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郡司ペギオ-幸夫 / PHPサイエンス・ワールド新書 (11件のレビュー)
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総合評価:
bookkeeper
2
たまにはこんな本も
群れがまるでひとつの生き物みたいに動くメカニズムを、実際の動物の群れを観察したり、コンピューター上でシミュレーションしたりして研究するわけですが、そんな研究をする問題意識の根底では「個体-群れ」の関係…を「脳細胞-意識」になぞらえているのです。 群れをシミュレートしたモデルとして、バード・アンドロイドを縮めた「ボイド」というやつがあります。各個体は、周囲の個体の動きを観察して①衝突回避②速度(方向含む)平均化③群れ誘引といった原則で群れとして動きます。この「ボイド」が著者にとってはつまらなく感じられ、「ダチョウ倶楽部」モデルを考え出します。これは、みんなが行こうとしているところに行きたがる、というちょっと複雑なモデル。個体に群れへの同調性みたいなロジックを仕込まないところがミソだとのこと。たしかに、ちょっと生き物っぽくなる気がします。 さらにはカニの群れを使って時計や計算機を作ろうとしたりするのですが、読んでいるほうとしては段々と何をやっているのか訳が分からなくなってくる所も。すごく大事で難しいことをやっている気もしますが、たいしたことないものを殊更むずかしく研究している気すらしてきました。いやまあ難しいです。 毎日新聞の養老孟司書評によると「わかりにくい本を書く著者だったが、今回の著作はみごとにわかりやすくなっている。」とのコトですが、これまでの著作はホントに難しかったのでしょうね。続きを読む
投稿日:2014.05.04
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prigt23
モノ(個体)とコト(群れ)と解釈することによって、どのように生物が集団での動きを統制しているのか、というのが素人なりにもそれなりに理解できた一冊。あと生き物にとっての「我慢」とはなにか? というあたり…もおもしろい。 あとこの我慢についての解説で、受動・能動の関係を統合したものを「受動的能動性」として、ダチョウ倶楽部の熱湯風呂コントの「どうぞどうぞ」で説明しているのだけど、ここがちょっとわかりにくかった。 受動・能動を区別しないという考えはわかるのだけど、そもそも生物における受動がこれまでどのように定義されてきたのかというのが、自分はよくわかっていないからかもしれない。 「受動的能動性」をバークリー『受動的服従』なんかと絡めて受動・能動について考えるとおもしろそうには感じたけど。 群れとは、ただ個体が集合した「もの」ではなく、群れは群れでしかないのだなという感じ。 その「群れ」はなんだかよくわからないが社会性みたいなものが存在していてかなり複雑なんだな、やっぱりよくわからないな、というのはよくわかった。続きを読む
投稿日:2019.08.19
bookkeeper2012
毎日新聞の養老孟司書評によると「わかりにくい本を書く著者だったが、今回の著作はみごとにわかりやすくなっている。」とのコトだが、これまでの著作はホントに難しかったのだろうな。 群れがまるでひとつの生き…物みたいに動くメカニズムを、実際の動物の群れを観察したり、コンピューター上でシミュレーションしたりして研究するわけだが、そんな研究をする問題意識の根底では「個体-群れ」の関係を「脳細胞-意識」になぞらえている。 群れをシミュレートしてみたモデルとして、バード・アンドロイドをもじった「ボイド」というやつがある。各個体は、周囲の個体の動きを観察して?衝突回避?速度(方向含む)平均化?群れ誘引といった原則で群れとして動く。これが著者にとってはつまらなく感じられ、「ダチョウ倶楽部」モデルを考え出す。これは、みんなが行こうとしているところに行きたがる、というちょっと複雑なモデル。個体に群れへの同調性みたいなロジックを仕込まないところがミソだとか。 さらにはカニの群れを使って時計や計算機を作ろうとしたりするのだが、段々と何をやっているのか訳が分からなくなってくる所も。すごく大事で難しいことをやっている気もするが、大したことないことを殊更むずかしく研究している気すらする。いやまあ難しい。 しかし西表島でカニの群れを観察する仕事って、なんだか憧れてしまうな。続きを読む
投稿日:2018.11.05
takeshishimizu
郡司さんの本は何冊か買って読もうとしたけれど、結局最後まで読んだのは本書が初めて。とは言っても、この本についても、おそらく1割くらいしか理解していない。それでも、所々で理解できるところがあるから何とか…最後まで読めた。他の本は、数十ページも読めばあとは全く理解できない。しかし、何か重要そうなことが書いてあるようで、つい買ってしまう。たしか、養老先生も同じようなことを書かれていた。本書の中にもいかにも哲学的な話が多いが、ミナミコメツキガニの実験の写真とかを見ていると、なんとなく原始的な感じでちょっと微笑ましい。群れのシミュレーションについては動画でないとなかなかイメージしづらい。あとがきでは「ネットを見てくれ」と書かれているが見つけられていない。ところで、文書ボイドとはいったい何なのか。なぜ、文書なのか。面白そうと言えば、面白そうなのだが、どこからその発想が出てくるのか。本書を読んでいる間は、この「文書ボイド」ということばがなぜか頭から離れなかった。それから、ダチョウ倶楽部の受動的能動とかいう話。私自身も以前、積極的な受動ということを考えていたことがあり、興味を持って読んだ。しかし、他に良い例がなかったのだろうか? ちなみに、このペギオという名前、何か相当意味があるものと思っていたのだけれど、単なる思い付きとか。なあんだ。続きを読む
投稿日:2014.09.25
イワシ頭
大空を一個の塊となって飛ぶムクドリの群れ。それはカラスが楔形に並んで飛ぶのとはだいぶ違っている。それはさながら海中を一個の塊となって泳ぐイワシの群れのようなものだ。どちらの群れも、一個の巨大な生物然と…して蠢き、そこにはまるで一個の意識があるようにも見える。もちろん、ムクドリも、イワシも、一羽一匹は自立した一個である。しかし、その一個一個が群れをなしたとき、その一糸乱れぬ挙動に、集団としての一個の意識はあるのか。眉唾にも聞こえるかもしれないが、実はこの問立ては、自分たちにとって、とても大きな意味を持っている。いったい、それ自体に意識を持たない神経細胞、その群れであるところの脳に意識が現われるのは何故か。蟻や、人工生命ボイド(プログラム)を使ったコンピューターシミュレーション、カニの集団渡河行動の観察を通して、「個」と「集団」、「モノ(客観的対象)」と「コト(主観的事象)」のあいだに、不断に明滅する「意識」が浮かび上がる。なお、著作よりも、実はその著者の方が面白いともっぱらのウワサ。>http://togetter.com/li/37935続きを読む
投稿日:2014.03.10
asaijunki
実験に関しては面白いかも知れないが、その説明が全然論理的でないため、全体的に意味不明になっている。非常に残念ですね。非同期性や相互予期など、シミュレーションのための技巧でしかないものを、あたかも本質で…あるかのように展開するので、論点に無理があるのでしょう。続きを読む
投稿日:2013.11.21
満田 弘樹
集団行動についての本かと思ったら、哲学、生物学、数学、ロボット情報学からダチョウ倶楽部までを縦横無人に駆け巡って、「ヤドカリは痛みを我慢する」など一部の内容以外は、ほとんど理解できないほど難解。少なく…とも普通の新書レベルではない。 結論であるはずの、「意識は判定されるモノではなく、経験されるモノ・コトスペクトラムである。群れが意識を持つか、という問いは、群れが『経験される現象』であることを通して、逆に『経験されるしかない意識」というものを再認識させる問いであるといえるだろう』という本文最後の一文すら意味が分からない。 要は、群れと個体は、区別できない、という主旨でよいのか?続きを読む
投稿日:2013.11.12
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