動を『汚らしい』ものとして忌み嫌う感性」の兆しが存在する。自己を見つめるストア派の生活倫理が受け入れられるのもこの土壌あってこそ。

    家族意識にも際だった変化が訪れる。もともと「結婚」という形態へのこだわりがなかったが、帝政期を通じて同棲や内縁ではなく「結婚」に基づく家族という生活形態が身分や階層を問わず浸透する。「家名を尊重する家族」から「夫婦愛にもとづく家族」へ。

    世相の転換の外形には「性の汚れ」の意識と「結婚にもとづく家族」の絆の在り方とが密接に関わっている。内なる世界を重んじる風潮は、結婚した夫婦間に独占される「性」を理想と見る倫理規範の浸透は、キリスト教受容の助走となっていく。

    「恥辱と悪徳の実態を問うとは、その根幹において、そこに生きている人々の愛欲の生態に目を注ぐことである」。ローマ人の「性」をめぐる倫理規範の変化を具体的に祖述する本書の議論は、フーコーの観点とぴったり重なってくる。『禁欲のヨーロッパ』と合わせて読みたい。

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    投稿日:2014.06.16

  • ryu0218

    ryu0218

    そういえば、もうすぐ映画「ポンペイ」が公開されますね。
    パニックムービーにして 3D映画、これは楽しみです。

    ポンペイには当時の市民の生活がそのまま埋もれています。
    本著の表紙のご夫妻も、ポンペイから出土したものです。
    裕福な市民の家には多種多様なモザイク絵画が描かれいました。
    町じゅうの落書きなども残っていて、当時の生活が伝わってきます。

    本著はポンペイだけでなく、ローマ市民の生活を風俗生活の観点から述べています。

    ローマ市民と言ってもやや1,000年近くに渡る時間軸なので、どの時代のどの階級によって生活は違います。本著は皇帝や皇后から一般市民、そして時代も取りあわせています。

    書かれている内容はほぼほぼ、塩野七生さんのローマ人の物語に出てくるエピソードを越えず、期待が大きかった分少し残念でした。
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    投稿日:2014.05.24

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